そしてマッキーの出番もあるよ!!
では、どうぞ!!
見せてくれるのだろう。君達の可能性を───
モンターク
「────っ!副司令、或美島北部の海岸付近で、凄まじい暴風が発生しています!」
或美島上空に浮遊していた〈フラクシナス〉艦橋にアラームが鳴ると同時、スタッフが叫びを上げた。
「暴風が・・・発生?」
艦長席の隣に立った神無月は訝しげにあごを撫でた。
「何か村雨解析官から連絡は?」
「ありません!」
神無月はふむと唸る。問題が発生した場合はあちらから連絡が入るはずなのだが。
「一度こちらから回線を開いてみてください。何もなければそれで構いません」
「了解!」
だが、コンソールを操作し始めたクルーが、すぐに訝しげな声を発してくる。
「通信・・・繋がりません。何者かに通信を妨害されている恐れがあります!」
「ふむ?」
神無月はピクリと眉を動かした。こちらから通信を試みるまで、妨害の存在にすら気づかせないとは一体────
「仕方ありません。少々危険ですが、直接連絡要員を送り込みましょう。高度を千メートルまで下げたのち、或美島北街区に人員を転送、展開した〈世界樹の葉〉を経由して通信を行います。村雨解析官と士道くん、そして十香さんの安否を確認してください」
『────了解っ!』
「さてさて・・・何が出てきますかね」
神無月はそう呟くと同時に、〈フラクシナス〉を包む不可視の壁がゆっくりと消えていった。
◇◇◇◇◇
同、或美島上空高度千メートル。
DEM五百メートル級空中艦〈アルバテル〉の艦橋に、クルーの叫びが響き渡った。
「────!艦長、レーダーに反応が!」
「航空機か?」
「いえ・・・これは、空中艦です!」
「・・・なんだと?」
艦長席に腰掛けたパディントンが訝しげに眉をひそめると同時、メインモニタに空の映像が映し出される。
航空機などではなく、間違いなく空中艦である。鋭利なフォルムの艦体後方に小さな熱板らしきものが幾つもついており、まるで巨大な樹木を思わせた。
「一体どこから現れた」
「突如として反応が出現しました。恐らくですが────不可視迷彩を施していたとしか」
「なんだと?識別信号は」
「不明です。DEM社製の艦には該当する機種が確認できません」
パディントンは渋面を作り、顎髭を撫でた。
「不可視迷彩を搭載している空中艦だと・・・?まさか。DEMインダストリーがテリトリーを用いての不可視化に成功したのはつい最近のことだぞ」
すると次の瞬間、件の艦は仕事を終えたように再びその姿を空に解け消えさせた。
「!反応、消失しました!」
レーダーを監視していたクルーが声を上げてくる。
もう、あの正体不明の艦が不可視迷彩を搭載していることは疑いようがない。他ならぬ自分の目で、その機能を確認してしまったのである。
だが、そんなものが存在するはずは────
「・・・・っ、まさか」
パディントンはハッと目を見開いた。そういえば以前耳にしたことがあったのである。
DEM社以外で唯一顕現装置を持つ組織の名を。
「────〈ラタトスク機関〉」
パディントンがその名を発すると、艦橋にいたクルーたちが息を飲んだ。
DEM第二執行部────DEM社が擁する影の実行部隊に属する者たちならば、聞いたことがあってもおかしくはない。
そう。パディントン自身も、その存在は聞かされていた。────アイザック・ウェストコットその人から、だ。
曰く、DEMより進んだ技術を有する組織が存在する。
曰く、空間震を平和的手段で解決しようという酔狂集団が存在する。
曰く────それは、DEMの敵である。
「発見した場合は、即────殲滅せよ」
パディントンはそれを口に出すと、くつくつと笑った。
「なるほど、私は運がいい」
その場に立ち上がり、クルーに指示を飛ばす。
「主砲用意!〈アシュクロフトーβ〉十号機から二十号機を魔力生成に回せ!目標は───消失した所属不明艦!」
「っ、艦長・・・執行部長に指示を仰いだ方が────」
「構わん!執行部長殿の任務は、〈バンダースナッチ〉隊がいれば事足りる!それさえ確保しておけば文句はないだろう!」
「りょ、了解・・・」
やがて艦橋に低い駆動音が響き、〈アバルテル〉がその針路を変えた。
「主砲、魔力充填完了!」
「目標、所属不明艦消失区域!」
クルーたちの声を確認してから、パディントンは指をモニタに向け、呟くように言った。
「────撃て」
◇◇◇◇◇
「敵の船か」
士道は主砲を発射した空中艦を見てそう呟いた。
ドンパチやり合う空中艦に目を向けながらも、バルバトスから周囲の状況が送られてくる。
「なんだ?コイツら」
「シドー!気を付けろ!何かいるぞ!」
