デート・ア・オルフェンズ   作:鉄血

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最新話投稿です。
三日月ぽくなかったらごめんなさい。
半分以上ストーリーがオリジナルになってしまった。

「ねぇ、何人殺せばいい?後何人殺せばそこへ着ける?教えてくれ、オルガ。オルガ・イツカ」

三日月・オーガス


第二話

士道が走りながら帰って、数分。

 

「・・・ん?」

 

自宅の前までたどり着き、玄関に鍵を差し込んだ士道は、小さく眉をひそめた。

ドアノブを握り、そのまま引いてみる。

すると予想通りに、出がけに鍵をかけていたはずの扉が、何の抵抗もなく開いた。

 

「琴里、帰ってたのか」

 

士道はそう呟いて、扉を全開に開ける。

士道の妹───五河琴里。近所の中学校に通う十三歳の中学二年生。

そしてそれと同時に、精霊を平和的手段によって無力化しようとする組織・〈ラタトスク機関〉の司令官でもある。

十香という精霊を保護した事後処理に追われ、先月から一度も家に帰っていなかった。

 

「・・・・・」

 

十香の件で忙しいのはオルガで分かっていたので、士道からは何も言うことはない。

 

「ただいま」

 

雨で濡れた靴と靴下を脱いで、フローリングの床に足跡を残していく。

と、廊下の先からテレビの音が聞こえてくる。

きっと、琴里がリビングにいるのだろう。

士道はその事を気にせず風呂場へと向かう。

士道は片手に鞄と靴下を持ちながら、脱衣所の扉を慣れた調子で開けた。

と。

 

「・・・・あれ?」

 

瞬間、士道は目を丸くする。

──脱衣所に、ここにいるはずのない少女の姿があったのである。

背を隠す長い夜色の髪に、水晶玉のごとき瞳。

そんな圧倒的な存在感を放つ美少女。

そんな少女は、士道の記憶の中に一人しかいなかった。

つい先程まで、折紙と喧嘩を繰り返していた彼女。

夜刀神十香が、そこにいた。

───その身に、一糸すら纏わぬ姿で。

 

「何で、十香が家にいるの?」

 

士道は十香にそう言うと、そこでようやく十香が肩をビクッと震わせ、顔をこちらに向けてくる。

 

「な・・・ッ、し、シドー!?」

 

「? なに?」

 

士道は十香の問いの意味がイマイチ分からずに答える。

 

「いッ、いいから出ていけ・・・っ!」

 

「・・・?分かった」

 

十香の言葉に士道はそう言って脱衣所の扉を閉める。

 

「何で家に十香がいるんだろ?」

 

士道はそう呟くと、脱衣所の扉が少しだけ開かれ、頬を真っ赤にした十香が顔を覗かせてきた。

 

「・・・見たのか、シドー」

 

「・・・何を?」

 

士道は、じとーっとした視線を送ってくる十香に、首を傾げた。

何か見てはいけないものでもあったのだろうか。士道はそう考えていたが、十香は士道の答えに若干疑いながらも納得したようで、「むう・・・・・」と唸ってから、扉を全開にする。

十香が服を着ていたが、それは何時もの制服ではなく、琴里が貸したのだろうか。士道がたまに着ていた部屋着だった。

士道でも一回りサイズが大きいそれを、十香だと二回り程サイズが大きいため、襟元から鎖骨が覗いている。

だが、士道がそんな事を気にする事なく、十香に再び先程言った質問を言った。

 

「そういえば、何で家に十香がいるの?」

 

しかし十香は、士道が何を言っているのかわからないといった感で首を傾げると、

 

「何?妹から聞いていないのか?なにやら、ナントカ訓練だとかで、しばらくの間ここに厄介になれと言われたのだ」

 

「へぇ・・・まぁ琴里が決めた事なら別にいいや」

 

士道は十香にそう言ってから、十香の横を通り過ぎる。

 

「話はまた、琴里に聞くから十香は好きにしといて」

 

そう言って士道は脱衣所の鍵を閉めた。

 

 

◇◇◇

 

 

「ねぇ、琴里。これってどういうこと?」

 

