デート・ア・オルフェンズ   作:鉄血

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やべぇマキオン楽しい。バルバトス動かすの楽しい・・・
久しぶりの投稿なので三日月っぽくなかったらごめんなさい。
もうそろそろ、バルバトスが出でくるよー


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大将っつうのはでっかく構えとくもんだろうが。
ノコノコ出て行くなんてみっともねぇまねは俺が許さねぇ!
テメェらもだ!!なんでもかんでもオルガに頼ってんじゃねぇぞ!

ユージン・セブンスターク


第八話

士道は自分と同じ教室にいる彼女の質問に答えていた。

 

「シドー」

 

「なに?」

 

「───早速聞くが。ここは一体なんだ?初めて見る場所だ」

 

言って、歩きながら倒れていない机をペタペタと触り回る。

 

「ああ・・・ここは学校って言って俺と同じくらいの奴と一緒に勉強する所。知りたい事とか教えてくれる」

 

「なんと」

 

少女は驚いたように目を丸くする。

 

「これに全て人間が収まるのか?冗談を抜かすな。四十近くはあるぞ」

 

「本当だよ」

 

言いながら、士道は頬をかく。

彼女が現れるときは、街には避難警報が発令されている。彼女が見たことのある人間など、ASTくらいのものだろう。人数もそこまでいないだろう。

 

「なあ───アンタ、名前ってあんの?」

 

「ぬ?」

 

士道の問いに彼女は眉をひそめてくる。

そしてしばらく考えを巡らせるようにあごに手を置いたあと、

 

「・・・・そうか、会話を交わす相手がいるのなら、必要なのだな」

 

そううなずいて、

 

「シドー。───おまえは、私を何と呼びたい」

 

手近にあった机に寄りかかりながら、そんなことを言ってきた。

 

「・・・・ん?」

 

彼女が言っている意味が分からず、目を細めて問い返す。

少女はふんと腕組みすると、尊大な調子で続けた。

 

「私に名をつけろ」

 

「・・・・・・は?」

 

士道は彼女が名前をつけろと言った事に困惑しながら言う。

 

「俺が、アンタに名前をつけるの?」

 

「ああ。どうせおまえ以外と会話する予定はない。問題あるまい」

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

「うっわ、これまたヘビーなの来たわね」

 

艦長席に腰掛けながら、琴里は頬をかいた。

 

「・・・ふむ、どうしたものかな」

 

艦橋下段で、令音がそれに応えるようにうなる。

艦橋にはサイレンが鳴っているものの、スクリーンが多過ぎて表示しきれないのだろう。

AIでランダムに名前を組むだけでは、パターンが多すぎて表示しきれないのだろう。

 

「士道、貴方ネーミングセンス最悪だから変な名前言うんじゃないわよ?」

 

「え、もう決めてるんだけど?」

 

インカムから士道の返答が返ってくる。

 

「へぇ、まぁ一応聞いて上げる。一体どんな名前にしたの?」

 

琴里の返答に士道はインカム越しで言う。

 

「十香」

 

士道の考えた名前に琴里は目を丸くしながら言った。

 

「士道にしては、まともなネーミングじゃない」

 

「別に。考えた理由も十日にあったから思いついただけだよ」

 

士道はそう言って琴里に言う。

そして琴里は士道に言った。

 

「じゃあ士道。その名前で言ってみて」

 

「分かった」

 

士道はそう言って目の前にいる彼女に言った。

 

「十香」

 

「ぬ?」

 

「どう?」

 

「・・・・・・・・」

 

少女はしばらく黙ったあと────

 

「まぁ、いいだろう」

 

少女の反応に士道は頭をかいた後、ポケットに手をいれる。

するとすぐにトン、トンと士道に近づいてくる。

 

「それで────トーカとは、どう書くのだ?」

 

「ん?ああ、それは───」

 

士道は黒板の方へと歩くと、チョークを手に取り片手で、『十香』と書いた。

 

