対魔忍世界に転生したのに何でまだ処女なんだ?!   作:ごんざれす

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今回短めです
このぐらいの方が見やすいかな?

今回も誤字報告ありがとうございます!

では、どぞ


正義の対魔忍

やばいやばいやばいやばいやばい!!!!遅刻遅刻遅刻遅刻遅刻!!!!

 

今日の集合場所の第三演習場までの道を今までの人生で一番の全速力で走るけど学園から結構遠いそこには全く着く気配がない。

俺にとって初めての部隊となる独立遊撃部隊の始動の日だっていうのに何で寝坊なんかするかな俺ぇ!

 

2日前に部隊の設立を校長先生から宣言されて、これで俺も正義の対魔忍らしく誰かの役に立つことが出来るって有頂天になって、昨日ふうまから追加人員と会うために明日第三演習場まで来てくれって言われて。

 

追加ってもしかして俺が役に立たないからか?!って思っちゃって、もしかすると今日追加の人が優秀だったら俺は用無しだから部隊から外されちゃうんじゃないかって不安になった結果。

昨日なかなか眠れなくて、起きたらもう集合時間の30分前だったって、何やってんだよ!

 

昨日思ったこと全部”かもしれない”事だっていうのに思い悩んじゃって……バカ!俺のバカ!

初日からこんなんじゃふうまと蛇子に落胆されて、校長先生に報告されてそれで除隊に………って!また悪い様に考えてる!

駄目だ駄目だ駄目だ!そんなこと考えるな!とにかく今は必死に走って時間に間に合わせるんだ!間に合ったら問題ないんだから!

ずっと夢だった誰かの役に立つことが出来る対魔忍になるチャンスなんだ!絶対に間に合わせる!

 

うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ―――――――――――――――――――――――!!!

 

 

 

 

 

―――――――10秒前到着ぅ!!俺遅刻じゃないよな?!」

 

 

やった!ギリギリだけど、それでもちゃんと間に合った!良くやった俺!やればできる子俺!

集合時間に間に合った達成感で顔をほころばせてふうまと蛇子がいるところに向かっていくと、何というか……すごく空気がどんよりしてるような感じがして思わず立ち止まった。

 

そこで初めてふうまと蛇子以外に人がいることに気が付いた。

まずはメイド服を着た綺麗なお姉さん2人で、1人は紅茶を淹れていて、もう1人はテーブルに散らばったお菓子を片付けていた。

どこからどう見てもメイドさんで、「初めて見た」って思って少し感動したことろで、もう1人、椅子に座ってる人に気が付いた。

 

 

―――――――――――――――――綺麗な人だ

 

そんな感想しか出てこなかった。

紅茶を持つ手から、足の先まで、そのどれもが綺麗としか思えなかった。

角が特徴的な仮面をつけているけど、むしろそれがこの人の美しさを際立たせているように見えたし、纏ってる雰囲気がもう別格って感じで、ほぼ森の中の第三演習場にドレス姿でいるっていうのに、それが違和感なく思えてむしろ綺麗で、なんというか………とにかく綺麗だった!

 

この人は何者って聞こうとふうまと蛇子の2人に近づいたら、いつも元気に俺とふうまに笑いかける蛇子が、目の端に涙を溜めて俯いていた。

 

その瞬間、俺はほぼ反射的に仮面をつけた綺麗な人の目の前に立っていた

目の前に立って何となくビリビリッと感じた。この人綺麗なだけじゃなくて、たぶん滅茶苦茶強い。俺とふうまが力を合わせても全く歯が立たないくらい。

 

それを認識したら足がガクガクと震えだした。怖い、滅茶苦茶怖い。逃げたい、でも………でも!大事な友達を泣かせた奴から逃げるなんて、正義じゃない!!

