デート・ア・オルフェンズ   作:鉄血

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ちょっと仕事が忙しくなるのでしばらく投稿ペースがダウンします。ではどうぞ!

「こっち・・・睨んでやがる」

魚をみた昭弘


第十二話

何時から肉や魚を食べたくないと思ったのだろうか。

魚は確か、地球に初めて来た時に見たときだった。あんな気持ち悪い見た目のアレをどうしても食べる気になれなかった。

なら、肉は何時の時だったか。確かかなり昔・・・ああ、初めて“人を殺した”時だ。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

「えっと・・・卵と、鶏肉があるのか。飯もまだ残ってるし・・・オムレツでいいか」

 

冷蔵庫の中を見回してすぐにメニューを決め、必要な材料を取り出すと、キッチンへと並べる。

そしてフライパンをコンロに置き、火をつけた後、リビングの方をちらりと視線を向ける。

そこには、ソファに座りながら、物珍しそうに辺りを見回す四糸乃の姿があった。士道は家に帰ってすぐに服を脱ぎ、タンクトップ姿になったのだが、四糸乃の装いは、先ほどと同じウサギのコートだった。琴里に聞いた通り、あれだけ雨を浴びていたにもかかわらず、少しも濡れていない。十香の光のドレスと同じように、霊装というやつの影響なのだろうか。

 

「飯、今から作るからちょっと待ってて。すぐに終わるから」

 

「・・・・・!」

 

士道の言葉にこくこくと四糸乃は首を縦に振った。

 

「んじゃ、やるか」

 

士道はそう言ってにんにくを微塵切りにし、オリーブオイルで炒めていく。そして炒め終わった後、トマト缶と塩、コショウ、砂糖を加えていき、バターを溶かしてソースを作っていく。

玉ねぎの皮を剥き、人参とピーマン、マッシュルームと一緒に刻み始める。そして鶏肉をさいの目切りにカットし、切り終えた野菜と一緒にフライパンの中に放り込んだ。

炒めながら士道は、ケチャップを冷蔵庫から取り出して、コンソメを砕いていく。その後炊飯器の中に残っていたご飯を、火の通った鶏肉と野菜の入ったフライパンに入れていき、ケチャップとコンソメ、あらびきコショウを入れて焦がさないよう切るように混ぜていく。

 

「コイツはこんなもんでいいか」

 

士道はそう呟いて出来たチキンライスを皿へ移す。

 

「後は、オムレツか」

 

士道はそう言って、卵を器に入れ、卵をとき始める。

カチャカチャと、リズミカルに箸と器が当たる音に四糸乃は気になったのか、此方をじっと見つめているが、士道は手を止めず、そのままフライパンにオリーブオイルとバターを入れて溶かし始めた。

そして塩を少し入れてといた卵を入れる。

箸で卵をかき混ぜながらフライパンを揺らしていき、半熟状態を作っていく。

半熟になった卵をフライパンの端に寄せ、形を整えてひっくり返す。卵の閉じ口を上に器用に持っていき、フライパンと一緒にチキンライスのもとへ持っていく。そして形を崩さぬよう、チキンライスの上にのせ、最初に作ったソースをかければ。

 

「これで完成」

 

士道の前には大きな皿にのったオムライスが目の前に鎮座していた。

慣れた手つきで調理を終えた士道は、オムライスがのった皿を持っていき、四糸乃の前に出す。

 

「四糸乃、昼飯。これ食ったら早く探しに行こう」

 

士道はそう言って、自分用に作ったCGSの時に食べ慣れた黄色いドロドロした昼飯の器を自分の前に持っていく。

そしてスプーンを四糸乃と自分の前に置いて、手を合わせた。

 

「んじゃ、いただきます」

 

士道が手を合わせて言うと、四糸乃もその仕草を真似るようにペコリと頭を下げた。

そしてスプーンを手に取り、オムライスを一口、口に運ぶ。

 

「・・・・・!」

 

すると四糸乃は目をカッと見開いて、テーブルをペシペシと叩いた。

 

「うまい?」

 

士道がそう言うと、四糸乃はこくこくと首を縦に振る。

どうやら気に入ってもらえたようだった。

よほど腹が減っていたのだろう。四糸乃は小さな口を目一杯開けて、食べ始める。

 

「そっか。よかった」

 

士道はそう言って、スプーンで食べ慣れたお粥モドキを口に入れる。ポレンタ粉に水と塩を入れて、焦がさないようにかき混ぜたモノなので味がトウモロコシの味しかしないが、腹持ちが良いので良く作る料理でもあった。

 

『また、それ食べてるの?身体に悪いわよ、士道』

 

琴里がそう言ってくるが、特に返事を返すこともなく黙々と口に入れる。

 

「ごちそうさま」

 

「・・・ごちそう・・・さま」

 

士道を真似するように四糸乃は手を合わせてそう言った。

と───四糸乃の食事が終わるのを見計らうようにして、琴里が喋りかけてくる。

 

