デート・ア・オルフェンズ   作:鉄血

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少し短いですが投稿です。


ブレスレット、喜んでくれるといいなぁ。
いつも着けてくれるかなぁ。
あっ、そしたら臭くなっちゃうかな?
たまに、日の当たる所で干してくれるといいんだけど…。
あっ!でも宇宙に行っちゃったら無理だよね!?
どうしよう~!

アトラ・ミクスタ


第三話

「───状況は?」

 

真紅の軍服をシャツの上から肩がけにした少女は、艦橋に入るなりそう言った。

 

「司令」

 

艦長席の隣に控えていた男が、軍服の教本にでも書いてあるかのような綺麗な敬礼をする。

司令と呼ばれた少女はそれを一瞥だけして、男を爪先で蹴った。

 

「おうっ!」

 

「挨拶はいいから、状況を説明なさい」

 

苦悶、というよりは恍惚とした表情を浮かべる男に言いながら、艦長席に腰を掛ける。

男は、即座に姿勢を正した。

 

「はっ。"精霊"の出現と同時に攻撃が開始されました」

 

「AST?」

 

「そのようですね」

 

AST。対精霊部隊。

精霊を狩り精霊を捕らえ精霊を殺すために機械の鎧を纏った、人間以上怪物未満の現代の魔術師たち。

とはいえ──超人レベルでは、精霊に太刀打ち出来ないのが実状だった。

それくらい、精霊の力は桁が違う。

かつて大昔には天使を狩る72の悪魔の名を持つガンダムと呼ばれた兵器もあったらしいが、今では神話のような話だ。

 

「確認されているのは十名。現在一名が追撃、交戦しています」

 

「映像出して」

 

司令が言うと、艦橋の大モニターに、リアルタイム映像が映し出される。

繁華街から通りを二つくらい隔てた広めの道路の上で、

二人の少女が巨大な武器を振り回しながら交戦しているのが確認出来た。

武器を打ち合うたびに光が走り、地面が割れて、建物が倒壊する。

およそ現実とは思えない光景である。

 

「やるわね。──でも、ま、精霊相手じゃどうしようもないでしょ」

 

「確かにそのとおりですが、我々が何もできていないのもまた、事実です」

 

「・・・・・・」

 

苛ついたのか司令は足を上げると、ブーツの踵で男の足を踏みつぶした。

 

「ぐぎっ!」

 

男が、この上なく幸せそうな顔を無視し、司令は小さく嘆息した。

 

「言われなくても分かっているわ。───見ているだけというのにも飽きてきた所よ」

 

「ということは」

 

「ええ。ようやく円卓会議から許可が下りたわ。──作戦を始めるわよ」

 

その言葉に、艦橋にいたクルーたちが息を呑むのが聞こえる。

 

「神無月」

 

司令は軽く背もたれに身体を預けるようにすると、小さく右手を上げ、人差し指と中指を立てた。

まるで、煙草でも要求するように。

 

「はっ」

 

男は素早く懐に手をやると、棒つきの小さなキャンディを取り出す。そしてすみやかに、しかし丁寧に包装を剥がしていく。

そして司令の隣に跪き「どうぞ」と、司令の指の間にキャンディの棒を挟み込む。

司令がそれを口に放り込み、棒をピコピコと上下に動かす。

 

「・・・・・ああ、そういえば肝心の"秘密兵器"は?さっき電話にでなかったのだけれど。ちゃんと避難しているんでしょうね?」

 

「調べてみましょう───と、ん?」

 

男が怪訝そうに首を捻る。

 

「どうかしたの?」

 

「いえ、あれを」

 

男が画面を指差す。司令はそちらに目をやり「あ」と短い声を発した。

精霊とAST要員が武器を打ち合っている横で、制服姿の少年が気を失っていたのである。

 

「・・・・ちょうどいいわ。回収しちゃって」

 

「了解しました」

 

男は、またも折り目正しく礼をした。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

───久しぶり。

 

 

頭の中に何処かで聞いたことのあるような声が響く。

 

 

───やっと、やっと会えたね■■■

 

 

懐かしむように、慈しむように。

 

 

───嬉しいよ。でも、もう少し待って。

 

 

アンタ、誰と、問いかけるも、答えはない。

 

 

───もう、絶対離さない。もう、絶対間違わない。だから、

 

不思議な声がそう言った瞬間───

 

『ミカ、止まるんじゃねぇぞ』

 

オルガの声と共にバルバトスによって掻き消された。

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

「・・・・ッ!」

 

士道は目を覚まし、反射的に見知らぬ女性に強烈な頭突きを食らわせ、距離を取る。

つい、昔の時の反応でやってしまった。

だが、士道の反応は仕方ない事だった。

何しろ見知らぬ女性が指で士道の瞼を開き、小さなペンライトのようなもので光を当てていたのである。

 

「・・・ん?目覚めたね」

 

先程の頭突きを気にしないかのように、妙に眠たげな女は、その顔に違わぬぼうっとした声で言った。

気を失っていた士道の目を見ていたらしく、妙に距離が近かった。

 

「アンタ、誰?」

 

「・・・・ん、ああ」

 

女はぼうっとした様子のまま身体を起こすと、垂れていた前髪をかき上げた。

軍服らしき服を纏った、二十歳くらいの女だ。

無造作に纏められた髪に、分厚い隈に飾られた目、あとはなぜか服のポケットに入っている傷だらけのクマのぬいぐるみがやけに特徴的だった。

 

