どうなんの?七罪・・・
もう止めるんだ!!
なんでもダルマにするアスラン・ザラ
第一話 プロローグ
「うふふー。ねぇ、三日月さん。もっとこっちに来てもいいんですよぉ?ほぉらぁ」
「あのさ、美九」
「なんですかー?あ、そうだ。この前美味しいイタリアンのお店を見つけたんですよぉ。今晩って何か予定ありますかぁ?よかったら一緒に行きましょうよぉ」
「今日の飯の当番俺なんだけど」
「なぁんだー、じゃあ十香ちゃんたちも一緒に行きましょうよー。私はそこまで狭量な女じゃありませんよー?もちろん私の奢りですから安心してくださいねぇ」
「・・・・・」
無邪気な笑みを浮かべながらぐいぐいと身体を押しつけてくる少女に目をやりながら、士道は鬱陶しがるような顔を作る。
この誘宵美九という少女、学年では士道の一つ上のはずなのだが、日頃から先輩らしからぬ子供っぽい言動が見受けられるのだった。
とはいえ、今の士道を見ているのは美九だけではない。
「・・・・・・」
じとーっ、という視線が、士道にからみつく。
士道の妹、琴里が、士道と美九の目の前に座っているのだ。
黒いリボンで二つに括られた髪に、どんぐりのような丸っこい目、そして口にくわえたチュッパチャップスをくわえた少女である。今は真紅のジャケットを肩がけにしながら頬杖を突き、士道と美九のいちゃいちゃ(一方通行)を、機嫌悪そうに眺めていた。
「・・・そろそろいいかしら、美九」
「え?そろそろって、何がですかぁ?」
美九が悪意のない顔でそう言うと、琴里はギリッと奥歯を嚙みしめて机を叩いた。
「だ・か・ら!!事情聴取だって言ってるでしょ!あなたが『三日月さんと一緒じゃなきゃ嫌ですぅー』とか言うから特別に同席を許してあげたんじゃない!」
「あぁ、そういえばそうでしたねー」
あははと笑って、美九が琴里に向き直る。が、手は士道の左腕に絡みついたままだった。
琴里がはぁ、と大きなため息をついてから、手元に置かれた書類を捲る。
「・・・じゃあ、質問に移るわよ」
「はいはい、どうぞー遠慮なく」
美九がなんとも気安い調子で言う。琴里はもう一度吐息をこぼしてから言葉を続けた。
「あなたの能力について、天使について、聞きたいことはいろいろとあるけれど・・・それらはとりあえずあとに回しておくわ。まず確認しておかなければならないのは────」
言って、琴里が美九に指先を向ける。
「あなたを、精霊にした存在のことよ」
「・・・・・!」
琴里がそう言った瞬間、緩みきっていた美九の頬が、ぴくりと動いた。
「あなたは生粋の精霊ではなく、もとは人間だった。───それは間違いないわね?」
「・・・ええ。そうですよー。今から数ヶ月前・・・みんなに裏切られて、心因性の失声症で声を失って、生きる希望をなくした私の前に────『神様』が現れたんですー」
琴里の言葉に、美九はこくりとうなずいた。
「・・・なるほどね」
琴里は難しげな顔でうなり、くわえていたチュッパチャップスの棒をピンと立てる。
「ま、いいわ。詳しい話は後よ後。次は士道よ」
「俺?」
いきなり自分に振られた事にキョトンとした顔を作る士道だったが、琴里は眉を潜めながら言った。
「俺?じゃないわよ。一番訳のわからなさでは士道が一番なのよ?」
琴里はそう言って、写真を見せてくる。
その写真に映っていたのは、自分の影の中から現れるモビルアーマーの姿があった。
「士道の影から出たこの化け物。これは何なのよ?まさか、知らないって言うんじゃないわよね?」
そう言って、士道の目を見る琴里に、士道は言った。
「知ってるけど、一番コイツの事知ってるのチョコの人だよ」
「チョコの人?・・・ああ、あの仮面男ね」
マクギリスの事だと分かった瞬間、琴里は苦々しい顔を作る。どうやら苦手意識があるらしく、うげぇと呟く。
「まあ、士道に聞くよりはアイツに聞いたほうが詳しく分かるからまた連絡しないと・・・」
琴里はそう思案してから美九に向き直ると、思い直すようにコホンと咳払いをする。
「ごめんなさいね。でも安心して。事情聴取はまだ始まったばかりよ。これからしっかり詳細な話を聞いてあげる。〈ファントム〉に記憶操作をされてる可能性も捨てきれないから、ちょっと脳波を見るために頭に電極も貼りましょうねー?」
琴里はニコッと微笑む。するとそれと対象的に、美九が嫌そうな顔で頬に汗を垂らした。
アスランに向けて
リボンズ「やるね、キミ・・・ねえ、ボクがもっとすごい力をあげようか?」