デート・ア・オルフェンズ   作:鉄血

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投稿!!

もうそろそろエピローグになります!
ちなみにどんどん三日月が半身不随に近づいていきます

「おいおい、三日月・・・俺達の出番ねえじゃねえか」


ノルバ・シノ


第十七話

「士道・・・後で覚えてなさいよ・・・!」

 

琴里はそう呟きながら駐車場で彼等の戦いを傍観する。

士道が此方へと向かおうとする折紙を妨害しているのが見える。

まるで、彼女が自滅するのを待っているような戦い方に琴里は疑問を覚えた。

 

「士道がああやって戦うなんて・・・何かあったのかしら?」

 

敵にも味方にも容赦ない士道らしくない戦い方だ。

しかも本人としても、そこまで不本意そうな戦い方をしていないのが動きを見て分かる。

 

「なによ・・・私が言った時はそこまでやらない癖に」

 

そう琴里が愚痴をこぼしていると、遠くからワゴン車が此方へと走ってきているのが見えた。

車体の彼方此方がベコベコに凹んでおり、かなりぶつけたのだろうと見てわかる。

そのワゴン車は琴里に近づくと同時にスピードを落としていった。

そして、琴里の目の前でワゴン車が止まると同時に、後ろの扉が開いた。

そして後部座席に乗っていた真那達を見て、琴里は目を丸くする。

 

「真那!?それに十香や四糸乃までどうしたのよ!!」

 

ワゴン車に乗っていた三人を見て琴里がそう言うと、真那が口を開いた。

 

「に、兄様の指示に従って動いて・・・ヒデーめに遭いました・・・」

 

そう言う真那の言葉に琴里は周りを見渡すと、十香達も車酔いしたのか気分悪そうな色になっていた。

 

「そう言えば誰が運転を・・・」

 

琴里がそう思った瞬間、運転席から声が投げられた。

 

「お前が三日・・・士道の妹の琴里だな?」

 

ユージンの言葉に琴里が答える。

 

「・・・そうよ。そう言う貴方は何者かしら?私から見れば一般人にしか見えないのだけれど?」

 

そう言う琴里にユージンは言った。

 

「俺はアイツの“友人”だっての。アイツの事は昔からの付き合いだから良く知っている」

 

「友人?昔からの付き合い?私は知らないのだけれど?」

 

そう言う琴里に対し、ユージンは言う。

 

「その話は後だ後!次はアイツとの集合場所に向かうぞ!」

 

「アイツって・・・まさか、士道の所?」

 

「それ以外どこに行くってんだ!!」

 

ユージンはそう言ってサイドブレーキを下げる。

そんなユージンに真那が顔を青くしながらユージンに向けて言った。

 

「そう言えば、ユージンさんは免許を持っているので?」

 

「モビルワーカーや船は動かせるし大丈夫だっての!!出発するぜお前等!!しっかり掴まってろよ!!」

 

そう言ってユージンは車のアクセルペダルを踏み出す。

 

「物理法則にまで反逆する運転は止めて欲しいですよ!?」

 

真那の言葉は虚しくワゴン車は暴走するようにテーマパークの中へと侵入する。

途中、障害物があるにもかかわらずユージンはスピードを落とさずに障害物を躱していった。

ガタガタと激しく揺れる車内に真那は叫んだ。

 

「これなら私が運転すれば良かった!!」

 

「これ以上喋んなよ!!舌本当に噛むぞ!!」

 

「おわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

「ちょっと!!止めなさい!!止めなさいってば!?」

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

「討滅せよ─────〈ブラスターク〉!」

 

その声と同時に、至近距離から、魔力光の奔流が士道目掛けて放たれる。

目映く、青白い破壊の光。そんな破壊の光がバルバトスを襲うが、バルバトスは空中でバク転し回避すると同時に滑腔砲を折紙目掛けて引き金を引く。

 

「く・・・防性随意領域─────展開!」

 

折紙が奥歯を噛みしめてからそう唱えると、折紙の周囲に展開されていた随意領域がその面積を減らし、折紙とユニットに張り付くような格好になった。

次の瞬間、滑腔砲の弾丸がその表面へと打ち付けられる。

それと同時にテイルブレードの返しが折紙の脚を引っ掛けるとそのまま士道は自身の元へと引き寄せた。

折紙は完全に引き寄せられる前にテイルブレードから脚を外すと、距離をとった。

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

 

