妹と仲良くしたいと願ったら女になってしまったのですが!? 作:akatsuki4612
今日の夜、近くで祭りがあるらしい。今年は行かないだろうと思っていたのだが……まあ身体がこうなった上に志穂とこうして親しく出来るのもあまりないからと行くことにした。
「祭りはあまり肌が露出するやつだと蚊に刺されるし……やっぱ祭りに行く服はこれかな」
青いジャージを着て、鏡で確認する
「祭りでは色んな服装の人がいるし変な目で見られないでしょ」
「志穂ー準備できたよー!」
「うん? 準備でき……お姉ちゃん?」
浴衣姿の志穂がこちらを訝しげな目で見ている
「……」
志穂の浴衣姿に思わず見とれてしまう。いつもの志穂とは違い、綺麗というか……上品さがある
「おーねーえーちゃんっ」
志穂が顔を寄せて見つめてくる
「え、ぁ……な、何?」
「何って……その格好、何?」
「格好……あぁ、だって志穂が露出が多い服だと変に目立つからやめてって言ったから」
「そっちの方が浮いて逆に目立っちゃうよっ。お姉ちゃんも浴衣着ようよー」
「ゆ、浴衣……俺には似合わないし、着方もわかんないからいいよ……」
「大丈夫! 私が着させてあげるからさ。私だってお母さんに手伝ってもらいながら着たしね。それに、絶対似合うと思うよ。お姉ちゃんの浴衣は」
何故か自信ありげに言う志穂
「そ、そうかな……じゃあお願い」
そう言って志穂は丁寧に着替えさせていく
「浴衣……なんだか動きずらいね」
「うん……まぁ走ったりしなければ問題無いよ。幾分かは大丈夫だろうけどね」
「ふむ……あ、あと胸がちょっと苦しいんだけど……」
「お姉ちゃんが大きいのが悪いの。綺麗に着るためには仕方ないから、我慢してね」
「別に……大きくなりたくてなった訳じゃないのに……」
ボソリと愚痴る様に呟く
「むっ……。それ、お母さんに聞かれたら絶対に怒られちゃうよ? 私はお姉ちゃんより少し小さい程度だし? 別にいいけど」
「子供に嫉妬する親が何処にいるのさ……」
「うちの親。まぁあんまり話してると本当に聞かれちゃうし、ここで終わりにしとこっか」
「そうだね……後々面倒だし、そろそろ時間だろうから行く?」
「うん、そうだね。行こー」
そう言って俺たちは祭りがやっている近所の神社へと歩いていく
「……お母さん達、お祭り2日あるからって今日は来ないんだって。だからさ、今日は2人で楽しもうね、お姉ちゃんっ」
「うん、お金も貰ってきたし……楽しむぞー!」
「ふふっ。うん、だね!」
そんな会話をしていると目的地へと到着する
「まずは何するー?」
「うーん……時間もまだあるし、適当に見つけたものでっ。あ、ヨーヨーすくいあるよー。まずはあれからしてみよっ」
そういって志穂は手を引っ張ってヨーヨーすくいの屋台へと行く
「いらっしゃい! 2人でヨーヨーすくいかい? それともひとり?」
店員であろう男性が俺たちに声をかける
「ひぃ……っ。え、っと……」
相手にバレないよう驚く声を抑えながら、しどろもどろになる志穂
「あー2人です」
「あいよー、300円ね」
そう言われて店員にお金を支払う。志穂は自分の後ろで小さく縮こまっている
「あ、ありがと……」
志穂が小さな声で言う
「いいよ、気にしないで……ほら、志穂の分」
そう言って志穂の分の道具を渡す
「うん……」
「ほら、早く取らないと欲しいの無くなっちゃうかもよ」
「う、うん」
若干怯えてはいるが、丁寧に取っていく志穂
「さて、俺も取るかー」
そう言ってやってみるもうまく取れず、失敗ばかりする
