妹と仲良くしたいと願ったら女になってしまったのですが!? 作:akatsuki4612
女性になった日
今日から待ちに待った夏休みが始まった。宿題は沢山あるけどちゃんと終わらせれば苦しむことも無いし、家で涼しく過ごせるなんて凄く嬉しい。
家に帰ったら何をしようか。
一日中ゲームをするか、それとも親が借りてきた映画を観るか……考えるだけで楽しみだ
そんなことを考えていると、ふと自分の家が目に止まる。どうやら考え事してる間に、家の前まで着いたらしい。
「ただいまー!」
「ひっ……。お、おかえりなさい……」
家に帰るとその場にいた志穂と目が合った。
彼女は俺の姿を見るなり、怯えてその場に立ち尽くしている
「あ、あぁ……志穂、先に帰ってたんだ」
「う、うん……」
彼女は一言だけ呟いた後、そそくさと自分の部屋へと戻って行った
「志穂、やっぱりまだ……」
彼女の名前は如月 志穂、俺の妹で中学2年生だ。前までは仲が良く、何処へ行くにも俺について回ってたのだが、ある事件がきっかけで今のような性格になってしまった
それは1年前のこと。彼女が中学校に慣れ始めてきた頃に、上級生の先輩から呼び出されたらしい。
放課後、呼び出された場所に行くと先輩から告白された。彼女はそれに対して断ったところ、無理やり襲われたとか。 運良く、その場を通りかかった先生によって助けられ女性の尊厳を失わずに済んだのだが、彼女は男性不信となってしまった
「いつかまた、志穂と普通に話せるようになればいいな……」
そう思いながらも、着替えるために自分の部屋へ向かう
「ナギ、お帰りっ」
後ろから声が聞こえたと思ったら、急に抱きしめられる。
「た、ただいま母さん…急に抱きしめないでよ」
「パパに似てるからつい、ね? 今日から夏休みよね、ナギ。またみんなで海とか祭りとか行きましょうね?」
「うん……そうだね、楽しみにしてる」
今年の夏休みは、また志穂と一緒に海とか祭りに行けるのだろうか? いや、避けられそうだよな……
「最悪、俺は留守番して……志穂と両親だけで楽しんで、心のケアが出来ればそれでいいかな……」
そう思いながら自分の部屋へと向かおうとする前に、母さんに呼ばれた
「ナギ。明日空いてるかな?」
「空いてるけど……どうして?」
「明日みんなでね、神社に行こうと思って。安全祈願に心願成就のね。これから夏休みで、いっぱい危険とかありそうだしね」
「神社……うん、わかった」
「ナギ、何かお願い事ってあるかな? 貴方の歳なら部活とか? それとも彼女だったり?」
「言ったらからかってくるじゃないか……」
「あらあら。からかわれるような願い事なのー?」
「そんなんじゃないけど……志穂の男性不信が治りますようにっていうのが願い事」
「そっか。……うん。その願い叶うといいね、ナギ。昔はあんなに遊んでたんだし、きっと叶うだろうけどね」
頭を撫でられるのは恥ずかしいけど、同時に気持ちが落ち着く
「勝手に頭撫でないで……っ」
「ふふ。ごめんね。パパに似てたから、つい」
「似てるからっていきなりされるのは……」
「ふふふ。さ、そういうわけで明日は予定空けておいてね?」
「……うん」
母さんに振り回されてる気がするけど……気にしない
□■□
次の日、家族みんなで神社へやってきた
「着いたねー。パパ、まずはどこから行きましょうかっ」
「そうだなー……最初にお祈りしてからくじ引きとかしようか」
「くじ引き……大吉当たるといいなあ」
「そうねぇ。まぁ大凶でも結ぶから構わないのだけど」
そう言って志穂は父さんの傍へ寄る。
そういえば父さんも男性なのに志穂は何故か怯えている様子はない。
よく母さんが「パパは普通の男性と違うから」なんて言ってたが、俺にはよく分からない。
「あ、お母さん車に忘れ物しちゃった。パパー、着いてきてー。ナギとシホは、先に二人でお参り済ませちゃってー。おみくじ代も渡しておくから、ねっ」
