デート・ア・オルフェンズ   作:鉄血

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投稿!!

ぶっちゃけ言います。
耶俱矢と夕弦、お前等二人言い回しが面倒くさい・・・


いいじゃん昭弘。まだいけそう?

ふん、当然だろ。三日月こそ、遅れを取るなよ。

三日月・オーガス

昭弘・アルトランド



第六話

「十香、急ぐよ」

 

「う、うむ!」

 

士道は早足になりながら後方を振り返り、十香に言った。

あの後、士道は十香とのんびりしながら歩いていた為、いつの間にか学校の皆が移動を始めてしまっていたのである。

 

「ちょっとのんびりしすぎたか」

 

ついでにいくつかの監視カメラを十香にバレずに叩き壊した士道はそう呟きながら、十香と一緒に小走りで走り抜ける。

 

「・・・こっちか」

 

士道は頭の中と鼻で地図と令音の独特な香水の臭いを頼りに最初に向かう資料館へと走っていく。

ついでに右耳に触れて、小型インカムが装着されている事を確認する。

旅行中、十香の機嫌が崩れたときのためにつけておくように言われていたからだ。

最悪、これで連絡を取れば道に迷う事はないだろう。

 

「ぬ・・・・?」

 

と、後方から十香の怪訝そうな声が聞こえて、士道は足を止めた。

振り返ると、また十香が空を見上げているのがわかる。

 

「十香、どうかした?」

 

「シドー・・・何かおかしくはないか?」

 

「ん・・・?」

 

言われて上空に目をやり────士道は呟いた。

 

「なんだあれ?」

 

つい先程まで綺麗に晴れ渡っていた空に、灰色の雲が渦を巻き始めているのが目に見える。

そして段々と、驚くべき速さで、辺りの様子が様変わりしていく。快晴は暗雲に。凪は烈風に。穏やかな海は荒れ狂う大波に。

時間にして、一分も経っていない。

その僅かな時間に、士道たちのいる場所の景色は、一変してしまった。

その光景は大型の台風もかくやというほどの暴風である。近くのゴミ箱が転げでもしたのか、空き缶や新聞紙が視界の中を横切っていった。

 

「ちょっとまずいか」

 

顔を腕で覆いながら、眉をひそめる。

 

「十香、大丈夫?急いで────」

 

「シドー!危ない!」

 

「は?」

 

と、言葉の途中で十香が身体を突き飛ばしてくる。

次の瞬間、金属製のゴミ箱が十香の頭にクリティカルヒットした。

 

「ぎゃぷッ!?」

 

そんな悲鳴を発して、十香がその場に倒れ伏してしまう。

 

「十香!」

 

さすがの士道もこれには叫ぶ。軽く肩を揺らすも、十香は完全に目を回してしまっていた。

 

「仕方ないか」

 

士道はぐったりした十香を米俵のように担ぎ上げると、資料館の方に向かって歩きだす。

気を失っているとはいえ、怪我人は怪我人だ。

十香の傷口を刺激しないようにゆっくりと歩いていく。

そしてどれくらい歩いただろうか。

 

「ん・・・?」

 

士道は、不意に眉をひそめた。

荒れ狂う空の中心。

────そこに、二つの人影らしきものが見えたからだ。

 

「なんだ?あれ」

 

士道はそう思いながら思考を巡らせる。

空を飛ぶ人影だなんて、士道には二通りしか心当たりがなかったからだ。

つまりは────精霊か、ASTのウィザード。

 

「もしかしてアイツら・・・」

 

士道の脳裏に直感がかすめる。

普通では考えられないこの突発性の大嵐。もし、それが精霊によるものだとしたら────

 

「ちっ。こんな時に」

 

もし、あの人影が士道の予想通りのものだとしたら少々タイミングが悪い。士道にとっては先に十香の安全が第一なのだ。士道はぐったりとした十香を担ぎ直しながら、資料館へと向かっていく。

だが。

 

「────!」

 

士道は倒れないように足を踏ん張らせる。

上空で幾度となく激突を繰り返していた二つの影が、一際大きな衝撃波を伴ってぶつかり合った瞬間、今までとは比較にならないほどの凄まじい風が吹き荒れた。

と、上空で激突した二つの影は、互いに弾き飛ばされるように地面へと落下した。

 

────ちょうど、士道の前を挟むように右と左に。

 

「・・・・・」

 

士道はそんな二人を傍目で見ながら、十香をアスファルトの上に寝かせた。

いつでも動けるように身構えながら、彼女達を見据える。

 

「く、くくくくくく・・・・」

 

と、右手から、長い髪を結い上げた少女が、不敵に笑いながら歩み出る。

歳は士道たちとそう変わらない。橙色の髪に、水銀色の瞳。整った造作の面は、しかし今嘲笑めいた笑みの形に歪められていた。

 

「────やるではないか、夕弦。さすがは我が半身と言っておこう。この我と二十五勝二十五敗四十九分けで戦績を分けているだけのことはある。だが────それも今日で終いだ」

 

芝居がかっているような妙な言葉遣いをする女の子に士道は目を向ける。

と、今度はそれに応ずるように、左側から人影が進み出てきた。

 

「反論。この百戦目を制するのは、耶俱矢ではなく夕弦です」

 

