お嬢様はピーキーがお好き   作:アルキメです。

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本編よりも筆が進んでしまった問題。
後々登場する人物との邂逅ですわ!


幕間①『マスクの女』

 GBNの爆発的な流行により、GPDの勢いはすっかり下火となっていた。

 最も挙げられる理由としてはガンプラが受けたダメージがそのままフィードバックされる仕様にあったと言われる。

 丹精込めて作り上げたガンプラがたった一回のバトルで勝敗に関係なく破損してしまうのは、それがそうであると慣れた者たち以外には辛いものがあったのだ。

 とは言え、GPDにのめり込む人間はすべからくそういったことを一切意に介さない。

 壊れれば直し、挑み、また壊れれば直す。

 度重なるGPデュエルの果てに何を失ってでも戦う覚悟を完了した者たちが多かったのだ。

 しかし、現実とは時に非情である。

 壊れると言うことに忌避感を感じる者がいれば、単純に金銭的な面でGPDをまともに楽しめない者もいた。

 そういった層が次第に浮き彫りなっていき、GPDはGBNの発表と共にかつての勢いを完全に喪失。

 多くの者がGBNに移行していき、GPDは衰退していったのである。

 だが、今でこそ悪い部分を的に批判されることのあるGPDであるが、ガンプラを普及させるという一点においては間違いなく多大な貢献を果たしたのは揺るぎのない事実であった。

 それに加え、かつてGPDで活躍したガンプラファイターたちを知る者は、GPDの悪しき部分を認めながらも、決してGPDを蔑ろにはしなかった。

 そういった所を忘れられないためか、はたまた魅せられたままなのか、GBNが主流となった現在でも未だにGPDを稼働させている所もある。

 その一つ、某所のキリシマホビーショップで開かれた小規模なショップ大会にて――奇跡は唐突に現れた。

 

 ⁎

 

 GPDのショップ大会は当初の予想よりも多くの参加者が集まった。

 その人数は――何と三十名近くにも及んだ。

 本来なら十人にも満たないはずのGPDのショップ大会で、だ。

 予定していたトーナメント方式では間に合わないと思い、店長がさてどうしようかと悩んでいた矢先、偶々新設するGBNの稼働テストのためにフローレンス工業のご令嬢が到着。

 何とGBNの稼働テストを商品に、この大会に乱入してしまったのだ。

 二度目のさてどうしようかに頭を抱えた店長であったが、フローレンス工業の奥様も娘さんに似て、とてつもなく乗り気でGOサインを出したので、ええいままよと勝ち残り方式によるロワイヤルバトルを提案したのである。

 そして現在――参加者全員がGPD経験者であったために、激戦激闘を繰り広げながらも、しかし脱落者は未だ数人のみに留まっていた。

 その最中においてバトルの推移をハラハラと見守っていた店長は、三度目のさてどうしようかに見舞われていた。

 しかし三度目の正直。店長は胸を張ってええいままよと応えた。

 

 ⁎ 

 

 バトルフィールドで佇むコルレル・スヴェイズと生き残った参加者たちは、皆一様に手を止め、空を見上げて居た。彼らの視線の先に――ガンプラが現れたのだ。

 眩い光を背に、雲居を晴らして天から降臨するような演出とともに。

 赤と薄紫に彩られ、トサカのような縦長の頭部パーツを有するガンダムタイプ。

 背にはガンダムX系の持つエネルギーコンダクター――サテライトシステムを装備している。

 サテライトシステムの枚数は左右に三枚、内上を向く二枚が真ん中で合わさり五枚に見える。例えるなら紅葉のような形状だった。

 

『あれは……』

 

 参加者の一人――ジム・ストライカーを駆る参加者が呟く。

 それに続くようにキリシマが、

 

「あれは――ガンダムヌーヴェルですわね」

 

 忽然と現れた謎のガンプラの正体を明かす。

 

『それは知っている!』

『私カリスきゅんの夢女子だから解るわ!』

 

 他の参加者が声をあげた。

 それを皮切りにざわつき始める参加者たち。

 あれだけ激しかった戦闘も停止している。

 落ち着きなさい、とはキリシマも言えなかった。

 何故なら、目の前に現れたガンダムヌーヴェルは――

 

「そもそもキット化されていませんことよ!?」

『だが背部のアレは間違いなくガンダムXのもの!』

『でもあれ、私の知る限りじゃ製品版のものとは質感も形状も違うわ!?』

『恐らくキット化されていないディクセン・ホーネットのやつだな』

『じゃあ、もしかしてあれは』

『俺の――いや、俺たちの思っていることが正しければあれは――フルスクラッチだ!』

『しかもあの出来、そんじゃそこらのオーダーメイドとは訳が違うわっ』

「とんだガンプラ馬鹿ですわねっ!?」

 

 感嘆に騒ぐ参加者たちのコンソールに、通信枠が映し出される。

 そこには美しい銀色の長髪を揺らす、『Gのレコンギスタ』に登場するマスク大佐が着用していた仮面で素顔を隠した女性が映っていた。

 

『うわダサッ!?』

『劇中だと似合っているのに実際で見るとダサいなッ!』

『嘘でしょ……まさか本当に付けてる人がいるなんて……』

 

