今回は三日月は出ません!代わりに十香メインになりますが
三日月よぉ、あんまり菓子で腹いっぱいにするんじゃねぇぞ。
今、うんめぇ飯、用意するからよぉ。
誰だ?ただのじいさんって。
マクマード・バリストン
「────では、次の質問です。〈ラタトスク〉という言葉に聞き覚えは?」
無機質な部屋の中。十香の隣に腰掛けたエレンが、膝に載せた書類束を繰りながら淡々と声を発してくる。だが十香は、フンと鼻を鳴らすと目を伏せて顔を逸した。
「ふん!誰が答えるものか!」
「そうですか。では、次です。五河士道がなぜ天使を扱えるのかご存じですか?」
エレンが意に介さず、質問を続けてくる。先ほどからずっとこの調子だ。
「・・・貴様。エレンとか言ったな。修学旅行のときのカメラマンだ」
「覚えていてくださいましたか。光栄です」
「一体なぜカメラマンがこんなことをする。カメラマンだけでは食べていけないのか?」
「・・・いえ、カメラマンに扮していただけで、別にあれが本業ではありませんので」
「ぬ・・・?カメラマンではないのか?」
「いえ、ですから────」
と、エレンが頬をかきながら言いかけたところで、部屋の上部に設えられていたスピーカーのようなものから、何やら声が聞こえてきた。
『───おやめください、危険です!万が一何かあったら───』
それを聞いて、エレンが怪訝そうに眉をひそめる。
「どうかしましたか」
『ッ、は・・・!それが、隔離室の中に入りたいと仰っていまして・・・!』
「ここに?一体誰がですか」
エレンが問うと、スピーカーの向こうの声が、一瞬の逡巡ののち、言葉を続けてきた。
『み、ミスター・ウェストコットです・・・』
「・・・アイクが?」
エレンの声に応ずるように、スピーカーから、男の声が聞こえてくる。
『────ああ、聞こえるかな、エレン。助けてくれないか。皆が私の言うことを聞いてくれないんだ。自分の人望のなさに落胆するよ』
「皆あなたの身を案じているんです。あまり無茶を言わないであげてください」
『なるほど。そういう考え方もあるね。しかし難しいところだな。忠実に私の言うことを聞く部下と、私の身を案じてくれる部下、果たしてどちらが優秀なのだろうか』
「少なくとも、私は後者に属しますが」
スピーカー越しの声に、エレンは今まで見せたことのないようなやれやれといった顔でため息を吐いた。
「・・・構いません。入れてあげてください」
『しかし・・・!よろしいのですか?』
「ええ。仮に精霊が暴れたとしても、私がいれば問題ありません」
『わ、わかりました。くれぐれもご注意を・・・!』
それから数秒後、先刻と同じように壁に亀裂が入り、その箇所が扉のように開く。
─────そしてそこから、一人の男が入ってくる。
「・・・・っ」
その男が部屋に入ってきた瞬間、十香は途方もない気分の悪さに襲われた。
別にエレンのようにテリトリーを展開しているわけでない。それなのになぜかその男の視界に捉えられた瞬間、まるで擬音がぐんと下がるような錯覚さえ覚えたのである。
「な、なんだ、貴様は・・・!」
十香が戦慄した調子で男を睨み付けると、男は十香の思考を見透かしてでもいるかのように唇の端を小さく上げた。
「お目にかかれて光栄だ、〈プリンセス〉。いや・・・ヤトガミトオカだったかな」
言いながら、男はゆっくりと十香のもとに歩いてくる。
「DEMインダストリーのアイザック・ウェストコットだ。以後お見知りおきを」
男────ウェストコットが、友人と話すかのような気安さで言ってくる。しかし十香は、精一杯の敵意を視線に乗せて、ウェストコットの顔を睨み返した。
「・・・嫌われてしまったかな?」
「好かれようと思っていたのなら、もう少し手段を選ぶべきだったかと」
エレンが言うと、ウェストコットは「仰るとおりだ」と小さく肩をすくめた。
「貴様が首謀者かッ!一体──一体何が目的だ・・・!」
するとウェストコットは、十香に目を向け直し、静かに口を開いた。
「目的・・・か。まあ、それ自体は至極シンプルな話だ。君の、精霊の力が欲しいのさ」
唇の端を歪め、続ける。
「────世界の理を、ひっくり返すためにね」
「何だと・・・?」
ウェストコットの言っている意味がわからず、十香は眉をひそめた。
「貴様、何か勘違いをしているのではないか?私にはそんな力などない!」
「ああ、そうだろうね。“今の君には“」
「今の・・・私?」
訝しげに言う十香に、ウェストコットは芝居かかった調子で両手を広げてきた。
「君は、かつて厄祭戦という大戦があった事を知っているかな。惑星間規模で起こったという大戦。そして、五河士道が扱う厄祭戦を終わらせたガンダムと呼ばれる七十二体の悪魔・・・それほどの力が私は必要なのだよ」
そう言うウェストコットに、十香は背筋を凍らせる。
この男は─────一体何を言っている?
