プリヤ世界にエミヤ参戦   作:yamabiko

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遅くなりましたー。活動報告でも上げていましたが、7月下旬に向けて色々と忙しく、さらに書く内容もごちゃごちゃしてたんで8月頭の更新となりました。

本当はハサン戦はもう終わりにしたかったさ。……でも書きたい内容をぶち込んだら、予想よりもゴールが遠くなってしまいまして。次で終わらせます。


【16】

「あー、もうっ! 何がどうなってんのよ!」

 ルビーが張った結界の中、凛は頭をかきむしる。

 イリヤは目を白黒させて固まるばかり。

 なにしろ鏡面界へと接界(ジャンプ)し、片膝をついたフェイカーの警告の直後、閃光と衝撃が結界の外部で荒れ狂ったのだ。状況が読み込めず混乱するのも仕方がないだろう。

 そんな中、サファイアが冷静な声で収集した情報を提示する。

「約50メートル四方からの神秘の爆発を観測しました。威力はランクB~Cの魔術と同程度ですが、起点の数は二百以上と推測できます」

 それを聞き、時計塔の魔術師二人が絶句する隣で、ルビーが興奮したように身をくねらせた。

「わお! さながらここは地雷原となっていたわけですか! 一斉爆破とか何気にえげつない攻撃ですねー。フェイカーさんは爆弾魔(ボマー)としても、やっていけるんじゃないでしょうか!」

「っていうか、フェイカーさんもこの爆発に巻き込まれているんじゃ……。大丈夫かな」

 カレイドステッキたちが張った結界はイリヤたちの周辺のみである。当然、フェイカーはその範囲には入っていない。 

 イリヤは結界の外に目を凝らした。魔法少女として強化されている眼は容易に夜の暗闇の中をも見通す。

 はたして、フェイカーはすぐに見つかった。

 先ほどの爆発の余韻として残っていた土煙が薄れてゆく中、しっかりと二本の足で立つ姿は、堂々としたものだ。左手にはあの騎士王に止めを刺した白い剣を持ち、隙なく鋭い目を光らせている。

「よかった。無事だったんだ」

 イリヤが安堵する傍らで、美遊は険しい顔でフェイカーを観察していた。

 確かに微動だにせず剣を構える様子は、とても全身に傷を負っている者のようには見えない。もしかしたら見た目以上に意外と傷は浅いのかもしれない。

 けれど。

 美遊は結界から踏み出す。行き先はフェイカーの方だ。

「ちょっと、美遊。先走るものではありませんわ―――」

 ルヴィアの制止の声に耳を傾けることなく、美遊は歩を進める。

 周囲の木々は爆風によってなぎ倒され、視界を遮るものは無い。

 フェイカーは美遊が近寄るのを黙認していたようだったが、自身に手を伸ばしてきたところで、声をあげた。

「下手な感傷は命取りだ。余計な手出しはしないでもらおうか―――美遊」

 美遊は熱した鉄に触れてしまったかのように、一瞬、伸ばした手を引き戻す。

 フェイカーの拒絶に、心が委縮するのが分かった。

 彼は美遊の手など必要ない、戦うのは自分一人で十分だと、言外に告げていた。

 そして―――触れてほしくない秘密をかかえているのだとも。

 美遊自身も重大な秘密を抱えているが故に、その意図を正確に読み取った。

 けれど、ここで退くわけにはいかない。

 美遊はサファイアを強く握り直すと、瞳に強い意志を込めて言った。

「詮索はしない。ただ、治療だけさせて欲しい」

 間近で見たフェイカーの傷は、予想以上に酷い物だった。傷口は引き攣り、爆発の影響か、血が滲んでいる箇所も多数ある。これでは身体を少し動かすだけでも激痛が走っているはずだ。

 だがフェイカーはそんな様子は微塵も出さず、顔を上げたまま、ちらりと視線だけを美遊に落とした。その眼は美遊の真意を探っているようだった。

 美遊は言葉を重ねる。少しでも信用を得るために。

「傷の診断以外の解析術式はかけない。誰だって他人に知られたくはない事情はあると思うから。それに、私はあなたのことをクラスカード回収の仲間と見なしている。ここであなたの力が削られるのは惜しい」

