デート・ア・オルフェンズ   作:鉄血

269 / 279
投稿!!


第三十九話 忘れられない記憶

 

 

PD315

 

 

 

パンパンッ!!

 

銃の乾いた発砲音が夕日が差し込む路地裏に響き渡る。

その路地裏には腕や額から血を流す白髮の少年と、死んだ男から奪った銃で人を殺した黒髪の少年がいた。

 

「つってぇ・・・・」

 

「ぐうぅ・・・・」

 

血と金を散らばせながらピクリとも動かない男を他所に、返り血を浴びた少年が言った。

 

「ねぇ・・・次はどうすればいい?・・・・オルガ」

 

その少年の問いにもう一人の少年は言った。

 

「行くんだよ」

 

「何処に?」

 

「此処じゃないどっか。俺達の本当の居場所に」

 

そんなもう一人の少年の回答に少年は首を傾げる。

 

「本当の?」

 

「ん?」

 

「それってどんなとこ?」

 

そんな質問が返ってくるとは思いもしなかったのか、少年はこまったように指を折り始め、数えながら思いつく限り言っていく。

 

「えっ・・・んーわかんねぇけど、すげぇ所だよ。飯が一杯あってよ、寝床もちゃんとあってよ、後は・・・えっと後は・・・」

 

「ん?」

 

白髮の少年は血で真っ赤になった手のひらを少年の前に出しながら笑った。

 

「行ってみなきゃわっかんねぇ、見てみなきゃわかんねぇよ!」

 

「見てみなきゃ?」

 

「そうだよ、どうせこっから行くんだからよ」

 

ここから行く。その言葉を聞いて黒髪の少年は少しだけ笑うと、ゆっくりとした動作で血で真っ赤になった手を取った。

 

「そっか。オルガについていたら見たこと無い物いっぱい見れるね」

 

「ああ、だから行くぞ!」

 

黒髪の少年の手を取り、オルガは引っ張り上げる。

これが───全ての始まりだった。

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

「う、そ・・・でしょ?」

 

真那達は目の前の光景に衝撃を受けていた。

それは無理もない。三日月の幼少期であろう黒髪の少年が人を殺したのだ。

しかも、まだ十歳にもなっていないであろう歳で。

 

「士道ッ!!アンタッ!!」

 

七罪が怒りに身を任せて幼い三日月を掴もうとした時、七罪の身体がすり抜ける。

 

「・・・なっ、なんで!?」

 

「それは───もう“終わったこと“だからだよ」

 

すり抜けた七罪は振り返ると、そこには凛音がいた。

 

「終わったことって・・・どういうことかしら?」

 

琴里は鋭い目で凛音を睨みつける。

そんな琴里に凛音は申し訳なさそうな顔でいった。

 

「ごめんなさい。これは・・・団長さんの思い出なの。私達が三日月に会う前の・・・二人で生きていた時の記憶だから」

 

「オルガと三日月がCGSに入る前・・・ってことか。それなら納得だ」

 

「ユージン!何を納得して・・・ッ!?」

 

琴里はユージンに噛みつこうとするが、今のユージンの表情に息を呑む。

まるでこの光景がまるで当たり前だと言わんばかりに受け入れていた顔だったからだ。

 

「俺もそうだからな。俺も生まれ変わる前はこのオルガや三日月みたいに生きる為に必死だった。殺しや盗みもして逃げ回って・・・金を稼ぐ為に少年兵になって。それが俺達にとっての当たり前だったからな」

 

「何を言って・・・」

 

目の前のこの光景が俺達にとって当たり前だったというユージンに、琴里は足を一歩ひく。

 

「ほら、まだ”俺達”の話は終わってねえ」

 

そう言うユージンに真那達は過ぎゆく光景を見始めた。

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

「はぁ・・・?俺達がお嬢さまの護衛?」

 

「お嬢さまって・・・いい匂いするんだろうな〜!なぁ!三日月!」

 

「お嬢さまっても同じ人間なんだしそんなの変わんないだろ」

 

「はあああああ〜ん!?」

 

「女に飢えてない三日月さんにそんなこといっても無駄っすよ」

 

「ああッ!?それはどういうことだよ!ダンジ!」

 

 

 

「・・・そういや、こんなこともあったな」

 

若い頃は向こう見ずでいた自分を見てユージンは思い出したように笑う。

いま思えばこの時が一番楽しかった。オルガがいて三日月がいて、シノがいて、昭弘がいてビスケットもいた。

飯も今と違ってクソ不味いのに、彼奴等といたときが一番楽しかったと今でも鮮明に思い出せた。

でもそれも長くは続かないことをユージンは知っている。

 

「止めろぉーッ!!そこには仲間が!!」

 

ダンジが駆るモビルワーカーがグレイズに単身で砲撃しながら突撃する。だが、ナノラミネートアーマーで覆われたモビルスーツではその攻撃も豆鉄砲に等しく、そのままボールのように───

 

「・・・ひッ!?」

 

「四糸乃!!」

 

蹴り飛ばされ見るも無惨な姿になったモビルワーカーを見て、四糸乃は恐怖による反射的な悲鳴と共に目を瞑る。

それらを見ていた十香達も同じだったようで、口もとを抑えて震えている者やその光景に身体を強張らせる者などそれぞれだった。

 

 

 

「まだこんなところじゃ終われねぇ!だろ!ミカァ!!」

 

オルガが叫ぶ。

それと同時に地面から土煙が上がり、その中からガンダムバルバトスがメイスを手に現れた。

 

「うん行こう。───俺達・・・皆で」

 

 

それは彼等が最初に進み始めた一歩。

 

鉄華団として───人間として彼等は進み出す。 

皆が安堵する中、ユージンと凛音だけは黙っていた。

 

「・・・・・」

 

ユージンと凛音は知っている。この先がどうなるのかを。




作者「さあ、これから鉄華団全員(モブも含めて)の死亡シーンを見せてヒロインズ全員を曇らせていくぜ!」

狂三「ここに外道がいますわよ!?」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。