デート・ア・オルフェンズ   作:鉄血

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短いですが、投稿です!

だからお前はアホなのだ。何いってんの?

マスターガンダムに乗った三日月


第二十話

次の日の朝、士道が教室に入ると、既に昨日殺した筈の狂三が席に着いているのが目に入った。

明らかな異常。一度自身も体験しているとはいえ、やはり違和感があった。──────死んだ筈の人間が、何食わぬ顔をして登校してきている、なんてのは。

士道の姿を見るなり穏やかな微笑を作り、狂三がペコリと頭を下げてくる。

 

「あら、士道さん。ごきげんよう」

 

その姿は、殺した昨日と何ら変わりなかった。

昨日、殺した相手に何も変わらない表情で笑顔を向けるのは不気味極まりないが、士道は何時もと変わりない挨拶を返す。

 

「うん、おはよう」

 

だが、士道にとってそこまでの驚きはない。予想していた事態でもあったからだ。

 

「昨日は楽しかったですわね。また是非誘ってくださいまし」

 

「ふーん。なら、暇ならまた誘うよ」

 

その言葉に狂三は再び微笑む。それは士道達とのデートの事を言っているのか、公園の事を言っているのか。士道には判別がつかなかった。

狂三はそんな士道の思案に気づいているのかいないのか、可愛らしい微笑を顔に貼り付けたまま言葉を続けてきた。

 

「でも、少し驚きましたわ」

 

「・・・・?何に?」

 

士道が聞き返すと、狂三は微かに目を細める。

 

「てっきり士道さんは、学校をお休みになると思っておりましたので」

 

狂三の言葉を聞いて、士道は軽く息を吐きながら口を開く。

 

「別に学校休む理由なんてないだろ。それとも来ないほうがよかった?」

 

「いえ、士道さんがちゃんと登校してきてくれて、とても嬉しいですわ」

 

屈託のない笑顔でそう言う。

 

「・・・・・」

 

そんな狂三に士道は大した反応をする事なく、狂三に言った。

 

「アンタに聞きたい事があるから放課後に来てもらえる?」

 

「・・・?いいですが・・・理由を聞いても?」

 

キョトンとする狂三に士道は口を開いた。

 

「トッキーが“俺を襲う“意味だよ。それくらい昨日のアレを見れば分かる」

 

士道は狂三にそう言うと、狂三は数瞬の間何か考え込むような仕草をした後、唇を開いた。

 

「・・・ええ。ならお答えしますわ。なら放課後、屋上に来てくださいまし」

 

狂三はそうとだけ言うと、士道から視線を外した。

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

来禅高校の屋上に立った狂三は、妖しく笑ってトン、トン、と軽快な足音を響かせる。

空は雲一つない快晴。真夏さながらの強烈な日差しが狂三に注ぎ、いつもよりその影を黒々と地面に映し出されている。

時刻は九時十分というところだろう。もう一限目の授業が始まっているためか、校舎から響いてくる喧噪は幾分か収まっていた。その代わり、音楽室からまばらな楽器の音が、体育館からボールの弾む音が聞こえてくる。

狂三は、踊るようにステップを踏んでいた。地面に円を描くように、くるくると。

 

「もう少し、士道さんとの学校生活を楽しんでも良かったのですけれど──────」

 

もし上空からその光景を見た者がいるのならば、その異常に気づいたかもしれない。

狂三の通った場所が、薄暗くなっていたのである。

──────まるで、狂三の軌跡から、影が消えないように。

 

「そろそろ、潮時ですわね」

 

そして、カッ、と踵を地面に突き立てる。

すると屋上の中央に薄暗い線で描かれた円が、じわじわと面積を広げていく。

屋上の全域を覆い尽くし、校舎の外壁を伝い、校庭を侵食し、やがて学校を中心とした街の一区画を覆わんばかりに。

 

「────きひひ、ひひひひひひひひひ」

 

唇を歪んだ三日月の形にし、笑みを漏らす。

 

「ああ、ああ、士道さん、士道さん。愛しい愛しい士道さん。あなたはわたくしを助けるつもりなのでしょうが、こんなわたくしでも助けるつもりなのでしょうか?」

 

狂三はそう言いながらも、士道と自分の代わりがいる教室に視線を向ける。

 

「でも・・・士道さんの奥に眠るその力、楽しみですわ。わたくしでも“分からない天使の力”────どれほどの力なのでしょう」

 

狂三はこの先に起こる優越に浸りながら、放課後を待っていた。




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