 

 

「お、お、お前、が蛇子をな、泣かせたのか」

 

「え、えぇ………そうね」

 

 

俺が思いがけない行動をしたせいか綺麗な人はポカンとした様子で返事をした

 

 

「へ、蛇子は俺の大事な、と、友達なんだ!な、泣かせたんだったら謝れっ!」

 

「………さっき、謝ったわ」

 

「で、でも!まだ蛇子は泣いてるじゃないか!ちゃ、ちゃんと謝れ!」

 

「いやだから……………ああもう…!、何やってるかしら私。ホント大人げないわ。

……そうね、さっきあんなことを言った張本人だもの。ちゃんと”普通のこと”をしないとね」

 

 

綺麗な人は良く分からないことをぼそりと呟くと、持っていた紅茶をテーブルに置いて立ち上がった。

何をするつもりかと構えた俺を安心させるように俺の頭にポンポンと2回触れて、俺を避けて蛇子の前に行って、高級そうなドレスだっていうのに気にせず地面に膝をついて蛇子の手を取って口を開いた

 

 

「さっきはごめんなさい。ついかっとなっちゃって……大人げなかったわ。本当にごめんなさい」

 

「い、いえ、私こそお菓子と紅茶を台無しにしちゃって……」

 

「そもそもそれも予想できたもの。私はふうま一門にとっては裏切りものだから、お館様を守ろうとした貴女は正しいことをしたの。でもお館様が普通に接してくれたから、少し油断してしまっていたわ」

 

「そんな!私だって話を聞いただけで雅蠱さんのことを危険だって決めつけて……ちゃんと話をしようともしなくて……」

 

「いえ、私が―――――」

 

「そんなこと―――――」

 

 

いつの間にか謝るっていうより、自分が悪かったの応酬になっていて、それが続くもんだから、なんか可笑しくなってきたみたいでどちらからともなく

 

 

「ぷっ、ふふふ―――」

 

「くすっ、くすくすくす――――」

 

 

笑い始めて、少し笑い合うともうそこには重い雰囲気なんてなかった

 

 

「―――――はぁ、可笑しい。こんなに謝ったの何時ぶりかしら。偉くなったら謝ることに抵抗が出て駄目ね。改めてごめんなさいね蛇子ちゃん。許してもらえるかしら?」

 

「はい、勿論です。だから私ともっとお話ししてくれますか?聞いていた感じと全然違っていて………ちゃんと私が雅蠱さんがどういう人か理解したいんです」

 

「そう言ってもらえて嬉しいわ。ありがとう蛇子ちゃん。ぜひ、私のことは七ハって呼んで」

 

「分かりました、よろしくお願いします七ハさん」

 

 

そう言って2人は握手をした

微笑み会う2人の姿に安心したのかふうまは胸を撫でおろして、メイドさん達は嬉しそうに手を取り合っている。

 

握手を終えた綺麗な人は振り返って、俺の手を取って俺とも握手をした

いきなりの握手に面食らった俺をよそに綺麗な人は微笑んで口を開く

 

 

「貴方のおかげで無駄な意地を張っていたことに気が付けて、蛇子ちゃんと仲直り出来たわ。ありがとう」

 

「い、いや……俺は何も…」

 

「助かったわ、流石は部隊に選出されるほどの対魔忍ね」

 

 

そう言ってまた俺の頭をポンポンと2回た叩いた綺麗な人は握手を解いて自分の椅子に戻った

俺はなぜか熱を持つ顔に気が付かない振りをしながら、今触れられた頭を自分で触る。

たぶん、これが俺の人生で初めて誰かの役に立った瞬間だったと思う

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はーーーーーー!!!

本当に助かった!ありがとう鹿之助君!貴方のおかげで何とか最悪の雰囲気を解消できたし、大人としての威厳をホントの超ギリギリで保てた………と思う!

 

あーーー焦ったぁ、ホントしっかりしろ私ぃ!ちゃんと自分抑えろぉ!部下たちと子供たちの前だからダサい姿見せられないからな!

 

 

それにしても、落ち着いて見てみたらこの鹿之助君って子、本当に男?

蛇子ちゃん以上にちっちゃいし、髪も長くて、顔も女の子みたいだし………めっちゃタイ………好みの感じだわ

 

しかも足ガクガク震わせて怖がってるのに友達のために滅茶苦茶怪しい私に立ち向かう正義感が溢れてる感じ……いいなぁ

 

やめろ!ショタコンって言うな!私はちっちゃくて可愛い男の子が好きなだけで………そうだよ!ショタコンだよ!

やめて!そんなだから男が出来ないんだよって言わないで!そんなの自分が一番わかってるからぁ!