「ふむ」

 

少女が小さくうなってから、士道の真似をするように指先で黒板をなぞる。

 

「コイツを使わないと字が書けないよ」

 

言って、言葉を止めた。

士道の視線には、彼女が指でなぞった後が綺麗に削り取られ、下手な字で『十香』の二文字が書かれていた。

 

「なんだ?」

 

「コイツを使わないと字が書けないって言ったけど、書けたならそれでいいや」

 

十香の問いに、士道はそう言ってチョークの粉がついた手を払うと、再びポケットに手を入れる。

 

「そうか」

 

十香はそう言うと、しばしの間自分の書いた文字をじっと見つめ、小さくうなずいた。

 

「シドー」

 

「なに?」

 

「十香」

 

「え?」

 

士道は十香の言葉に顔を向けて言うと、

 

「十香。私の名だ。素敵だろう?」

 

「あー、うん」

 

何とも言えない気分になりながら、士道はポケットのデーツを食べる。

だが、彼女───十香は、もう一度同じように唇を動かした。

 

「シドー」

 

・・・・さすがの士道でも、もう十香の意図は分かった。

 

「十香」

 

士道がその名前を呼ぶと、十香は満足そうに唇の端を上げ笑った。

 

「・・・・笑ったじゃん」

 

そういえば十香の笑顔を見るのは、これが初めてだった。

 

「む?」

 

十香は目を丸くしながら士道を見て言う。

 

「そうなのか?」

 

「うん」

 

「そうか・・・そうか・・・」

 

十香はそう言って士道を見て笑う。

 

「士道と会ったからかもしれないな」

 

「ん?」

 

と、そのとき、

突如、校舎を凄まじい爆音と震動が襲った。

咄嗟に教卓に手をついて体を支える。

 

「なんだ?」

 

『士道、床に伏せなさい』

 

と、インカム越しから右耳に琴里の声が響いてくる。

 

「っ!!」

 

士道は教卓を倒し、床に伏せた。

次の瞬間、ガガガガガガガガ───ッと、けたたましい音を立てて、教室の窓ガラスが一斉に割れ、ついでに向かいの壁にいくつもの銃痕が刻まれていく。

 

「チッ!!」

 

『外からの攻撃みたいね。精霊をいぶりだすためじゃないかしら。───ああ、それとも校舎ごと潰して、精霊が隠れる場所をなくすつもりかも』

 

「それはマズイな」

 

『今はウィザードの災害復興部隊がいるからね。すぐに直せるなら、一回くらい壊しちゃっても大丈夫ってことでしょ。───にしても予想外ね。こんな強攻策に出てくるなんて』

 

と、そこで、士道は顔を上げる。

十香が、先ほど士道に対していたときとはまるで違う表情をして、ボロボロになった窓の外に視線を放っていた。

無論、十香には銃弾はおろか、窓ガラスの破片すら触れていない。

だがその顔は、ひどく痛ましく歪んでいた。

 

「───十香、こっち」

 

「・・・・っ」

 

ハッとした様子で、十香が視線を、外から士道に移してくる。

未だに銃声が響いていたが、教室への攻撃は一旦止んでいた。

外に気を張りながらも身を起こす。と、十香が悲しげに目を伏せた。

 

「早く逃げろ、シドー。私と一緒にいては、同胞に討たれることになるぞ」

 

確かに逃げなければならないのだろう。だが────

 

『選択肢は二つよ。逃げるか、とどまるか』

 

琴里の声が聞こえてくる。

だが、士道の答えは決まっている。

 

「・・・・・べつに、慣れているから問題ないよ」

 

冷静にそして何ともないような声で、そう言った。

 

『馬鹿ね』

 

「・・・・なんとでも言えば?」

 

『褒めてるのよ。────素敵なアドバイスをあげる。死にたくなかったら、できるだけ精霊の近くにいなさい』

 

