「このトマト・・・お尻みたい!」
「お尻だ!お尻!」
クッキー・グリフォン
クラッカ・グリフォン
狂三と約束した次の日。
「あの・・・士道さん」
「・・・なに?」
天宮駅東口の改札前で待ち合わせをしていた狂三と合流した後、狂三が若干戸惑うような顔と声音で言った。
「・・・確かに昨日、人数が増えると言っていましたし、わたくしも了承したのですけれど・・・」
狂三はそう言いつつ、目の前にいる“彼女達“を見て、思っている事を口にした。
「何故貴様もここにいるのだ!鳶一!」
「それはこちらのセリフ。何故、貴方がいるの」
十香と折紙を傍目に見ながら、狂三は士道に言う。
それに対して、士道は答えた。
「こうでもしないと、時間が取れなくなった」
「・・・そう言う事ですか」
士道の半ば説明が面倒くさいから聞くなと言わんばかりの顔に狂三はすぐに会話を合わせた。
そんな士道達に構いなく、十香と折紙は言い争いを続けている。
士道は言い争いを続けている十香達に近づくと、二人の間に割って入った。
「二人共、今日は出かける為に来たんでしょ。喧嘩するならよそでやってくれない?」
「う・・・そ、そうだな」
「・・・・・喧嘩はしていない」
士道は二人を仲裁した後、狂三に向けて口を開いた。
「・・・で?街を案内すれば良いんだよね?それと、十香が水族館のチケット貰ってるらしいし、残りの人数分のチケットを買って水族館にも行こうか」
「え?でもチケットの代金は・・・」
「俺が払うよ。どうせ、金の使い道なんて殆どないし」
狂三の困惑する声に、士道は短く答えて歩きだす。
こうして三人のデート(お出かけ)が始まった。
◇◇◇◇◇
「それで、みんなは何見に行きたいの?それとも買い物?」
士道の問いに三人は答えた。
「そのだな・・・シドー」
「疑問が一つある」
十香と折紙の問いに士道が口を開く。
「・・・なに?」
その質問に狂三は答えた。
「そのですね・・・士道さん。今からデートをするのに流石にその格好はどうかと思いますの」
狂三達はコホンと息を吐きながら、士道の“服”を見る。
藍色のタンクトップに、作業ズボンと間違えそうなカーキ色のブカブカなズボン。
そして暑苦しい上着。
どこからどう見ても、デートで着るような服ではないだろう。
十香から見ればいつもの服なのだが、士道がこの服装以外を着ているのを見たことがない。
他の二人はその格好はどうかとあの折紙でさえ、顔に出ていた。
「・・・そんなに変?」
士道は自身の服装をみながら、キョロキョロと顔を動かす。
「いつもの格好ではあるのだが、少し暑苦しく見えるぞ」
十香からの指摘に士道は言った。
「上着を脱げばいい?」
「そういう問題でもない気がする」
折紙からもそう言われ、士道は頭をかいた。
そんな士道に狂三は口を開いた。
「なので、一度士道さんの服を見に行きましょう。デートはそれからですわ」
「うむ!そうだな!」
「同意」
「は?」
狂三の言葉に三人は頷き、士道は何故そうなったのか分からないと言わんばかりの返事を返した。
◇◇◇◇◇
「これはどうだ!シドー!」
十香がそう言って服を持ってくる。
「全体的に黒っぽいですが、士道さんには合いますわね」
「そうであろう!シドーは何でも似合うのだ!」
「・・・・・」
手を顎につけて唸る狂三に、士道を自慢する十香。そして、狂三を睨みつけるように視線を向けながらも、手にした携帯で写真を取る折紙と、三者様々な反応だった。
「・・・ねえ、もうこれでいい?」
士道は普段着ない服に違和感を持ちながらも、十香達に言う。
あの後、服屋に向かった士道達は、士道をまるで着せ替え人形のように様々な服の試着をさせていた。
狂三と折紙がコーディネートし、十香が似合う服を持ってくる。
そんなこんなしている内にもう一時間以上、士道は試着を繰り返している。
今の士道は、Tシャツにジーンズ、黒のカーディガン。そして靴までも変えられて、スニーカーを履いている。
もううんざりとした顔で狂三達に士道がそう言うが、狂三達は止まらない。
「まだまだですわ。十香さん、あちらに掛けてあった服を持ってきてくれません?後、薄手の上着もお願いしますね」
「うむ!わかったぞ!」
「・・・・・」
十香に指示を出す狂三に、服を取りに行く十香、そして相変わらず写真を取り続ける折紙に士道は────
「・・・いい加減終わらないかな」
半ば諦めた様子で、彼女等を見るのだった。
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