デート・ア・オルフェンズ   作:鉄血

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第十五話 記憶

「───」

 

「・・・・・」

 

「───!」

 

誰かが自分を起こすような声が聞こえてきた。

が、真那はソレを無視する。

 

(・・・うるせーですね)

 

真那はそう思いながら、睡眠を貪る。

明日は早いのだ。精霊〈ナイトメア〉の情報収集に〈デビル〉の監視。琴里にも許可をとってあるし、兄様もこういう時は起こしにこない。

じゃあこの声の主は誰だと思ったが、今は眠気が勝つせいで真那の思考は朧気だった。

 

(・・・考えるだけ無駄ですね。こういうときはさっさと眠気に任せるに限ります)

 

真那は眠気に身を預け、深い眠りにつこうとしたその時───。

 

「起きろ!真那!」

 

「───痛ぁッ!!?」

 

ズビシッ!!と額に鈍い痛みが走る。

 

「───ちょっ!?誰でやがりますか!?」

 

ジンジンと奔る額の痛みに頭を抑えながら、涙目で真那は身体を起こす。

 

「やっと起きたか。真那、学校に遅れるぞ」

 

「・・・は?・・・えっ?」

 

真那は目の前にいる士道の姿に、目を丸くする。

何故なら、目の前にいる士道は右腕がちゃんと動いていた。

自分の知る兄様は十香を助ける際の後遺症で右腕が動かなくなってしまったというのに。

 

「兄様?その、右腕・・・動くんでやがりますか?」

 

「・・・?何言ってるんだよ、真那。最初から動いているに決まってるじゃないか」

 

なに言ってるんだと不思議そうにする士道に、真那は訳が分からないといった心情だった。

これは───夢なのだろうか?

 

「真那、朝飯出来たから早く準備してこいよ。ミオも待ってるんだから」

 

「・・・は?ミオさん?だから、何を言ってやがるんですか、兄さ───」

 

と。

 

言いかけた瞬間。真那の頭に鋭い痛みが走る。思わず額を更に強く押さえ、顔をしかめた。

 

「う・・・く・・・!」

 

ただの頭痛ではない。───ミオ。その名を口にした瞬間、真那の頭の中に、見たことのない景色が幾つも浮かんできたのである。

友人と遊んだ公園。教室で授業を行う先生。兄の士道が祝ってくれた誕生日。

───そして、髪の長い少女の後ろ姿。

なんだ?この記憶は───

 

「・・・あ、なたは・・・一体、誰で・・・やがりますか!」

 

士道の姿をしたナニカに真那は、自分の拳を叩きつける。

硝子に硬いものを叩きつけたかのように真那の視界がヒビ割れる。

そして───ガシャン!!と甲高い音と共に、視界の全てが暗くなった。

ガンッ!!と硬い音を殴った音と共に真那は目が覚めた。

 

「・・・ッ!!・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

呼吸が荒い。心臓がバクバクする。

真那は大量の汗をかきながら、身体を起こした。

 

「・・・夢?」

 

辺りが暗い。真那は時計を見ると、十一月十一日の午前一時の針を刺していたのを見て、真那は思い出した。

 

「そういえば、十香さん達と兄様と一緒に晩御飯食べて・・・眠くなって・・・」

 

そのまま寝落ちしてしまったようだ。

 

「・・・お風呂入りましょうか」

 

そういえば昨日はまだお風呂に入っていないし、汗でぐっしょりになった身体を洗い流したい。

真那はベッドから身体を起こすと、部屋の扉を開けて音をたてないようにソロリソロリと廊下を歩いていく。

───と。

 

「・・・あれ?」

 

リビングに明かりが灯っている。誰か消し忘れたのだろうか?

真那はそのまま階段を降りていくと、ソファに誰か座っていた。

 

(こんな時間に誰が───)

 

真那は不思議に思いながら、そっと覗くとそこには───

 

「───えっ?」

 

小さく声が溢れた。

カチャカチャと片手で器用に銃を分解し、銃のメンテナンスをする黒髪の少年。

顔は見えないが士道よりも更に子供らしい、自分や琴里と同い年と言っても問題ないくらいの身長の少年だ。

そんな少年は階段に隠れている真那に気付かず、銃のパーツを器用に片手で掃除をしていく。

 

(貴方は───誰でやがりますか?)

