デート・ア・オルフェンズ   作:鉄血

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ちょっと三日月が美九にとって悪役みたいになっちゃったけど、今後の展開に大きく関わってきます!


第八話

「後はアンタだけだよ」

 

士道はそう言って、レンチメイスを肩に担ぐ。

 

「ひッ!?────ガ、〈破軍歌姫〉!!」

 

美九はそう叫び、士道を操ろうとするが効かない。

 

「効くわけないだろ」

 

士道は美九にそうに言って、足を一歩、また一歩と歩みを進めていく。

それと同時に後ろへと下がる美九に、美九の後ろからバエルが降りたった。

 

「悪いが君を逃がす訳にはいかないものでね。観念してもらおうか」

 

「────ッ!?」

 

マクギリスの言葉に、美九は左右に逃げ場がないか首を振るが、真那と狂三が歩いてきて逃げ場を完全に失った。

そんな美九に士道が口を開く。

 

「んじゃ、さっさと皆を元に戻して。聞きたい話はその後に聞くから」

 

士道は美九を見下ろしながらそう言うと、美九は身体を震わしながら、興奮したように叫んだ。

 

「う・る・さぁぁぁいっ!黙ってください喋らないでくださぁいっ!わ、私をあれだけ辱めておいて、何を都合のいいことを!あなたの話なんて聞きたくありま────」

 

せん。と美九が言い終わる前に、士道は美九に接近して拳を握ってぶん殴ると、レンチメイスを開いて美九を挟み込む。

 

「都合がいい事を言ってるのはアンタだろ。俺達はアンタに構ってられるほど余裕なんてない。元に戻す気がないなら、ここで今すぐ殺せばいいだけだし」

 

そう言い終わるのと同時に、美九の肌に触れるギリギリの所で、チェーンソーが回転する。

 

「や、やれるものならやってみたらどうですぅ!!どうせできっこありませんから!!」

 

此処まで言っても、美九は首を縦に振らない。

そんな美九に士道は呆れたように息を吐くと、レンチメイスを握ったままバルバトスを解く。

 

「へ?」

 

「兄様!?」

 

唐突な士道の行動に、美九と真那はお互いに違った反応を見せるが、士道は気にすることなく、ポケットに突っ込んだ写真を美九に見せながら言った。

 

「じゃあ、先にこっちから聞く。アンタの部屋でこの写真見つけたんだけど、これはなに。なんで俺とアンタが映ってるか聞きたいんだけど」

 

「─────な」

 

美九はその写真を見て、目を見開けさせる。

そして顔に怒りの表情を浮かばせて、士道に言った。

 

「今更・・・今更来ても遅いんですよ!!“三日月・オーガス“!!」

 

「!」

 

「・・・なに?」

 

美九のその言葉に反応したのは士道とマクギリスだった。

そう。なぜなら、士道は自分の事を三日月・オーガスと言う人物はユージンやマクギリスを除けば自分しか知らない筈だ。なら、なぜ誘宵美九がその名前を知っているのか。

その理由はすぐに知れた。

 

「五年前の大火災が起こる前、公園のベンチで野垂れていた私に、貴方は助けてくれたじゃないですか!!それであの時、お礼に歌った歌を貴方は褒めてくれた!!あの時は嬉しかったんですよ!!あの時までは!!」

 

士道に八つ当たり気味に叫ぶ美九は、更に言葉を続ける。

 

「それからあの大火災が起こって貴方は勝手にいなくなって、けれど私は諦めなかったんです!もう一度、貴方に歌を聞いて貰おうって!けど、私は全部失ったんですよ。一度。心因性の失声症で、醜い男共のせいで─────声を・・・命よりも大事な、声を・・・・ッ!」

 

感情を吐露するように独白し、美九は今にも泣き出しそうな顔を作りながら言う。

 

「何度も自殺を考えて、でも、そこに・・・『神様』が現れて、今のこの『声』をくれたんですよ!」

 

その言葉と共に、美九はキッと士道を睨み付ける。

 

「なのに今更・・・今更のうのうと出てきた所で、貴方を許してたまるかぁぁぁ!!」

 

美九の尋常ならざる『声』が士道達を襲う。

だが、士道はそれを力で捻じ伏せた。

そして、怒りに飲まれている美九に士道は言った。

 

「別に許して欲しいだなんて思ってない。それに、アンタだけが何もかも失ってる訳じゃないんだよ」

 

士道はそう言いながら言葉を続ける。

 

「俺だって、自分の命よりも大事なオルガを死なせてる。あの時、俺も一緒にいればオルガを死なせなかった」

 

かつて自分が動けなかったせいで、残った唯一の後悔。

 

「けど、俺はアンタとは違う。俺はアンタみたいに諦めないし、止まるつもりなんてない。一度裏切られたからって嘘をつかれたからって言って、足を止めるような事を俺はしない」

 

けれど、士道は足を止めない。オルガの命令を約束も、今も自分の中に残っているから。たとえ死んだとしても、決して諦めたりしない。

 

「昔、俺はアンタになんて言ったのかなんて覚えてない。けど、アンタは覚えてるんだろ。その言葉」

 

「──────────」

 

美九は士道のその言葉に口を紡ぐ。

そして、思い出すあの時の言葉─────

 

『結構上手いじゃん。また歌ってもらってもいい?』

 

ぶっきらぼうに返される言葉だったけれど、あの時、とても嬉しかった言葉。

 

「なら、もう一度足を進めろ。アンタなら出来るだろ」

 

「──────────」

 

士道はそう言って、レンチメイスを美九から退けると、真那達に言った。

 

「十香を助けにいくよ」

 

「ちょ!?えっ!?耶俱矢さん達はどうするんです!?」

 

「言いたいことは言ったし、耶俱矢達は後からでもいいでしょ。もし、それでも元に戻さないつもりなら今度は殺るだけだよ」

 

そう言って、士道はバルバトスを使って飛びたっていく。

それに追うように真那も走って言った。

マクギリスや狂三は肩をすくませると、彼等の後ろを追って空へとかける。

 

「・・・なんですか・・・えらそうに・・・」

 

一人残された美九は誰もいなくなったステージの上でそう呟き、バルバトスへ視線を向けるが、すぐにそらすと立ち上がった。




美九が三日月を覚えてなかった理由

顔は似てるけど、名前が違った。

三日月はそもそも覚えてない。

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