「ギャラクシーキャノン!発射!!」
ノルバ・シノ
ピンクに染められたガンダムフラウロス
「これでどうですか?士道さん」
「・・・もうこれでいいよ」
あれからはや一時間。やっとの事で服を選び終わった狂三達に対して、士道はうんざりしながら言った。
Tシャツにジーンズというシンプルな格好だが、普段あまり見られない姿に十香と折紙はそれぞれの反応を見せる。
「おお!かっこいいぞ!シドー!」
「似合ってる」
二人の反応に対して、士道は「はいはい」と軽く返しながら三人にどこへ行くのか聞いた。
「で?三人は何処に行きたいの?昼から水族館には行くけど、まだ時間あるし」
士道の言葉に対して狂三は言った。
「では、商店街などはどうでしょう?水族館ともそれほど離れていませんし、それに皆さんと買い物出来ると思いますので」
狂三の言葉に十香と折紙は賛同する。
「私はそれで構わないぞ!」
「私も構わない」
二人の言葉を聞いて、士道は分かったと答える。
「じゃあ、行こうか」
「ええ、エスコートをお願いしますわ」
「うむ!」
「うん」
三人はそれぞれ返事を返して、士道と一緒に商店街へと向かった。
◇◇◇◇◇
「今日はなんか賑わってるな」
周りに視線をやりながら、士道達はゆっくりとした足取りで通りを歩いていた。
視界に広がる商店街は、いつもより活気づいている。
「おお!お祭りをやっているな!」
「そっか。今日は祭りの日か」
そういえば前にそのポスターを見た気がする。
そんな曖昧な記憶ながらも、士道達は賑わう商店街を歩いていく。
通りには屋台が設営され、たこ焼きや焼きそばなど定番メニューに加えて、たくさんの出店が並んでいた。
周りをキョロキョロと見回す狂三に士道は言った。
「ここが商店街。普段はこんなに人はいないけど、今日は祭りだからこんなに人が集まってる」
「そうなのですか?てっきり普段も賑わっているのかと・・・」
「普段はここまで賑わってないよ」
狂三の質問に対してバッサリと切り捨てる士道。
そんな士道に十香が屋台に指を差す。
「シドー!あの“カステラ“美味しそうではないか?」
「ん?ああ、あれか。じゃあみんなで分けて食べるか。ここで待ってて」
士道はそう言って、その屋台に足を進める。
「おっさん。これ一つ」
「誰がオッサンだ!?って五河の兄ちゃんじゃねえか。どうした買い物か?」
出店をやっていた男性は士道を見るとすぐに反応を変える。
「買い物っていうより、今日は街の案内をしてる。学校で転校生が来たからその付き合い」
「ほぉ?お前みたいな奴に頼む奴がいるとはなあ。で?そいつは何処にいるんだ?」
気になるのか、士道に聞いてくる。
「あれ」
屋台のオヤジの質問に対して、士道は狂三達に視線を向ける。
屋台のオヤジは士道の視線の先にいる狂三達を見ると、士道に言った。
「後の二人は知ってるから、片目を隠してる姉ちゃんの方か?」
「うん」
士道はそう答えると、屋台のオヤジは言う。
「そうかい。なら、サービスしてやんねえとな。お前には良く手伝いしてもらってるから、その礼も込みだ」
そう言って、カステラが入った袋を四つも渡してくる。
「俺、一つって言ったけど?」
「サービスだって言ってるだろ?皆で分けな。それにお前さんといるあの姉ちゃんは結構食うんだろ?だったら尚更だ」
そう言って、士道に押しつける。
「んじゃ、貰ってく」
「おう、デートなんだろ?楽しんでこいよ。五河の兄ちゃん」
屋台の男性にそう言われながらも、士道は買ったカステラの袋を持って十香達の元へ戻っていく。
「おかえり士道」
「おかえりなのだ!」
「以外とかかりましたのね?」
三者様々な反応を示すが、士道の手に持つ四つの袋を見て、折紙が反応した。
「士道、四つ買ったの?」
「三つはおまけ。良く商店街で手伝いしてるからそれの礼だってさ」
