デート・ア・オルフェンズ   作:鉄血

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「アンタ・・・ガンダム?ガンダムって言うのか。随分変わった名前だな」

相方が刹那(エクシア)の時の三日月。


第八話

翌日。キーンコーンカーンコーン、と、聞き慣れたチャイムが鼓膜を震わせる。

時計の針は八時三十分を示していた。朝のホームルームの開始時刻である。辺りで談笑していたクラスメートたちがわらわらと席に着き始めていく。

そんな中、士道は昨日の件でフライパンで引っ叩いたあの後、どこで暮らしているか聞いてみたが、はぐらかすような真那の行動に士道は違和感を覚えていた。だが、士道はちょっと考えた所で────

 

「まあ、いいか」

 

考えるのを止め、自身の席に座る。

もとより考える事を殆どしない士道にとっては、どうでもいいことなのだ。

 

「・・・ん?」

 

そんな中。早めに席に着いていた士道は小さく首を傾げる。

チャイムが鳴ったというのに、狂三の姿が教室になかったのである。

十香も同じことを思ったのだろう、キョロキョロと辺りを見回している。

 

「むう、狂三のやつ、転校二日目で遅刻とは」

 

と、十香がそう言うと、

 

「───来ない」

 

士道の左隣から、そんな静かな声が響いてくる。

折紙が、視線だけを十香に向けて唇を開いている。

 

「ぬ?どういう意味だ?」

 

「そのままの意味。時崎狂三は、もう、学校には来ない」

 

「は?アンタもしかして────」

 

士道は折紙の言葉に狂三が精霊だったいう可能性が頭の中によぎる。

士道は折紙に狂三の事を聞こうとした所で、ガラッと教室の扉が開き、出席簿を両手で抱えるように持ったタマちゃんが入ってきた。すぐさま学級委員が、起立と礼の号令をかける。

 

「・・・・・」

 

折紙が言っていたことにも気になったが、士道の頭の中には狂三の件について、琴里に聞かなければならないと思っていた。

もし狂三が精霊なら、彼女の力を封印しなければならないのだ。

狂三がもし精霊で殺されたのなら、目的は失敗である。

士道は「はぁ」と息を吐きながらタマちゃんの話を聞いていく。

 

「はい、皆さんおはよぉございます。じゃあ出席取りますね」

 

言ってタマちゃんが出席簿を開き、生徒の名前を順に読み上げていく。

 

「時崎さーん」

 

そしてタマちゃんが、狂三の苗字を呼んだ。だが、返事はない。

 

「あれ、時崎さんお休みですか?もうっ、欠席するときにはちゃんと連絡を入れてくださいって言っておいたのに」

 

タマちゃんが、頬を膨らませながら、出席簿にペンを走らせようとする。

と、その瞬間。

 

「────はい」

 

教室の後方から、よく通る声が響いた。

 

「ん?」

 

後ろを向き、士道は視線を向ける。

そして教室後部の扉を静かに開き、そこに立っていたのは、穏やかな笑みを浮かべながら小さく手を挙げた狂三だった。

 

「もう、時崎さん。遅刻ですよ」

 

「申し訳ありませんわ。登校中に少し気分が悪くなってしまいましたの」

 

「え?だ、大丈夫ですか?保健室行きます・・・?」

 

「いえ、今はもう大丈夫ですわ。ご心配おかけしてすみません」

 

狂三はペコリと頭を下げると、軽やかな足取りで自分の席に歩いていった。

 

「なんだ。普通に来たじゃん」

 

士道はそう言って不穏なことを言っていた折紙の方へ視線を向ける。

 

「・・・ん?」

 

士道は訝しげにしながら折紙を見る。

折紙は微かに眉根を寄せ、狂三のことを凝視していたのである。

表情にそこまで劇的な変化はない。だが────士道にわかる。今、コイツは間違いなく驚愕している。

士道は琴里に調べてもらいたいことが出来たなと思いながら、頬を付く。

 

「────はい、じゃあ連絡事項は以上です」

 

ほどなくして、タマちゃんがホームルームを終えて教室を出ていく。

そして、士道は琴里に電話をしようとした時────。

ポケットに入れていた携帯電話が着信音を響かせ始める。

画面を見ると、そこには五河琴里の名が表示されていた。

 

「もしもし?琴里?」

 

『────ええ、士道』

 

「ちょうど良かった。琴里に聞きたい事があるんだけど」

 

『何かしら?士道』

 

「昨日俺達の学校にトッキーが、転校してきたんだけどさ、トッキーって“精霊”?」

 

士道の言葉に琴里は言葉を返す。

 

『トッキー?そのトッキーって人は時崎狂三って名前かしら?』

 

「うん。でも、なんで知ってんの?」

 

『令音から聞いたの。後、さっきの質問だけど答えはYESよ。それと、嫌な事態になったわ。控えめに言って最悪よ』

 

琴里らしくない苦々しい語調に、士道は首を傾げる。

 

「何かあった?」

 

「ええ。・・・困ったことになったわね。まさかこんなことが現実に起こり得るだなんて』

 

もったいぶる言い方に、士道は更に疑問を浮かべる。

 

「・・・何があったの」

 

『ええ、実は────』

 

と、そこで士道の肩がつつかれる。狂三が不思議そうな顔で首を傾げている。

 

「何をなさっていますの、士道さん」

 

「・・・ん?ああ、ちょっと電話。少し待ってて」

 

シが言うと、狂三は大仰な動作で驚きを表現したあと、ペコリと頭を下げた。

 

「これは失礼しましたわ。お邪魔するつもりはなかったのですけれど」

 

「別にいいよ。話なら後で聞くから」

 

士道は狂三にそう言って、電話に耳を傾ける。

 

「それで、琴里。一体何が────」

 

『ちょっと待って士道。今・・・誰と話していたの?』

 

「は?狂三だけど?」

 

士道はそう言うと、琴里は急に無言になる。

 

「琴里?どうしたの?」

 

士道は急に無言になった琴里に言葉をかけるが、返事はない。

どうやら、電話の向こうで誰かと会話を交わしたあと、言葉を続けてきた。

 

『士道。昼休みになったらすぐに物理準備室へ向かって。見せたいものがあるわ』

 

「は?なんで?・・・」

 

『いいから、絶対に来なさい』

 

そこまで言うと、琴里は士道の返答も聞かずに電話を切った。

 

「・・・まあ、とりあえず昼休みに行けば分かるか」

 

士道はそう呟いて、携帯電話をポケットにしまい、授業の準備に入った。




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???

「俺が、俺達が、ガンダムだ!!」
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