マキオンヘビアで本格的にガン無視されつつある鉄血です。
なんで・・・みんな無視するの?
三日月またこんなにブレスレットを汚して、アトラさんに怒られますよ?一緒に謝ってあげますから帰って来てください。皆の元に────
クーデリア・藍那・バーンスタイン
死体の片付けを終えた士道は風呂に入った後、部屋に戻る。
部屋の電気を消し、寝ようと瞼を閉じた時だった。
“コンコン“と部屋の扉がノックされる。その音に気がついた士道は身体を起こすと、部屋の扉を開けた。
「あれ、十香?それに四糸乃まで・・・どうしたの?」
部屋の前にいたのはパジャマ姿の十香達だった。夜に来ることのない二人に士道は目を丸くする。
「・・・そ、その・・・」
四糸乃は小さな声で士道に伝えようとするが、耳に入ってこない。よしのんに関しては四糸乃が最後まで言い切ろうと頑張る姿をみながら、応援していた。
そんな四糸乃に対し、十香もなにやらもじもじした様子で士道に視線を向けたり、逸したりしている。
そんな十香達に対し、士道は言った。
「・・・そこに立ってるのもあれだし、入れば?」
「う、うむ・・・」
「は、はい・・・」
妙に歯切れの悪い二人に士道は疑問を浮かべながらも、部屋に入れた。
部屋に入った後も妙に落ち着きがない二人に士道は言う。
「十香に四糸乃。急に部屋に来て何か用?」
士道の言葉に対して最初に反応したのは四糸乃だった。
「・・・その・・・士道・・・さん」
「?」
四糸乃はおそるおそると言った声で士道に言おうとするが言葉が出てこない。
そんな四糸乃に対し、十香が四糸乃の代わりに口を開く。
「その・・・だな、シドー。四糸乃がさっき、シドーの家から響いた音にびっくりして心配になって眠れなくなったそうなのだ。だから・・・そのー・・・今日は一緒に寝て欲しい」
「・・・・・・」
十香が妙に歯切れが悪い反応だったのはそういう事かと、士道は納得する。
確かについ先程、銃を撃ったばかりだ。その音で四糸乃は心配になって出てきたのだろう。十香に至っては四糸乃の性格がこんなだから代わりに言ってくれる代役といった所か。
そんな十香達に士道は頷きながら言う。
「まあ、いいけど」
士道はそう答えて士道はベッドへと向かった。
二人もそれに続いて士道のベッドに身体を預ける。
「この状態で寝るの・・・?」
士道は背中に阿頼耶識がある以上、身体を横にしなければ寝る事が出来ない。そんな士道を真ん中に背中側が十香、正面が四糸乃という対面になっていた。
そんなぼやきを言う士道に対し、『よしのん』がパクパクと口を開く。
『まーまーせっかくなんだし、十香と四糸乃の身体を堪能しちゃえばー?別に四糸乃も悪い気はしてないみたいだしー?』
よしのんの言葉に四糸乃は顔を赤くする。
そんなよしのんと四糸乃に士道は言った。
「別に興味ないよ。眠いからさっさと寝よう」
士道はそう言って瞼を閉じる。
「おやすみ・・・なさい」
「おやすみなのだ、シドー」
「ん・・・おやすみ」
十香達の返事に士道は短く答え、押し寄せる睡魔に身を預けた。
◇◇◇◇
深夜一時。
ふと、士道は目が覚めた。
普段は目が覚めない時間に起きた士道は身体を起こす。
隣には四糸乃がぐっすりと眠っている。
時折、士道の名前を口にしている事から何かしらの夢を見ているのだろう。
だがもう一人、隣に寝ていた筈の十香の姿がないのを見て、士道は扉に視線を向ける。
ギィ、と音をたてながら開いている扉を見て、士道はベッドから出るとそのまま一階に目を向けた。
リビングに明かりがついている。
おそらく十香がつけたのだろう。士道はそう思いながら、階段を降りて一階へと向かった。
そしてリビングに向かうと、ソファにやはりと言うべきか十香が座っていた。
何やら考えこんでいる十香に対し、士道は後ろから声をかける。
「・・・何やってんの?十香」
後ろから声をかけられた十香は身体を“ビクッ“とさせながら士道のいる方へ顔を勢いよく向けた。
「あ、いや、そのだな・・・」
たどたどしい態度の十香に対し、士道は疑問を浮かべながらも、十香の元へと足を進める。
そしてそこにいたのはを─────
「・・・琴里?」
十香の膝の上には泣き疲れたように眠る琴里の姿があった。
よほど泣いていたのだろう、顔を赤く腫れぼったくし、涙の後が頬にまだ残っている。
そんな琴里を十香は見ていたのだろうか?
