デート・ア・オルフェンズ   作:鉄血

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投稿!!

撃っちゃうんだなぁこれがぁ!!


中身がユージンなゾルダン


第十五話

「くそっ!?どうなってんだよこりゃあ!!」

 

ユージンはそう叫びながら戦場と化したテーマパークを走り回る。戦争などこの時代に生まれてからは体験などした事はないが、鉄華団の副団長として、この程度の荒事は日常茶飯事のことだった。

 

「平和な国って話だったが、とんだ嘘っぱちじゃねえか!!こんな時によぉ!!」

 

そう叫ぶユージンだったが、同時にその顔は笑みを浮かべていた。

そう、こんな大事になるとなると必ず“三日月の奴が首を突っ込みに来る“。そんな確信がユージンにはあったのだ。

もし、あの五河士道という二年生が三日月なのだとしたら、確実にこの騒動を起こした元凶を潰しにくる。もし、彼女達が怪我などをしたなら尚更だ。

 

だからこそ、そこを狙う。

 

ユージンにとっての狙い目はそこだ。もし、あの二年生が三日月なら俺が名前を呼んだだけで気づく筈だ。それで俺の姿を見て、ユージンと言えば尚の事、ソイツが三日月だと確信できる。

 

「・・・と、危ねえ!?」

 

倒れてくる街灯を大げさに避けながらユージンは走り続ける。

 

「どこだ・・・どこにいる・・・?」

 

首を左右に振りながらユージンは三日月、もしくはバルバトスの姿を探す。

前者はともかく、後者ならかなり目立つから見つけやすい。

煙や火を上げ、悲鳴が上がるテーマパークを縦横無尽に走り、探しまわる。

一度疲れて足を止めたその時だった。

 

ドゴォォォン!!

 

目の前で何かが勢いよく着地する。

砕けるタイルと共に粉塵が舞い上がる。そしてユージンは目の前の人物を視界に映した。

白を特徴とした装甲。頭部から伸びる二本のツインアンテナ。巨大化した両腕にその手に握られているのは巨大な黒光りするメイス。

鉄華団の遊撃隊長を務め、最後にはオルガと一緒に皆に生きる先の道を作った狼王の名を持つ悪魔。

 

ガンダムバルバトスルプスレクス

 

その悪魔の姿を目に写していたユージンはすぐに叫んだ。

 

「“三日月!!“」

 

アイツにとってもっとも呼び慣れた名前。

頼む。三日月であってくれというユージンのちっぽけな願いと共に、バルバトスの背中を見続けるユージン。

そんなユージンの願いが叶ったのか、バルバトスが此方へと振り向いた。

ライトグリーンのツインアイがユージンを捉えると、そこから響くような声が聴こえてきた。

 

「ユージン?」

 

その声はかつての三日月の声とは違う。

だが、ユージンはコイツが初対面である俺の名前を呼んだ事で三日月だと確信した。

呆気にとられるような彼にユージンは近づいていくと拳を握りしめ、バルバトスの頬の装甲へと殴りつけようとする。────が、三日月がそんな事を許すわけもなく、ユージンの手を掴むと同時、一気に握り返してきた。

 

メキメキメキ!!────と、嫌な音がユージンの腕から鳴り響く。

 

「イデデデデデデ!?三日月!折れる!折れるって!?だから離してくれって三日月!すんませんした!!」

 

「そう?ならいいけど」

 

そう答える士道にユージンは涙目で言う。

 

「いってぇ・・・お前、見た目が変わっても中身が全く変わってねえな。少しは丸くなってるのかと思ってたのによ!!」

 

そう叫ぶユージンに対し、士道はユージンに言う。

 

「変わるわけないじゃん。俺は俺だよ」

 

「・・・そうだな。お前はそういう奴だもんな。何でもかんでもオルガと一緒の道を選びやがってよ・・・」

 

語尾がどんどん弱くなっていくユージンに士道は黙ったままだ。

 

「アトラだってよ、ずっとお前が帰ってくるのを待ってたんだ。それなのにお前は!」

 

「ユージン」

 

ユージンの言葉に士道は口を挟む。

 

「俺やオルガは最初は皆が、家族が幸せになれればいいって考えてた」

 

そう言う士道にユージンは口を閉じる。

 

「けど、俺はオルガが目指した本当の居場所で過ごして、見てみたけど“アトラ達もこんな気持ち”だったんだなって少しだけ分かった気がする」

 

「・・・何がだよ」

 

ユージンは士道の言葉に問いを返す。

 

「守りたい奴や皆がいない帰る場所なんて楽しくないなって」

 

