明日は都合上オラトリアの投稿は出来ません!申し訳ありません!
臭くねえんだよ・・・おやっさん
チャド・チャダーン
六月二十二日、午前九時五十五分。
士道は昨日購入した水着とバスタオルなどを詰めた鞄を背負いながら、天宮駅東口のパチ公前に立っていた。
お座りした犬の銅像である。天宮駅の待ち合わせスポットと言われているらしいのだが、士道はよく知ってはいない。
「・・・・・眠い」
若干まだ眠気が残っているのか、士道あくびをしながら琴里達を待つ。
士道はポケットからデーツが入った袋を取り出すと、その袋に手を入れる。
「・・・・?」
手に感触がない。士道が袋の口に目を覗かせると、中は何も入っていなかった。
「・・・また買うか」
士道はそう呟き、袋をポケットへと突っ込む。
無いものなら仕方ない。士道はそう思いながら空を見上げる。
見上げた空は雲一つなく、そして青かった。
太陽の光に目を細めていると、街の方から小さなシルエットが歩いて来るのが見えた。
可愛らしいフリルに飾られた半袖のブラウスに、裾の短い焦茶色のオーバーオールという出立ちで、手に水着が入ったと思しき鞄を提げている。そして、その長い髪を二つに括るのは、使い込んだ黒色のリボンだった。
「おはよう。琴里」
「ん、待たせたわね」
士道は短く返事をすると、琴里が首肯しながら返してきた。
「十香達は?」
「もうすぐ来るんじゃないかしら?一緒に出た訳だし」
「そっか」
琴里の言葉に士道は短く答える。そしてその後しばしの間、沈黙が流れた。
と、黙っている士道に琴里がやれやれとため息を吐いた。
「おめかしした女の子と会って一言もなし?いの一番に教えたと思ったけれど?」
「え?あー、ごめん。忘れてた」
教えてもらっているとはいえ、士道にとっては服装を褒めるというのはあまり馴染みがない。
アトラやクーデリア達がいた時も、普段の彼女達の服装にあまり変化もなかったせいか、そういったところはまだ鈍い所がある。
「まぁ、士道の事だからそこまで興味なんてないでしょうしあまり期待はしてないけど・・・どう、今の私は?」
呆れと、士道の反応を聞いてくる琴里に士道は素直な感想を口にする。
「似合ってるよ」
「・・・・っ」
士道が言うと、琴里はピクリと肩を揺らした。
「俺、そういうのは全く分からないけど、けど今の琴里はかわいいと思うよ」
士道の感想を聞いた琴里は小さく呟く。
「そう。なら良かったわ。こっちも褒められるのは嫌な気、しないし」
「そっか。今度は気をつける」
「ええ。その調子で頑張りなさい。士道」
と。
「うむ!到着だ!」
「は、はい・・・・っ」
『やー、楽しみだねー』
「ふぅ・・・此処まで来るのに苦労しました」
琴里の言葉の後に四つの声が続き、士道は首を声のした方へと向ける。
そこには、出かける準備を万端に整えた十香と四糸乃、そしてこの場に来る筈がなかった真那の姿があったからだ。
「ていうか、なんで真那がこんなとこにいるの?」
士道はそう言って首を傾げる。
その言葉に真那は言った。
「んー・・・なんて言えばいいのでしょうか・・・皆さんがこうして出かけると聞いたのと、兄様が琴里さんとデートすると前々から聞いていたので、十香さん達と一緒にお邪魔しようかなーと。後、私も誘ってくれなかった兄様の気遣いの無さに、すこーしだけ、イラッときましたので」
ついて来ましたと言わんばかりに鞄を持ち上げる。
「・・・士道」
琴里が、睨みつけるように士道に視線を向ける。
明らかに機嫌が悪そうになってはいるが、ついて来てしまったものは仕方ない。
十香達も真那の同行に気にしていないせいか、普通に話あっている。
そんな中琴里はため息を一つ吐くと、士道に仕方ないと言った顔で言った。
「来ちゃったものはもう仕方ないわ。ここで真那を追い返すのも十香達にも悪いし。真那に関しては・・・まぁ、後で本人に聞くとして・・・いいわ」
「?なにが?」
琴里の言葉に首を傾げる士道に、琴里は言う。
「士道の事だから、こうなると思っただけよ。けど、士道。こうなったからには────」
「?」
「・・・・ごめんなさい。何でもないわ」
「まぁ、いいけど」
口籠った琴里に士道は短く返事を返す。
琴里は先程まで口籠っていたのが嘘のように表情や雰囲気を変え、十香達に言った。
「ほら、時間が惜しいから早く行きましょ」
そう言って、十香達と駅の改札へと向かっていった。
そんな彼女達の後を追うように、士道も足を進めるのだった。
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