ある意味、三日月とオルガとの関係性に近いような二人の登場です!!
お兄ちゃん帰ってくるかなー?
まだお仕事だよー
地球にもトウモロコシってあるのかな?
あればいいね!
うん!
地球モロコシー!!
地球モロコシー!!
クッキーとクラッカ
第一話
「・・・なにこれ」
士道は面倒くさそうな心地でそう呟くと、同時に今自分が置かれている状況を再度確認するために目を動かす。
士道の視界には、二人の少女が確認できた。
一人は明るい色の髪を結い上げた、勝ち気そうな少女。
唇の端を小さく上げ、美しい造作の顔に不敵な笑みを浮かべている。
「くく・・・士道よ。何を悩む事がある?御主はただ選べばよいのだ。このわれを。八舞耶俱矢を。さすれば主の望みを何なりと叶えてやるぞ?」
言って、少女────耶俱矢が、まるで演劇でもしているかのような調子で優雅に手を伸ばし、士道のあごをクイと持ち上げてくる。
だが───それで終わりではない。
もう一人の少女は、耶俱矢と非常に────それこそ、ドッペルゲンガーを疑うほどによく似た顔立ちをしていた。
三編みに結われた髪に、どことなく物憂げな色を映す双眸。そしてその肢体は耶俱矢とは違い、肉厚的な魅力があった。
「誘惑。士道、耶俱矢などより、夕弦を選んでください。耶俱矢の貧弱な身体では味わえない快楽を与えてあげます」
言って、指先で士道の頬を撫でてくる。
それらに対し、士道は顔を変えないままだ。
「ふ・・・やめておけやめておけ。貴様なぞに言い寄られては、士道も迷惑というものだ」
「失笑。正攻法では勝てないからと、夕弦の行動にけちを付けるのはみっともないです」
耶俱矢と夕弦は互いに睨み合うと、まったく同時に士道に視線を戻し、これまた同時にバッと手を差し出した。
「さぁ、士道よ」
「質問。どちらを選ぶのですか?」
「・・・・・・」
彼女達の質問に、士道はどうしようかと久しぶりに考える。
そんな士道に、
「なあ・・・我の方が、可愛いだろう?」
「質問。夕弦では・・・駄目ですか?」
二人して上目遣いになりながら、士道に問うてくる。が、士道は動じなかった。
その代わりに別の方向で思考を働かせる。
確かに、自分は精霊を助ける為にこの仕事をしている筈だ。
それなのに・・・
────今士道は、なぜ精霊に“攻略されて“いるのだろう?
士道は溜息を吐きながらそう考えていると、耶俱矢と夕弦がさらにぐいと手を伸ばしてきた。
「さぁ────どちらか一方を」
「請願。選んでください。士道」
そんな二人に士道はまだ、クッキーとクラッカの相手をしている方がマシかも知れないと考えていた。
◇◇◇◇◇
「────それでは、処分を言い渡す」
静かで重い男の声が、直立した折紙の鼓膜を震わせる。
自衛隊天宮駐屯地の一室には今、数名の男たちが居並び、部屋の中央に立った折紙に視線を向けていた。その表情は一様に険しく、まるで折紙を糾弾しているかのようである。
だが、それも当然だった。
なぜなら、今行われているのは、先の折紙の不祥事に対する査問であったのだから。
「鳶一折紙一曹を、懲戒処分とする。もう顕現装置に触れることは二度とないと思え」
「・・・・・・」
予想通りの言葉。表情を変えることもなく細く息を吐く。
とはいえ、あれだけのことをしでかしたのだ。当然といえば当然である。むしろ折紙自身、それを覚悟の上で起こした行動でもあった。
あの精霊さえ。折紙の両親を殺した炎の精霊〈イフリート〉さえ倒せたなら、もう戦えなくなっても構わないと、討滅兵装の引き金を引いたのだ。
だが士道の手によって全て妨害され、それでいてなおかつ、その力はもう士道に封印されているはずだろう。
そうなれば、五河琴里を狙う事は出来ない。すぐに、士道がすぐに飛んでくるだろう。
だが──────その瞬間。
「・・・・?」
突然部屋の扉が開かれ、部屋に居並んだ男たちの視線がそちらに注がれる。
「────ミスター・ウェストコット?」
その怪訝そうな声と顔に違和感を覚え、折紙もちらと後方を見やる。
そこには、一人の男が、秘書と思しき少女を従えて立っていた。
漆黒のスーツに身を包んだ背の高い男である。くすんだアッシュブロンドに、顔にナイフで切り込みを入れたかのように鋭い双眸。歳はせいぜい三十代半ばといったところだったが、どこか不思議な男だった。
その男の顔を見て、折紙は微かに眉を動かした。
DEM社業務執行取締役、サー・アイザック・レイ・ペラム・ウェストコット。
世界で唯一顕現装置を製造することの出来る会社の、実質的なトップである。
「─────ああ、お取り込み中だったかな。これは失礼」
ウェストコットはそう言って、笑みを浮かべた。
その笑みはどこか、気味の悪いものであった。
◇◇◇◇
「ふむ」
マクギリス・ファリドは資料を手にし、先週に起こった件について見直す。
「五年前。この天宮市で起こった大火災。これは〈イフリート〉である五河琴里の起こしたものだったが、その力は彼によって封印されたと。そして問題は─────」
そう言葉を切るのと同時に画像を見る。
荒い画像の中に巨大な機械で出来た鳥のようなものが映っていた。
「モビルアーマー。厄祭戦の禁忌が彼の影の中に消えていったと言う話だったが、その前に接触した“精霊を襲う“ことはなかった。何かしら関係があるのか?」
そう呟くマクギリスの声は誰の耳にも入る事はない。
そんな中で、デスクに置いてある電話のコールが鳴り響く。
「私だ」
マクギリスは電話を取りそう言うと電話の内容を聞き、顔を顰めさせる。
「なに?ウェストコットが日本に?」
マクギリスはそう言うのと同時に窓の外を見る。
「ああ。また、スケジュールを変更しておこう」
そう言って、マクギリスは電話を切る。
そして手を口もとで組むと、この場にはいない三日月に彼は呟いた。
「三日月・オーガス。彼に目をつけられなければいいが」
マクギリスのその言葉は誰にも届く事はなく、部屋に響き渡った。
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