デート・ア・オルフェンズ   作:鉄血

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次の投稿は火曜日予定!次で四糸乃パペットのエピローグに入ります!!

行くんだよ。此処じゃないどこか。俺達の本当の居場所に

オルガ・イツカ


第十九話 約束

「ぅ、ぇ・・・・・っ、ぇ・・・・・っ」

 

結界の中心部で、四糸乃は〈氷結傀儡〉の背にうずくまり、一人泣いていた。

吹き荒れる氷弾の中とは思えないほどに、静かな空間である。ただただ、四糸乃の嗚咽と鼻をすする音だけが、いやに大きく反響した。

とても怖くて、外には出られない。でも、ここは───とても、寂しかった。

 

「よ、し、のん・・・・っ・・・・・」

 

涙に濡れた声で、友達の名前を呼ぶ。

答えてくれるはずがないのは、四糸乃にも分かっていた。だが、呼ばずには──────

と、次の瞬間。

 

ドォォン!!

 

「・・・・・・・・ッ!?」

 

凄まじい爆音がドームの中に響く。四糸乃はビクッと肩を震わせると、バッと顔を上げてあたりを見回した。

 

「・・・・・ひッ!?」

 

四糸乃は上を見上げた瞬間、顔を青くし、小さく悲鳴を上げた。

先程、外で自分を殺そうとしていた人達の一人を自分の目の前で殺した悪魔が、自分を見下ろすように此方を見ていたのだ。

 

「・・・・・・ぅぇ・・・・・」

 

恐怖のあまり、四糸乃は身体を硬直させる。

四糸乃は恐怖のあまり、気を失いそうになったその時。

 

『あ、良かった踏まなくて。四糸乃、無事?』

 

響くように悪魔から聞こえた声に四糸乃は困惑するような声で声を発した。

 

「・・・・士道・・・さ・・・ん?」

 

『うん』

 

四糸乃の言葉に士道は何でもないように言った。

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

『四糸乃、ちょっとしゃがむからどいてくれない?』

 

「・・・・・!!」

 

士道の言葉に四糸乃はすぐに首を縦に振り、〈氷結傀儡〉と共にその場から身を引く。

士道はバルバトスを正座のように座らせ、安全な位置にコックピットを移動させると、コックピットハッチを開いた。

 

「よっと」

 

士道は身軽にバルバトスの腕をつたい、四糸乃のもとへ駆け下りていく。 

 

「───四糸乃」

 

士道は地面に足をつけ、四糸乃の名前を呼ぶと、ウサギのパペットをポケットから取り出して四糸乃に差し出した。

 

「約束、守りに来たよ」

 

すると四糸乃は目を丸くしたのち、

 

「う、ぇ、ぇぇぇぇ・・・・・」

 

目に涙を溜め、泣き出してしまった。

 

「・・・・・・なんか、ごめん」

 

士道はそう言って、四糸乃を抱きしめる。

謝る士道に四糸乃はふるふると首を振った。

 

「違・・・ます、来て、くれ・・・嬉し・・・て・・・っ」

 

そう言って、再び「うぇぇぇぇ・・・・」と泣き出してしまう。

そんな四糸乃に対し、士道は四糸乃を抱きしめながら令音の言葉を思い返す。

 

『調査の結果、こちらがモニタリングしていた精神グラフの後ろに、もう一つ非常に小さな反応が隠れている事が分かった』

 

「それってなに?」

 

『・・・要するに、パペットを着けているときにだけ、四糸乃の中に人格がもう一つ、並列して存在しているということさ』

 

「つまり、二重人格みたいなもんか」

 

『その通り。だから、デパートで君が会話していたのは四糸乃ではなくパペットを介して発現していた別人格だったということさ。通りで力が封印出来なかったわけだ』

 

「へぇ、じゃあその二重人格はやっぱりASTに狙われていたのが原因?」

 

『・・・いいや。───なんとも信じがたいことに、この少女は、自分ではなく、他者を傷つけないために、自分の力を抑えてくれる人格を生み出した可能性がある』

 

「・・・・・・・・」

 

『・・・シン。きっと、彼女を救ってやってくれ。こんなにも優しい少女が救われないのは・・・嘘だろう』

 

 

───そんな、やり取りを。

 

「・・・・・もう大丈夫?」

 

「ありが、とう・・・ござ、ます」

 

と、四糸乃が頭を下げてくる。

 

「俺、なんかした?」

 

「・・・よしのんを、助けて、くれて」

 

「あー・・・うん」

 

士道は一瞬、どう返事をしようか迷ったが、頭をかいて頷いた。

 

「まあ、俺にはまだ仕事があるんだけどね。四糸乃を助けるって仕事が」

 

「え・・・・・?」

 

四糸乃が不思議そうに返してくる。そんな四糸乃に士道は目線を合わせるように、その場に膝を突く。

 

「じゃあ四糸乃。今からアンタを助ける為にキスをしなきゃいけないんだけど、大丈夫?」

 

士道がそう言った矢先───

 

「──────ん?」

 

四糸乃が士道に唇を近づけさせる。

 

「・・・こう、ですか?」

 

目をギュッと瞑りながら、四糸乃は士道の顔に自身の顔を近づけさせる。

 

「まあ、それでいいんだけど」

 

士道はそう呟きながら、四糸乃の唇に自身の唇をくっつける。

と、瞬間。

 

『もう一度みせてみろよ──────────力』

 

一瞬。ほんの一瞬だけ。

士道の脳裏に精霊とバルバトスの姿が映った。

 

「・・・・なんだ?さっきの?」

 

と、四糸乃の肩が、驚いたようにビクッと震える。

 

「・・・・・っ、し、士道さ・・・、これ───」

 

四糸乃は何がなんだかわからないといった様子で、目をぐるぐると回しながら、半裸状態の身体をかくすように、身をかがめる。

 

「あー、言ってなかったっけ?」

 

士道は忘れてたと頭をかくと、───そこで。

 

「ん・・・・・」

 

四糸乃が、眩しそうに目を細めた。雲の切れ目から───太陽の光が、注いできている。

 

「暖か───い・・・・・」

 

まるで初めて太陽を目にしたかのように、四糸乃が小さな驚嘆を発する。

そういえば、四糸乃がこの世界に現れたときはいつも、雨が降っていた気がする。

 

「き、れい・・・・・」

 

ぼうっと、呟くように。

四糸乃が、空を見上げて言う。

士道も、それにつられるように顔を上にやる。

四糸乃が見ていたもの。それは──────

 

「虹か」

 

火星にいた頃は一度も見たことがない虹が、かかっていたのである。

バルバトスもまた、用は終わったとばかりに光の粒子となって消えていく。

そして虹を見上げていた四糸乃に士道は言った。

 

「綺麗でしょ。俺達の“今の居場所は”」

 

「は、い・・・・」

 

四糸乃は士道に短く答えて、そして小さく笑った。




感想、評価、誤字報告よろしくです!


ちなみに思った事。


11巻か12巻あたりで十香達が士道攻略しようとする話があるんですけど・・・中身三日月だと、オルガ以外誰も攻略出来なくね?
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