折紙は憔悴した様子で肩で息をしながら折紙はバルバトスを見つめる。

さっきからずっとこの繰り返しだ。

折紙が駐車場へと投げられた琴里を追おうとすると、士道に行かせまいと妨害され逆に引き寄せられる。

逆に折紙は相手が士道である為、全力で排除する事が出来ない。

防戦一方。この戦闘は折紙にとって不利しかない。

妨害を続ける士道に折紙は口を開いた。

 

「何故・・・復讐をさせてくれないの」

 

「ん?」

 

折紙の言葉に士道は反応する。

そんな士道に折紙はさらに言葉を続ける。

 

「〈イフリート〉は・・・五年前・・・私のお父さんと、お母さんを殺したのに─────」

 

「関係ないよ」

 

折紙の言葉に士道はそう言葉を返す。

 

「アンタの復讐だなんてどうでもいい。俺は俺のやることをやるだけだ。それにアンタが邪魔してるだけだから俺は潰してるだけだ」

 

「・・・そう」

 

士道の言葉を聞き、そう答える折紙。

そんな折紙に士道は言葉を続けた。

 

「それにアンタの親を殺した精霊が琴里なのだとしても、その力を封印すれば次は俺が〈イフリート〉の力を持つんだ。なら、その時は“俺を殺しにくればいい“」

 

それなら琴里は関係無いでしょ。と、答える士道に折紙は絶句する。

あくまで折紙の目当ては精霊〈イフリート〉であって五河琴里ではない。なら、その五河琴里が〈イフリート〉でなくなって、五河士道が〈イフリート〉の力を手にしたら?

なら、折紙の復讐の対象はどちらになる?

ただの人間である五河琴里か─────それとも、〈イフリート〉の力を持った五河士道か。

 

「・・・・・っ」

 

その選択に彼女は息を詰まらせる。

 

選べない。

 

折紙の出した答えはそれだった。

選ぶ事など出来ない。今は、五河琴里が〈イフリート〉であるため、選ぶ事は出来る。

だが、士道が〈イフリート〉になった場合は折紙は彼を手にかける事が出来ない。

押し黙る折紙を見て、士道は口を開く。

 

「で、どうすんの?このまま引くか────それとも限界になるまで俺と戦うか」

 

「・・・・・・」

 

武装の殆どを士道に使い果たし、それでも大したダメージを与えられず消耗するのは此方だけ。

だが、折紙は戦うしか他に方法がなかった。

武器を構える折紙に対し、士道はただ黙った立つだけだ。

そんな中、士道はふと視線を折紙から外す。

 

「・・・・・?」

 

そんな士道を折紙は不思議そうに見つめていると、士道は折紙に言った。

 

「・・・時間稼ぎは出来たから俺はもう行くね」

 

「・・・時間稼ぎ?」

 

折紙は士道の言葉を復唱すると同時に、士道はバルバトスのスラスターを吹かせるとそのまま飛び去っていく。

 

「なっ・・・まだ・・・」

 

折紙はそう言った瞬間────激痛が身体に走る。

 

「く・・・活動・・・限界?そんな。こんなところで───」

 

折紙はそう言って───力無く、その場に倒れ込んだ。

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

「おう。やっと来たか三日月」

 

「うん。言われた通り、時間稼ぎは終わったよ」

 

ユージンと士道はそう言って腕を交わす。

それは久しぶりのやり取りでもあった。鉄華団が無くなるまでずっと年長組でやってきた仕事終わりのやり取り。

今となってはもうやる人など自分達くらいしかいないが、それでもやれる事に懐かしさすら覚える。

 

「しっかし・・・お前、本当に変わったよな。こう・・・見た目とか声とかよ」

 

「そう言うユージンは全く変わってないよ。変わったとすれば・・・少し痩せたぐらい?」

 

「うっせぇな、お前に言われたくねえ」

 

そんなくだらないやり取りをするのも懐かしいと感じるほどに笑いながら話していく。

と、士道はユージンに琴里達について聞いた。

 

「そう言えば、皆は?」

 

「おう。今は車の中で休んでるぜ。お前の妹はもう復帰してるんじゃねえか?一番乗ってた時間が短かったしな」

 

「そっか。じゃあ見に行くね」

 

「おう」

 

士道はそう言って足を進めると、後ろからユージンに声がかけられる。

 

「三日月」

 

「なに?」

 

ユージンの言葉に士道は振り向く。

 

「俺はな三日月・・・その・・・お前がこの場所で生きていてよ嬉しかったんだぜ」

 

「・・・・・」

 

「そんだけだよ。んじゃな。行ってこいよ」

 

「うん、じゃあね。ユージン」

 

士道はそう言って琴里がいるところへと歩いていった。




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