『まだ少し休憩するでしょう?できるだけ精霊の情報が欲しいわ。ちょうどいい機会だし、いくつか四糸乃に質問してみてくれない?』

 

「質問?分かった」

 

士道は、皿を空にして満足そうに息を吐く四糸乃に聞いてみる。

 

「ねぇ、聞きたいことあるんだけど、聞いてもいい?」

 

四糸乃が、不思議そうに小首を傾げてくる。

 

「あのパペット、大事そうにしてたけど、四糸乃にとってどういったもんなの?」

 

士道がそう聞くと、四糸乃は恐る恐るといった調子で、たどたどしく唇を開く。

 

「よしのん、は・・・友だち・・・です。そして・・・ヒーロー、です」

 

「ヒーロー?」

 

士道は聞き返すと、四糸乃は頷く。

 

「よしのんは・・・わたしの、理想・・・憧れの、自分・・・です。わたし、みたいに・・・弱くなくて、わたし・・・みたいに、うじうじしない・・・強くて、格好いい・・・」

 

「ふーん」

 

士道はそう言って、チョコレートを口に入れる。

確かにパペット越しで話していた四糸乃と、今の四糸乃では、口調から態度までまるで別人だ。でも───

 

「俺は、今の四糸乃の方が好きだよ」

 

十香が現れたときのパペットがのたまった冗談の数々を思い出し、若干顔をしかめる。

あの時の四糸乃は陽気だったが、アレは自分とは合わないし、勘弁だった。

だが士道がそう言った瞬間、四糸乃は顔をボンっ!と真っ赤に染める。

 

「四糸乃?どうしたの?」

 

士道が顔を覗き込むようにしながら声をかけると、四糸乃がフードを握っていた手を離し、顔を上げる。

 

「・・・そ、んなこと、言われた・・・初め・・・った、から・・・」

 

「そうなの?」

 

四糸乃が、深く首肯する。

 

『士道、今の・・・計算?』

 

「は?計算?何それ?」

 

『・・・いえ。違うならからいいわ』

 

「はあ・・・?」

 

自分が思った事を言っただけなのに、何が可笑しいのだろうか。

 

「なあ、四糸乃」

 

と、士道が言ったその時。

 

「シドー・・・!すまなかった、私は───」

 

突然扉が開かれたかと思うと、朝方家を出たはずの十香が、肩で息をしながら、リビングに入ってくる。

そして、向かい合う士道と四糸乃の姿を見るなり、ぴき、と身体を固まらせた。

 

「あ」

 

一瞬。それで士道は理解した。

 

「・・・ひ・・・・っ」

 

四糸乃も異常を感じたのだろう、後ろを振り返り、小さな声を漏らす。

しかし、それも仕方ない事だろう。四糸乃にとって十香は、パペットを取り上げた怖い相手であるはずだし───そして何より、リビングの入り口に佇む十香からは、士道に向けて凄まじいプレッシャーが向けられていたのだから。

 

「・・・・・・・」

 

十香は無言のまま、いやに穏やかぁーな笑みを作ると、そのままゆっくりとした足取りでリビングに入ってくる。

ビクッ、という感触が手に伝わる。どうやら四糸乃が身を震わせたらしかった。

そんな二人に十香は二人の脇を通り過ぎると、リビングを抜けてキッチンに向かい、冷蔵庫や棚からありったけの食料と飲み物を持ち出し、そのまま廊下へ出ていってしまった。

扉の先から、ダダダダダダっ、という足音が聞こえ───それが二階に到達したかと思うと、今度はバァン!と、乱雑に扉を閉めたような音が聞こえてくる。

 

「面倒くさいなあ」

 

どうやら、また部屋に閉じこもってしまったようだ。

今度は、十分に食料を蓄えての籠城だ。

 

『・・・厄介なことになったわね』

 

右耳に、若干ため息交じりの声が聞こえる。

 

『とりあえず、今は放って置くしかないわ。今士道が声をかけても、多分逆効果にしかならないでしょうし』

 

「分かってる」

 

四糸乃の姿もどこにもない。どうやら、十香がよっぽどトラウマになっているようで、ロストしてしまったらしい。

 

「まあ、いいや。ねぇ、琴里。一つ気になる事があるから調べてもらっていい?」

 

『何?』

 

士道は簡潔に、頭に浮かんだ疑問を伝える。

 

『・・・ふーん。分かったわ。令音が戻ってきたら調べてもらいましょ』

 

「じゃ、よろしく」

 

士道が言うと、琴里が何かを思い出したかのように話を続けてきた。

 

『・・・ああ、そうそう。十香の乱入で言いそびれたけど、一つ朗報があるわ』

 

「あ?」

 

『映像を洗ってみたところ、パペットの所在が判明したの』

 

「へぇ、どこにあんの?」

 

『それはね───』

 

琴里が発した言葉に、士道は顔を顰めた。

 




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