プリヤ世界にエミヤ参戦   作:yamabiko

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一話目投稿からわずか一日で閲覧数が1000越えとか・・・|д゚)。ありがとうございます!
プリヤ、すごい人気ですね。もっと書く人がいたらいいなーー。

二話目はイリヤと凛と美遊とルヴィアとルビーとサファイア視点。
エミヤ出て来ないけど、こういう視点からの反応も書きたいんです。


【2】

「ちょっと!? 今の狙撃は一体何なのよ!」

「あの神秘の大きさからいって『宝具』クラスでしてよ!」

「『宝具』って美遊が使ってた『刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルグ)』みたいなやつだよね! でもなんか爆発してたよ?!」

 順に凛・ルヴィア・イリヤの発言である。ちなみにルビーは魔力砲が不発に終わったため、拗ねモードで無言であった。

「あの大橋から発射されたってことは、私たち以外に誰かがこの空間に入り込んでいるってことよね」

 凛が大橋を睨みながら言う。悔しいことに、狙撃者は地上から見えないところに引っ込んだようだ。

 この空間に転移できるのは、カレイドステッキかこのカードの制作者または関係者のみ。そしてカレイドステッキ二機はこちらにある。つまり、大橋にいる奴はこのカードに関する事件の鍵を握っているかもしれない。

「イリヤ、ひとっ飛びしてあれを撃った奴を連れてきなさい!」

「ええっ!」

 凛に指示され、ビビるイリヤ。

「またあの矢が飛んできたら、ルビーじゃ防げないよ!」

「すみませんねー。でもあれはさすがにルビーちゃんでも無理ですー」

 まだ拗ねているのか、ツンツンしているルビー。

 とそこへサファイアを連れた美遊が合流する。あの狙撃によってキャスターは撃墜され、ランサーのカードを使用せずに回収できたため、あまり疲労はしていないようだ。

「あの矢……自分から爆発しているように見えた」

「おそらく『宝具』を自壊させて、内包した神秘と魔力を爆発的に放出したようです」

 上空であの爆発を間近に目撃している美遊の見解に、サファイアが補足と推測をたす。

「そ、それじゃあ、あの『宝具』はもう使えないってことだよね?」

 イリヤが恐る恐る言う。何せその狙撃手を連れてくるのは、自分の役目なのだ。文字通り死活問題である。

「まあそうだけど。……英霊の半身でもある『宝具』を使い捨ての爆弾にするなんて、頭がおかしいとしか思えないわ」

 凛が強い口調で言う。本来『宝具』とは唯一無二の物であり、それを自爆させてまで攻撃に使用するなど、正気の沙汰ではない。

「そんなに大事なものなんだ……」

 普通の世界で育ったイリヤには理解しがたい話である。

「神秘の塊である『宝具』を研究しない魔術師なんていないわよ」

「ええ、全くその通りですわ。自爆させるなんて罰当たりな。それを知った英霊の報復が恐ろしいですわね」

「自爆はだめでも研究はいいんだ……」

 どちらでも英霊さんは怒る気がするけどな~、というツッコミは我慢するイリヤであった。

「まあ、これでクラスカードはしばらく使えなくなっているはずですわ」

「えっカード?」

 きょとんとするイリヤにルヴィアがやれやれ、と首を振って言う。

「カードで『宝具』を限定展開(インクルード)する以外に、『宝具』を用意する術がどこにありまして? 神秘が薄れたこの現代で、『宝具』はそこら中に転がってはいなくってよ」

「はぁ……」

 あまりピンときていない顔で頷くイリヤ。実はこのとき、イリヤの中では嫌な予感が急速に膨らんでいた。

(カード、『宝具』、矢……狙撃。つまりアーチャー。そして私が今日失くしたカードは……!)

