デート・ア・オルフェンズ   作:鉄血

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「とらんす・・・あむ?」

トランザムが言えないアトラ・ミクスタ


第ニ話

「なあ、三日月」

 

「ん?」

 

誰もいない学校の屋上でユージンはパックジュースを飲みながら士道に言った。

 

「期末テストどうだったよ?お前碌に勉強してなかっただろ」

 

「別に問題ないよ。十香は疲れてたけど」

 

「ああ・・・あんまり勉強出来そうな奴じゃねえもんな」

 

士道の言葉にユージンは顔を困らせながらそう呟く。

 

「そう言うユージンは?結構頑張ってたみたいだけど?」

 

「んー。まあ、ボチボチだな。放課後呼ばれる事はねえだろ」

 

そう言って、ユージンは飲みきったパックジュースを握りつぶすと、士道にパスをする。

士道は手に取ったパックジュースをそのまま、屋上から中庭にあるゴミ箱へと投げ入れた。

ボスッと入るパックを見てユージンは士道に言う。

 

「ナイス」

 

「ん」

 

気の抜けた短いやり取り。これが平和ボケと言うのだろうか。

そんな事をしながら、お互い街を眺める。

─────と、ユージンから話題が上がる。

 

「そういや、もうすぐ修学旅行だろ?沖縄か?」

 

「うん。次のホームルームにその話するみたい」

 

士道の言葉にユージンは視線を空へと上げる。

 

「良いよなぁ。三日月は、水着の姉ちゃんを見れんだからよ」

 

「海に行ったって、琴里から阿頼耶識を見せるなって言われてるから特に変わんないよ」

 

「・・・そういやそうだった」

 

士道の言葉にユージンは苦い顔をする。

結局、士道の阿頼耶識をユージンも見せてもらったものの、かつて自分達が付けていたものと一緒だという事だけ。手術なんぞ、当の本人が知らない時点でユージンにも分かりようがなかった。

“キーンコーンカーンコーン“と、チャイムが鳴る。

 

「んじゃ、また明日な三日月」

 

「うん。また明日」

 

そう言う士道にユージンはふと、左手首につけられたミサンガを見て目を丸くする。

 

「なあ、三日月。それってよ・・・」

 

「ん?ああ、これ?十香達から貰った」

 

そう返す士道にユージンは溜息を吐く。

 

「ああ、だからそんなに多いのか。幾つあんだよ・・・」

 

「五つ」

 

士道は指を五本上げてそう言った。

 

「五つって・・・十香と妹以外に誰のがあんだよ」

 

「四糸乃と真那の。後一個は・・・誰のやつだろ?」

 

指を折りながら首を傾げる士道にユージンは呆気に取られる。

 

「・・・誰のってお前、何かに取り憑かれてんじゃねえのかよ」

 

「・・・さあ?そんな気しないけど」

 

「おめぇな・・・」

 

無関心すぎる士道にユージンは半ば呆れながらも、教室の方へと足を進める。

 

「・・・と、そろそろ急がねえと。じゃあな」

 

「うん」

 

士道とユージンはそう言ってお互いの教室へと歩いていった。

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

「シドー!!何処に行っていたのだ!」

 

教室に戻った士道は、早速十香から言葉が投げられる。

 

「屋上に行ってた」

 

「・・・屋上?何をしにだ?」

 

「ユージンと話してただけだよ」

 

「む、むぅ・・・そうか」

 

妙に歯切れの悪そうな声と表情を作る十香に士道は首を傾げる。

 

「どうかした?十香」

 

士道の疑問の言葉に十香がポツリポツリと呟く。

 

「最近・・・シドーはそのユージンとやらにずっと構っているようなのでな・・・その、少しだけ寂しいぞ」

 

「・・・・・」

 

そう言えば最近、学校では十香とあまり喋っていない気がする。

十香は今の今まで口に出さなかったようだが、寂しがっていたようだ。

士道は少し顔を暗くしている十香に言った。

 

「そっか。じゃあ今日は一緒に帰ろうか」

 

「・・・!!うむ!!」

 

最近十香にも構って上げられなかったし、多少は十香のわがままにも付き合おう。

十香の嬉しがりように士道は少しだけ苦笑する。

そんな士道を見て、十香や近くにいた殿町やクラスの皆がポカンと顔を呆けさせる。そんな中、折紙は携帯のカメラをカシャカシャと撮影したが。

 

「・・・?なに?」

 

クラスの反応に士道は首を傾げる。

その士道の疑問に殿町が言う。

 

「いや、だってよ・・・五河がそうやって笑うの始めてみた」

 

「はぁ?」

 

殿町のその一言を聞いて士道は眉を上げる。

そんな士道に十香は興奮したように言った。

 

「シドー!!もう一度!もう一度見せてくれ!」

 

「ちょっと十香」

 

もう一度とせがんでくる十香に士道は困っていると、は以後から教室の扉が開く音が聞こえ、タマちゃん教諭が現れる。

 

「はいはーい、皆さん席についてくださぁい。ホームルームを始めますよぉ」

 

そう言うタマちゃん教諭が士道達の様子を見てくすくすと笑みを漏らす。

 

「あらー、楽しそうですねぇ。みんな何かあったんですかぁ」

 

「シドーがな!!シドーが笑ったのだ!!」

 

興奮気味に言う十香にタマちゃん教諭は「そうなんですかぁ」と楽しげに笑ってから教卓の前に立った。

 

「さ、じゃあ帰りのホームルームを始めまぁす。席についてくださぁい」

 

そう言うタマちゃんに皆が席に着く。士道も席につくと、ちらりと隣に座っている折紙に目を向けた。

先月、琴里を襲った件についてどうなったのかはチョコの人に聞いている。

二ヵ月の謹慎処分と言っていたが、どうやらその件についてASTの偉い奴がその処分を軽くしたらしい。

まぁ、しばらくはコイツの相手をしなくて済むかとしか考えていない士道は視線を戻すと、ボーッとホームルームの話を聞く。

と、タマちゃんが思い出したかのように指に手を当てた。

 

「と、皆さんには帰る前に決めておかないといけない事があるんですねぇ」

 

「はーい、何決めるんですかー?」

 

殿町が手を挙げて、質問を投げる。タマちゃんは小さく頷いてから言葉を続けた。

 

「修学旅行の部屋割りと、飛行機の席順ですよぉ」

 

ユージンと話していた内容に士道は顔を少し上げる。

集団昏睡事件が起こる前にその話が上がっていたが、期末試験も挟んだせいかクラスの三分の一はすっかりと忘れていたようだった。

 

「うふふ、みんな忘れんぼさんですねぇ。さ、じゃ早い時間ところ────っと、そうだ」

 

と、タマちゃんが、何かを思い出したように眉を跳ね上げ、出席簿に挟んであったプリントを取り出した。

 

「その前に。────今回の修学旅行、行き先が変更になりました」

 

『────え?』

 

クラス中の声が、見事に重なる。

それはそうだ。修学旅行まで半月程度しかない土壇場で、行先が変更になるのは士道も聞いた事はなかった。

 

「ええと、それで、どこに変更になったんですか?」

 

再び、殿町が質問を投げる。

 

「えっと・・・或美島です」

 

その言葉を士道は欠伸をしながら聞き流していた。




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