デート・ア・オルフェンズ   作:鉄血

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死んじまった仲間が流した血とこれから俺らが流す血が混ざって鉄みたいに固まってる。だから離れらんねえ。離れちゃいけないんです。危なかろうが、苦しかろうが、俺らは────

そういうのは仲間って言うんじゃないぜ?家族だ。

行こう・・・俺達皆で・・・

オルガ・イツカ

名瀬・タービン

三日月・オーガス




第六話 家族

狂三と別れたあと、士道は十香と一緒に、近所のスーパーに夕食の材料を買いにいっていた。

ずしりと重いビニール袋を右手に引っ提げ、もうだいぶ暗くなってしまった道を歩く。

と、十香が今日の夕飯について聞いてくる。

 

「シドー!今日の夕飯はなんだ?ハンバーグか?」

 

十香もここ数週間で、材料からメニューを推し量るのに慣れたらしい。興奮気味に口を開いてくる。

 

「あ、私もそれに一票」

 

と、隣で琴里もそう言ってくる。

 

「別にいいけど、俺は食べないよ?俺は別のやつ食うから」

 

「ちょっと、士道。好き嫌いばっかりしてるんじゃないわよ?身体に悪いからちょっとくらいは食べなさい」 

 

「そうだぞ、シドー。琴里の言うとおりだ。シドーの身体が悪くなったら私も悲しいぞ・・・」

 

「・・・・・・」

 

琴里と十香の言葉に眉を顰める士道は、軽くため息を吐く。と、前方から、ざっ、と、スニーカーの底でアスファルトの道を擦るような音が聞こえてきて、士道はふと顔をそちらに向ける。

 

「・・・・ん?」

 

そこには、ポニーテールに泣き黒子が特徴的な、琴里と同年代くらいの女の子が、驚愕に目を見開きながら立っていた。

パーカーにキュロットスカートというラフな格好。白いスニーカーには、ついて間もないと思われる赤い汚れが目立っていた。自分がよく知る血のような汚れだ。

 

「・・・なんだアイツ?」

 

見知らぬ顔の筈だが、士道は小さくそうつぶやく。

なぜだろうか、妙に“今の自分“と姿が似ている気がする。

と、そこで、少女が士道達のいる方向をジッと見つめて驚いているのに気づく。

士道は後ろを振り向くが、何か少女のことを驚かせるようなものはない。

士道はまあ、いいかと思いながら忘れようとした所で────。

 

「に」

 

少女が、震える唇を動かす。

 

「?」

 

士道は意味が分からず眉を眉間に寄せる。

と、少女はバッとその場から駆け出すと、士道の胸に飛び込んできた。

 

「は?」

 

「なっ!?」

 

士道と琴里は少女のその行動にそう呟いて、自分に向けて飛び込んできた少女に視線を向ける。

自分の身体に手を回し、感極まったようにぎゅうぅ、と抱きついてくる。

そんな彼女を士道は引き剥がそうとした時、少女が士道の胸に顔を埋めながら、言った。

 

「────兄様・・・・・!!」

 

「は?」

 

「は・・・はあっ!?」

 

士道は訳が分からないと言わんばかりの返事をし、琴里に関しては、驚愕の叫びが路上に響いた。

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

「おお、ここが兄様の今の家でいやがりますかっ!」

 

五河家の前にたどり着くなり、少女が髪をブンブンと振り回しながら、敬語になっているのかよくわからない言葉を弾ませた。

 

「・・・何コイツ」

 

士道はそう言って彼女を見る。

自称・士道の妹。名前は高宮真那というらしい。

胡散臭いことこの上ない少女ではあったが・・・路上で突然士道に抱きついたあと、その場にへたり込み、目に涙を浮かべながら、自分がどれだけ士道に会いたかったかを切々と語りだしたため、仕方なくここに連れてきたのである。

無論、琴里にも許可はとってある。というか───真那を五河家に連れてこいと言ったのは、他ならぬ琴里なのだ。

 

「む、しかし驚いたぞ。シドーにもう一人妹がいるとは・・・」

 

と、十香が、真那をまじまじと見つめながら言ってくる。

 

「俺そんな事知らないんだけど?」

 

「そうなのか?シドーによく似ていると思うのだが・・・」

 

「当然です!妹でいやがりますから」

 

十香が言うのに、真那が自信満々といった様子で腕組みする。

だが真那はすぐにハッとした顔を作ると、複雑そうな表情で十香と士道を見てくる。

 

「・・・しかし兄様。真那はあまり感心しねーです」

 

「ん?何が?」

 

「決まっていやがります!鳶一───じゃなくて、ええと、ね、義姉様というものがありながら、他の女性とも関係を持つなどと・・・」

 

「は?」

 

士道は真那の言葉に眉を顰める。

 

「?どうかしやがりましたか」

 

真那の言葉に士道は言った。

 

「色々と聞きたい事はあるんだけど、その義姉様ってのは何?」

 

「いや、私もその呼び方に抵抗がなくはねーのですが、将来的にそうなるからと・・・」

 

真那の言葉に三日月は言う。

 

「無いよ。そんなこと」

 

「そ、そうなのですか・・・?」

 

真那は困惑気味に眉をひそめた。

 

「しかし、そうだとしても兄様の二股疑惑は・・・」

 

「ふたまた。なんだそれは?」

 

十香が首を傾げる。また、面倒な言葉に食いついてくれたものだ。

しかし士道が言う前に、真那が十香に向かって声を発した。

 

「単刀直入に聞きます。十香さんでしたね。貴方は兄様とお付き合いしていやがられるのですか?」

 

「な・・・・・っ!」

 

十香が顔を赤くして士道に視線を向ける。

そんな十香に対し、士道は真那を見て言った。

 

「付き合ってないよ」

 

真那が士道の言葉を聞いた後、十香に訝しげな目を向ける。

 

「・・・十香さん?兄様とデートなどしやがったことは?」

 

真那は十香に質問を投げる。

 

「おお、あるぞ!」

 

「・・・・・・・」

 

真那が、じとーっとした目で士道を睨んでくる。

そんな真那に士道は「はあ」と息を吐いた後、口を開いた。

 

「十香と琴里は“俺達“の家族だよ」

 

「・・・家族ですか」

 

士道の言葉を復唱する真那に士道は言葉を続ける。

 

「俺と十香達に血の繋がりが無くたって、俺達はこうやって一緒に生きてる。血の繋がりなんて関係ない。俺達には同じ帰る場所

があってそれを一緒に支える仲間なら俺やオルガは家族だって思ってる」

 

士道の言葉に琴里達は呆然とする。

士道が口にした家族という意味。それは血の繋がりよりも、自分達と一緒の居場所にいる人が士道にとっての家族。

士道が考える家族が自分とは違うという事に琴里は前に士道が自分に見せた姿を思い出す。

四糸乃の力を封印する時にデパートで起こった後の士道の事を。

たとえ家族であろうとも、“自分が進む道の邪魔をするのなら叩き潰す“と言った士道を。

最初から自分の兄の目には、たった一人の人の背中しか見えていないのかもしれない。

士道が言っていた“オルガ“と言う名前の人物。

その人は、一体・・・五河士道の何なのだろうか?

琴里は士道の言葉を自身の中で反復させながらそう思った。




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