 関連性に思い至ったイリヤは、顔から血の気が引くのをリアルに感じた。

「あの、凛さん。いえ凛様。実は言っていないことがあって……」

「ん? 何よ、こんな時に」

「えーと、その、実は、……えーっと」

 目を泳がせるイリヤ。

 更に挙動も怪しくなってきたイリヤに、しびれを切らしたのは、

「もー、じれったいですねー。早く言っちゃった方がいいですよー。

『アーチャーのカードを失くした』って」

 拗ねモードを解除し、いじめっ子モードに入ったルビーだった。

「ちょっと、ルビー、ばらしちゃ――――」

 イリヤの口封じは尻窄みに終わった。何故って? 背後でごごごという噴火音が聞こえてきたからである。

「な、なんですとーー!」

「あなた、なにしてくれてやがりますの!!」

 凛が吼えた。ルヴィアが猛った。

「イリヤ! あんたそれ、どういうことか分かってる!? 悪用されれば町ひとつアボンできるシロモノなのよ! それを失くすって!」

「まったくその通りですわ! この責任は私たちがとらされるのですのよ。私の栄光への架け橋が根本からぶっ壊れますわ!」

「……いや、ルヴィア。それはあるけど今の問題はそこじゃあないし」

 さすがの凛も、少々ずれたルヴィアの発言にツッコミを入れる。

 イリヤは時計塔から派遣された魔術師二人に対し、頭を下げて精一杯の謝罪をした。

「ごめんなさい!」

 イリヤも事の重大さを今さらながらに理解したのである。

 夕方に失くしたことに気が付いたときは慌てたが、後で探せばいいと軽く考えていた。誰かに拾われて使用されるなど思いもよらなかった。

 しかし現実には何者かの手に渡り使用され、そのカードの効力を目撃したのである。もし、現実世界で使用されれば被害はどれほどになるか。

「でも、カードは見つかった」

 美遊がイリヤをフォローするように事実を指摘する。しかし、イリヤを見る目は厳しい。

「先ほどの狙撃に使用された『宝具』、形状は『矢』。よってアーチャーのものと思われます」

 サファイアが分析を告げる。

「でも、昼間に限定展開(インクルード)したときは黒い弓だったよ?」

 イリヤの疑問に、ルビーが答えを返す。

「一人の英霊が複数の『宝具』を持つことはよくあるんですよ~。アーチャーの『宝具』は弓とあの矢で対になっていて、対で限定展開(インクルード)できなかったのはイリヤさんの実力不足だったんじゃないですか~?」

「それは私も実力不足だと言いたいのかしら? ルビー?」

 間髪入れず、凛がぎりぎりとルビーを握りつぶすように圧をかけていく。

 顔が怖い。

「ま、それはさておき。つまり犯したミスはまだやり直しができるってことよ。

 さあイリヤ! 死ぬ気で取り返してきなさい!」

「はい!」

 凛の発破を受けて飛び出すイリヤ。もちろん急いでだが、確実を期すためには慎重に向かうようだ。

「イリヤスフィールだけでは心配ですので、あなたも行ってくれます? 美遊」

「はい。そのつもりです」

 ルヴィアの言葉に、美遊も魔力を固めた足場を展開しイリヤの後を追っていく。

 キャスターのカードを回収した今、この鏡面界はいつ崩れてもおかしくない。

 慎重に行動すべきではあるが、協力して早く狙撃手を捕えるのに越したことはないのである。

 

「大橋の狙撃手はあれから全く動きませんわね」

 ルヴィアがイリヤと美遊を見守りつつ、声をかける。

「こちらの様子を伺っているのかも。さっきまでの魔術大戦の中ならまだしも、今のこの状況で転移した気配を見逃すはずが無い。もしかしたら動きたくても動けないのかもね」

「それはどういう意味ですの? 遠坂凛」

「あら、こんなことも分からないのかしら?」

 ルヴィアと凛の間でバチバチと火花が散るが、こんなことをやってる場合ではないと凛の方が譲歩した。

「まあ、真面目な話、あのカードは魔術協会でも解析はうまくいっていなくて、私たちはカレイドステッキの膨大な魔力任せに使用しているのね。それをステッキ無しで限定展開(インクルード)? 相応の負担があってしかるべきではない? 仮に製作者だとしても、高度な魔術礼装の使用は魔力の消耗を招くわ」

「つまり、弱体化している敵なら、あの子たちでも余裕で捕えられると?」

「ぶっちゃけ、カード無しなら、無限の魔力が供給されるカレイドステッキの前に、大抵の魔術師は撃退できるわよ。

 ……それより、やっぱりこの空間の崩落が遅すぎる気がしない?」

「ええ、何か他に原因が―――後ろ!!!」

 ルヴィアの注意も間に合わず地に倒れ伏す、凛。

 凛を襲った黒い影は、瞬く間に距離を詰めルヴィアも一閃の元、切り伏せる。

 

 新たな強敵は次なる標的を見定め、行動を開始した。




原作のノリを参考にしつつ書いてます。あのツッコミやスーピーディな展開を見習いたいです。

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