次が問題作の三日月の回なんですが、なんと!
三日月は一旦ここで退場です!はい!
狂三「はい!?」
「─────士・・・・道・・・」
死体のような顔をしていた折紙の目に、微かな光が灯る。そして折紙は辺りの様子を見るようにゆっくりと目を動かしたのち、バルバトスの腕の中で目を覚ました。
だが、士道は何も反応を起こさない。
「シドー!!」
十香達が士道と折紙の元へと駆け寄ってきた。
とその時、バルバトスから何か──起動音が作動した。
「─────シドー?」
「なんだ?さっきの音は?」
その起動音に十香と耶俱矢が足を止めると、バルバトスがキラキラと光る光の粒となり消えると同時に、気を失った士道の姿が現れた。
「士道、さんッ」
「士道!!」
「三日月さん!」
四糸乃と夕弦、美九は倒れた士道に駆け寄り身体を起こすが、士道は右目から血を流し、目を覚ます様子はなくぐったりとしていた。
「・・・っ、令音!士道の血圧が下がっているわ!早く転移装置を使って!」
琴里ははそう言って士道の背中にある阿頼耶識を気をつけながら士道を寝かせた。
とその時、七罪の震えた声があたりに響いた。
「ねぇ、あれ・・・なに?」
「何だよ七罪!今、それどころじゃ────」
ユージンは逼迫した様子で七罪に視線を向けると、七罪のその顔は真っ青になっていた。
そして七罪が指を差す先。ユージン達はそちらへ視線を向ける。
七罪が真っ青になる程のもの。そこには────
────────────
もう暗くなった夜の展望台に線引くように赤く輝く光があった。
もっと目を凝らすと、その姿はバルバトスと同じガンダムフレームに見える。
だがそれはバルバトスとは違い、翼のように幅広で分厚い装甲を背中に背負っていた。
そして左肩には赤い布をマントのようにはためかせながら此方を見ていた。
そしてソレは背中のバスタードメイスを抜き放つと、十香達に向けて突進してきた。
「・・・・こんな時に!!」
真那は十香達を守ろうと、ソレの前に出る。〈ヴァナルガンド〉のブレードでバスタードメイスの攻撃を防ごうとしたその時────
「・・・えっ?」
一瞬で目の前にいたソレの姿が消えた。
そして次の瞬間には自分の懐にバスタードメイスを降り下ろす“悪魔”の姿が見えて────
真那は一瞬で地面へと叩きつけられた。
「・・・がっ・・・あッ!?」
真那の全身に鈍い痛みが迸る。意識を失わなかったのは奇跡に近い。頭が痛みでうまく働かない中で真那の耳に十香の叫び声が響いた。
「真那ッ!!ハァァァッ!!」
十香が叫び声を上げると同時に〈鏖殺公〉を振りかぶるが、ソレはなんなく十香の背後に周ると、十香の頭目掛けてバスタードメイスを振り下ろしていた。
「なっ!?」
驚愕の声をあげ、叩きつけられた十香はぴくりとも動かない。
「十香!?この────」
「耶俱矢!!」
槍とペンデュラムを手に耶俱矢と夕弦は臆することなく悪魔へと向かっていく。
だが、耶俱矢と夕弦も悪魔に接近した瞬間、一瞬で叩きつけられていた。
「みな・・・さん・・・」
真那は朧気た意識の中で四糸乃を琴里を美九を七罪をそしてまだ封印もしていない筈の折紙でさえ、バスタードメイス一つで蹂躙されていく姿を真那はただ眺めることしか出来なかった。
「にい、さま・・・」
兄の名前を呼ぶ。
だが、真那のその声に誰の返事もない。
此方へとスラスターを更かしながら真那に止めを刺そうと向かってくる悪魔に真那は何もできない。
「誰、か・・・」
兄様をユージンさんを十香さんを四糸乃さんを琴里さんを耶俱矢さんを夕弦さんを美九さんを七罪さんを折紙さんを助けて。誰でもいい。なんでもいい。
誰でもいいから───なんでもするから。なんでもあげるから。
「───誰か、助けてッ!」
「分かった」
「──────」
真那の叫びに答える声があった。
真那の目の前に一人の少年が立っていた。
黒髪の小さな少年。緑色の上着にダボッとしたズボンにブーツ。
その少年が着ている上着の背中には華が描かれていた。
あの時の少年。
その時、真那は声が出なかった。
そんな真那を背に少年は悪魔に言う。
「“俺を連れてくだけだろ“。十香達に手は出すな」
その言葉を理解したのか、その悪魔は霧のように消えていく。
そしてその少年は真那の方へと振り向いた。
青い瞳が真那の顔を映す。
そして短く瞼を閉じ、そして再び瞼を開けるとその少年は真那に言った。
「俺の代わりに十香達を頼むね」
「───ぇ?」
優しく投げられたその言葉に真那は目を見開いた。
声も姿も全然違う。
だけど、その真那に投げられた言葉の中に含まれていた優しさが兄と同じもので───
士道の方へと視線を向ける。未だに目を閉じたまま眠ったように身体を地面へと預けている。
「みか、づき・・・」
「・・・・!」
と、どこからかユージンの声が聞こえてきた。
真那は痛む身体を動かすと、ユージンが這って眼の前にいる少年を見ていた。
この少年のことを三日月とユージンは言った。
では───この人は───
「・・・兄、様なんですか?」
真那のその質問に三日月は何も答えない。
ただ、三日月の身体はドンドンと透けていっていた。
「兄、さま?身体が透けていって・・・」
真那の声が震えているのがわかる。
そんな三日月にユージンは叫んだ。
「三日月!テメェ、十香達はどうするんだよ!!アイツらを置いてお前だけまた一人でオルガの所に行こうってか!!そんなの絶対に許さねえからな!」
ユージンは三日月を必死に呼び止めるように叫ぶ。が、そんなユージンに三日月は言う。
「俺の代わりにアイツがいるから十香達は寂しくない筈だよ。それにきっと皆も俺のことも忘れる。だから俺が居なくても大丈夫。それに───」
三日月は一つ呼吸を挟んでから言った。
「俺の居場所は別にあるから」
三日月はそう言って消えていく身を翻す。
「三日月!!」
「・・・にい・・・さま・・・」
名前を呼ぶ二人に三日月は言った。
「十香───皆も──“またね”。」
「まってください!!にいさま!!」
真那のその叫びも虚しく、三日月は泡沫のように消えていった。
その背中だけを彼等へと向けながら───
「ああああああああああああああッ!!」
真那の悲鳴が夜空が浮かぶ展望台に響き渡る。
真那は先程まで三日月がいた所へと駆け寄った。自分の身体が痛みで悲鳴を上げているが関係ない。
三日月が居た場所には一つの銃が落ちていた。
いつも士道がお守りとして持っていた銃。
その銃を見て、真那は涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにしながら叫ぶ。
「イヤぁ、イヤぁぁぁぁぁッ!!兄さま!!兄さまぁぁぁぁぁ!!」
真那の悲痛な声が誰もいない夜の展望台に響き渡った。
なんでマルコシアス出てきたの?
A.バルバトスが三日月をすぐに連れてこなかったから
じゃあ、なんでバルバトスは三日月をすぐに連れていかなかったの?
A.皆とお別れくらいの時間くらいは猶予をあげようと思ってのこと。なお、マルコシアスに三日月はすぐに連れてこらされた。
士道の身体は十香達はどうなるの?
A.人格は原作にそして記憶も原作基準に書き換えられます。
なお、真那にユージン、マクギリスに狂三、ファントムは例外ですが