対魔忍世界に転生したのに何でまだ処女なんだ?!   作:ごんざれす

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今回ちょっとシリアス気味
やっぱ対魔忍世界にいたらシリアスの一つや二つは抱えるもんでしょう

では、どぞ


雅蠱一族

昔々ある所に雅蠱という小さく弱い対魔忍の一族がおりました

小さく弱かった雅蠱一族は近くにいた大きく強い一族の小間使いのように扱われ、とても惨めな生活を送っていました。

 

そんな生活が続いたある日、雅蠱一族の当主が言いました

 

 

「私達がこのような不遇な扱いを受けているのは弱いからだ。弱肉強食のこの世では力こそが全てなのだ。

だから、我々は強くなる。我等の子孫たちが我々と同じような扱いを受けないために、我々は強くならなければならない。

故に、散るのだ同志たちよ。各地に散らばりそれぞれが強者の教えを受け、技術を身に着けるのだ。さすれば我等は強者になり、子孫も不遇な扱いを受けなくて済む」

 

 

当主の言葉に従い、一族の皆は日本各地に散らばりいずれも名を馳せたもの達の教えを受け技術を身に着け始めた。

一族が散り散りになってから数代過ぎ、古今東西ありとあらゆる技術を身に着けた一族の者たちは今一度故郷に戻り、互いに身に着けた技術を組み合わせ、融合しどのような武器にも相手にも対応できる最強の流派を作り上げた

 

しかし、それでも彼らは強者にはなれなかった

 

 

彼らは至高の技術は身に着けたものの、実戦経験がほとんどなく、いざ実際の戦いとなると技術を存分に発揮することなく敗れてしまったのだ

 

 

「俺達は技術ばかり身に着けたでくのぼうだ。結局強者って言うのは戦いの中でしか生まれねえ」

 

 

当時の当主の言葉を肯首した一族の皆は戦いの中に身を投じた

対魔忍同士の戦いがあればそこに参入し、魔族が暴れていると聞けば直ぐに馳せ参じ討伐した。

戦いの中で身に着けた技術は昇華され、より実践形式に対応した形となっていった

そして戦いの中に身を投じてから数代、彼らはいつの間にか対魔忍の中でも名のある強者の一族となっていた

 

しかし、先祖の悲願であった強者になれたというのに、一族は止まらなかった

何故なら彼らは”強者”ではあったが、”最強”ではなかったからだ

 

先祖の目的であった、子孫に辛い思いをさせない為に自分たちが強者になるという願いは、いつの間にか忘れられ、ただただ力をつけて”最強”になるという目標に代わっていたのだった

 

何かを成すために力をつけるのではなく、力をつけるために何かを成すという歪な目標に誰一人として気が付くことは無かった

 

 

 

”最強”を目指す一族が次に目を付けたのは、『身体能力』『才能』『対魔忍の異能の力』だった。

だがそのどれもは自分たちの努力でどうにかなるものではない。故に彼らが行ったのは――――――

 

 

「――――――”交配”です。生まれ持って恵まれた体躯を持った男には一族の女を宛がい、天才的な戦闘の才能があった女には一族の男を宛がう。時には特異な異能を持った女を力尽くで手籠めにし、無理矢理に子を産ませたこともあったそうです」

 

「”交配”だと?!そんな馬鹿な!人をそんな馬や犬みたいに……!そんなの人としてやって良いことじゃない!」

 

「ええ、私もそう思います。……ですが、雅蠱一族にとっては”最強”になるためにはどんな非人道的行為をしたとしても些事に過ぎませんでした。そういう一族なのです、雅蠱一族とは」

 

「くっ………」

 

 

納得できないという風に顔をしかめるお館様に、そんなことが行われていたとは夢にも思っていなかったであろう2人は顔を青くしていた

けど、これで終わりじゃないんだよね、残念だけど

 

 

「そして”交配”を始めてから数代経ち、一族は更なる力を付けました。しかし、彼らは止まらなかったのです。何故ならこの世には対魔忍より強い存在が無数にいましたから」

 

「………魔族か」

 

「ええ、一族は次の”交配”相手を魔族に決め、実行に移しました。

より強い肉体を手に入れるためにオークと交わり。より強力な異能を手に入れるために、強力な力を持った鬼族と交わったりと、とにかくありとあらゆる魔族と”交配”を何代にもわたりし続けて、そして一族最後の子の私が生まれました。………これが雅蠱一族というものです」

 

 

