そんで、アレが登場!!
まさかそこにいるのが判明!!
俺とアインの関係をセストとやらが喜びそうだと?何を言っている?
ガエリオ・ボードウェン
「こんな所にいたんだ。琴里」
「・・・士道」
士道の言葉に琴里は振り返る。だがその表情は、どこか浮かばれない表情だった。
「どうしたの?」
士道の言葉に琴里は溜息を吐きながら士道に言った。
「士道。貴方、隠していたでしょ」
「ん?」
「鳶一折紙が私を狙っている理由」
「へぇ」
琴里の言葉を聞き、士道は感心するように呟くと同時に琴里は士道に口を開いた。
「どうして言わなかったのかしら?」
その言葉に士道は言う。
「言ったら琴里、ショック受けるでしょ」
「・・・・・」
士道の言葉に琴里は何も言えない。
確かに鳶一折紙に直接言われれば、確かにショックを受けるだろう。その後の行動もある程度予測出来てしまう為、あまり理解したくない。
そんな琴里に対し、士道はこれ以上何も言わなかった。
そんな中、琴里はポツリと言葉を漏らす。
「ねぇ・・・士道」
「なに」
士道は琴里に言葉を返す。
「士道は・・・お兄ちゃんはオルガの為に戦ってるって言っていたけれど・・・本当は何の為に戦っているの?」
「・・・・・」
琴里のその言葉に士道はすぐに答える事が出来なかった。
人を殺してでも自分には戦う意味があると前に言った。その時はオルガの為に戦うと自分は言ったのを士道は覚えている。
なら、今はどう思い、戦っているのか、
士道は少し考えるような仕草をしてから自分の左手を見つめ、士道は────三日月は答えた。
「俺は皆の・・・家族の幸せの為に戦ってる。俺が戦えば皆が狙われずにすむ。なら、俺は皆で帰れる場所に帰りたいから戦ってるって感じかな」
「──────」
士道の三日月の口から出たのは前とは違う答えに、琴里は呆然とする。
これは彼なりの変化でもあった。ユージンと出会い、考え直す事によってその考えを出す事に至ったのだ。
前は皆の元へ帰る事が出来なかった。前に突き進む事しか出来なかったからこそ、本当の居場所がどういった所にあったのかを知ったのだ。
だからこそ、次は皆の元へ帰る。そして皆を守ってみせる。
そんな変化がユージンと出会った事で導き出されたのだ。
その言葉を聞いた琴里は少し苦笑した後、士道に言った。
「何それ。なら、他の精霊を助けるのもその為って言いたいわけ?」
「そう言う訳じゃないけど?」
士道の言葉に琴里はまたも苦笑する。
そして士道に言った。
「まぁ、いいわ。なら、私も頑張らないといけない訳だし?なんなら、鳶一折紙の為って訳じゃないけれど、他の精霊も彼女みたいな犠牲者を出さないよう全力で士道をサポートをしなくちゃね」
「琴里らしくて良いんじゃない?」
そう言う士道に琴里は振り返ると、ふと思い出したかのように言った。
「あっ、そうだ。お兄ちゃん。忘れてた事があるんだけど?」
「なに?」
琴里の言葉に首を傾げる士道に琴里は言う。
「こっちに向いて」
「?」
琴里に言われた通り、顔を琴里へと向ける。
「──────」
琴里はそんな士道に自身の唇を士道の唇へと触れさせた。
士道は唇を介して、自分の中に何が流れ込んでくるのを感じた。
それは十香や四糸乃のときにも経験した時と同じようなもの。
だが、それと同時に──────
「──────」
頭の中へぼんやりとした記憶が流れこんできた。
◇◇◇◇◇
家のすぐ向かい側にある小さな公園で琴里はその日、一人で遊んでいた。
いや、遊んでいた・・・というのは少し違うかもしれない。琴里はつまらなそうにしながら、キコキコとブランコを揺らしていただけだった。
(う・・・、ぇ・・・っ)
泣き出しそうな琴里に頭上から、声がかけられた。
【───ねえ、何を泣いているの?】
(え・・・・?)
顔を上げる。そこには、なんとも形容しがたい人物が立っていた。
そこにいるのはわかるのに、どんな姿形をしているのか分からない。
言葉を認識できるのに、どんな声をしているのかわからない。
そんな『何か』が、そこにいた。
琴里は肩を震わせた。こんな得体の知れない人物に警戒を抱くなという方が無理な話である。
(だ、大丈夫です。もう、おうちに帰るところです)
琴里はそう言うと目を擦り、ブランコを降りて、家の方に走っていった。だが────
【ふうん、お父さんとお母さん、お兄ちゃんもいないんだ。誕生日なのに、寂しいね】
そんなことを言われて、琴里は足を止めた。
(な、なんで、そんなこと・・・)
問うも、『何か』は答えを返してこなかった。その代わり、静かに続けてくる。
【───君が今より強くなれたら、お兄ちゃんも君を認めてくれるのにね】
(・・・っ、それ、は)
【ねえ、もっと強くなりたくはない?お兄ちゃんに心配をかけないでいられるくらいの力が、欲しくない?】
(・・・・・)
琴里が押し黙っていると、その『何か』が小さく笑った気がした。
そして、琴里の方に手を伸ばしてくる。
するとその手の平の上に、小さな赤い宝石のようなものが現れた。ぼんやりとした輝きを放つ、なんとも不思議な物体が。
(きれい・・・)
その言葉に、『何か』はもう一度笑うと、言葉を続けてきた。
【もし、強くなりたいのなら、これに触れるといい。そうすれば、君は誰より強くなれる。お兄ちゃんも、きっと強い君を好きになってくれるよ】
琴里は、ごくんと唾液を飲み込む。
(本当に・・・おにーちゃんが・・・私を、好きになってくれるの?)