士道は三人に一つずつ袋を渡していくと、士道は自分のカステラの袋を開けて一つカステラを口に入れる。
そんな三人の前でカステラを食べる士道に折紙が士道に袋を渡してきる。
「なに?」
士道は折紙の行動にそう聞くと、折紙は口を開いた。
「食べさせて」
「なっ!?」
「あら?」
折紙の言葉に十香は驚愕し、狂三は口を隠す。
そんな折紙に士道は言った。
「それやると、十香と喧嘩になるからやらない」
「だったら、夜刀神十香ともやればいい」
「・・・・・」
珍しい。
あの折紙がそう言うとは思わなかった。
“じっー“とこちらを見つめてくる折紙に士道は「はあ」と息を吐き、折紙から紙袋を受け取る。
そして──────
「一回だけだよ」
「構わない」
士道は折紙にそう言って、袋からカステラを取り出し、折紙の口元へ持っていく。
「・・・ん」
そのカステラを折紙は口に入れた。
その様子に対して二人の視線が突き刺さる。
そんな二人に対して士道は一言。
「やってあげるから、喧嘩はしないでよ」
この後、商店街の中で二人にもやってあげた。
士道が三人にカステラを食べさせた後、士道達は近くのショッピングモールへと向かった。
そのショッピングモールでは三人が服を見たり、買ったりと好きなように買い物をしたりゲームセンターで遊んだりしていた。
「・・・ふぅ」
士道は軽く息を吐いて、椅子に座る。
狂三達は三人で目の前の店で色々と商品に手を取り、それぞれ買い物をしている。
士道は自販機で買った水を口に含みながらその様子を見ていると、男に声をかけられた。
「隣に座っても構わないかな?」
「好きにしたら?」
「では、失礼」
士道の隣に男性が座る。
そして、士道はその男の声と匂いに覚えがあった。
士道は視線を横へ向けると、見覚えがある金髪の男性が本を読んでいる。
その男性に対し、士道は言った。
「なんで此処にアンタが居るの?“チョコの人“」
士道の三日月の記憶が間違えでなければ、此処にいる筈のない人物だ。だが、それに対して男性は口に笑みを浮かべながら言った。
「その名前で言われるのは“久しぶり“だな。五河士道。いや、“三日月・オーガス“」
チョコの人────マクギリス・ファリドは本を閉じ、士道に顔を向ける。
「チョコの人なんで此処にいんの?もしかして俺と同じ?」
「君みたいに容姿が変わった訳ではないが、同じだろうな」
「・・・へぇ」
士道の言葉にマクギリスはそう答えると、今度は士道にマクギリスが言った。
「君は外見は変わっても中身は変わっていないようだな。三日月・オーガス」
「俺は俺だよ。チョコの人もそんなに変わってないね。それで、“俺に何かよう“?」
三日月はマクギリスにそう言って、視線を向ける。
この男が自分に話しかける時は、何かある時だ。
そんな三日月に対して、マクギリスは言った。
「今は君に頼る用は無いとも。だが、君が所属している〈ラタトスク〉に呼ばれ、私は今、此処にいる。そして君がガンダム・バルバトスを操っている映像を見させて貰って、五河士道が“三日月・オーガス”だと確信したよ」
「あっそ」
マクギリスの長話に士道は適当に聞き流す。
そんな士道にマクギリスは「フッ」と笑うと、士道に言った。
「何かあれば私に頼りたまえ。私で良ければ力を貸そう。君のことは私も気に入っているからね」
「じゃあ、何かあればアンタを頼るよ」
マクギリスはそう言い、士道に名刺をさしだす。士道はそれを受け取ると、ポケットに入れた。
「では失礼する。君も、彼女達もこの世界でどう生きて行くのか・・・楽しみにしているよ。三日月・オーガス」
マクギリスはそう言って、席から立ち上がり歩いていった。
その後ろ姿を士道はただ、見つめるだけだった。
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