シャワーを浴びた士道は何時もの格好でテーブルの向かいに座った琴里と令音に視線を向けた。

今三人がいるのは、五河家二階に位置する琴里の部屋だった。

六畳くらいのスペースに、パステルカラーのタンスやベッドが配置され、そこかしこに、ファンシーな小物やぬいぐるみなどが所狭しと並んでいる。

本当ならリビングで話すべき話なのだろうが、十香の耳に入れたくない話もあるということで、こちらに場所を移したのだ。

ちなみに十香は今、リビングでアニメの再放送に夢中になっている。とりあえずあと二十分は大人しくしているだろう。

 

「んーとね」

 

と、琴里が、指で頬をぷにっ、と持ち上げた。

 

「今日からしばらくの間、十香がうちに住むことになったのだ!」

 

そして、えっへんと胸を反らすようにしながら、無邪気な笑顔を作る。

 

「それはさっき十香に聞いた。でも何で俺達の家なの?確かアンタ達の所で住んでるって話だったはずだけど?」

 

「それは、私から話そう。シン」

 

「ん?」

 

士道は令音に目を向けると、静かな声でいい始めた。

 

「・・・理由は大きく分けて二つある」

 

「・・・一つは───十香のアフターケアのためさ」

 

「アフターケア?」

 

余り聞きなれない言葉に頭を傾げながらも士道は答える。

 

「・・・シン。君は先月、口づけによって十香の力を封印したね?」

 

「あー、うん。それがどうしたの?」

 

「・・・まあ、そこまではいいのだが、一つ問題があってね。・・・今、シンと十香の間には、目に見えない経路のようなものが通っている状態なんだ」

 

「パス?バルバトスと繋がってる時みたいなもんか」

 

「それがどういう物か分からないが、そんなものと思ってくれていい。まあ、簡単に言うと、十香の精神状態が不安定になると、君の身体に封印してある精霊の力が、逆流してしまう恐れがあるということさ」

 

「へぇ・・・じゃあ前みたいに俺が死んだら、その力が元に戻る場合があるってこと?」

 

「まぁ、そうなるね」

 

士道の淡々とした調子を知ってか知らずか、令音が静かな声で言葉を続ける。

 

「・・・・十香の精神状態は常にモニタリングしているのだが・・・どうも、〈フラクシナス〉にいると、学校にいるときに比べて、ストレス値の蓄積が激しいんだ」

 

「ふーん、そうなんだ」

 

「・・・ああ。それに、一日二回の定期検査もあまりお気に召さないようだ。今はまだ許容範囲内だが、このまま放置しておくのも好手とは言い難い。───そこで、だ」

 

令音が、立てた指をあごに当てた。

 

「・・・・検査の結果も安定してきたし、そろそろ〈フラクシナス〉外部に、十香の住居を移そうということになってね」

 

「そうなんだ」

 

「・・・ああ。というわけで、精霊用の特設住宅ができるまでの間、十香をこの家に住まわせることになったんだ」

 

「へぇ、そうなんだ。だったらさっさと引っ越しの準備しないといけないね」

 

「・・・理由は聞かないのかい?」

 

士道が二つ返事で了承したことに、令音は士道にその理由を聞いてみる。が、令音の考えていた答えとは予想外

の返事が返ってきた。

 

「・・・別に、その辺り気にする必要無いだろ。それにアンタらがちゃんとしてくれるだろうし」

 

「・・・そうか」

 

「・・・で、もう一つは?」

 

「・・・・・ああ、これはもっと単純明快だ。──シン。君の、訓練のためさ」

 

「そういえば十香も言ってたけど、何の訓練するの?精霊って奴はもういないんでしょ?」

 

士道が言うと、令音はゆらゆらとした調子で首を横に振った。

 

「・・・精霊が十香一人だなんて、誰が言ったのかな?」

 

「違うの?」

 

「・・・ああ、空間震を起こす特殊災害指定生物───通称・精霊は、十香だけではない。現在の段階でも、彼女の他に数種が確認されている」

 

「他にもいるんだ」

 

士道は、複数精霊がいると言われても、特にこれといった感情は抱かなかった。

 

「・・・・ああ、だからシン。君には引き続き、精霊との会話役を任じてもらいたい。そのための訓練さ」

 

「あんまり話し合いは得意じゃないけど、やれと言われたらやるよ。俺は」

 