 参加者からのマスクに対する反応は非常に厳しものであった。

 マスクの女性の自信満々な笑みを浮かべた口元がみるみる一文字になっていく。

 

『ウォッホンッ!』

 

 バツが悪そうに大きめに咳払いをし、一同の視線を受け止める。

 

『あー、久々にGPDをやっている光景を目撃してね。つい私もと、乱入させてもらったわけなんだけど』

「大いに結構でしてよ。今は勝ち残り式ロワイヤルバトルですので」

『一応、店長からも許可を取ってあるのよ?』

「ならなおのこと結構ですわ! 皆さんは?」

 

 キリシマの言葉に参加者は渋ることなく快諾を意思を示した。

 

『あんなガンプラ見せられちゃあな?』

『そうそう! カリスきゅんの夢女子として願ってもない展開よ!』

 

 既に敗北し、周囲でベガ立ちのまま試合を見守っていた参加者からも、

 

「手合わせできないのは悔しいが、それはそうと動くヌーヴェルは見たいからな!」

「あーくそっ、油断してリタイヤしちまった自分が恨めしいぜ!」

 

 周囲の声を受けて、キリシマはマスクの女性を一瞥。

 

『ごめんなさいね。そして――ありがとう』

 

それはバトルに突如として乱入したことへの謝罪。

そして今ここにいるファイターたちと戦えることへの感謝の言葉。

 

「いいえ、ここにいるのはこぞってガンプラ馬鹿ですのよ? それより、中途乱入とはいえ、もし漁夫の利狙いであれば、生半可な実力では生き残れませんことよ?」

『フフ、そうね。それは問題ないわ』

 

何故ならば、と区切る。

 

『ガンプラ熱に当てられて来たのだから!』

 

 グッと手を伸ばしコンソールを握る。

 ガンダムヌーヴェルが地に降り立つ。

 同時にコルレル・スヴェイズが、ジム・ストライカーが、アッシマーが、キュベレイ風ベルティゴが、生き残っている参加者全員が身構えた。

 瞬間、サテライトシステムが起動。

 一直線に伸びた光がガンダムヌーヴェルの背面にエネルギーを注ぐ。

 

『ん?』

 

 一人の参加者が気づく。

 

『あいつ、サテライトキャノン装備してないな?』

『む、確かにっ』

『ガンダムヌーヴェル自体にはそもそもサテイライトシステムはないんだけど……』

『いやはや、まさか……』

 

 そのまさかであった。

 直後、ガンダムヌーヴェル――正確にはその改造機のフレームから青い炎が噴出した。

 トサカのような頭部センサーの後ろ側には、その炎が尾のように纏まって伸びている。

 

「エネルギーそのものをっ!?」

 

 サテライトキャノンという強力無比な攻撃方法として利用せず、余剰エネルギーを放出することで機体のあらゆる性能を劇的に向上させたのだ。

 

『あれはっ!?』

「知っているのですかライデン!?」

 

 参加者の一人――ジョニー・ライデン専用ギャプランを駆るライデンが驚愕の声を上げた。

 

『記憶が確かなら、ビギニングガンダムのエネルギー噴出と同じものだっ!』

『つまりは、その機構を再現してるってわけ!?』

 

 驚きに包まれた空気の中で真っ先に動いたのはジム・ストライカー。

 既に奥の手であるEXAMシステムを起動させ、機体性能を上昇させていた。

 さらに近接に一点特化したツインビームスピアーは通常のものよりも遥かに強力な威力を秘めている。

 

『だが尋常に勝負っ!』

 

 ツインビームスピアーを構え、突撃。

 対するガンダムヌーヴェルは――

 

『見せてもらうわっ! その性能をっ!』

 

 腕部に取り付けられたスラッシュシールドから青白い炎がサーベル状に構成される。

 

『サテライトサーベルっ!』

『エグザムスピアーっ!』

 

 両者、真っ向から衝突!

 鍔迫り合いで発生した余波が強風となって周囲を打った。

 それを合図に――ガンプラ魂の火が灯り、全員が一斉に動き出す。

 

 ⁎

 

 その日、小規模のはずだったショップ大会にて奇跡が起きた。

 参加者も、そうでもない者も、ガンプラに疎い者も、ガンプラに初めて触れた子供も、GPDを遠ざけていた者も――皆がその光景に固唾を呑み、手に汗握り、言葉と時間を忘れて魅入られた。

 誰もが魅せられたあの頃のGPDの賑わいが、興奮が、緊張が、その全てが今この瞬間――確かにそこに在ったのだ。

 

 結局、マスクの女はその名も正体も明かさぬまま、エネルギー負荷による強制停止によって勝ち残ることもなく、気が付けばその場から忽然と消えていた。

 ただ一つ――実に楽しそうだったという事実を残して。

 

 因みにキリシマは無事に勝ち残ったものの、勝ち残り八人による決勝トーナメント戦でジム・ストライカーとの激しい攻防の末、回避先に予め用意されていた起きサーベルという離れ技に頭部を斬り飛ばされ――敗れた。




これはもうビルドファイターズでは????? ボブは訝しんだ。
(話の)ネタは(他の方の作品から)拾いましたの!!!!!!(正直な遊星お嬢様)
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