 違う。これではまだ届かない。フェイカーの眼は冷めたままだ。

 美遊は歯を噛みしめた。

 本当は分かってる。フェイカーの言う通り、これは感傷なのかもしれない。

 でも美遊は知っている。

 ――自分の身を顧みずに戦う姿。

 ――心配をかけまいと、痛みを押し殺し平然と振る舞う態度。

 フェイカーの、痛みなど感じていないその様子は、美遊にとっては身近にあったものだった。

 だから美遊は言う。この想いは本心からのものであるが故に。

「隠さないで―――これ以上、私のせいで傷ついて欲しくない」

「美遊様……?」

 サファイアが戸惑いの声を上げる。その発言は、美遊自身がこの騒動の原因であると言っているようなものだ。

 フェイカーも美遊の必死の様子に何かを察したのだろう。ふっ、と目元を緩ませると、僅かにぎこちない動作の右腕を伸ばし、美遊の頭をくしゃっと撫でた。

「……おそらく君だけが全ての原因でもあるまい。だからそんなに自分を責めてやるな」

 フェイカーの声音には優しさと―――僅かな郷愁が含まれているように感じた。

「それに、これらの傷は私の判断ミスによるものだ。君が背負うことでもない。だが―――君の心が少しでも軽くなるのならば、私に拒む理由は無いな」

 美遊はフェイカーへの治療を許されたことに安堵しつつ、早速サファイアと共に治癒の術式を展開する。

 そこへ遅れて駆けつけた凛たちが合流した。

「随分とボロボロね。前のあの余裕ぶった態度はなんだったのかしら? 一人で格好つけようとするから、そんな有様になるのよ」

「美遊に治療までさせて……殿方の見栄のせいでとんだとばっちりですわね」

「せめて、私たちが来るまで現実世界の方で待っていればよかったのに……」

 間近でフェイカーの様子を確認した凛は呆れと挑発混じりの台詞を投げつけ、ルヴィアは慣れない他人への治療に苦戦する美遊を気にし、イリヤは意外に酷い傷口から目を背けつつ溜息をついた。

 多少、気が緩んだ態度だが、敵の気配がないことを確認して結界を解除してきたのだ。アサシンの黒化英霊は先ほどの爆発で倒されたものと、凛とルヴィアは判断していた。

 フェイカーはついさっきの穏やかな表情はなんのその、周囲を警戒したまま皮肉気な笑みを浮かべて言った。

「少々当てが外れてな。アサシンのクラスはどうやらイレギュラーが多いようだ。

 もっとも―――この敵に関して言えば、君たちがいたところで足手纏いにしかならなかっただろうがな」

「―――なんですって」

 地獄の底を這うような声が、凛から発せられる。フェイカーの言いように怒りのパラメーターが早くも振り切れたようだ。

「無制限に魔力砲を放つことができるカレイドステッキが二基、それに時計塔の今季首席候補が二人いて、それでも足手纏い? 贅沢言ってんじゃないわよ!」

「遠坂凛が足手纏いなのはわかりますが、私と美遊まで含められるのは論外ですわ!」

「……ちょっと、なに自分と美遊だけを待ちあげてんのよ」

 無視できなかった凛のルヴィアへのツッコミは当然のことながらスルーされ、

「私もスルーされてるー」

 とイリヤは生気なく笑う。

 それはともかく、凛とルヴィアの反論はフェイカーを揺るがすには至らなかったようだ。

「問題はそこでは無い」

「じゃあいったい何が不満なの―――」

 凛の言葉は不自然に途切れる。なぜなら唐突にフェイカーの両腕が閃いたからだ。

 直後、それぞれの耳元で金属音が響く。

 その残響が宙へ消える前にフェイカーの右手が勢いよく振り抜かれ、背後で何かが倒れる気配がした。

 凛とルヴィアはすぐさま臨戦態勢をとり、宝石を構える。

 一人遅れてイリヤが恐る恐る振り向いてみれば、黒い肌に白い仮面をつけた痩躯の男と小柄な少年が塵となって消えていく様子が目に映った。

「見ての通り、アサシンは複数だ。しかも黒化によって理性が飛んでいる様子も無く、連携をとって攻撃してくる。『気配遮断』のスキルも合わされば、戦闘経験が未熟な子供はいい的でしかなくなる」