士道のその答えに琴里はニヤリと唇を歪めて、士道に言った。

 

「良く言ったわ、士道。ならこの話はおしまい。私達からも、士道に聞きたい事があるからいいかしら?」

 

「まぁ、いいけど。でもあんまり答えられないかもしれないよ?」

 

「それは構わないわ。士道はあんまり賢くないからそこまで詳しいことは期待してないわよ」

 

「分かった」

 

士道は琴里達にそう言ってズボンのポケットから棒状の食べ物を取り出して、包み紙を剥がして口に咥えた。

そして一口、咀嚼して飲み込むと、琴里に言った。

 

「で、聞きたいことってなに?」

 

士道の問いに答えたのは令音だった。

 

「・・・シン。君の身体検査をした時に分かったことなのだが、君の背中に付いているそれは何かね?」

 

「・・・阿頼耶識のこと?」

 

士道は素っ気なく令音に言って答える。

 

「・・・ああ、その阿頼耶識といったかな。ちゃんと検査してみれば、君の脊髄に完全に同化している。君はそのようなモノを何処で着けたのかな?」

 

「さあ?"こっちじゃ"あんまり覚えてない」

 

「つまり何処でつけたかは覚えていないと?」

 

「うん」

 

士道はそう言ってもう一口、口に入れて頬張る。

令音はそんな士道を見て何の気にもせず、質問していく。

 

「・・・では、その阿頼耶識は一体何に使うものかな?」

 

「モビルワーカーや、モビルスーツを動かすのに使うけど、それ以外だと特にない」

 

モビルワーカー。モビルスーツ。それはおとぎ話の厄祭戦という戦争で出てくる言葉だ。

では、士道のつけている阿頼耶識というモノは、その厄祭戦に関係するものなのだろうか。

その事を聞くべく、令音は士道に言う。

 

「・・・では、どういう風に動かすんだい?そのモビルスーツというのを」

 

「自分が考えてる事をそのまま。後は勘」

 

「勘って・・・」

 

令音の隣で琴里は頬をひきつらせるが、それに気にする事なく令音は言った。

 

「・・・大体分かった。つまり、本来コンピュータで情報処理をする所を自分の脳でする事によって、本来機械などでは出来ない生身のような動きを出来るようにする。と、言った所か」

 

「まぁ、聞いた話だとそんな感じ」

 

令音の予想が大体あっていたので士道はそう言って令音をみる。

琴里はその事を聞いて、目を見開けながら焦るような声で言った。

 

「ちょっと待って。それじゃあ士道の脳にはそのモビルスーツを動かす度に莫大な負荷がかかるじゃない!?」

 

「ん?慣れれば平気だよ。酷かったのが、最初だけでそれ以外は特に問題ないから」

 

・・・となんとも無いように士道は言うが、まだ、士道が三日月だった頃にリミッターを解除した事によって手足が動かなくなった事を気にせず、問題ないと言う辺り、どこか他の人とはずれていた。

そんな事を知らない琴里達は、再び士道に聞いていく。

 

「・・・では、これが最後の質問だ・・・君のその"バルバトスという霊装は何処で手に入れたんだい"?」

 

その問いに─────

 

「"最初からだよ"。俺はバルバトスが無いと、オルガや皆を守れないから。だから俺は皆を守る為にバルバトスに乗るんだ。それにオルガの命令を破る訳にはいかない」

 

士道の答えに琴里は驚愕し、令音は少しだけ表情を変える。

 

「・・・そうか。欲しい情報は取れた。ありがとう、シン」

 

「別にこれも、仕事なんでしょ?気にしてないよ」

 

士道はそう言って立ち上がり、部屋を出ていこうとする。

 

「まちたまえ、シン」

 

「何?」

 

「君は、"人を殺した事はあるのかい"?」

 

それは前に十香に言っていたあの言葉。

その問いに───────

 

「あるよ。あの日に、オルガが本当の居場所に連れて行ってくれるって言った時に」

 

その言葉を言った時に何故だか、琴里と令音には士道とは違う別の少年の姿が見えた気がした。

 

 




感想誤字報告よろしくお願いします。


良ければ皆さん。私の活動報告に今後のデート・ア・オルフェンズについての内容を多数決で決めさせていただきます。
良ければ、ジャンジャン投稿してください!

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