今回は夕弦がメインの回となります!
ダンタリオンが現れたと同時───それは天宮市にもその影響がすぐに現れた。
「えっ?」
携帯を触っていた一人の女子高生が突如、携帯の電源が落ちたことに困惑の声を上げる。
そして次の瞬間、駅前の照明や暖房、信号に電車までもが一斉に遮断されその機能を停止させていき、天宮市が一瞬にして暗闇に包まれた。
「な、なに?」
少女を始め、周りの人達も、都市機関が使えなくなったこの状況に困惑や不安そうなどよめきが一斉に街中に響き渡り、少女も不安に飲み込まれそうになりながらも周囲を見回した。
そしてあるものが少女の視界に入る。
「───なに・・・あれ・・・」
アリーナ方がやけに明るい。だが、それよりも異質なものがそこにいた。それは───“巨人”だった。
◇◇◇◇◇
「な───」
真那は紋章から現れたダンタリオンを見上げたまま、驚愕で動く事が出来なかった。
そんな真那にダンタリオンが右手に握られた巨大な滑腔砲───〈ケラウノス〉の砲身を真那へと向けた。
「真那ッ!!」
「・・・・・ッ!?」
ユージンの叫び声と同時に真那は〈ヴァナルガンド〉を展開し、その場から離脱しようとするが、〈ヴァナルガンド〉の展開が遅い。
「な・・・っ!?」
なんで!?───と真那は一瞬動きを止めてしまい、隙をさらしてしまった。
「しまっ───ッ!?」
ダンタリオンは生身の真那へと滑腔砲を叩きこもうと引き金を引いたその時───
「はあああああああッ!!」
「呼応。〈颶風騎士〉───!!」
耶俱矢と夕弦が〈颶風騎士〉で発生させた暴風の塊をダンタリオンの右腕にぶつけ、射線をずらした。
滑腔砲の巨大な弾丸が放たれる。その弾丸は第三ホールの壁をぶち破りそのまま真っ直ぐ飛んでいき───
爆煙を上げながら駅前近くのビルへと直撃した。
「───しまったッ!?」
「──────っ!?」
その光景を見た耶俱矢達は息を呑む。そう。何故なら、“街の方はまだ誰も避難していない”。
街の方で悲鳴や恐怖の声が上がる。
「そんな・・・私のせいで・・・」
耶俱矢が街の様子を見て表情を曇らせる。だが、そんな耶俱矢にマクギリスが声を上げた。
「これ以上ダンタリオンに砲撃を撃たせるな!!下手に砲撃をさせると街への被害が大きくなるぞ!!」
その叫びに耶俱矢がはっとする。そしてその隣では夕弦がそんな耶俱矢を落ち着かせるように言った。
「耶俱矢。後悔するのは後です。まずはアレを止めましょう」
「う、うん」
耶俱矢と夕弦は〈颶風騎士〉を握りしめ、ダンタリオンに視線を戻す。
夕弦はダンタリオンの姿を視界に入れた時、凄まじい恐怖が自分の胸内に溢れるのを感じていた。
この巨人は自分達精霊を殺すことが出来る存在だと、直感がそう叫んでおり、今でも身を引いてしまいたい心情に駆られるが───“ここで引くわけにはいかない”。
ここで引いてしまえば沢山の人が死ぬ。そしてなにより士道───三日月に二度と会えなくなる。それだけは絶対に嫌だ。
だからこそ───
「宣言。私は士道を───いえ、三日月を“絶対に救い出してみせます”。ですが─────」
夕弦はダンタリオンを見る。その悪魔は夕弦達の前を立ち塞がるように見下ろしていた。
「彼の人生にあなたは邪魔者です。いつまでも場違いがのさばらないでください」
そう。眼の前に立つ悪魔は───私達の邪魔者だ。
たとえそれが厄祭戦という戦争を終わらせた英雄だとしても、私達の居場所は三日月がいて皆がいてこそ成り立っている。
まだ耶俱矢や十香達も三日月の事を思い出していないが、それでもきっといつかは思い出すことだろう。
そうなったら私と同じように錯乱するかもしれない。
でも、その時は私が支えてあげる番だ。真那が私にしてくれたことと同じように。
だが今は───
「行くよ!夕弦!!」
「首肯。行きましょう」
耶俱矢の呼び声に夕弦は答える。
そして夕弦はダンタリオンを見上げて言った。
「私達の居場所にあなたの居場所はありません」
巨大な拳を振り上げるダンタリオンに夕弦は耶俱矢と共に風を纏いながら翔けていった。
夕弦「私達の居場所にあなたの居場所はありません」←ダンタリオンに向けて
バルバトス「俺の居場所は?」
三日月「多分ないんじゃない?」
作者「つか、バルバトスがなかったら三日月はただの少年兵で多分生まれ変わることないから夕弦達とも会わなかったと思うけど?」
夕弦「───ぇ?」
狂三「それ以上はいけませんわよ?夕弦さんどころか皆さんを本気で反転化させるつもりですの?」