ねぇ、アトラに子供の名前決めといてって言われたんだけど、何がいいと思う?
オルガが戻ったら、聞いてみる
二度と帰らないオルガを待ち続ける三日月
「いつもの十香だったな」
十五時十五分。自宅に戻った士道は、十香の言動を思い起こし、独り言のように呟いた。
昼食のあと、士道達は街を歩いて買い物を済ませ、その間ずっと十香と会話をしていたが────おかしな点は見受けられなかったのである。
「十香は違うと思うけど、アンタはどう思う?」
士道がインカムに向けて言うと、右耳に令音の声が返ってきた。
『・・・まだ何とも言えないな。とにかく、今は七罪の変身能力に綻びがあることを信じて、行動を続ける他ない。・・・と、そろそろ時間だ。二人目の調査に入ってもらうよ』
「次?なら次はどこに行けば────」
いいと言い終わる前に、令音の言葉に遮られる。
『・・・ん、シンはそこにいてくれればいい』
「は?」
『・・・タイミングよく、本人からの希望が重なってね。せっかくなので同時に消化してしまうことにしたんだ。もうすぐ着く頃だと思うが────』
と、令音の言葉の途中で、ピンポーンと、家のチャイムが鳴った。
「誰だ?」
インターホンの画面を見やるも、誰も映っていない。士道は首を傾げながら廊下に渡ると、玄関の方に歩いていき、ドアを開けた。
「誰────」
「バァっ!」
「!!」
ドアノブを捻った瞬間、ドアの隙間から目の前に何かが飛び出してきて、士道は『それ』に手が出る。
だが『それ』は華麗な身のこなしで携帯電話をかわすと、小さな腕を器用に組みながらぷりぷりと怒り出した。
『もー、士道くんたら。危ないなー』
よくよく見ると、それがウサギを模したパペットであることがわかる。四糸乃の友達『よしのん』だ。
しかしその姿は、士道の知る『よしのん』とは少し様相がことなっていた。
それと同時に、バルバトスの反応もいまいち良く分からない。
いかんせん反応が曖昧すぎる。
士道はよしのんに言った。
「ごめん。急だったからつい」
『気をつけてよねー』
なんて言って、おどけてみせる。
いやにおどろおどろしい格好をしているものの、中身はいつもの『よしのん』らしい。
そこでゆっくりとドアが開き、その隙間から恐る恐るといった様子で、少女がこちらを覗き込んできた。────四糸乃だ。
「ごめんね、四糸乃。大丈夫?」
と、開きかけたドアを大きく開くと、四糸乃の格好を見て、少しだけ目を見開けさせる。
ドアの前に立っていた四糸乃の格好が『よしのん』とおなじくらいにいつもと違うものだったからだ。
つばの広い黒いトンガリ帽子に、これまた真っ黒なローブ。右手には小さな箒まで握っている。そう────まるで士道が今探している七罪の霊装そっくりの、魔女のような格好だった。
「四糸乃、それ・・・」
士道が問うと、『よしのん』が発破をかけるように四糸乃の頬をつついた。
『ほらほら、四ー糸乃』
「う、うん・・・!」
四糸乃はこくりとうなずくと、意を決したように士道を見上げ、唇を動かした。
「と、トリック・オア・トリート・・・っ」
「えっ?」
士道は四糸乃の言葉に一瞬ポカンとなり、すぐにその意味を理解した。
「あ、そっか。ハロウィンの仮装だっけ、それ」
確かにそんな時期でもある。士道は得心がいったようにうなずいた。
「よしのんのそれは・・・」
『うふふ、フランケンシュタインの怪物だよー』
がーっ!と両手を上げ、『よしのん』が凄んでくる。
「そっか。可愛いね」
「・・・・・・っ」
士道が言うと、四糸乃が息をつまらせ、恥ずかしそうに顔を俯かせた。
と、ちょんちょん、と『よしのん』が腕をつついてくる。
『ねえねえ。四糸乃を褒めてくれるのは嬉しいんだけどさぁ。何か忘れてなぁい?』
「何か?・・・ああ、お菓子か。ちょっと待ってて」
そういえば、肝心なことを忘れていた。士道は上着のポケットの中をゴソゴソと漁ると、袋を取り出す。
「ん」
包装されたチョコレートを四糸乃に渡す。一昨日、マクギリスと会話した時に貰ったチョコレートだった。
これ以外だとデーツしかない。
「ありがとう・・・ございます!」
そう言う四糸乃に士道は言った。
「どうする?なんか食べてく?」
「・・・はい!」
四糸乃はそう頷くと、士道は家の中に四糸乃を入れる。
「そういえば、前にもこんなことあったよね。四糸乃が初めて家に来たとき。あのとき俺、何作ったっけ?」
士道はそれとなく探りを入れると、四糸乃と『よしのん』は一度顔を見合わせてから士道に振り向く。
「はい・・・あのときは確か・・・オムライスを、作ってもらいました」
言って、四糸乃がうっとりとした顔を作る。
士道はそんな四糸乃を見て軽く息を吐く。
と、顔中縫い傷だらけの『よしのん』が不満そうに言ってくる。
「ん?覚えてないの?」
問うと、『よしのん』は一瞬考え込むような仕草をしてから、ポンと手を打った。
『それってもしかして、よしのんが折紙ちゃん家にいたときのこと?』
「・・・まぁ、そうだけど」
士道はそう答えるが、ふと士道は疑問を覚える。
なぜ“よしのんは自分と鳶一折紙しか知らない事を知っている”?
そんな疑問を頭に浮かべながら、士道は首を捻り、キッチンへと向かった。
おまけ
真那「いや、なんです?この格好は?」
夕弦「返答。恐らくは桃太郎というものかと」
真那「いや、それは分かりますよ?というか、夕弦さん達もその格好は・・・」
耶俱矢「私が猿ってどういう事!?」
十香「ぬぅ・・・私は犬のようだが、ちょっと苦しいぞ」
夕弦「指摘。似合ってますよ」
耶俱矢「夕弦はキジでまだいいじゃん!!」
十香「シドーは?シドーは何処にいるのだ?」
琴里「あれよ」
鬼の格好(霊装)をした琴里は指差す方向には────
「・・・・・・・」 バルバトスルプスレクス
「・・・・・・・」 グシオンリベイクフルシティ
「・・・・・・・」 フラウロス
「・・・・・・・」 バエル
「・・・・・・・」 キマリスヴィダール
↑
(全員鬼役です)
真那「・・・あれに勝てと?」
夕弦「返答。無謀かと」
耶俱矢「勝てる気がしないんだけど」
十香「うむ!シドーは格好良いな!」