オラトリアはどうしたって?先にこっちをキリのいい所で終わらせたい!!
それまで、しばし休息!
このフラッグのシートに、少年がいたとは・・・フフッ!!
気持ち悪いから生きてた変態
錆び付いたノブを回し、ドアを押し開ける。老朽化したドアはパラパラと剥がれた塗装の砕片をその場に落としながら、耳障りな悲鳴を上げた。
「・・・ち」
琴里は眉をひそめながら小さく舌打ちをし、その建物の屋上に出た。
今琴里が訪れていたのは、天宮市の南端に位置する廃ビルの一つだった。
別に廃墟探索の趣味があるわけではない。こんな辺鄙な場所に来たのには理由があった。
琴里は士道との件で肩を落としていると、
「───お待ちしておりました、琴里さん」
先に屋上で待ち構えていた少女───真那が、琴里に声をかけてきた。
そう。今日、士道達より先に目が覚め、部屋に戻った時に窓に、時刻と場所、そして真那の名前が書かれた紙が貼ってあったのである。
琴里は不機嫌そうな心地を隠すでもなく、フンと鼻を鳴らした。
「・・・まったく、何なのよここは。理由もなく私を呼び出すなんていい度胸してるじゃない」
「これは失敬。───ですが、お互いに人の目と耳はねー方がいいと思いやがりまして」
「・・・ふん。それで、一体何の用で私を呼び出したのよ?」
「少し、お話がしたいと思いまして」
と、真那がポケットから何かを取り出し、琴里に向かって放り投げてきた。
緩やかな放射線を描いて迫ってきたそれを、両手でキャッチする。
「これは・・・・」
琴里は眉をひそめた。真那が放ってきたそれは〈ラタトスク〉が使用している超高感度の小型インカ厶だったからだ。
「───〈ラタトスク機関〉」
「・・・・・っ」
琴里は、真那の口から出た言葉にピクリと片眉を動かした。
「噂には聞いていました。精霊を武力で殲滅するのではなく、対話によって懐柔することを目的とした組織。───初めて聞いたときは都市伝説かと思っていやがったのですが・・・」
真那が、キッと琴里を睨み付けてくる。
「《デーモン》兄様から全部聞かせてもらいましたよ」
真那の言葉に琴里はインカ厶をポケットにしまい込むと、「はぁ」と息を吐いた。
「・・・そう言う事ね。士道が全部話した訳。それ何が目的?わざわざ私を呼び出したってことは、何か狙いがあるんでしょう?」
真那は視線を動かさないまま、唇を開いてくる。
「───私は、この件を上に報告するつもりはねーです」
「・・・ふうん?」
「そのかわり。兄様を今すぐに、〈ラタトスク〉から開放しやがってください」
真那の言葉に、琴里は眉をひそめる。
その理由になんとなくだが、察しはついているからだ。
「一応、聞いておくわ。教えてもらってもいいかしら?」
半ば分かっている状態であったが、琴里は真那に問う。
「どういうことも何もねーです。───琴里さん、なぜあなたは、兄様にあんな危険な真似をさせていやがるのですか。いくらあの霊装モドキを使っているとはいえ、正気の沙汰とは思えねーです」
それと、と真那は言葉をつけ加える。
「今までの兄様の行動を見てると、“ラタトスク機関という組織“には合ってねーようにみえます。琴里さん。───いえ、五河琴里。とても残念です。あなたのような人に、兄様は任せられねーです」
「・・・・・・っ」
琴里は頬をピクリと動かすと、真那に言う。
「へぇ、それで、私が妹失格だったらどうするっていうの?」
「私が兄様の身柄を引き受けることも考えなければなりません」
真那の言葉を聞いて、琴里は顔を歪めた。
「冗談じゃないわ。DEMみたいな悪徳企業に士道を預けろっていうの?」
言いながら琴里が肩をすくめると、真那が驚愕したように腕を解き、肩を揺らした。
「・・・っ、なぜそれを」
「優秀な友人がいてね。情報を握っているのはお互い様ってこと」
それにDEMには良からぬ噂もある。そんな所に士道を預けたら最後、モルモットとして扱われるだろう。
真那はふうと息を吐くと、唇をを開く。
「───まあ、割れているのなら隠す必要もねーですね。そう、私はもともと自衛官だったわけではねーです。DEMインダストリー社から出向してくるに当たって、必要だったから適当な階級を得たに過ぎねーです」
しかしそう言うと、またすぐに視線を研ぎ澄ます。
「しかし、DEMが悪徳企業というのは聞き捨てならねーですね。あそこは記憶喪失だった私を受け入れてくれて、存在理由を与えてくれやがりました。感謝してもしきれねーです」
「・・・っ!!本気?狂ってるとしか言いようがないわ」
士道と同じ事を言っている真那に顔を歪めながらも、琴里はそう言った。
「失礼な。何を言っていやがるのですか」
琴里は真那の口ぶりに、違和感を覚えた。もしかして彼女は──
「あなた、もしかして、知らないの・・・?自分の身体のことを」
「身体・・・?何の話ですか」
キョトンとした様子で、真那が首を傾げてくる。琴里は戦慄に唾液を飲み込んだ。
「・・・・っ、なんてこと」
まったく予想していなかった訳ではない。だが、まさか令音の懸念通りになるとは。琴里は渋面を作り、真那の方にカツカツと歩いていくと、その肩を掴んだ。
「な、何をしやがるのですか」
「・・・悪いことは言わないわ。あなたこそDEMを抜けなさい。〈ラタトスク〉が面倒を見たっていいわ。だから───」
「はぁ・・・?いきなり何を・・・」
と、真那が眉をひそめて言いかけた瞬間、琴里と真那の携帯電話が殆ど同時に着信音を鳴らし始めた。
苛立たしげに顔をしかめてから、通話ボタンを押す。
「───わたしよ。何?」
『琴里、不味い事態になった。来禅高校で士道がナイトメアと交戦している。士道に至っては、ナイトメアを完全に殺しにかかっている事態だ』
「なんですって・・・・!?」
琴里はちらと真那の方を見やった。どうやら───表情からして、彼女もまた、琴里と似たような報告を受けているようだった。
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刹那・○・セ○エイ
ゾクッ!?