「お、お姉ちゃん。その……こより、短く持った方がいいよ……?」
「そうなの?」
言われた通りにしてもう一度挑戦する。すると今度はしっかりと取れた
「うんうん。あとは……水に濡らさないようにね?」
「うん……水に ……あっ」
ゆっくりとあげようとして水に濡れて落ちてしまう
「あらら……」
「難しいね……これ。1個も取れなかった」
「私は……うん。何個か取れたけど、よそ見してる間に終わっちゃった。お姉ちゃん、私のいる……?」
「遠慮してあげなくてもいいんだよ?」
「そ、そっか……。じゃあ私が持っておくね?」
「はは、次は何する?」
「ん。んー……あ、くじ引きとか射的とかあるね。どっちにする?」
「射的やってからくじ引きしよっか」
「うんっ」
射的の屋台の所へと向かう
「いらっしゃいー、1回200円だよー」
のほほんとした感じの女性が声をかける
「あ、えっと……2人、お願いします」
「まいどー、じゃあこれ弾ね、あそこに銃あるからそれに詰めて使ってね」
そう言って店員は12発の弾を渡す
「ありがとうございます。……お姉ちゃん、はい」
志穂から弾を受け取る
「ありがとう……今度こそかっこいいところ見せるから」
「ふふっ。うん、期待してるね。お姉ちゃんからお先にどうぞっ」
志穂はせずに見学している
「任せてっ!」
そう言って銃に弾を込め、狙いを定めて撃つが、当たりはするものの商品が1個も落ちずに撃ち切ってしまう
「お姉ちゃん……」
哀れみの目でこちらを見ている志穂
「うぐ……難しいんだよこれ」
「ふふっ。じゃあ私がお手本に……」
そう言って撃つが1発目は狙いのお菓子から大きく左に逸れる
軌道を修正したのか、物には当たる
「頑張れ志穂ー」
「うん、頑張る……っ」
何度も撃ち続け、弾を打ち切ると同時にお菓子の箱が倒れる
「やったね志穂!」
「ぁ……うんっ。やったよ、お姉ちゃんー」
店員からお菓子の箱を受け取り、志穂に渡す
「志穂は凄いなー……俺は不器用だから上手くいかないよ」
「お、お姉ちゃんも同じ血の繋がった姉妹なんだし、もっと落ち着いてすればきっと上手くいくよっ」
「かなぁ……うーん……まあ次行こう、次!」
「うんっ」
「次は……」
言いかけてる途中でお腹の音がなる
「……ふふっ。お姉ちゃん、ご飯食べたのにお腹空いちゃった?」
クスリと微笑み、志穂がそう言う
「だって屋台で何か食べようと思っていつもより少なくしたんだよ……」
「そっかそっか。お姉ちゃん、何食べるー?」
「えっと……ホットドッグと焼きそばとうもろこし、そしてラムネ!」
「ラムネー? ラムネって飲み物の?」
「そうだよー志穂もいる?」
「うんっ。お姉ちゃんと同じのが欲しいー」
「おっけー、じゃあ買ってくる……って置いていくわけにもいかないか」
ふと思い出し、頭を掻く
「一緒に行こうか」
「……うんっ」
どことなく嬉しそうに頷く志穂。そして並んでラムネや食べ物を沢山買う
「はむっ……おいひい」
ホットドッグを咥えて、左手にはとうもろこし、右手には焼きそばを持っている
「ふふっ。食いしん坊だよね、お姉ちゃんって」
志穂はラムネ片手に持ってちびちび飲んでいる。他のものは隣に置いている
「ふぇ? そうかなぁ……普通だと思うよ」
そう言いながら焼きそばを食べている
「そうー? 結構な量あるよ? 少しとはいえ、ご飯を食べた後にまだこれって結構凄いよ」
「育ち盛りだからかな」
「そっかぁ……。だから大きくなったのかなぁ」
志穂が視線を少し下げる
「……関係ないんじゃないかなっ」
「ほんとー?」