私の姿は、運良く普通の人型に角が生えただいぶマシな見た目だけど

他の一族の連中は最早人とは呼べないような姿をしたやつが多かった

ほぼほぼオークみたいな見た目、しっぽが生えてる、肌が赤くて棘が付いてる、とか。それはもう何の情報も知らない人が見たら魔族と勘違いしてしまう程には雅蠱一族は人間からかけ離れていた

だから基本的に一族の連中は対魔忍スーツと覆面で姿を隠していた

 

 

「……成程。納得はしないが、……理解はした。

1つ聞きたいんだが、雅蠱一族はいつふうま一門に?」

 

「”交配”を始めたときです。才覚を持った者を見つけるのに一族だけでは限度がありましたので、当時最も対魔忍の中で力を持っていたふうま一族に仕え、強者の情報と引き換えに力を貸す盟約を結んだのです。」

 

 

雅蠱にとっては強者の情報を手に入れられるし、戦場にも出られる、資金的な援助も貰える。

ふうまにとっては、援助と情報さえ渡していれば権力なんかに興味が無いから裏切りの心配なく、その強大な力を奮ってくれるんだから、両者にとって利益しかない盟約だった

それ以降雅蠱の力は更に強大になって、同時に力を求めるために何をしてもいいという考えも加速していった

 

 

「その……七ハさんには鬼族の血が……?」

 

「この角は私の血縁上の母が鬼族だったようなのでそれが色濃く出たのでしょう。実際には様々な血が混ざっていますので、角だけで済んだのは不幸中の幸いでした」

 

「そ、そうですか……」

 

 

まあ実際の所は角だけじゃないんだけどさ、ちょっと本気出して戦おうと思ったらその血が騒いで色々体に変化が現れるから出来るだけ本気では戦いたくないんだよね。

まあここ10年ぐらいは本気何て出さないでやってこれたから、これからもそうしていきたいもんだねぇ……ま、流石にエドウィン・ブラック相手にするときはそうはいかないんだろうけどさ

 

 

「雅蠱一族については分かった。けどそこからどうして一族殺し何てことに?」

 

「そうですね………雅蠱一族にはある儀式があります」

 

「儀式?」

 

「ええ、一族の当主となる権利がある者が受ける儀式です」

 

「その儀式って一体…?」

 

「”蠱毒”というものをご存じですか?」

 

 

私の言葉に鹿之助君と蛇子ちゃんは知らなかったようで首を傾げているけど、どうやら知ってたらしいお館様の表情はみるみるうちに青く染まり、それと同時に声を荒げさせてテーブルを叩いた

 

 

「まさか!そんなことがあって良いはずがないだろ!!」

 

「ふ、ふうま?どうしたんだよ一体?!」

 

「……ふうまちゃん”蠱毒”っていったい何なの?」

 

「っ………!”蠱毒”っていうのは中国に伝わる呪術の一つで、小さな入れ物の中に大量の生き物を閉じ込めて共食いさせるんだ……!そして……唯一生き残った1匹を呪詛の媒体に使うというものだ……。それを当主になるための儀式でやるってことは……」

 

「「!!!」」

 

 

お館様の説明で雅蠱一族で何が行われていたか思いあたった2人は、否定して欲しいという感情をこめて私を見つめる。けど、残念ながら私はそれを肯定するしかない。だって事実だから。

 

 

「そうです、その儀式とは当主になれる可能性がある子供たちに殺し合いをさせることです。

そして唯一生き残った1人が当主として、更なる力を求めるために戦い、そして更なる力を手にするために種を残すのです。それが雅蠱一族の儀式です」

 

 

「「「…………………」」」

 

 

少しの違いはあれど人々のために魔の者と戦う対魔忍の中でそのようなことが行われていたとは夢にも思っていなかった3人は驚愕に目を開きながら押し黙ってしまった

 

まだ子供である3人にこれ以上伝えるのは酷かなと思いつつも、これから部隊として動く中で必ず常軌を逸した悪に出会うことはあるだろうからその耐性をつけるためにも私はもっと細部まで話すことにした。

まぁ、主に自分語りになってしまうんだけど

 

 

「当時の雅蠱家の当主には私を含め12人の子供がいました。12人は生まれてから一度も会うことなく、ひたすら鍛錬をし、時には実際の戦場に立つこともありました。

私も当時はどのようなことが行われるのか知らずただ、世話役の言う『12歳になれば兄弟たちに会えますよ』という言葉を聞いて、そのためだけに厳しい鍛錬にも耐え忍んできました」

 

 

ホント、楽しみだったんだよねぇ……兄弟に会うの

私前世は兄も姉も弟も妹もいなかったからさ、どんな感じなんだろうって凄い楽しみにしてた。でも、その期待は大いに裏切られた

 

 