 

まあでも、私が一方的にそう思ったって向こうはなんとも思ってないだろうし、むしろさっきので嫌われたっぽいなぁ……ほら、ちょっと顔向けたら直ぐに私から顔逸らすし

はぁ……ま、いつもの事だし気にしない

それより、ようやく3人揃ったんだから本題に入らないとね

 

 

「それじゃあ、話を始めましょうか」

 

 

私がそう言うと3人は打って変わって緊張した面持ちになった

いやそんな緊張しなくていいからね?そんな大した話じゃないし

 

 

「改めて、私の名前は雅蠱七ハ。ふうま一門雅蠱家の当主で、懲罰部隊の隊長をしています。昨日総隊長に呼び出されて貴方たち独立遊撃隊の追加人員として手助けをして欲しいとの指令……というよりお願いをされました」

 

 

あ、一応お館様の前だから敬語でいくよー

 

 

「ですが私は懲罰部隊の隊長としてそれなりに忙しい身……なので本当に貴方達に私が手助けする価値があるのか、課題を3つ出して試させていただきます。その課題を1つでも突破出来たら私は貴方達の隊に加わりましょう」

 

 

偉そうだけど、まあ実際に私の方が立場的には偉いし仕方ないな。いくらお館様がいるとはいえ対魔忍全体的にみればただの対魔忍の卵と、部隊長だし流石にね

 

っていうか今考えても中々攻めたお願いだよねぇ、対魔忍の中でも随一の力をもつ隊の長をまだぺーぺーの卵たちが中心の部隊に加えようとするなんて。普通の奴だったらふざけんな!って言うだろうね。私はアサギの友達で、しかもお館様の配下だからギリギリOKなだけで。しかもアサギがあんな子供理論でお願いしてくるんだもんなぁ、そりゃまあ受けるよ、罪悪感もあったし。

 

けど流石に私も暇じゃないし、正直子供のお守なんかめんどくさいし3人に課題を出して、それをクリアーしたら部隊に加わるようにするとアサギに交渉した。もし課題をクリアー出来なかったら私の部下の中から1人つけるという代替案も用意したうえで。

アサギは無茶な課題を出さないことを条件にそれを了承して、今に至るという訳。

 

しかしミスったなぁ……ちゃんと独立遊撃隊の人員調べておけば課題とかいうまどろっこしいことしなくても部隊に加わることが出来て合法的に鹿之助君とお近づきになれたのになぁ……

課題簡単にして部隊に簡単に入ることも出来るんだけど、部下の手前そんなあからさまには出来ないし、そもそも将来的にこの子たちのためにならないし……少し手心は加えるけど、基本的にはアサギに伝えた通りの内容だな~

 

 

「なるほど、それで”かもしれない”か。俺達が期待に応えられなかったら追加人員の話はなしってことか」

 

「いえ、追加人員自体は無くなりません。今から私が出す課題を突破できなくとも私の部下から1人人員を出します。ですがこれは本当に貴方達が二車の捜索の任につくに値するかの判断の場でもありますので、力は抜かない様に」

 

 

この話は本当。

アサギも書面上ではこの3人の成績なんかは知ってるらしいけど、実際に目の当たりにしたわけじゃないからどの程度の能力があるのか調べてきて欲しいとは言われている。

別に残念な結果でも部隊が解消になったりはしないけど……まあ回ってくる仕事の質は変わってくるわな

 

そのことが分かっているようで3人は真剣な顔で頷く

 

 

「頑張ろうね、ふうまちゃん」

 

「ああ!」

 

「絶対に!課題クリアしような!ふうま!!」

 

「お、おう」

 

 

あらあら、随分鹿之助君やる気だな。やっぱり対魔忍らしく活躍したいっていう願望はあるんだね、アサギから結構落ちこぼれてるっていう話は聞いてるから今回のチャンスを逃してたまるかって感じかな?

それじゃあ、お手並み拝見といこうか

 

 

「やる気があるようで結構、では、最初の課題は『かけっこ』になります」

 

「「「………え?」」」




鹿之助主人公節
やるときはやるし、かわいい……最高やな!

一応まだ惚れてません。憧れの人ポジですかね
関係性はこれからどうなることやらッてな感じで次回

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