デート・ア・オルフェンズ   作:鉄血

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次でやっとダンタリオン戦にいけるわ・・・


第十七話 鉄の絆

「・・・・・」

 

士道は琴里のその質問に答えることなど出来なかった。

なぜなら琴里達が持っている記憶は“三日月・オーガス”が五河士道として生まれなかった記憶である。

ゆえに、お前達の知る士道は別にいて記憶にある今の士道の記憶は偽物だと本人から言われれば動揺するだろう。

 

「ねえ!!答えて!!士道!!」

 

琴里は目の前の“五河士道“に問い糾す。

戦場になった天宮市のど真ん中で士道はほんの一瞬だけ考えるような仕草をしたあと、士道は答えた。

 

「───皆が持っている俺との記憶は“偽物”だよ」

 

士道は“嘘”をつく。本来、こうあるべきである筈の今ではなく、皆が忘れた三日月との記憶こそが“本物”だと。

なぜなら───

これは───五河士道という少年ではなく、三日月・オーガスという少年の“物語”だから。

 

「・・・・・ッ!!」

 

琴里が士道のその返答に顔を勢いよく上げた。キッと睨みつける琴里の目尻には涙が浮かんでいた。

“妹”に“皆”に敵意向けられる事に士道は胸が痛む。

だが、士道はそれでも三日月と同じように前へと進んだ。

 

「だから今は俺に“皆の力を貸して欲しい”。三日月を“助ける為”に!・・・頼むッ!!」

 

皆に申し訳ないと思いながらも、その言葉を発する他なかった。

 

「俺からも頼む!今、これが三日月を取り戻せるかもしれねぇチャンスなんだ!」

 

ユージンも十香達に頭を下げた。

もうこれしか縋るものはない。あの馬鹿野郎を連れ戻す手段などもうこれしかないのだ。

そんな二人に皆は少しの間だけ押し黙る。街に響き渡る悲鳴や怒号、戦場の音が遠くに聞こえ、一秒一秒がとても長く感じられた。

そしてその静寂を破ったのは十香だった。

 

「何を言っている。当然ではないか」

 

言って〈鏖殺公〉を顕現させ、その柄を強く握る。

 

「正直言って私はシドーが言ったことをまだ信じられん。だが、きっとシドーは一人でも行くのだろう?“あのシドーもそうだった”」

 

「十香・・・?まさか記憶を・・・」

 

士道のその問いに十香は首を横に振る。

正直言って十香も記憶に靄がかかったように思い出せていない。 

だが、きっとあの背中のシドーも同じことをする。そう思えたから。

 

「それに私の心が覚えているのだ。シドーの言葉を」

 

十香の全てを変えてくれたその言葉を───

 

 

 

『俺と一緒に行ってみない?俺達の本当の居場所に』

 

 

十香のその言葉に皆が頷いた。

 

「私も・・・約束、したはずなんです・・・士道さんと。だから私もお役に立ちたいです・・・!」

 

「私はなーんか思い出すと嫌なこと思い出しそうだけど・・・ただ、その三日月って奴に一発ぶん殴らないと気が済まないっていうか・・・」

 

「ていうか、私もあの人と何か『約束』したような気がするんですよー」

 

四糸乃、美九が笑いながらそう言い、七罪はなんかムカつくからと言う。

確かに彼女達は三日月と約束したのだ。四糸乃は十香と一緒で本当の居場所に連れていってくれると。美九は彼にずっと歌を聞いてもらうと。七罪は三日月に嘘をつかせたくないのだろう。だって、そんな彼を思う皆のお陰で彼女はこの場に入られたのだから。

 

「私もあの時、士道に何も言えていない気がする。謝らなくちゃいけないこともある」

 

確かに折紙は三日月とは仲が良くなかった。それに自分の事で彼に迷惑をたくさんかけたのだ。結局謝ることが出来ずに彼が消えてしまったことに彼女なりに思うことがあるのだろう。

 

「・・・・・」

 

だが、その中で琴里だけが何も言えなかった。だって自分には皆と同じように三日月との繋がりなんて───

そう思っていた琴里にユージンが小さく息を吐いてから言った。

 

「お前にだってあるだろうが。三日月との繋がりをよ」

 

「なによ・・・私なんて・・・」

 

「ウジウジすんなよ。らしくねえ。三日月は誰よりもお前のこと気にしてたんだぜ?大事な妹だからってさ」

 

「・・・・!」 

 

ユージンのその言葉に琴里はハッと顔を上げた。

 

「三日月の事を思い出せない?だったら思い出せる手段を見つけりゃいいじゃねえか。そんなことで折れるお前じゃないから三日月はお前を信頼してたんだ。だからそんなことでウジウジするんじゃねえ」

 

「・・・ええ。そうね」

 

ウジウジしているのは今の私らしくない。

この黒いリボンを誕生日に貰ってお兄ちゃんと約束したのだ。このリボンをつけている時は強くなるって。

琴里は目をゴシゴシと擦ってからダンタリオンを睨みつける。

 

「無くなった記憶もお兄ちゃんも全部返してもらうわよ」

 

三日月は私達に言った。私達を連れていってくれると。なら、その場所に三日月も居なくちゃいけない。

そんな彼が忘れ去られて終わってしまうだなんて、理不尽に過ぎる。

 

だからこそ───

 

 

「───士道には絶対に約束を守ってもらうんだから。───さあ、私達の戦争《デート》を始めましょう」

 

三日月と彼女達との鉄の絆はそこにあった。




作者「唐突だけど三日月編のバッドエンド√みたい?」

狂三「突然ですわね!?番外編で書くつもりですの?」

作者「未定だけど。ぶっちゃけメンドイし、バッドエンド√は真那の精神がガチで死ぬ」

狂三「どんな展開にするつもりですのよ・・・」

作者「え?真那に三日月を殺させるの。間接的に」

狂三「とんだ畜生ですわね!?」
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