 

真那はもっと近くで見ようと身体を乗り出した瞬間───。

ギシッと階段の音が鳴る。

 

(───ッ!?)

 

真那は咄嗟に身を隠すがもう遅い。

 

「誰」

 

低い声で少年が階段にいる真那に向けて言う。

 

「──────ッ」

 

ギシギシと床を踏みしめる音が此方に近づいてくる。

真那は目を瞑り、身体を小さくしてやり過ごそうとした時だった。

 

「あれ?真那。こんな時間にどうしたの?」

 

聞き慣れたその声に真那は顔を上げると、そこにいたのは───

 

目を丸くした士道だった。

 

「兄様・・・?」

 

真那は恐る恐るといった声で士道を呼ぶと、士道はそれに答えた。

 

「なに?」

 

「・・・ッ!そういえばあの人は!」

 

真那はそんな士道に対し、ハッと思い出したようにリビングのソファに視線を向ける。だがそこには誰もおらず、解体されていた銃のパーツが机の上に散らばっていた。

 

「あれ?」

 

誰もいない。

真那はあの少年が先程までいた場所まで歩いていくが、そこには誰もいなかった。

 

「どうしたの?」

 

「兄様・・・ここに私と同い年くらいの男の子を見ませんでした?」

 

「・・・?俺、ずっとここにいたけど見てないよ」

 

「じゃあ、私が見たのは一体・・・?」

 

真那はそう呟くと、士道が言った。

 

「気のせいじゃない?ていうか、真那は何しに来たの?」

 

「あ、そうでした。お風呂に入りに来たんでした」

 

「風呂?」

 

「はい。まだ入っていなかったのと、ちょっと・・・嫌な夢を見まして。それで汗をかいたので洗い流しにきたんです」

 

「ふーん」

 

「そういえば・・・・・兄様はこんな真夜中に何をしていやがったんですか?」

 

真那は机の上にバラバラになった銃を見ながら士道に聞くと、士道は言った。

 

「メンテナンス。最近使ってないけど、何時でも使えるようにやってる。十香達がいる時は出来ないし」

 

真那はそう言う士道に、なるほどと納得する。

銃というのは繊細な武器だ。

ちょっとした汚れや歪みで弾が出なかったり、暴発したりと命の危険に関わることがある。

 

「でも使わないだけいいじゃねーですか。それだけ平和なんですし。それに今日は折紙さんとデートをする日なんでしょう?こんな遅くまで起きていていいんです?」

 

「これが終わったら寝る。真那も早く入って寝たら?明日、真那も早いでしょ」

 

士道がそう言うと、真那は誤魔化すように目を反らす。

そんな真那を見てか、士道は小さく息を吐くと分解してある銃のもとへ戻っていった。

そんな士道の後ろのを見て、真那はあの少年の姿と士道の姿を影絵のように合わせるが、とても似ているとは思わなかった。

 

(・・・気のせい・・・ですよね)

 

きっと変な夢を見たから士道の姿が別の人に見えたに違いない。

真那はそう決めつけ、風呂場へと歩いていった。

と、そんな真那は足を止める。

 

そういえば───

 

「兄様」

 

「ん?」

 

真那は銃のメンテナンスをしている士道に声をかけると、士道は真那の方へ振り向いた。

 

「“ミオ”さんって人、兄様は知っていますか?」

 

夢の中で士道が言っていた女の人の名前を真那は言うと、士道から返ってきた言葉は───

 

「“知らない”」

 

「まあ私も知らねーですし、兄様も知らないのも仕方無いですよね・・・」

 

士道の言葉に真那がそう言うと、士道は真那に聞く。

 

「探してる人?」

 

「なんでもねーですよ」

 

士道の問いに真那はそう答え、風呂場へと歩いていった。




作者「ハッハッハ!」

狂三「凄い楽しそうな顔ですわね・・・何か良いことでもありました?」

作者「バトオペ2のゼク・ツヴァイ楽しー!!」

狂三「ああ、あの大きい機体でしたわね?使いづらいと戦車さんは言ってましたが、作者さんは平気ですのね?」

作者「平気よ?バウンド・ドックよりは」

狂三「ああ・・・なるほど」
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