 凛とルヴィアは、フェイカーの言う“子供”の範疇に、自分たちも含まれていることに気づきながらも、ただ口を閉じているしかなかった。

 フェイカーが行動に移すまで何も反応できなかった。フェイカーがいなければ、今頃死体を晒していたのは自分たちの方だったのだ。

 一方、イリヤは何が起こっていたか理解できず、呆然とルビーに尋ねる。

「ねえ、ルビー。今の……解説をお願いします」

「そうですねー。まず背後に忍び寄っていたアサシンさん二人が、ナイフを皆さんの首元めがけて投げつけたんですよー。それを察知したフェイカーさんが左手の剣と右手に潜ませていたナイフで叩き落し、今度は更に追加された右手のナイフをアサシンさんたちに投げつけて倒したって感じですかね。ちなみに同時に投げていた二本のナイフは、それぞれアサシンさんたちの頭にジャストミートでした!」

「そ、そこは聞かないでもよかったかな……」

 乾いた笑みを浮かべるイリヤの横では、美遊がジトーッとフェイカーを見つめていた。

 フェイカーが急に動いたせいで治癒の魔術が中断されてしまったのだ。せめて一言くらい事前に言っておいてほしかった。

「すまなかったな、美遊。だが、全てのアサシンを倒すまで私は休むわけには行かないのでな。手間をかけさせてしまうが承知してくれ」

「えっ、さっきので最後じゃなかったの」

 反射的に出てしまったイリヤの言葉に、ルヴィアが厳しい声で答える。

「クラスカードも出現していないですし、この空間が崩落する気配もありませんわ。

 ……まだアサシンは辺りに潜んでいる、ということなのでしょう?」

 ルヴィアに視線で問われたフェイカーは、小さく頷いた。

「ああ、先の爆発でだいたいは削ったが、やはり取りこぼしがあったようだ。……敵が減ってもお守りの対象が増えたのだから、差し引きはゼロだが」

「いちいち嫌味な言い方ね。―――まあいいわ。あなたの治療が終わるまでは私たちが守ってやるわよ。それでさっきの借りは返すわ」

 凛は柳眉を立ててそう言い放つと、何故かイリヤの方へ向かって指を向けた。

「ということでルビー、全員を囲む魔術障壁を展開!」

「私(ルビー)任せ!?」

「使えるものは使う主義なの。無料(タダ)でAランクの魔術障壁を張れるあんたがいるんだから、わざわざ高価な宝石を消費することも無いわ」

 凛のご高説に、イリヤはトホホと肩を落としながらも、魔法を発動させるのであった。

 

 

(あれ? でも私が魔力砲をそこら中に打ち込んだら、それでアサシンさん倒せるんじゃないかな?)

 攻撃の最中に不意打ちされても、フェイカーさんが迎撃してくれるし。

 イリヤはそんな提案をしようと思ったが、凛からの念話(テレパシー)で開きかけた口をパクパクさせる羽目になった。

(いいこと、美遊はできる限り時間を稼ぐこと。フェイカーはアサシンを倒したらすぐに、煙を巻いて逃げようとするはず。大人しく治療を受けている今が、アイツを問い詰めるチャンスよ)

(さすがは小賢しさでのし上がったお人ですわ。まあ、いいでしょう。乗って差し上げますわ)

(……治療は丁寧にします)

