ハシュマル帰れコールの回
ハムパンチ!!ハムキック!!ハムチョップ!チョップ!
ひ、ひどいよいきなり・・・
変態と眼鏡の変態
「────」
美九は目に映るその光景を呆然と眺めていた。
士道が死んで、あの男が大事にしていた少女に黒い霧が現れたと思ったら、士道の影から得体の知れないナニカが現れ、今の光景となっている。
「・・・・っ」
光の奔流に巻き込まれたあの女は、男を庇った為に全身に大きな火傷を追っている。
そしてその男は、士道の影から這い出ようとしてくる機械で出来た化け物を興味深そうに見つめていた。
「・・・なんだ?これは────」
未だに実感を得ないまま、ウェストコットは呟いた。
ひとりでに溢れでたその言葉は、彼自身すら止めることが出来ず、まるで転げ落ちる雪だるまのようにその興味が膨れ上がっていく。
彼の言葉に返答ない。
ただ、その影に。その闇の向こうに。
ゾゾゾゾゾゾゾゾざザザザザザザザザ!!と、怪物が這い出ようとしてくる。
それを────
ガゴンッ!!と。
五河士道はバルバトスと再生の炎を纏いながら、その怪物を影の中へと引き戻す。
そして────
「・・・『お前』は」
ぼそり、と。
“三日月“の唇のが動いた。
「ここは、“『お前』や『俺』”が居ていい場所じゃないんだよ」
決して大きな言葉ではない。
にも拘らず、この場にいる全員に突き刺さった。
士道は、この部屋にいる全員を見ていなかった。今、彼が見ているのは、影に引き戻される怪物のみ。
そして士道はハシュマルにこう告げた。
「・・・“お前はここで引っ込んでろよ。お前の相手は全部終わったらしてやる“」
〘────────────!!〙
その言葉と共に、ハシュマルは影へと引きずり込まれた。そして、同時にバルバトスが復活する。
(捨てた?)
あれだけの力をわざわざ棒に振ってまで、五河士道は生き返った。そして、それと同時に十香のシルエットを塗り潰した禍々しい黒光が、放射状に晴れていく。
肩に、腰に輝く漆黒の鎧。そして胸元と下半身を覆うように広がった、実体のない闇色のベール。
濃密な霊力によって編まれた、完全な状態の霊装。
そして、その表情も士道が最後に見たものとは違う、ただ超然とした威圧感が滲む頂点に立つ者の顔だった。
(ヤバいな。アレ)
士道は直感で今の十香をそう判断する。
流石にモビルアーマーのソレとまでは言わないが、一筋縄ではいかない程の強敵だと理解する。
そんな士道達を前に、ウェストコットは言った。
「さて、予想外の事でエレンが重症を追ってしまったし、私とエレンは早々退散させてもらおうか。〈プリンセス〉を反転させる事が出来ただけでも上々だ。それに今日は────予想外の顔にも会えたしね」
「逃がすと思う?」
士道はそう言うが、内心今の十香を相手すると、逃す可能性は十分に高い。そんなカマをかけてはみるが、ウェストコットは指を鳴らすと、グレイズ・アインが半ば半壊の状態で襲いかかってくる。
「────チッ!」
「────悪いが、我々はここで失礼させてもらうよ。生き延びたのならまた会おう。タカミヤ────いや、イツカシドウ」
「───────」
ウェストコットのその言葉に、士道は眉をひそめる。
崇宮。それは、士道の妹を自称する真那の姓でもある。
「アンタ、俺の事知ってんの?」
バトルアックスを大型メイスで受け止めながら士道は言うが、ウェストコットは短く答える。
「いいや、知らないさ。────イツカシドウの事はね」
言うとウェストコットは士道から視線を外し、エレンの元へとと向かう。
そしてエレンは、火傷を負った状態でありながらも、ウェストコットを見えない手で支えるように浮遊させると、そのままスラスターを駆動させ、空の彼方へと飛び去っていった。
「チッ」
士道は舌打ちをしながらグレイズ・アインを押し返し、そのまま一気にメイスの尖端に装備されているパイルバンカーを射出する。
バゴンッ!!と、金属がぶつかり合う音と共に、グレイズ・アインはその動きを止めた。
そして十香の方へと視線を向けると────
十香我右手に握った片刃の剣を士道達に振り抜き、その太刀筋から放たれた衝撃波が、士道達を襲った。
耶俱矢「し、死ぬかと思った・・・」
夕弦「同意。いきなり自爆とは恐れ入りました」
ニール「此方に来ても良いんだぜ?」
耶俱矢「まだそっちには逝きたくないわ!!」
ニール「ちゃんと(土に)かえ(還)してやるから、安心しろ」
夕弦「質問。今、土に還すと言いました?」