「・・・・・」

 

士道の言葉にユージンは黙って聞いたままだ。

 

「ねえ、ユージン。俺はこの場所で・・・“帰る居場所”ってあると思う?」

 

それは士道の三日月なりの疑問だった。

最初は十香や琴里で自分を誤魔化していた。此処が今の自分の帰る居場所だと。

だが────ユージンを見てしまった今、士道は三日月は考えてしまうのだ。此処は自分が居ていい場所なのかと。

今の時代、自分のような戦う事しか出来ない兵士はいらない。琴里と喧嘩をした時だって、人を殺した時だ。

自分の常識が間違っている。なら、自分の帰る居場所はここにはないのかと。

そんな事を聞いたユージンは言った。

 

「んなもん関係ねえよ」

 

「え?」

 

「自分の居場所が無いって?それはお前の思い違いだろうが!!ないなら作りゃいいだろ!!オルガがしたように!家族を作りゃいいだろ!!この世界だってな、アトラやクーデリアみたいにお前を必要としている奴がいるだろうが!!」

 

ユージンの言葉に士道は呟く。

 

「そっか、ありがとね。ユージン」

 

三日月はそう答えると、ユージンは「ったく」と笑いながら答えた。

そしてすぐに真剣な表情で、ユージンは言った。

 

「で、だ。三日月、この状況は一体どうなってんだ?こんな状況を作り出せるものなんかモビルスーツくらいしか思いつかねえしよ・・・」

 

ユージンの言葉に士道は視線で方角をユージンに伝える。

 

「あれだよ。琴里とあの女がやりあってる」

 

「あん?」

 

士道の視線の先をユージンも見つめる。

目を細めると、焔を放つ琴里と巨大なCR-ユニットで応戦する折紙の姿が小さく見えた。

 

「映画じゃねえよな。つか、あの女の方は確か・・・」

 

折紙を見てユージンはボソリと呟いていたが、すぐさま士道に振り返ると言った。

 

「って、そんなことより早く一般人を避難させねえと、怪我人が増えるぞ。最悪死ぬやつもくるかもしれねえ。彼奴等分かってんだろうな!?」

 

そんなユージンの言葉に士道は返す。

 

「琴里は気にしてるみたいだけど、アイツは考えてないでしょ。両親の復讐するとかって言ってたし。今、それしか頭にないんじゃない?」

 

「さっきから琴里って言ってるけどよ、知り合いか?」

 

「妹」

 

「お前に妹とか・・・マジかよ」

 

そう言うユージンに士道は言った。

 

「で?どうする。被害が広がるけど、その前にアイツを殺せばいい?“副団長“」

 

「────────」

 

士道の言葉にユージンは押し黙る。

確かに元凶は早期の内に潰した方が早い。だが、ユージンはそんな士道に言った。

 

「・・・いや、殺すのは無しだ。三日月」

 

「・・・いいの?」

 

「ああ。今、この場で下手に殺したりすると俺達にも目をつけられる。そうなるのは避けてえ。だから三日月、“アイツの注意を引いてくれ”」

 

「注意を引く?」

 

そう答える士道にユージンは頷いた。

 

「ああ。その間に“俺が車を用意するから三日月は全力でアイツを引き付けてくれ”。説明は後だ!!」

 

「分かった」

 

士道は短く答えて、バルバトスを一度消すと、上着のポケットから携帯電話を取り出した。

そして電話帳を開き、コールボタンを押す。

三度目のコールと共に耳元から聞き慣れた声が響いた。

 

『兄様!!良かった!ご無事でしたか!』

 

「うん。無事。真那、十香達は?」

 

『十香さんと四糸乃さんも無事です!!』

 

真那の言葉と同時に、真那の電話越しから『シドー!無事なのか!!シドー!』と声が聞こえてきた。

 

士道は十香達が無事なのを確認すると、士道は真那に言った。

 

「真那。今から十分したら真那は十香達と一緒入り口に向かって。ユージンが迎えがくる」

 

『迎え?それにユージンって誰ですか!?兄様はどうするつもりですか?』

 

「俺は琴里の所に向かう。時間稼ぎするからなるべく急いでね」

 

『えっ?ちょっと待ってくださ────』

 

真那の言葉を待たずに士道は電話を切る。

 

「ユージン。十分後、遊園地の入口に十香達が行くように言っておいたから頼んだよ。副団長」

 

「おう、任せとけ。遊撃隊長」

 

士道とユージンはお互いに手を出すと、軽くハイタッチをしてお互いのやるべき事へと走っていった。




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