【ああ、もちろんだとも】
『何か』が言う。誘うように。誘うように。
琴里は、ゆっくりと手を伸ばし、それに触れた────。
触れて、しまった。
(・・・・!?)
瞬間、赤い宝石が琴里の手の平に溶け入ったかと思うと、琴里は全身が火に焼かれるように熱くなるのを感じた。
それと同時に、琴里の衣服が下から燃えていき────奇妙な和装のようなものに変化していく。
(・・・・ッ!?あ、ああ・・・っ)
全身を襲う炎の熱に顔を歪める。
そして周囲に真っ赤な焔が生まれ、その焔が撒き散らされた。
公園に。向かいの家に。その隣のアパートに。そしてそのまた隣の店に。
街の全てを飲み込んでしまうくらい、苛烈に、猛烈に。
と。その瞬間、上空より一閃の光が地面に突き刺さり、琴里の目の前にいた『何か』が姿を消す。
(え・・・?何───これ・・・)
ようやく全身を襲う痛みが和らいだ琴里は、周囲の様子を見て取れるくらいになったときには────琴里の視界に映る景色は、一変していた。
(あ、あ、あ・・・)
琴里の大好きな家が、公園が、街が燃えていく。
それが自分自身の手によるものであることは明らかだった。
琴里の身体に巻き付いた焔の帯が、視界にあるもの全てを焼き尽くしているのである。
(お・・・にーちゃん・・・!おにーちゃん・・・ッ!)
目から大粒の涙をこぼす琴里の目の前に、巨大な■■が土煙を上げながら着地した。
(ひッ────)
巨大な顔を琴里へと向けながらその■■はジッと琴里を見ている。
周りには赤い一つ目の怪物達が集まってきているのが見えた。
琴里はその絶対的な恐怖に目を瞑り、身体を小さく縮こませる。
だが─────
【やれやれ。“君のような怪物“はお呼びじゃないんだけどね】
『何か』はそう言ってその■■を見つめる。
琴里も弾かれたように顔を上げると、そこには、先ほどの『何か』が立っていた。
(あなた・・・は──────)
琴里は、わなわなと身体を震わせながら『何か』を見上げた。
(わ、私の身体に・・・何をしたの!?私・・・要らないっ、こんな力・・・要らないっ!)
琴里が言うと、『何か』は静かに返答を返す。
【そう。でも少し待ってて。まずは“彼“をこの怪物から引き剥がさないといけないから】
『何か』はそう言って呟く。
『────────────』
■■は『何か』をジッと見つめたまま動かない。
そしてそのまま、■■は光の粒子となってその少年の影の中へと一つ目の怪物と共に消えていった。
琴里は涙で潤んだ瞳で現れたその少年を見る。
(おにーちゃん!!)
琴里はそう叫びながら士道の方へと近寄ると、火傷や肩から腹部にかけて肉を抉ったかのように傷痕が這っていた。
どう見ても助かるような状態には思えない。
【彼を助けたい?】
『何か』はそう言って琴里に視線を向ける動作をする。
そんな『何か』に対し、琴里は士道の方へ視線を戻す。
(おにーちゃんを、助ける方法が・・・あるの?)
【ええ】
そして『何か』は、その『方法』とやらを、静かに語り始めた。こんな場所で言うには、あまりに馬鹿らしい、方法。だけれど、琴里には、他の選択肢などは無かった。
琴里は小さく深呼吸をすると、『何か』の言った『方法』を実行し──────
そこでその記憶が暗転した。
「今のは──────」
士道は若干驚いたような顔をしながら先ほど見た記憶にぼやく。
どうやら琴里も同じようだったようで呆然と声を発する。
「思い・・・出し、た。あのとき・・・わたしは─────あの、『何か』に─────」
そう呟く琴里に対し、士道は自身の影を見つめる。
琴里達の前に現れた“アレ”。あれについては士道も良く知っていた。
モビルアーマー。厄祭戦を引き起こした天使の名を持つ殺戮兵器。
アレが今もなお、自分の影の中で眠っている。
なら──────
チョコの人に言っておくか。
チョコの人なら何とかしてくれそうだし。と、士道は思いながら、琴里に上着を渡した。
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