「琴里の面倒してたんだ。俺は今は邪魔か」
士道は十香にそう言うと、十香は慌てたように言う。
「別に邪魔ではないぞ!?シドー!?むしろ居てくれた方が助かる!だから少しだけ居てはくれないか・・・?」
「・・・・・分かった」
十香の言葉に士道は少し考えた後、頷いて十香の隣に座った。
士道は座ったまま目を瞑っていると、十香が士道に言った。
「シドー・・・昨日の夜に言ったあの言葉・・・本当にそう思っていたのか?」
「・・・?何が?」
戸惑いを含ませた声音で十香は士道に言う。
「その・・・琴里と喧嘩をしていた時に言っていた・・・四糸乃や他の精霊などはどうでもいいという・・・」
十香は悲しそうな表情で顔を俯かせながらポツポツとそう呟く。琴里に言ったその言葉の質問に対し、士道は気まずそうに答えた。
「あー・・・まぁうん。言った」
士道の言葉に十香は更に眉を八の字に歪ませる。
「シドー・・・」
最早泣きそうな十香に対し、士道は十香を抱きしめる。
「・・・シドー?」
士道の突然の行動に、十香は顔を上げる。
「十香がそんなに泣きそうになるだなんて思ってなかった。ごめん」
「わ、私は良いのだ!!それは四糸乃にやってあげてくれ!」
「でも、十香も泣いてる」
「そうだが・・・っ!」
言葉が詰まる十香に対し、士道は十香をポンポンと、優しく叩く。
そんな士道に十香は小さな声で言った。
「・・・シドー。何故、琴里と喧嘩をしたのだ・・・?」
そんな十香の問いに、士道は口を開く。
「意見が合わなかっただけだよ。それだけ」
そう言う士道に十香は言う。
「・・・琴里は、ずっと泣いていたぞ?仲直りはしないのか?」
「・・・やる意味ある?」
士道は十香にそう言うと、「そ、そうか」と答える十香。
だが、その後に十香が士道に言った。
「だが、シドーと琴里がこのまま仲直り出来ないのは私も四糸乃も嫌だぞ。泣いていた琴里を見て私はそのー、胸がこうキューウと痛くなるのだ。そんなのがずっと続くなど私は嫌だ」
「・・・・・」
そう言う十香に士道は何も言わない。
だが十香のその目を見て、士道は息を吐いた。
「・・・分かった。また謝れる時に謝っとく」
四糸乃も不安にさせたようだしまた何かしてあげるかと考えていると、十香の頭が士道の肩にのしかかる。
「・・・十香?」
士道は頭を肩に乗せてくる十香に話かける。
十香の目はとろんとした目でこっくりこっくりと船を漕いでいる。
眠そうにしている十香に士道は言った。
「・・・おやすみ。十香」
「・・・・・うむ。おやすみなのだ・・・シドー」
十香はそう言って瞼を閉じた。
眠ってしまった十香を横に士道は窓に視線を向ける。
そこに写る自分の姿は五河士道としての自分ではなく、三日月・オーガスの姿がそこにあった。
そして、三日月は此処にはいないオルガに対し、言葉を投げる。
「ねえ、オルガ。こんな時、クーデリアだったらなんて言うかな」
クーデリアも十香や琴里と同じような事を言うのだろうか?それとも言わないのだろうか?考えるだけ無駄なのは分かっている。だけど、あの二人ならきっと答えると思ったから。
三日月は眠る十香と琴里を横にただ一人、その答えを考え続けていた。
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