デート・ア・オルフェンズ   作:鉄血

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投稿!!

グロ注意!!

ふざけんなよ!おい!お前楽しんでるだろ!人殺しをよ!?

クダル・カデル


第十五話

『────B分隊、先行しなさい!〈ハーミット〉を囲い込むわよ!』

 

『了解!』

 

通信機から、燎子と、それに応ずるAST隊員たちの声が響いてくる。

折紙は、AST隊員二名とともに、微妙に進行方向を変えて、〈ハーミット〉を追う本隊から離脱した。

目標地点は、およそ一キロメートル先の交差点。

通常であれば目を開けてすらいられないような風圧や、意識が朦朧としてしまうほどのGをテリトリーで中和しながら、目標地点に到達する。

 

「・・・・・っ」

 

そして空を蹴るような感覚でブレーキをかけ、方向転換し、視界には、こちらに進んでくる〈ハーミット〉と人形の姿が見て取れた。B分隊三名はそれを確認すると同時に左右に展開、脳内に指示を出し、スラスターの脇に装備された二本のアンカーユニットを、地面に向かって射出した。

合計六本のアンカーユニットから光の糸が伸び、互いに絡みあって広大な網の形作る。

 

「レイザーウェブ展開完了、β機、γ機と結合を確認」

 

『よし、追い込むわよ!』

 

折紙が言うと、〈ハーミット〉を追っていた燎子の叫び声が通信機越しに響いた。

 

「・・・・・っ!?」

 

そこにきてようやく〈ハーミット〉が待ち伏せに気づいたらしい。

 

だが────もう遅い。

前方、そして左右には網の目状に編まれた魔力の光が。

後方には燎子たちA分隊の追撃が。

そして上方には、レイザーウェブを張り終えた折紙たちB分隊が浮遊している。

 

「ぁ────あ、あ、ぁぁ・・・・・ッ────」

 

人形の背に張り付いた〈ハーミット〉が、目を見開き絶望に染まった声をだす。

 

『総員────攻撃!』

 

しかし、ASTに精霊に対する同情や慈悲などはなかった。

号令とともに、AST隊員全員が、標準装備である近接専用レイザーブレードを抜き、〈ハーミット〉に襲いかかった。

 

────が、次の瞬間、雨が降っていた空が一気に暗くなった。

 

「・・・・え?」

 

一人の隊員が空を見上げる。

その一瞬だった。

空から物凄い勢いで、一人の隊員に向けて何者かが突っ込んできた。

そして勢いよくその隊員はぶつかり、地面がある足元へと一緒に落下していき、巨大な砂煙を上げた。

 

「なに!?」

 

燎子がそう叫んで、隊員が落ちた落下地点へと顔を向ける。

他の隊員や〈ハーミット〉もその出来事に呆然としながら、その場所を見つめていた。

その砂煙は数十秒経つとどんどん薄れていき、衝突した隊員と正体不明の人物のシルエットが映し出されていく。

そのシルエットは一言で表すと異形だ。

ヒト型のシルエットではあるものの、両腕は巨大で長い。そして背中から生えるように伸びた巨大な突起。

そしてその異形の両眼は砂煙の中でもライトグリーンに輝いていた。そしてその巨大な手に持っているのは巨大な刀状にゆるやかにカーブした剣・・・もとい、太刀が握られていた。

そして足元には────

 

「・・・うぷっ・・・オエェェ・・・」

 

何人かの隊員は“ソレ“を見て吐瀉物を吐き出す。

なぜなら────

その異形の持つ太刀に頭から股下まで“串刺し”にされた隊員だったであろうモノが血の海を作り上げて転がっていたからだ。

その光景を見て、折紙は眉を少しだけ顰める。

見ていてあまりいい気分になれるものではない。

そして何よりも、その異形は“一度、見たことがあった”。

 

「あれは・・・!?」

 

燎子がそう叫びながら、その異形を見る。

白と青を基調としたツートンカラーの怪物。

精霊〈プリンセス〉の時に現れ、その胸部から出てきた青年は自分もよく知る彼だった事を覚えている。

そしてこの惨劇を作り出した彼は、何事もなかったかのように太刀を振り払う。

その勢いで突き刺さっていた隊員の死体がゴミのように地面に転がった。

 

『アイツ、どっからやってきやがった!?』

 

『何なの!?アイツは!?』

 

無線機越しで他の隊員が慌てふためくように声を出す。

 

「ふぅ・・・・」

 

そしてその怪物から聞き慣れた声が聞こえてきた。

その声は───

 

「五河・・・士道・・・」

 

折紙は小さく呟きながら、彼を見つめていた。

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

「まず、一人」

 

士道はそう言って太刀を消し、腰にマウントしてあった巨大メイスを手に取る。

すると耳元から琴里の叫び声が聞こえてきた。

 

『ちょっと士道!!貴方、何をしたか分かってるの!?』

 

慌てた声で叫ぶ琴里に、士道はなんともないように答える。

 

「ん?何をしたって・・・敵だから殺っただけだよ」

 

「・・・・・・っ」

 

たった今、一人の人間を殺したにも関わらず、何時もと変わらない態度で言う士道に琴里は身体を震わせた。

殺人という罪がある現代で、士道はまるで殺す事に躊躇いなど一つもないと言わんばかりに一人の人間を殺した。

そんな士道が琴里は怖かったのだ。

たまに見せる普段と違う兄に対して、琴里は恐れを抱いた。

そんな琴里に対して、士道は未だに呆然とこちらを見ている四糸乃に視線を向ける。

 

「・・・・・ひっ!?」

 

四糸乃はビクッと肩を震わせて、後ずさりする。

そんな彼女の様子を知らないでか、士道は四糸乃に向けて足を進めた。

そんな士道に対して、四糸乃も一歩、また一歩と後ずさる。

どうやら怖がらせてしまった四糸乃に対し、士道はどうしようかと思ったその時。

 

「テメェ!よくも!仲間を!」

 

「ちょっと!?待ちなさい!?」

 

一人のAST隊員が士道に対して、ブレードを片手に特攻を仕掛けてきた。

 

「邪魔」

 

士道はそう呟きながら、巨大なメイスを掲げ、特攻をしてきたAST隊員に振りかぶる。

 

「そんな攻撃!!」

 

AST隊員は士道の巨大なメイスを自身のテリトリーで受け止めようとする。だが、士道にはそんなものは関係なかった。

 

「ふっ!」

 

力ずくでそのテリトリーを突破し、AST隊員の頭部に向けて巨大メイスが墜落した。

ゴシャアァ!と、嫌な音を立てて頭が潰れ、血が脳幹が飛び散る。その血が士道や四糸乃に飛び散り、白い装甲に赤いシミが出来上がった。

そして四糸乃の目の前にコロコロと白くて丸いものが転がってくる。

 

「・・・・・ひぃ!?」

 

四糸乃はそれに視線を向けると、小さく悲鳴を上げて顔を青ざめた。

それは“目だった”。

先程自分を殺そうとしていた人間の目が、光をともさない濁った目で四糸乃をじっと見つめていた。

 

「ぅ───あ、あ、あ、あ・・・・ッ」

 

四糸乃はガクガクと恐怖で震えながら、目の前の悪魔に視線を向ける。

ライトグリーンの鋭い目が自身を見つめている。手にした巨大なメイスで自身を潰すつもりなのか。

四糸乃はそんな事を考え────

 

「ぅ・・・ぁ、ぁ、ぁぁぁぁぁぁああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ────ッ!」

 

四糸乃は恐怖で叫び、〈氷結傀儡〉を顕現させた。




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