士道と十香を取り囲むように、十体ほどの人影が立ち並んでいたのである。
猫背気味の姿勢でじりじりと距離を詰めてくる人形の一団に士道は目を細めながら戦闘態勢へと入る。
「DD─007〈バンダースナッチ〉・・・といっても、わからないでしょうか」
「あ?」
士道はそう言って振り返ると、人形の影から一人の少女が歩み出てきた。
────随行カメラマンの、エレン・メイザースである。
「・・・アンタか」
「ぬ、おまえは・・・」
士道と十香がほぼ同時に声を発すると、エレンは大仰に首肯した。
「ようやくひとけのないところに来てくれましたね、十香さん、士道さん」
言って士道達を一瞥する。
「しかし、驚きました。まさかあの二人が精霊だったとは。────しかも、優先目標である〈ベルセルク〉ときたものです。つもりにつもった不運の代償としてはお釣りがきますね」
「へぇ」
エレンの言葉に士道はそう呟く。
エレンは手を掲げると、それに合わせるようにして、〈バンダースナッチ〉と呼ばれた人形たちが一斉に姿勢を低くし、士道と十香に向かって飛びかかってきた。
「無駄だよ」
士道は巨大メイスをフルスイングし、〈バンダースナッチ〉をまとめて薙ぎ払う。
装甲がつけられたその身体はくの字にへしゃげながら、近くの防波堤に叩きつけられた。
「────〈デーモン〉に〈プリンセス〉。やはり本物でしたか」
「あ?」
士道は疑問よりも先に眉根を寄せた。一刻も早くあの二人を止めねばならないのに、こんな面倒くさい女を相手するのは少々やる気が失せる。
しかしエレンはそんな士道の思考などまるでお構いなしとばかりに、自分と十香に向けて手を差し伸べるように伸ばしてきた。
「士道さんに十香さん。私とともに来てはくださいませんか。最高の待遇をお約束します」
「行くわけないだろ」
「────ほざけっ!」
二人はそう言うと、エレンは肩をすくめながら言う。
「そうですか。では、少々手荒ですが無理矢理でも来てもらいましょう」
そう言いながらエレンの身体が淡い輝きに包まれ、一瞬の後にはその身にワイヤリングスーツとCRーユニットが装着されていた。
「────〈バンダースナッチ〉隊、しばらく手を出さないでください。音に聞こえた〈デーモン〉がどれほどのものか、少し試させていただきます」
言って、右手で背に備えた剣を抜き、その刀身に光の刃を出現させる。
そして士道を誘うように、くい、と左手の指を曲げて見せる。
「あっそ」
士道はそう言ってバルバトスのスラスターを全開に吹かせ、突撃する。
巨大メイスを片手にバルバトスはエレンへと向かっていく。そして同時に巨大メイスを振りかぶるようにエレンへと叩きつけた。
そしてそれをエレンは片手で握った剣で迎撃するのと同時に────
バキッ!!
「──────ッ!?」
エレンの手にした剣のフーレムが巨大メイスを受け止めた瞬間、“一撃でへし折れた”。
迫りくる巨大メイスをエレンは咄嗟の判断で回避する。
叩きつけられた巨大メイスはコンクリートの防波堤を粉砕し、その破片があたりに撒き散らされて土煙を上げた。
その一瞬で距離を取ろうとするエレンに士道はテイルブレードで追撃するが、エレンのテリトリーに阻まれその動きを止める。
だが、士道はそれに気にすることなく、逃げるエレンへと向かうと巨大メイスをそのまま突き出した。
「────舐めるなッ!!」
エレンはもう一本の剣を引き抜き、それをガードするが、士道はそのガードを崩す為にメイスの先端に装着されているパイルバンカーを射出した。
轟音とともにエレンの剣もろとも形成されたテリトリーをパイルバンカーが粉砕する。
軌道がそれたそのパイルバンカーはエレンに直撃することなくそのまま通り過ぎるが、エレンにとってはその圧倒的な力の暴力に眉をひそませる。
「これは・・・近距離戦では分が悪いですか」
剣を二本ともへし折られた状況にエレンはそう呟く。
最初はどうにかなるだろうと思っていたエレンだったが、バルバトスと接近戦をしている時に出た違和感。
まるで、“自身のテリトリーがバルバトスの周囲にだけ機能していない“かのような────
そこまで考えた所で、エレンは〈バンダースナッチ〉を使い、十香だけでも捕獲しようと手を上げたその時だった。
「────悪いが彼を勧誘しているのは私が先でね。横槍はよしてもらおうか」
その声と同時に、十体の〈バンダースナッチ〉は胴体を斬り裂かれた。
最強さん三日月に喧嘩ふって近接戦した結果、押し負ける。
遠距離戦ならね、どっこいどっこいに持ち込めるのにね・・・
なお、それをするとナノラミネートアーマーのせいで泥試合になります。
そしてマッキーはどっちの機体で出てくるのかな?それは次回!