と、左側からの声に士道はそちらにも目を向けた。

こちらは、長い髪を三つ編みに括った少女である。耶俱矢と呼ばれた少女と瓜二つの顔をしているのだが、その表情は、どこか気怠げそうな半眼に彩られていた。

こちらの夕弦と呼ばれた少女も、耶俱矢と呼ばれた少女と少々デザインは異なるものの、似たような拘束服のような服を身につけていた。ただ、錠の位置などは耶俱矢とは違い、左側となっている。

 

「ふ、ほざきおるわ。いい加減、真なる八舞に相応しき精霊は我と認めたらどうだ?」

 

「否定。生き残るのは夕弦です。耶俱矢に八舞の名は相応しくありません」

 

「ふ・・・無駄なあがきよ。我が未来視の魔眼にはとうに見えておるのだ。次の一撃で、我がシュトゥルム・ランツェに刺し貫かれし貴様の姿がな!」

 

「指摘。耶俱矢の魔眼は当たったためしがありません」

 

士道と十香達に気づかず、夕弦が言うと、耶俱矢は口ごもり、先ほどまでの大仰な調子を忘れたように叫んだ。

 

「う、うるさいっ!当たったことあるし!馬鹿にすんなし!」

 

「要求。夕弦な耶俱矢に具体的な事例の呈示を求めます」

 

「くく・・・それは、あれだ。ほら・・・次の日の天気とか当てたことあるし」

 

「嘲笑。下駄の表裏と変わらない魔眼(笑)の効果に失笑を禁じ得ません」

 

どうでもいい二人の話を聞いて士道は警戒の顔から真顔に戻る。

そんな士道を他所に二人は話を続けていた。

 

「要求。次いで夕弦は耶俱矢に、シュトゥルム・ランツェについて説明を求めます」

 

「ふ・・・我がシュトゥルム・ランツェに、理に縛られた器など存在しない。有形にして無形。可視にして不可視。ただ刺し貫くことにのみ特化した概念の力よ」

 

「嘲笑。つまり特に意味がないということですか」

 

「わ、笑うなぁぁぁぁぁっ!」

 

耶俱矢が顔を真っ赤にして叫び、両手をバッと広げる。右手首から伸びた鎖がじゃらりと鳴り、周囲に荒れ狂う嵐が強くなった。

今度は夕弦も、それに応じるように構えを取る。

そして、二人は油断なく視線を交じらせたのち、

 

「漆黒に沈め!はぁぁッ!」

 

「突進。えいやー」

 

裂帛の気合いと、気の抜けた声とともに、まったく同時に地を蹴った。

 

「チッ」

 

士道はすぐさまバルバトスを使い、二人の間に向けてスラスターを吹かす。

鎖という掴みづらい得物を狙うのではなく、耶俱矢の振るう腕に目掛けて手を伸ばした。

そして夕弦の腕にはサブアームを拡張して掴みとる。

 

『・・・・!?』

 

がっちりと掴まれた腕はそれ以上動く事はなく、放たれた鎖も力無く地面へと落ちていく。

突如割り込んできた士道に二人は驚愕した顔を向けていたが、士道は気にすることなく二人に言った。

 

「こんな所で戦うな。他のやつが迷惑になるだろ」

 

その声に耶俱矢は口を開いた。

 

「人間・・・か?まさか。我らが戦場に足を踏み入れるとは、何者だ?」

 

「驚嘆。驚きを禁じ得ません」

 

言って、驚いたように視線を浴びせかけてくる。

そんな二人に対し、士道は言う。

 

「そんなことはどうでもいいよ。アンタ達は何やってたのさ。俺達の目の前で」

 

士道の言葉に耶俱矢が口を開いた。

 

「────決闘だ」

 

「決闘?」

 

耶俱矢の言葉に士道は首を傾げる。

決闘とは確か・・・赤い旗を持って────

と、士道がそこまで考えた所で、視線を鋭くした耶俱矢が口を再び開く。

 

「そうだ!我らの神聖なる決闘に横槍を入れるとは、貴様、一体どういう了見だ?答えによっては我が・・・・ええと、シャッテン・ランツェが貴様を貫くことになるぞ」

 

「指摘。先ほどと名前が違います。後、腕を掴まれている以上、こちらとしては何も出来ないのでは?」

 

「い、いいから!夕弦は黙っててよ!」

 

「疑問。夕弦が黙らねばならない意味がわかりません」

 

夕弦が涼しい顔で言うと、耶俱矢が肉食動物のようにぐるるる・・・と喉を鳴らす。

と、今度は夕弦が士道に言った。

 

「質問。腕を離してもらえるでしょうか。流石にこれでは何もできません」

 

「・・・分かった」

 

夕弦の言葉に士道は二人の腕を離すと、元の姿に戻る。

元に戻った士道を見て、耶俱矢は何か思いついたように目を見開いた。

 

「!ああそうか、これなら・・・」

 

「質問。どうかしましたか、耶俱矢」

 

「くく・・・よい方法を思いついたぞ、夕弦よ。我と貴様は様々な勝負をしてきた。それこそ、もう思い当たる種目がなくなるくらいにな」

 

大仰な身振りをしながら耶俱矢は続ける。

 

「だが・・・ひとつ、まだ勝敗を決していないものがあるとは思わぬか?」

 

「疑問。勝敗を決していないもの、とは?」

 

夕弦が首を傾げると、耶俱矢がくくく、と含み笑いを漏らし、士道を一瞥した。

 

「「?」」

 

士道と夕弦はお互いに首を傾げながら、耶俱矢に視線を送りつけると同時に、士道には変な予感を感じながら、耶俱矢の言葉を待つのだった。




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