訳のわからない感覚に十香は気味の悪さを感じながらも、ウェストコットは話を続ける。
「まあでも、本当に厄祭戦を終わらせられる程の力を持っているのか、私も知りたくてね」
ウェストコットは手を下ろして、十香に目を向ける。
「だからまず君には、眠りについてもらわねばならない。そう───隣界の海を漂っているときのようにね。いや・・・正しく言うのなら、隣界での君に覚醒してもらわねばならないといった方がいいかな」
「何を・・・言って・・・」
「君は」
ウェストコットがすっと目を細める。
「一体どうすれば、絶望してくれるのかな?」
「な、に・・・・?」
「世界を憎み、人を恨み、最強の天使でさえもその心の間隙を埋められない。それ以外の力に縋らねばならない。そんな状態に、どうすればなってくれる?ASTの記録を見たところ、君は以前、理想に近い状態になっているようだが・・・一体何があったのかな?」
ウェストコットは十香にそう言いながら、エレンに視線を向ける。
「こちらの世界で長らく暮らしているという話だが、友達や恋人はいるのかい?目の前で親しい人を殺されたなら、どう思うかな?」
「・・・・ッ」
ウェストコットの言葉に、十香は思わず頬をぴくりと動かした。一瞬───士道が折紙に殺されかけたときのことを思い出してしまったのである。
そんな十香の反応を見てか、ウェストコットが悠然とうなずいた。
「さて・・・もうそろそろ彼も来そうだし、こちらも歓迎の準備でもしようかな。エレン、“グレイズ・アイン“をいつでも出せるように準備をしてくれ」
「了解しました」
ウェストコットが踵を返して部屋から出ていこうとする。
「待て!貴様、シドーに何をするつもりだ!」
十香はたまらずその背に向かって叫び、椅子から立ちあがろうとした。手を拘束していた錠が微かにみしっと音を立てる。
が───すぐに目に見えない圧力が襲い、十香は身体を椅子に押し付けられた。
「あ、が・・・・!」
「大人しくしてください」
エレンの冷たい声が、鼓膜を揺らす。
「シ─────ドー・・・・・」
掠れた声で士道の名を呼び────十香の意識は、闇へと落ちていった。
そんな十香に対し、外では戦場の号砲が鳴り響いた。
ウェストコットの目的
精霊と三日月を殺し合わせて、どちらが強力な力を手に入れられるかの確認。別に精霊が死んだとしても、それはそれで構わない
因みに強さの順番でいけば
リミ解ガンダム=モビルアーマー←マクギリス、三日月←通常のガンダムフレーム機=魔王←エレン←精霊←ASTやDEMの順番
精霊組だと一部を除いてモビルアーマーに勝てない。
致命的なダメージを与えられるけど、その場合、モビルアーマーも本気で殺しにかかってくる
何なら周りも死ぬ