デート・ア・オルフェンズ   作:鉄血

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ソード・オラトリアは今週はお休みです

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こちらの玉座は気に入らないかな?三日月・オーガス

マクギリス・ファリド


第五話

七月十七日、月曜日。飛行機に揺られることおよそ三時間。士道たち来禅高校二年生一行は、太平洋に浮かぶ島に到着していた。

 

「お、おお・・・・!」

 

空港から外に出た十香が、目を丸く見開いて両手をプルプルと震わせる。

だがそれも仕方のないことかも知れなかった。

何しろ今、彼女の視界には、首を動かさなねば把握仕切れないほどの絶景が広がっているからだ。

道路と砂浜の向こうに大海が広がり、水平線が伸びている。空は快晴で太陽の光が海に反射し、美しいグラデーションに彩っていた。

 

「こ、これが・・・海か!」

 

叫び、その大きさを測るかのように、両手をバッと広げてみせる。

だが無論、彼女の小さな両腕に収まりきるほど、大洋は狭くはなかった。さらに興奮した調子で、小さく肩を震わせながら身体を反らす。

士道はそんな十香を見ながら辺りを見渡した。

海、海、海。何処を見ても海が見える光景に、かつて地球に降りた時の事を思い出す。

あの時は仕事で海を碌に眺める事などしなかったが、こう見ると綺麗な所である。

だが、士道は海から漂う臭いはあまり好きにはなれなかった。

潮っぽい臭いと同時に、生き物が死んだ臭いが微かに漂ってくる。そのせいでか士道はあまり海が好きでなかった。もちろん他にも理由はあるのだが。

 

「んー・・・・」

 

首をコキコキと鳴らしながら士道は軽く伸びをする。

飛行機の中で十香と折紙が一悶着した為、寝るに寝れなかったのだ。

 

「ぬ・・・・?」

 

ふと、はしゃいでいた十香が、妙な声を出して辺りをキョロキョロと見回しだした。

 

「?十香、どうしたの」

 

「・・・いや、何か誰かに見られている気がしてな」

 

「・・・・?」

 

士道が首を傾げた瞬間、カシャリという音がして、二人をフラッシュの光が包んだ。

 

「・・・・っ」

 

突然のフラッシュに士道は目を細める。チカチカする目をいまだに細めながら光の方向を見やると、そこには大きなカメラを構えた女性が立っていることが知れた。

ノルディックブロンドというのだろうか、淡い色の金髪を風になびかせた少女である。

明らかに東洋人とは違うはっきりとした目鼻立ちと、白い肌が特徴的だった。

 

「・・・なんかよう?」

 

士道はそう訊ねると、少女がカメラを下ろして視線を向けてきた。

 

「失敬。クロストラベルから派遣されて参りました随行カメラマンのエレン・メイザースと申します。今日より三日間、皆さんの旅行記録を付けさせていただきます。────無遠慮な撮影、申し訳ありません。気分を害されたようでしたら謝罪させていただきます」

 

「・・・・!」

 

士道は彼女の名前を聞いて思い出した。

真那が言っていた最強のウィザード。確かソイツの名前が目の前にいるカメラマンの名前と一緒だと気がついた。

そんな彼女を見て、士道は口を開いた。

 

「別にいいよ。アンタだって仕事なんだろうし。けど、“変な事はしないでよね“」

 

士道の言葉にエレンは「ええ」と答えてペコリとお辞儀して、皆の方へ歩いていった。

 

「なんだったのだ、あやつは」

 

「さあ?けど、一応釘刺しといたし大丈夫でしょ」

 

「釘を・・・刺す?なんの事だ?」

 

「気にしなくていいよ」

 

首を傾げる十香に士道は適当に言って皆が集合している場所へと歩いていった。

 

◇◇◇◇◇

 

「アデプタス1より入電。目標、島に入りました」

 

「六番カメラ、北街区、赤流空港。目標を確認」

 

「こちらからも確認。〈プリンセス〉と〈デーモン〉です」

 

艦橋下段から響く声に合わせ、モニタに少女と少年の姿が映し出される。

AAAランク精霊。〈プリンセス〉と、寸分変わらぬ容姿を持った少女の姿と〈デーモン〉と呼ばれている少年が一緒に歩いている映像を見て、艦長席に腰掛けた初老の男は、小さくうなりながら髭の生えたあごをさすった。

ジェームズ・A・パディントン。DEMインダストリー第二執行部の大佐相当官であり、ウェストコットにこの〈アルバテル〉を任された艦長である。

 

「存外拍子抜けだな。本当にコイツらが精霊なのか?」

 

『────くれぐれも油断しないでください』

 

と、それを返すように、艦橋のスピーカーからエレンの声が響く。

 

『“精霊かもしれない“。それだけで、第一級の警戒をするには十分な理由です』

 

「肝に銘じさせていただきますよ」

 

そんなパディントンの反応が不服だったのか、エレンは微かに眉を歪めた。

 

「・・・ち」

 

エレンに聞こえないくらいの大きさで、舌打ちを漏らす。

最強のウィザードだかなんだか知らないが、親子ほども歳の離れた娘の命令に従わなければならないのは、やはり面白いものではない。

だが、パディントンは与えられた立場と役職を理解出来ないほどの無能ではなかったし、意味もなく悪感情を言葉にしてしまうほど幼稚でもないつもりだった。

 

「それで?どうします?いくら精霊とはいえ、〈バンダースナッチ〉の部隊にかかれば、二人くらい捕獲するのも容易いものでしょう」

 

『いえ、そう甘くはありません。〈デーモン〉が話通りなら〈バンダースナッチ〉でも全滅でしょう。それに、彼は“気付きかけている”』

 

「は?それはどういう────」

 

パティントンはそう言うと同時に────

 

「司令!!」

 

クルーが慌てるような叫び声を上げる。

 

「なんだ!!」

 

パティントンが叫ぶと同時に、画面が視界に入る。

そしてそこに映し出されていた映像には────

 

「な────」

 

悪魔が巨大メイスを振り下ろす映像が映し出された後、ノイズと共にシャットアウトした。

 

「まさか・・・気付いていたのか!?」

 

その言葉と共に、パティントンはこの〈デーモン〉と言われた精霊が他の精霊とは違う事を実感した。

 

◇◇◇◇◇

 

「シドー!何処に言っていたのだ!!」

 

「ん?ちょっとトイレにいってただけだよ」

 

「むう、それなら仕方ないか」

 

士道は十香と一緒に皆と集合する場所へと歩いていった。




実はステルス機能、バルバトス展開時だけウェーブのせいでウェーブが届く範囲内なら無効化される為に結構バレバレだったりする。



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