疑う様な目で見てくる志穂
「ほんとだよっ……それより最後に花火が上がるらしいよ」
「そういえばそうだったね。……うん、楽しみだなぁ」
「今のうちに場所取りに行こっ」
「うん! えっと、花火を見るってなると高いところなら見やすいよね。お姉ちゃん、神社とかその辺に行くー? あそこって高い場所にあるし」
「そうだねー……どうせなら人気の無いとこがいいなぁ」
「ふぇ? ど、どうして……?」
「折角なら兄妹で邪魔されずに二人きりでみたいなぁ……なーんて。ふざけて言っただけー」
「そ、そっか……。うん、お姉ちゃんなら、いいかな……」
小さな声でそう言う志穂
「あ、うん……い、いこー」
二人で神社の方へ向かい、裏側へやってくる。ここには人がいないようだ
「誰もいないね、お姉ちゃん」
辺りを見渡して志穂が話しかけてくる
「そうだね……ここなら静かに見れるし、志穂も近くに男性がいないか警戒せずに見れそうだ」
「……ありがとう、お姉ちゃん」
「どういたしまして、それじゃ花火が上がるまで待とうか」
「うんっ」
花火が上がるのを待っていると放送が聞こえてくる。どうやらそろそろ花火の時間みたいだ
「そろそろ……みたいだね」
「……だね」
「……ふふっ。2人で花火見るのって初めてだね。いつもはお母さんやパパがいたし」
「確かに……言われてみればそうかも……何だか新鮮だなぁ」
そんな会話をしていると、空から音がなった後、少しして大きな光が広がる
「わぁ……!」
「おぉ、かなり綺麗……だ、ね」
そう言いながら志穂の方を見ると、花火の明るさでぼんやりと見える志穂の横顔がとても綺麗で……美しく感じた
「うん……っ」
志穂は空を見上げて花火に夢中になっている
「……志穂」
ゆっくりと志穂の傍に寄る
「……うん? なぁに、お姉ちゃん」
呼ばれて志穂がこちらを振り向く。ただそれだけなのに、相変わらず胸の高鳴りは治まらない……
「……っ」
志穂の背中に手を回して、抱き寄せる
「ふぇっ……!? お、お姉ちゃん……?」
志穂はどこか不安そうな、それでいて期待したような目でこちらを見ている
「悪いことだって、わかってるけど……もし嫌だったらごめんね」
そう言ってゆっくりと顔を近づけ、唇を重ねる
「ん、ぅ……っ」
口付けをしながら力強く抱き締める
「ぅん……っ」
最初はビックリしたのか身体をピクリと震わせるも、それ以降は抵抗する素振りも見せずに受け入れている
「ぷはぁっ……俺たち、何やってるんだろうね……兄妹同士なのに……」
「ふぇ……? そ、そんなこと、言わないで……。お姉ちゃんから、ううん。お兄ちゃんから求めてくれたんだから、さ……」
「……元々お兄ちゃんは避けちゃって、悪いと思ってたから。これくらい、なら……」
「……そっか、ありがとう」
抱きしめながら頭を撫でる
「わふぅ……」
志穂は撫でられて心地良さそうにしている
「そういえば志穂、ずっと悩んでた胸のドキドキの正体……わかったかもしれない」
「……え? な、なんだったの?」
「もしかしたら……俺、志穂の事が───」
「おやおや……こんな所に女性2人だけなんて危ないですよ?」
覚悟を決め、言っている途中で知らない男性がこちらへ歩いてきた
「えっ? ぁ……」
志穂は声の主の方を向くと、身体を小刻みに震わせる。顔を見ると恐怖に当てられ、今にも泣き出しそうだ
俺は志穂を庇うように前に立つ
「誰ですか貴方は」
「柴田 赤穂です、志穂さんならよく知っていると思いますよ?」
男性はそう言って怪しげに微笑むのだった───