仕事の邪魔する気?いいよ。まとめてやるだけだし
ソレスタルビーイングに対しての三日月
オーシャンパークは天宮駅から五駅先にあるテーマパークである。
様々なプール施設や大型浴場、屋内アトラクションから成るウォーターエリアと、野外遊園地がメインとなるアミューズエリアの二つから構成されており、夏休みともなれば、遠方からも沢山の家族連れやカップルなどが訪れる人気スポットらしい。
とはいえ、今はまだ六月半ば、屋内施設や遊園地は年中利用できるものの、看板エリアである屋外プールが開放されるのは来月からであるため、客の入りは少なかった。
まあもっとも、人が多ければ士道は水着に着替える事などしなくていいと考えていたのだが。
そんなことを考えていた士道は、着替えを終えて上着を羽織る。そして更衣室から屋内プールへと移動した。
まだ琴里達は着替え中のようである。士道は身体を軽く動かしながら首をぐるりと回し、辺りの様子を一望した。
「テレビで見た時とあんまり変わんないな」
士道は始めて来た所に抱いた感想がそれだった。
まぁ、こんなもんかと思いながらもペタペタとタイルを踏みながら足を進める。と────。
「シドー!待たせたな!」
士道の背から元気な声がかけられる。
振り返るとそこには、着替えを終えた十香と四糸乃、そして真那と琴里が立っていた。
十香と四糸乃の装いは、士道の予想通りだった。昨日、皆で買いに行った水着である。
十香が藤色のビキニ、四糸乃が腰部分にスカートのようなひらひらがついた、淡いピンクのワンピースタイプである。
四糸乃に関しては着替えるのに苦戦していたのを見ていたので、おそらく十香達に手伝ってもらったのだろう。
真那に関しては、学校などで配布されるスポーツタイプの水着だった。買ったというより、持ってきたのだろうか?
そして士道は琴里に視線を変える。
十香達と同じように水着に着替えた琴里が、腕組みをして口にチュッパチャップスをくわえながら立っていた。
白いセパレートタイプの水着である。
もっとも、士道にとって種類がどう違うのか分かってはいないの
だが、それでも琴里達はそれぞれ見た目を気にしているのだろう。
「皆似合ってるじゃん」
士道はそう琴里達に感想を言った。
「士道ならそう言うと思ったわ。士道は詳しい感想なんてしたことないから、そう言って褒めるのよね。まぁ、士道らしいけど」
自身の兄が言う単調な感想に琴里は嘆息の息を吐きながらも、頬を緩める。
そんな琴里の吐息など全く気付いていない様子で、十香が大声を上げる。
「おお!凄いなこれは!建物の中に湖と山があるぞ!」
それに次いで四糸乃が、珍しく興奮気味に頬を紅潮させながら口を開く。
「み、水が、いっぱいです・・・・!」
『はー!テンションあがるねこりゃー!』
「シドー、あの湖には入っていいのか!?」
「いいよ。けど、ちゃんと準備運動してから入ってね」
十香の問いに答えてやると、十香は輝いていた目をさらに燦然と光らせ、声を上げた。
「よし!行くぞ四糸乃っ!」
「は、はい・・・・っ!」
元気よく二人がプールに駆け出していく。そんな二人を見守っていると、視界の端に琴里に視線を向けていた真那の姿が目に入った。
「・・・むむむむ」
「な、なによ・・・」
ジッと見つめる真那に琴里は身を引かせる。そして真那は肩を落とす。
「こんな事なら、新しい水着を買ってくるべきでした・・・」
「そ、そこまでショック受けることなの・・・?」
琴里は引きながらそう呟く。
「別に、本人が気にしてるだけだからほっとけば?」
士道は琴里にそう言って、ペタペタとプールとは反対方向へと足を進める。
「ちょっ!何処へ行くつもり!?士道!」
プールとは反対方向へ足を運ぶ士道に琴里は呼び止める。
「ん?入る前にちょっとあっち行ってくる」
「あっち?」
士道が指を差す方向へ琴里は視線を向けると、そこにはサウナと書かれた看板があった。
「いや、何の為にサウナ行くのよ!?普通プールからでしょ!?」
メインに入らず、何故サウナに行くのだと突っ込む琴里に対し、士道は言う。
「何の為って、汗かいてそれからプール入る方が涼しいじゃん」
「訳分かんないわよ!」
突拍子も無い、デートとも言えないこのデートに琴里は頭を抱える。そうだ、真那にも士道を止めてもらおう。そう考えた琴里は真那に視線を向けるが・・・。
「私も新しい水着を買うべきでした・・・いや、そもそもプライベート用の水着を持っていない私からすればどんな物にすればいいのか・・・・」
未だにショックを受けているツッコミ役が立ち直っていなかった。
「ああ、もう!ほら、真那!しっかりしなさい!!また一緒に買いに行って上げるから早く立ち直りなさい!」
琴里はそう言って、真那を立ち直らせるのだった。
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