「・・・・ここで解析官をやっている、村雨令音だ。あいにく医務官が席を外していてね。・・・・まぁ安心してくれ。免許こそ持っていないが、簡単な看護くらいならできる」

 

「そう言って安心出来るとでも思う?」

 

なぜなら明らかに、自分よりもこの女の方が不健康そうに見えるし、何よりコイツは何者かわからない。

それに"此処が何処か"もわからない。

士道は周囲を視線だけで見回す。

自分は簡素なパイプベッドの上で寝かされていた。

そしてその周りを取り囲むように、白いカーテンが仕切りを作っている。まるで、学校の保健室のようだ。

ただ、少し異なる所は天井だった。何やら配管や配線が剥き出しになっている。

 

「ねぇ、眠そうな人」

 

「・・・・ん、何だい?」

 

「アンタ、ここの人何でしょ。此処は何処?」

 

この訳のわからない居場所に士道は少しでもこの場所の事を知るべく、彼女に聞く。

 

「・・・・ああ、〈フラクシナス〉の医務室だ。気絶していたので勝手に運ばせてもらったよ」

 

「〈フラクシナス〉・・・?何それ?」

 

何かの名前なのだろうが、士道は見当もつかなかった。

しかし令音は応じず、無言で士道に背を向けた。

 

「・・・・」

 

士道は彼女の行動が分からず警戒するが、令音は構わず言う。

 

「・・・・ついてきたまえ。君に紹介したい人がいる。・・・気になることはいろいろあるだろうが、どうも私は説明下手でね。詳しい話はその人から聞くといい」

 

言って、カーテンを開ける。

カーテンの外は少し広い空間になっていた。

ベッドが六つ程ならび、部屋の奥には見たことのない医療器具が置かれている。

令音は部屋の出入口と思う場所に向かって、ふらふらと歩いていく。

が、すぐに足をもつれさせると、"ガン!"と音を立てて頭を壁に打ちつけた。

 

「眠そうな人、大丈夫?」

 

あまり仲間以外の心配をしない士道でも心配するくらいには頭にクリーンヒットした。

 

「・・・むう」

 

一応、倒れはしなかったらしい。彼女は壁にもたれかかるようにしながらうめく。

 

「・・・・ああ、すまんね。最近少し寝不足なんだ」

 

「へー、そうなんだ。寝れる時に寝た方がいいよ」

 

「・・・ああ、すまないね」

 

彼女はそう答え、時計を見る。

そして彼女は呟いた。

 

「・・・と。ああ、失礼、薬の時間だ」

 

彼女はそう言って懐を探ると、錠剤が入ったケースを取り出した。

そして蓋を開けると、錠剤をイッキ飲みするように。一気に口の中に放り込む。

 

「アンタ、自殺志願者?」

 

何の躊躇いもなく、おびただしい量の錠剤を飲み込む彼女に士道は少し眉をよせながら言う。

 

「・・・いや、いまいち効きが悪くてね」

 

「・・・・ふーん、そうなんだ」

 

士道はそう言って歩みを進める。

令音が空っぽになったケースを懐に戻してから、危なっかしい足取りで歩み進め、医務室の扉を開ける。

士道が部屋の外に出ると、狭い廊下のような作りになっていた。

まるで"イサリビ"にいた時の事を思い出す。

そして、どれくらい歩いたか。

 

「・・・ここだ」

 

通路の突き当たり、横に小さなパネルが付いた扉の前で足を止め、令音が言った。

 

「・・・・さ、入りたまえ」

 

令音が中に入っていく。士道もその後に続いた。

 

「へー、スゴいね」

 

扉の向こうは艦橋だった。

イサリビよりも広く、最新的で一言で言うと凄いという言葉しかない。

 

「・・・連れてきたよ」

 

令音が、ふらふらと頭を揺らしながら言う。

 

「ご苦労様です」

 

艦長席の横に立った長身の男が、執事のような調子で軽く礼をする。

ウェーブのかかった髪に、日本人離れした鼻梁。

何かの絵にでも出てきそうな風貌の男だった。

 

「初めまして。私はここの副司令、神無月恭平と申します。以後お見知りおきを」

 

「へー、アンタが副団長ってこと?」

 

「そう言う事になりますね」

 

男はそう言って笑う。

 

「じゃあアンタ、二番目に偉い人なんだ」

 

士道はそう言って手をポケットに入れる。

最初、士道は眠そうな人がこのガリガリに言ったのかと思ったが違った。

副団長と言うことはオルガと同じ、団長もいる筈だ。恐らく先のガリガリがいた場所の隣に座っているのだろう。

 

「司令、村雨解析官が戻りました」

 

神無月が声をかけると、こちらに背を向けた艦長席が、低いうなりを上げながらゆっくりと回転する。

そして。

 

「───歓迎するわ。ようこそ、〈ラタトスク〉へ」

 

司令なんて呼ばれるには少々可愛い声を響かせながら、真紅の軍服を肩がけにした少女の姿が明らかになった。

士道は眉をひそめて言う。

 

「・・・・何やってんの?琴里?」

 

格好、口調、それに雰囲気、違いはあるが紛れもなく自分の妹、五河琴里だった。

 

 




感想、誤字報告よろしくです。













このクロスオーバーをした理由は実は厄祭戦のモビルアーマーと十香達の霊装が実は同じ系列の天使だったり、設定がある程度組み込みやすかったり、主人公の名字がオルガと一緒って事で投稿を始めたんですよね。

設定とか見たいと言う人はどうぞいつでも言って下さい。投稿するのはかなり後にはなりますが。
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