デート・ア・オルフェンズ   作:鉄血

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「モビルアーマー。厄祭戦の中心を成す禁忌の存在」


怒りの中で生きた金髪ロリコンの仮面男。


第十六話

「なんだ?」

 

士道は突然暴走し、〈氷結傀儡〉を顕現させた四糸乃を見てそう呟いた。

四糸乃の周囲に、凄まじい風が巻き起こる。

あたりに降り注いでいた雨粒が雹のように凍結し、四糸乃を覆うように渦を巻いて吹雪のドームを作り出し、その中へ閉じ篭もってしまった。

すると琴里からインカム越しで言ってくる。

 

『おそらくだけど、士道のやり過ぎでああなったと思うわ』

 

「・・・やり過ぎ?何が?」

 

身に覚えのない事に士道は首を傾げる。

 

『四糸乃の前でASTの隊員の頭を潰してミンチに変えたことよ!!リアルタイムで私達も見ちゃったから他のメンバーは気分不良で手洗いに行っているわよ!』

 

耳元で琴里の高い声が鳴り響く。

その声に士道は顔を顰めながら、空中に浮遊するAST隊員を見る。

彼等は先程、隊員二人を殺した自分を睨みつけながら周りに警戒するように漂っていた。

その中で、折紙だけは顔一つ変えずにじっとこちらを見つめて観察していた。

 

「ねぇ、琴里」

 

『・・・なによ』

 

あからさまに気分が悪そうな声を出す琴里に士道は言った。

 

「アイツらはどうすればいい?彼処にいられると邪魔だから、始末する?」

 

此方を見ているASTに対して士道は琴里に聞く。

 

『何でもかんでも殺して排除するのは止めなさい。ASTの人達だってあの光景を見て、今の士道に下手に手を出せない筈よ。なら、さっさと帰ってもらうように話してみたら?』

 

「・・・分かった」

 

琴里の言葉に士道はそう短く答える。

そして士道は未だに警戒しながら此方を見ている彼等に声を上げた。

 

「ねえ」

 

「・・・・・っ!?」

 

士道の言葉に機敏になる彼等に対して、士道は気にすることなく、彼等に言った。

 

「アンタら弱いからさっさと帰ってくれない?そこにいると“邪魔”」

 

『ちょっ!?士道!?煽ってどうするのよ!?』

 

士道の無自覚な煽りに、琴里は慌てふためく。

そんな士道の言葉を聞いて、隊長らしい女が叫んだ。

 

「アンタのせいで仲間が二人もやられてこっちだって損害被ってんのよ!そんな中で、帰れ?ふざけるな!!」

 

彼女がそう言うと、折紙含む全員が武器を構える。

 

「結局、敵になるのか。まぁどっちでもいいけど」

 

士道はそう呟いて血がついたメイスを構え、迎撃体制へと入る。

 

「総員!距離を置いて総攻撃!近づかれないように距離は保ちつつ、生き延びる事を考えなさい!」

 

「「「了解!」」」

 

彼等はそう言って銃を武器を士道へと向ける。

 

「まぁ、プチプチ潰して早く四糸乃の所に行くか」

 

士道はそう言って、AST目掛けて跳躍した。

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

「あ───あれは・・・っ!」

 

凍り付いた街を走っていた十香は、視界の先に見えた光景に戦慄した。

開けた道路の上、士道が乗っていたヒト型機械を小さくしたものと、先日見た青い髪の少女、それにASTたちの姿が確認できたのである。

そして、人形を駆る少女はヒト型機械に対して顔を青ざめながらガタガタと震えていた。

そしてその少女は恐怖で叫びながら、人形をのけ反らせる。

 

「──────っ」

 

十香は、腹の底がぞくっと冷えるのを感じた。

なぜだろうか、本能とかそういったもののレベルでしか語りようがないが、なんとなく、わかる。あれは───とてもよくないものだ。

言葉では表しづらいのだが、そう、あれは十香が〈鏖殺公〉で渾身の一撃を放とうとする寸前と、非常によく似た空気の震え方をしているのである。

 

「・・・・っ、シドー!」

 

十香はヒト型機械を何故かシドーと“無意識で”叫んでいた。

士道ではないかもしれないのに、何故か士道だと思ってしまう。

だが、そんな事をしても意味がないのはわかりきっている。

 

「〈鏖殺公〉・・・・・ッ!」

 

そして、その名を呼ぶ。十香の最強の剣であり、玉座。形を持った奇跡、厄災の名を。

 

「・・・・・っ、く───」

 

しかし、何も起こらない。十香は顔を歪めた。

予想をしていなかったわけではない。一応、琴里たちからいろいろな説明は受けていた。

十香がどのような存在であるのか。琴里たちは、そんな十香をどうしたいのか。

そしてその過程で、十香の力を封印したということも、聞いていた。

無論、最初から微塵も不安にならなかったといえば嘘になる。何しろ今まであった力が、ある日を境に無くなってしまったのだ。

だけれど次第に、それが士道とともに人間としての生活を送るために必要な要素だということが理解できてきた。

正直───今の生活がたまらなく楽しい。

折紙は未だに鼻持ちならないし、琴里や令音も、完全に信用に足るわけではない。

でも、士道と一緒に過ごす日常は、今まで感じたことがないくらい輝きに溢れていた。

士道と一緒なら〘どこまでもついていける〙と思った。士道が目指す《此処じゃないどこか》を見てみたいと思った。

───だが。

 

「〈鏖殺公〉───〈鏖殺公〉っ!〈鏖殺公〉・・・!」

 

士道を助けるために、今、いらないはずの力を再度求めなければならなくなった。

だが、何度試しても、〈鏖殺公〉は顕現しない。

 

「く───頼む・・・出てくれ、〈鏖殺公〉・・・っ!」

 

歯を噛みしめ、眉根を寄せ、泣いてしまいそうになりながらも、地面を蹴り続ける。

 

「・・・・くっ」

 

頭の中に、士道が凶弾に倒れたときの光景が鮮明に蘇る。

ごっそりと抉り取られた腹部。ゆっくりと倒れ伏す士道。何もできなかった自分。

もう、あんな思いは絶対に経験したくない。

───その瞬間、少女が〈氷結傀儡〉を顕現させ、吹雪の牢獄を作り上げていく。

 

「・・・・・っ!」

 

ゆらゆら、ぐらぐらと、“十香の精神状態が、不安定になる。意識がとんでしまいそうなほどのストレスが、十香の頭の中を駆け巡った“。

そして顕現する。厄災にして奇跡が───とある“殺戮兵器“と同じ名を持つ天使が顕現する。




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Q三日月のバルバトスがデアラみたいに反転したらどうなるの?


A.ハシュ○が出てきて殺戮を開始します。
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