「いざ12歳になり、兄弟に会えると聞かされて一族の屋敷の地下にある鍛錬場に行くと、いきなり兄弟たちによる殺し合いが始まりました。

私はその儀式について何一つ聞かされていなかったのですが、どうやら私以外は儀式の内容を聞いていたようで何も迷いもなく襲い掛かってきました。全員が私に」

 

「全員が?!どうして!」

 

「私は兄弟の中でも群を抜いて強かったのです。

その情報をそれぞれの世話役は共有していて、まずは私を狙うと結託していたのです。

初めは会えるのを楽しみにしていた兄弟たちに襲い掛かられたことへの悲しみと恐怖からろくに動けませんでしたが。追いつめられてしまった時に無意識のうちに体が動いて、兄弟の一人の首をへし折っていました」

 

 

こんなことになるんだったら何で今まで私はつらい鍛錬を我慢してきたのかって思って、あの時はもう死んでもいいって思ってた。

けどけどこの特殊な体と、教え込まれた技術、そして生物としての本能が体を勝手に動かして1人を殺していた

 

 

「それ以降も身体が勝手に動き、1人、また1人と兄弟を殺していき、いつの間にか私は最後の1人になっていました。」

 

「そんな……」

 

「酷い……」

 

「全てが終わり返り血に塗れて呆然としている所に一族の皆が集まってきました」

 

 

その儀式のときは一族全員が集まることになってたらしくて、パチパチと拍手をしながら笑顔で私を取り囲んでいった、その光景は今でも忘れられない。あの最高に狂った光景は

 

 

「そして私の父、雅蠱家当主が私の頭の上に手を置き言ったのです『よくやった、お前は最高傑作だ』と。

そこから先は記憶がありません。気が付いたときには一族全員の死体が辺り一面に転がっていました。」

 

 

そこに現れたのがお館様の父親であり、当時のふうま一門当主のふうま弾正だ。

この儀式には雅蠱一族以外に唯一、ふうま宗家の当主を招くのが通例になってたらしい。

主に自分たちはこれほどまでに強いとアピールするためなのか、逆に俺達を裏切るなよという警告だったのかは定かじゃないけど、とにかく弾正はこの場にいた。

弾正は惨劇を目にしていたのにもかかわらず、私を怖がることなく、むしろ面白がるように監察して、そして

 

「お前を”人間”にしてやる。だから引き続き俺に仕えろ」

 

と言ってきた。

呆然としていてよく考えられなかったのもあるけど、何かその堂々とした振る舞いから私は何か感じ取って、跪いたりはしなかったけどコクリと頷いた

それを見て弾正は笑い、ついて来いとだけ言って屋敷を後にした。それが私と弾正との出会いで、そして改めてふうまに仕えることになった経緯だ。

ま、この辺は蛇足かな

 

 

「以上が”一族殺し”の真実です。

独立遊撃隊への入隊は決まりましたが、今の話を聞いてこんな奴とは一緒に戦えないというのであればおっしゃってください。代わりを用意しますので」

 

 

これが真実だけど、実際資料とかも残ってないし、私の主観的な視点でしか語ることが出来ないからね。信じられなくても無理はないし、普通は信じられないと思う。

だから入隊の是非の判断を今度は3人に委ねる

勿論私は入りたいけど、私だけの都合で入って互いに信用できなかったらいつかとんでもないことが起きるかもしれないからね。そこは3人が判断してもらわないと

 

私の話すことは終わったから紅茶を飲んで一息つく

重い空気の中一番に口を開いたのは鹿之助君だった

 

 

「お、俺は。雅蠱さんと一緒に部隊をやっていきたい。雅蠱さんの話も全部本当だったと思う。勿論確証はないけど、話してる時雅蠱さん辛そうだった……あれは演技じゃないって感じたんだ!

だから、一緒に戦って、活躍して!雅蠱さんは”一族殺し”なんかじゃないって、正義の対魔忍なんだって皆に知ってもらいたい!