「わかった」

 

士道はそう言って十香の後ろに回る。

 

「は────?」

 

十香が、目を見開く。

 

「何をしている?早く───」

 

「知った事じゃないでしょ・・・今は俺との話をするんだろ?だったら気にしたって仕方ない。それに十香は、この世界の情報が欲しいんでしょ?俺に答えられることだったらなんでも答えるよ」

 

「・・・・!」

 

十香は一瞬驚いた顔を作ってから、士道の向かい合わせになった。

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

「────────」

 

ワイヤリングスーツに身を包んだ折紙は、その両手に巨大なガトリング砲を握っていた。

照準をセットして引き金を引き、ありったけの弾を学舎にぶちまける。

テリトリーを展開させているため、重量も反動もほとんど感じないが、本来ならば戦艦に搭載されている類の大口径ガトリングである。

実際、四方から砲撃を受けた校舎は、みるみるうちに穴だらけになってその体積を減らしていった。

とはいえ────顕現装置搭載の対精霊装備ではない。

ただ単純に、校舎を破壊して精霊を燻り出すためのものだ。

 

『────どう?精霊は出てきた?』

 

ヘッドセットに内蔵されたインカム越しに、燎子の声が聞こえてくる。

燎子は折紙のすぐ隣にいるのだが────この銃声の中では肉声などが届かないのだ。

 

「まだ確認できない」

 

攻撃の手を止めないまま、答える。

折紙は自らも銃を撃ちながら、目を見開いて崩れゆく校舎をじっと見ていた。

通常であればまともに見取ることすらできない距離だったが、テリトリーを展開させた今の折紙には、校舎脇の掲示板に張られた紙の文字を読むことだって可能だった。

と────折紙は小さく目を細めた。

二年四組。折紙たちの教室。

その外壁が、折紙たちの攻撃によって完全に崩れ落ち───ターゲットである精霊の姿が見えたのだ。

だが─────

 

『・・・・ん?あれは────』

 

燎子が訝しげな声を上げた。

それはそうだろう。教室の中には、精霊の他に、もう一人少年と思しき人間が確認できたのである。────逃げ遅れた生徒だろうか。

 

「な、何あれ。精霊に襲われている────?」

 

燎子が眉をひそめながら声を発する。

だけれど折紙はそれに反応を示すことなく、教室をじっと見つめ続けた。

精霊と一緒にいる少年の姿に、みおぼえがある気がしたのである。

 

「─────!」

 

折紙は、目を見開いた。

なぜならその少年は────折紙のクラスメート・五河士道その人だったのだから。

 

「───折紙?」

 

隣から、燎子が怪訝そうに話かけてくる。

だが折紙は答えず、ただ頭の中に指令を巡らせた。

全身に纏った顕現装置への、最速機動の指令を。

 

「ちょっと、折紙!?」

 

『────危険です。独断専行は避けてください』

 

さすがの異常に気がついたのか、燎子と本部からの通信が、ほぼ同時に響く。

しかし折紙は止まらなかった。すぐさま両手に携えていたガトリングを捨て、腰に携えた近接戦闘用の大精霊レーザー・ブレード〈ノーペイン〉を引き抜き、校舎へと向かっていった。

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

銃弾か吹き荒れる教室で、十香と向き合いながら話す。

十香の力なのだろうか、夥しい数の銃弾は、二人をさけるように校舎を貫通していく。

とはいえ目の前を弾が通り抜けるのは久しぶりだった。

それにその銃弾の嵐の中で話している内容自体は、なんてことのないものばかりだ。

十香が今まで誰にも聞けなかったようなことを質問し、自分が答える。ただそれだけの応酬で、十香は満足そうに笑った。

どれくらい話した頃だろうか───士道の耳に、琴里の声が聞こえてきた。

 

『────数値が安定してきたわ。もし可能だったら、士道からも質問してみてちょうだい。精霊の情報が欲しいわ』

 

