マッキー、真相に着々と近づいています。
「ルプスレクス・・・狼の王。狼とは群れる生き物だ。私には出来ない生き方だな」
マッキー
「まずはこれに目を通してくれ」
ベンチに座ったマクギリスは士道にタブレットを手渡す。
「崇宮真士・・・誰コイツ」
士道は写真の無いプロフィールを見てそう呟く。
崇宮と聞くと、真那と同じ名前だと言うのは分かるが、士道にとっては関係の無い話だ。
興味なさげに端末を動かす士道に、マクギリスは言った。
「DEM社とラタトスク機関に潜伏させている部下にそのプロフィールが手に入ってね。その男は“始めての精霊接触者であり、君を含めて二人目の阿頼耶識接続者“だ」
「ふーん」
士道は興味が無いと言わんばかりの返事を返す。
なぜなら、そんな奴などいくらでもいる世界に士道はいたから。
あまり関心を持たない士道にマクギリスは言葉を続ける。
「そして、これを見たまえ」
「・・・・?」
マクギリスは端末を操作しながら、士道の持つ端末に送る。そして画面に映し出されたものを見て、士道は首を傾げた。
「なにこれ」
「“ガンダムフレームの設計図“だ。本来、“この時代には無いはずの物“でもある」
マクギリスの言葉に流石の士道も反応を示す。
「でもそれって、俺達のとこでも無いって聞いてたけど、何で此処にあるの」
士道の言葉にマクギリスは手を組みながら答えた。
「それは今、調べている最中だ。なぜ、我々の時代の物がこの時代に存在するのか・・・そして、流出版とは言え、阿頼耶識システムが君達二人につけられたのかはまだ予想しか立てられていない」
「予想は立ててあるんだ」
「ああ」
士道の言葉にマクギリスは首を縦に振る。
だが、どうも引っ掛かる点がある様でまだ予測でしかないらしい。
「三日月・オーガス。君は長いあいだバルバトスを使っているようだが、バルバトスの調子はどうかな。何か変わった事でもあるようなら言ってくれたまえ」
「変わった事?」
マクギリスの言葉に士道は首を傾げるが、ふと思い出した。
「変わった事って言うか最近バルバトスが妙に五月蝿い事くらい?」
「五月蝿い?」
「うん。いつも〈フラクシナス〉ってとこに行くと、バルバトスがうるさいんだよ。“早くアイツを殺させろ“って」
「ほう?そのアイツとは?」
「さあ?」
モビルアーマーと遭遇した時、リミッター解除直前の反応をバルバトスが〈フラクシナス〉の中でするのだ。だが、原因が分からない以上どうしようもない士道はそのまま放置していた事をマクギリスに言う。
士道の言葉を聞き、マクギリスは前髪を触りながら考えていた。
(バルバトスやガンダムフレームに意識がある・・・阿頼耶識接続者を意識がないまま機体から外すと目を覚まさないと言う件が過去に何度かあった。三日月・オーガスも機体に繋がっている間は手足を動かす事が出来ていたとなると・・・何かしらの実験をしていたに違いないか)
「チョコの人」
考え込むマクギリスに士道は声をかける。
「何かね?」
マクギリスが答えると、士道は立ち上って言った。
「俺、もう行くけどいい?」
「ああ。行って構わないとも。此方も時間を取らせて悪かった。礼と言ってはあれだが、コレを持っていくといい」
そう言って士道にチョコレートが入った袋を渡す。
「ありがとう。そっちも頑張ってね」
士道はマクギリスにそう言って、十香達の元へ歩いて行った。
「・・・・・さて」
そして、一人になったマクギリスも立ち上がる。
「私も行くとするか。だが・・・・」
マクギリスは今や遠くなった士道の後ろ姿を見て、呟く。
「バルバトスが精霊と同じように霊力と言う物で生成できるのは少々気になる。その辺りを調べるか」
かなり望みは薄いが調べる価値はある。
機体に魂や意識が宿る。それではアグニカ・カイエルの魂がバエルに宿ると言うのは本当なのかもしれない。
マクギリスはそう思い、彼等とは正反対の方へと歩いて行った。
機体に意識や魂が宿る。これがこの先の鍵でもあります!
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