ダンタリオン戦前半です!!
どうぞ!!
「〈颶風騎士〉────【穿つ者】!!」
耶俱矢は自身が今出せる天使の力をフルスロットルに稼働させ、莫大な暴風を自身に纏わせながらダンタリオン目掛けて突貫した。
「こっんのおおおおおッ!」
耶俱矢の雄叫びと共に凄まじい暴風がダンタリオンを襲い、七十トン近い重量のダンタリオンの身体が大きく傾く。
「「はああああああッ!!」」
大きく傾いたダンタリオンのその隙を真那と夕弦は逃さず、片足だけで支えていたダンタリオンの右足に全力で攻撃を叩き込むと、その巨大な身体がビルに倒れ込んだ。
凄まじい轟音と共に瓦礫が崩れ、砂煙が宙を舞い、倒れたダンタリオンの姿が見えなくなる。
「よしッ!!これなら・・・夕弦!!」
「応答。かぐっ!?危ない!!」
これならと叫ぶ耶俱矢に、夕弦は悲鳴を上げながら耶俱矢を突き飛ばした。
そして次には耶俱矢がいた場所にダンタリオンの巨大な手と、その巨大な手に腰あたりを握り掴まれた夕弦の姿が真那の目に飛び込んできた。
夕弦は抜け出そうとするが、ギリギリと嫌な音を立てながら締めつける手が脱出することを許さない。
「夕弦ッ!?今助けるから!!」
「あ・・・・くっ!!」
「────なっ!?」
息を呑んで凍り付く真那に対し、ダンタリオンの手から夕弦を助け出そうとする。・・・が、それは耶俱矢目掛けて飛んでくる左腕のストレートにより断念せざるを得なかった。
だが、それより恐ろしかったのはダンタリオンの態勢の復帰時間だった。
“あの短時間”であの巨体が起き上がるのは異常過ぎる。
あれだけの質量を持つなら起き上がるだけでもかなり時間が掛かるはずだ。だが、ダンタリオンは倒れてから起き上がるまで十数秒と立っていない。
そう言えば、ダンタリオンはあの巨体にも関わらずどうして“私達の動きについてこれた”?
「どうなってやがるんですか・・・あの反応速度・・・普通、あんなに身体が大きかったら早く動けない筈でしょう・・・!」
真那が歯噛みをしながら無意識にそんな言葉を漏らすと、それに答えたのはマクギリスだった。
「それはガンダムフレーム特有のフレーム構造と阿頼耶識システムに理由があるからだ」
真那はその言葉にマクギリスの方へと振り返ると、ガンダムバエルによって見えない口から乾いた声が流れた。
「元々ガンダムフレームは阿頼耶識システム前提で作られたフレームだ。人体の柔軟な動きを再現出来るように稼働するフレーム構造に、阿頼耶識システムによって機械らしくない生身の人間の動きをガンダムフレームは再現できる。つまりダンタリオンがあそこまで早い態勢復帰や私達の動きについてこれたのは・・・」
「元々人間に近い動きをすることができたから・・・」
無意識に漏れ出たその答えに真那はその先の言葉を失う。
究極の人機一体。ダンタリオンを含む今まで見てきたガンダムが機械らしくない動きをしていたのもそれが理由だった。
それはつまり兄様とバルバトスも例外ではなく───
「いくら厄災を終わらせる為だからってこんなの・・・」
人間を使い捨てのパーツにした究極的な強さ。
真那は目の前のダンタリオンが恐ろしく見えた。
DEMがジェシカを再調整し、寿命と引き換えに自身と渡り合える強さを手に入れていたし、兄様は力の代償として右目と右腕がバルバトスと物理的に繋がっていないと機能しなくなった。
違いは多少あれど、やっていることは同じだ。
もしかしたらあの時のバルバトスと同じように、ダンタリオンもあの悪魔のような強さを発揮するのだろう。
どうすればいい。どうすればこの状況から───
「くぁ・・・・ッ!?」
何度かの驚愕に停止しかけた真那の思考を、夕弦から発せられる苦悶の声が鋭く突き刺す。
このままだとダンタリオンによって霊装が砕かれ、夕弦が握り潰される。
「この!離せ!離してよッ!!」
「か、ぐや・・・」
必死にダンタリオンの手から夕弦を引っ張りだそうとする耶俱矢に、夕弦は苦しそうな表情で耶俱矢を見る。
「忠言。・・・耶俱矢、手を離してください」
夕弦の覚悟を内包した決然たる言葉に、耶俱矢が激しくかぶりを振る。
「いやだ!!絶対・・・絶対助ける!!」
そうだ、諦めてはいけない。だって士道は───三日月は“絶対に諦めなかったから”!!