 それぞれの念話が飛び交う中、イリヤはこのための宝石だったのかと、内心で手を打っていた。

 ここに来る道中の車で、凛が小さく砕いた宝石を皆に配っていたのだ。何でも、簡易的なラインを結ぶことによって、念話(テレパシー)が使えるようになるらしい。

 そんなに遠く離れるわけじゃないし、普通に話せばいいんじゃない? とイリヤは首をひねっていたが、フェイカーを前にして内緒話をするためだったようだ。

(でも、小さいとはいえ、石を飲み込むのには抵抗があったなー)

 イリヤは強引に飲まされた記憶を思い返す。凛曰く、体内で溶けるから身体を壊すことは無いそうだが。

「で、あんたの言う“当て”っていうのは何なのかしらね。クラスカードの内訳に詳しいことにも関係してるんでしょう? 最後のカードに関する情報も間違っていたら、目も当てられないわ」

 さっそく凛がフェイカーの前言を切り口に、詰問を始める。

 フェイカーは眉間にしわを寄せた

「……さて、どう答えたものかな。私の存在自体が世界の気まぐれというか、もしくは奇跡というべきか」

「下手な御託は並べなくてもいいわよ。時間は無限にあるわけじゃあないんでしょ?」

 凛はフェイカーの口上をバッサリ切り捨てる。フェイカーのこの誤魔化し方、どうやら核心を突く質問だったようだ。

 フェイカーは数秒間、黙考していたがついに口を開いた。

「―――そうだな。まずは伝えるべきことは言っておこう。アサシンの例もあって遭遇してみないことには確定はできんのだがな。―――最後のカード『バーサーカー』の英霊は、おそらくヘラクレスだろう」

「な、ヘラクレス!? ギリシャ神話の大英雄ですわよ!」

 神々と人が混じり合うギリシャ神話の中でも半神半人として誕生し、多くの偉業を達成した世界屈指の英霊である。当然、黒化していたとしても手ごわい相手となるだろう。

「彼は巌のような大男でな。狂化していてもその戦士の技量は衰えず、その腕力だけで大地を割るほどだ。

 さらにその肉体はBランク以下の攻撃を無効化し、十二もの命のストックを持つ宝具であり、しかも既知の攻撃に対する耐性が付くおかげで、いかなる攻撃も二度は通用しない」

 フェイカーはあくまで淡々と情報を出していくが、聞く側は絶句するしかない。

 やけに具体的なのは、この際棚に上げておこう。だが聞けば聞くほど、強大な敵に立ち向かわねばならないプレッシャーがきつくなる。

「うわぁ。なんかすごく強そうー。倒しても倒しても復活してくるってことは、一晩じゃ無理そうだねー」

 イリヤもさすがにヘラクレスの名は知っていた。漫画やゲームのネタにされるくらい有名なのだ。その元となった人物と相対せねばならないとは……色々許容範囲を越えて、棒読みな台詞しか出て来ない。

「これはキャスターさんを倒してみたいに、何日かに分けて攻略した方がよさそうですね! それはもう通い妻の如く! 連日徹夜になってイリヤさんのお肌が荒れに荒れてしまうのが心配になりますがー」

 ……――――チーン。

 痛い沈黙が辺りを包む。

 あんまりなタイミングで発せられたボケに、ツッコむ者は無く。

 ルビー渾身のボケは虚しく滑って終わった。

 羽でのの字を描くルビーを横目に、フェイカーは何事もなかったかのように、更に突き落とすような情報を差し出す。

「残念ながら、命を減らしたとしても、ストックは魔力が供給されれば回復する。この霊脈上の世界では一日もあれば回復は完了するだろうな」

 それを聞きルヴィアは爪を噛んだ。

「なんてデタラメ……。それが本当なら相応の準備が必要ですわね。一晩にAランク相当の十二種類もの攻撃を使用しなくてはならないなんて。最低一週間は用意にかかりますわ」

 Aランク相当ともなると、一発で家一軒が軽々吹っ飛ぶ威力であり、宝石魔術で言えば数千万円クラスの宝石に、何年も魔力を充填させたものを使用しなければならない。

 カレイドステッキたちの魔力砲で一回、『ランサー』のゲイ・ボルグで一回。『セイバー』のエクスカリバーで一回。合わせて三度倒せても、あと九回分は何とかしてそろえる必要がある。フェイカーが『アーチャー』の宝具を提供してくれるのならば、あと八回分になるのだが。