母さんはそう言って父さんの手を掴んで連れていくと同時に、こちらを向いてウィンクしてくる。
「えっ。お、お母さん……っ!?」
明らかに志穂が動揺している。
「……母さんがああ言ってたし、俺たち2人で先にやろっか」
「あ。そ、の……うん……」
「迷子にならないように……ね?」
2人で境内への列に並ぶ。折角2人きりになったのに何を話せばいいかわからない
「…………」
黙って頷き、付いてくるが……一定の間隔が空いている。やはりまだダメなのだろうか
「あ、俺たちの順番が来たみたいだよ……」
「う、うん……」
志穂は怯えながらも隣へ近づいてくる。
俺達はお金を賽銭箱に入れてお祈りをする
志穂の男性不信が治りますように……そして前みたいに仲良くできますように、と願いを込めて一礼をする
「…………」
志穂は自分から少し距離を置いて、隣で手を合わせている。志穂はどんな願い事をしたのだろうか
「志穂、終わったらくじ引きの所にいこ?」
「……うん」
志穂はオドオドとした足取りで俺の後を付いてくる。大丈夫だろうか……とても心配で堪らない。
そして境内から少し離れた場所におみくじが置いてあった
「志穂の分も入れたからおみくじ引こっか」
「うん……。あ、でも。……その、お母さんから、お金貰い忘れて……」
「……後で貰っとくからいいよ」
母さんはこういう所で抜けている部分がある。まあいつも通りだから気にしないが
おみくじをひとつ取って開けると大凶と書いてあった
「……げ、大凶か」
「あ……だ、大吉……」
どうして兄妹でこうも真逆なのだろうか? そう思いながら中身を見ていると願い事が変な方向で叶うかも、と書いてあった
「どういうことだろう……」
「う、うーん……? でも、お兄ちゃん。その、悪い運勢は、結べばいいって、お母さんが……」
「そ、そうだね……ちょっと結んでくるけど……志穂も付いてくる?」
「うん……い、行く」
2人で歩いてすぐ近くにある結び所でおみくじを結ぶ
「……ぁ、と」
志穂は結ぼうとして、紙を落としてしまうもすぐに拾って結んでいる
「大吉だったんだよね? どうして結んでるの?」
「ひっ……。あ、そ、その。その……」
志穂は怯えながら視線を逸らす。
「あー……驚かせてごめん、無理して言わなくていいからね?」
「う、ううんっ。ただ、お母さんに、大吉でも結んでいいって言われて、その……うん……」
「そ、そっか……まあそれでもいいと思うよ、うん」
「う、うん……」
「ナギー。シホー」
「2人ともここにいたのか」
奥からやってくる母さんと父さん
俺は両親の方を見ると視界の端に何かが見えた。何だろうと思い空を見るも、特に何も無かった
「……気の所為かな?」
「……お兄ちゃん?」
志穂は不思議そうに尋ねる
「あ、いや……なんでもないよ」
「それじゃそろそろ帰るか?」
「そうね。あ、そうだ。昼食、何処かに食べにいきましょうか」
「そうだねー」
それから俺達は昼ご飯を食べに行った。その後もお母さんの提案でボーリングへ遊びに行ったりして、その日は楽しく過ごした。
□■□
「ふわぁ……よく寝た」
目を擦りながらベッドから出る。なんだか胸が苦しい気がする……服のサイズ間違えたかな?
そう思いながら部屋を出て洗面所へ向かう途中で志穂と出会う
「あ、志穂おはよう……」
「……え? えっと、どちら様ですか? お兄ちゃんのお友達、ですか?」
「ふぇ? 何言ってるんだよ……お兄ちゃんだよ?」
「えっ? お兄……ちゃん?」
そう言いながらも俺のことをジロジロ見てくる志穂
何かおかしいところでもあるのだろうか……そう思いながら自分の身体を見てみると……何故か胸元に膨らみがあった
何か入り込んだのかな? そう思って服の中に手を入れて、触ってみる。
「……え?」
柔らかい感触が手に伝わり、それと同時に身体に触れている感覚もある。息を飲みながら、身体のある部分を確認しようと覗いてみる。……有るはずのものが無かった
つまりは───俺は、女になっていた