言われて、少し考えてから士道は口を開く。

 

「十香」

 

「なんだ?」

 

「十香は、どこから来たの?」

 

「む?」

 

士道の質問に、十香は眉をひそめて言った。

 

「───知らん」

 

「知らないの?」

 

「ああ、仕方ないだろう。────どれくらい前だったか、私は急にそこに芽生えた。それだけだ。記憶は歪で曖昧。自分がどういう存在なのかなど、知りはしない」

 

「ふーん、そういうもんか」

 

士道はそう言うと、十香はふんと息を吐いて腕組みをした。

 

「そういうものだ。突然この世に生まれ、その瞬間にはもう空にメカメカ団が舞っていた」

 

「メカメカ団?」

 

「あのビュンビュンうるさい人間たちのことだ」

 

「ああ、アイツらか」

 

士道はASTのことだろうと思いながら言う。

と、次いでインカムから、軽快な電子音が鳴った。

 

『!チャンスよ、士道』

 

「は・・・・?何が?」

 

『精霊の機嫌メーターが七〇を超えたわ。一歩踏み込むなら今よ』

 

「踏み込むって・・・なにすればいいの?」

 

『んー、そうね。とりあえず・・・デートにでも誘ってみれば?』

 

「ああ、一緒に出かけるあれか」

 

士道はそう呟くと、十香が反応する。

 

「ん、どうしたシドー」

 

「あー、十香」

 

「ん、なんだ」

 

「今度、俺とさ」

 

「ん?」

 

「デートってやつやらない?」

 

十香はキョトンとした顔を作った。

 

「デェトとは一体なんだ?」

 

「良くわかんないけど、なんかどっかに出かける事みたい」

 

士道がそう言った瞬間。

 

『───士道!ASTが動いたわ!』

 

「ん?」

 

目前にいる十香にも聞こえているだろうが、士道は構わず声を発していた。

瞬間───いつの間にか解放感に溢れていた教室の外から、折紙が現れる。

 

「あれ?銀髪の人?」

 

「────っ!」

 

十香が一瞬のうちに表情を険しくし、そちらに手のひらを広げる。

それから一拍もしないうちに、手にした無骨な機械から光の刃を現出させた折紙が、十香に襲いかかった。

溶接現場のような火花が、辺り一面に飛び散る。

 

「く─────」

 

「────無粋!」

 

十香は一喝するように叫ぶと、光の刃を受け止めていた手を、折紙ごと振り払う。

 

「・・・・・・っ」

 

微かに歯を食い縛りながら、折紙が後方へ吹き飛ばされる。が、即座に姿勢を整えると、

銃痕だらけの床に着地してみせた。

 

「ち───また、貴様か」

 

光の刃を受け止めていた手を軽く振りながら、唾棄するように十香は言う。

折紙は士道を一瞥すると、安堵したかのように小さな息を吐いた。

しかしすぐに見慣れない武器を構え直し十香に冷たい視線を放つ。

 

「・・・・・」

 

その様子を見た十香は、ちらと士道を一瞥してから、自分の足下の床に踵を突き立てた。

 

「────〈鏖殺公〉!」

 

瞬間、教室の床が隆起し、そこから玉座が現れる。

 

「おー・・・凄いな」

 

士道は簡素な感想を言うと、耳から琴里の声が聞こえてくる。

 

『士道、離脱よ!一旦〈フラクシナス〉で拾うわ。できるだけ二人から離れなさい!』

 

「わかった」

 

士道がそう言った後、十香が玉座の背もたれから剣を抜き、折紙に向かって振るう。

その際の衝撃波が士道を襲うが、士道はそれを使って校舎の外へと飛び降りる。

 

『ナイスっ!』

 

琴里の声が響くと同時、士道の身体が浮遊感に包まれる。

宇宙にいた時の事を感じながら、士道は〈フラクシナス〉に回収された。




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