 ちなみに他のクラスカードも「限定展開(インクルード)」させてみたのだが、『キャスター』の歪んだ短剣や『ライダー』の黄金の鞭と手綱はこうした攻撃には使えそうにない。

 ルヴィアは最低一週間と言ったが、エーデルフェルト家の魔術と財力に物を言わせてのことであり、並の魔術師ならば十年たっても揃えられるか分からないほどである。

 だが、ルヴィアの設定する期限に、凛は待ったの声をかけた。

「……ダメよ。この後一週間も間を置けば、霊脈の歪みが現実世界に及ばす影響は予想の付かないほどになる。冬木の地の管理人(セカンドオーナー)として、看過できないわ」

 凛は食い込まんばかりに指を握りこむ。一発二発ならまだしもそれ以上は物理的にも、時間的にも厳しいと言わざるを得ない。しかも一晩に騎士王と匹敵する敵と戦いながらAランクの魔術の連続使用など、不安要素しかない。

 凛のそのしおれた様子に、フェイカーは口元ニヤリとさせ言った。

「ふむ……二日くれるというのであれば、私が六度は殺して見せよう」

 凛、ルヴィア、イリヤ、そして治療に集中していた美遊も目を見開きまじまじとフェイカーの顔を凝視した。

 自信を湛えたその笑みに、誇張などは無い。当然のことを言ったまで、という顔だ。

「あ、あんたは三流の魔術師なんでしょう! Aランクの魔術も扱えるかも怪しいのによくもそんなことが言えるわね! いくら剣術がすごくっても、武器(攻撃)が通用しないのなら、どうしようもないでしょうが!」

「力が無いならば余所から借りてくればいい。……なに、既に分かっていたことだ。後は持ってくるだけだ」

 凛の剣幕をフェイカーは余裕をもって躱す。

「持ってくる……よほど強力な武器をお持ちのようですわね。もしかして『伝承保菌者(ゴッズホルダー)』ですの?」

 もし本当にフェイカーが、神代の宝具を現代まで伝えきる『伝承保菌者(ゴッズホルダー)』ならば、Aランク相当の武器も所持しているも納得できる話だ。

 だがフェイカーは肩を竦めただけだった。これではどちらなのか判断できない。

(ちっ、またあの曖昧な態度……腹が立つのよ! まったくっ。そもそも―――)

「あんたの情報の根拠はなんなのよ! そこが肝心なところでしょう!」

 凛の苛立ちは既に沸点を通り越していた。

 フェイカーを尋問するつもりが、逆に翻弄されてしまっている。

 これではせっかく作ったチャンスが無駄になる。

 この流れを仕掛けた凛にとって非常に悔しいことだが、今この場の流れを握っているのはフェイカーだ。

 それをこちら側に奪うには。

 凛は目を据わらせて指を突き付ける。

 この切り札を切るしかない!

「――――あなたとアーサー王、いえ、アルトリアとのことだって、それに関係していたりするんでしょ!」

「アルトリア? ……っまさか!」

 フェイカーが初めて見せる動揺。

 その様子に凛は目を細め、畳みかけるように追撃をかける。

「ええ、ばっちり見させてもらったわよ。あんたが正義の味方よろしくイリヤを助け出すところから、騎士王とのあれやこれやをね!」

 フェイカーは何とか無表情を貫こうとしているが、頬が引き攣って上手くいっていない。既に耳の赤さはどうしようもなく表れてしまっている。

「カレイドステッキ・ルビー……やはりあの時に切り捨てておくべきだったか」

 足元をすくわれた者の言葉など、凛は聞く耳を持たなかった。

 

「さあ、今度は私たちのターンよ! 覚悟しなさい、フェイカー!」

 




アーチャー、3000のダメージ!
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