だから俺は雅蠱さんには部隊に入って欲しい!」

 

 

……っ

ホントにいい子だ、この子は

 

 

「私も同じよ鹿之助ちゃん。

私を叱ってくれた七ハさんが悪い人だなんて思えない。今も懲罰部隊っていう大変な部隊にいるのに、私達にも手を貸してくれるなんて言ってくれる人だもの、私も信じる。七ハさんに部隊に入って欲しい」

 

 

……ごめん蛇子ちゃん。

この部隊に入りたいって言うのは思いっきり私情なんだ。

しかも男目当てっていう………ホント……あの………すみません………

 

 

「勿論俺も同じ気持ちだ。俺はこんなだけど一応七ハの主でもあるんだ。主が配下を信じないでどうするって話だろ。だから俺も信じる、部隊に入ってくれ七ハ。そして一門の皆にも言うよ、七ハは一族殺しなんかじゃないって」

 

 

信じるかは微妙な所だと思うけどね、実際この話して信じたのって半々ぐらいな感じだし。それにもし”一族殺し”の誤解が解けたとしても裏切りの件があるからね。一番大きいのはそこだし、私はしゃべれないってことになってるから、そこの誤解は解けないだろうから

 

ともかく、3人が私を信じてくれたので部隊への加入は中止になることなく確定した。

ホントに、本当にいい子達だな

 

 

「ありがとうございます。どうやら私は良い上司と、いい仲間に恵まれたようですね」

 

「改めてよろしくな七ハ、骸佐を止めるのに力を貸してくれ」

 

「……勿論です」

 

 

……信じてくれた手前言いにくいんだけど、二車の潜伏場所把握してんだよなぁ……罪悪感

とにかく力を貸せるところは全力で貸すよ、鍛錬もつけてあげるし。そこは本気

 

こうして正式に私の加入が決まり、お館様を隊長とした独立遊撃隊は始動した

ちなみに私の立場は平隊員ということになった。お館様と蛇子ちゃんは副隊長をやって欲しいって言ってきたけど、鹿之助君がやりたそうにしてたからそこは譲った、ちょっとでも好感度は稼いどかないとね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日、私は一つだけ嘘をついた。

隠したという方が正確かもしれないけど、それでも確かに嘘をついた

 

私は兄弟たちを殺した後、父親でもある当主に『よくやった』と言われた後気づいたら死体が転がっていたと言ったけど

 

本当は覚えているし、そして自分の意思で殺した

 

会いたかった兄弟に殺し合いをさせたのを許せなかったのは本当だし、ある意味私は裏切られた被害者でその殺しは正当な復讐だという人もいるかもしれない

けど違う、私が嘘をついた理由は自分の行為を正当化しようとしたとかじゃなくて

あの時、一族の連中を殺している時

 

 

とてつもなく楽しかった

 

 

楽しかった、楽しすぎて身内を殺しているというのに湧き上がる感情のまま大声をあげて笑ってた。あんな喜びの感情は今世でも、そして前世でも感じたことがなかった。それぐらい楽しかった

 

 

私の中には”鬼”がいる

遺伝子としての鬼じゃなくて、破壊衝動、殺人衝動を持った本当の”鬼”が

それが私は怖くてたまらない。その衝動を性的興奮に昇華……と言っていいのか分からないけど。置き換えてるから私は何とかなっているけど

………もし、子供が生まれたとしてその子が”鬼”だったら?

 

 

処女理由6つ目『子供を作るのが怖い』

私は子を正道に導けるのだろうか?

導けなかったら自分の唯一の血縁を殺すことが出来るのだろうか?

万が一殺してしまって、そして喜びの感情を覚えてしまったら?

 

こわいこわいこわいこわいこわいこわい

 

この悩みに関しては誰にも打ち明けられていない

友人にも、部下たちにも。

この悩みを1人で抱えて生きていくことになると思うと、とてつもなく気が滅入る

……いつか、話せると思う相手に出会うことは出来るのかなぁ………




唐突な重い設定
主人公がどんどん属性過多に……

まあこれ以降は軽い感じに戻しますので引き続きよろしくお願いします


誰得?!オリ設定解説コーナー

〇雅蠱一族
目標はき違えちゃった系一族
とにかく強さを追い求めて生きた連中
本気で動けば対魔忍世界を統一できるかも?ぐらいには強かった
本人たちは全く興味なかったのがある意味運が良かった

常に戦いの中にいたし、魔族連中にもちょっかいを出していたから
常に人員は減っていたから人数自体は少なかった。

七ハの兄弟たちは将来的にはアサギを凌駕するぐらいの力を持っていたけど
七ハが圧倒的過ぎたため秒でやられた
殺される時も一族が更なる力を手にする糧となることに喜んで
笑顔で死んでいった。もはやカルト
七ハにとってそれがトラウマになっていて、たまに夢で見てうなされている
部下たちは詳細は知らないけど何かあったということには気が付いている

〇七ハの破壊衝動
七ハの中の”鬼”の持つ衝動
それを精神力で性欲に置き換えて発散している。
大体3日に1回は発散しないと”鬼”が顔を見せ始める

精神力でそんなことが出来るのかって?
感度3000倍を精神力で抑えることが出来るんだから出来るでしょ!
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