「夕弦を・・・・・殺させて、たまるかああぁぁぁ─────ッ!!」
勇猛な雄叫びを迸らせ、耶俱矢が《颶風騎士》をダンタリオンに突き刺そうとしたその時───
「身を屈めろッ!!」
「!!」
その声が耶俱矢の耳に突き刺さり、反射的に耶俱矢は身を屈める。
そして次の瞬間───
「はあああああああああああああッ!!」
雄叫びと共に、霊力で出来た巨大な斬撃がダンタリオンに叩き込まれ、その一撃で大きく身を揺らいだダンタリオンに対し、光輝く砲撃が追撃する。
その攻撃をもろに食らったダンタリオンは夕弦を握っていた手を離すと、そのまま再び地面へと倒れていった。
「夕弦ッ!!」
耶俱矢が直ぐ様夕弦を抱きかかえるようにして助け起こす。
「・・・・・耶俱矢」
「怪我はない?大丈夫?」
泣きそうになっている耶俱矢に夕弦は微笑んだ。
「返答。大丈夫です。怪我はありません」
「・・・・・良かった」
夕弦の返答に耶俱矢は泣き出してしまう。そんな耶俱矢に夕弦は頬を撫でつつも、口を開く。
「ですがまだ喜ぶのはもうちょっと先です。耶俱矢」
夕弦のその言葉に耶俱矢が顔を上げる。目には涙が浮かんでいたが、その顔は真剣だった。
「───大丈夫か!!耶俱矢!夕弦!」
と、直ぐ側に十香が降り立つ。どうやら先程の斬撃は十香が放ったものらしい。
駆け寄る十香に夕弦は耶俱矢の肩を借りながら立ち上がると、十香に平気そうに言う。
「首肯。この程度へっちゃらです。それと・・・助けてくれてありがとうございます」
「ああ。無事ならそれでいいのだ」
そう十香に真那がそんな三人の元へと駆け足で合流した。
「夕弦さん!大丈夫でやがりましたか!戦えそうでなかったら休んでください!ここは私が───」
夕弦さんの分まで頑張りますからと言いかける真那に、夕弦は首を振る。そして力強い目を真那に向けながら答えた。
「否定。私はまだ戦えます」
「・・・無茶はしてねーですか」
「返答。真那が味わった苦しみよりはへっちゃらです」
「・・・それを言われては私の立つ背がねーですよ」
そう返事を返す夕弦に真那は小さく苦笑して、ブレードの切っ先を夕弦達の前へと差し出す。
「・・・一緒に兄様を助けましょう」
「はい」
「ええ!」
「うむ!」
三人は真那が差し出したブレードの切っ先に互いの天使の切っ先を当て合い“チンッ”と音を鳴らす。
もう迷いはない。
後は───前へと進むだけだ。
作者「ダンタリオン戦だけでここまで必要になるかよ。まだ他のガンダムフレームとの戦いも書かなくちゃいけねえのに。原作だと一部作よ?このペースだと二部作になっちまうわ!!」
狂三「ストーリーを考えたのは貴方でしょうに。文句は自分で言ってくださいな」
作者「まさかここまで長くなるとは思わなかったもん」
狂三「男でもんって言わないでくださいまし!?鳥肌が立ちましたわ!?」
作者「酷え!!」