友「読みてぇ(直球)」
そんなわけで調子に乗りました。
多分見切り発車なので、中途半端になるかもしれないです。
朝
いつものカップ麺に湯を注いで、待ってる3分間で顔を洗う。
カップ麺が出来上がったら、いつものラジオをBGMにして朝食をとる。今日の天気は雨だと言われ、舌打ちをして麺をすする。と、そこでドアがノックされる。
「
「綴、そろそろ時間だよ」
その声を聞いて甘菜綴は慌ててカップ麺を飲み込み残りを物陰に隠す。
そして証拠隠滅が終わると扉をそっと開けた。
「傑兄ちゃん、おはよ」
「うん、おはよう……ところで綴、まさかまたカップ麺を朝ごはんにしたんじゃないか?」
夏油傑はうっと呻く綴の頭を撫でる。その夏油の顔は笑顔だが、綴はそれが慈愛の笑みでなく無言の圧力であることをよく知っている。
「もうしないから!」
「そう言ってこの前もしただろう?
味覚が変わってからなんでも食べるようになったのは良いけど、最近不摂生が過ぎる」
夏油は心配し過ぎなのだ。という言葉を飲み込んで、綴は観念したかのように隠していたカップ麺を机の上に出した。
・
・
・
「ん?」
目を開けても変わらず真っ暗な視界。それもこれもこの目隠しのせいだ。オマケに両腕と両足は動かせないときた。
2017年、12月24日。
その日は師である夏油傑と共に百鬼夜行という大規模なテロを行った。その際に綴は仲間のミゲルと五条悟を足止めしていたのだが……。
──あー、暇だなぁ。
やっぱり意地でも逃げときゃ良かったかな?
もしくは、その時に五条の言う通り高専に協力すると言えばもっとマシな扱いを受けていたのであろう。しかし綴にはそんな考えは一切なかった。
誰が協力などるか。例え五条からの提案であっても綴は頷くことはしない。協力するくらいなら舌を噛み切って死んでやる。というより夏油が死んだ瞬間にそうしてやろうと思っていた。
そうなれば綴の死体を狙って子蜘蛛がこぞってやって来るはずだ。死体を管理するであろう高専はきっとてんやわんやするはずだ。
だが、やめた。
綴が子蜘蛛の被呪者となっても普通に生活できていたのは、夏油の操霊呪術が奇跡的に子蜘蛛にも適応されたからだ。そのお陰で綴と1つになってしまった子蜘蛛はとてもおとなしかった。
そういうわけで、一応夏油の操る呪霊の1つとして存在している綴は、ハッキリと夏油が死んだ瞬間を感じ取った。無力感と脱力感そして絶望感が綴を襲い、何もする気が無くなった。
なのにそれから暫くして、夏油が
どれだけ考えてもその真相はハッキリわからない。五条にだって相談する気は無い。
だが、この真相を明かすまでは絶対に綴は死ねない。
「生きてる?」
「生きてるよ」
──ああ、もう
目隠しのせいで今が昼なのか夜なのか、いったい何日経ったのかわからない。
暇で暇で仕方がないこの空間に、唯一色んなものを持ってきてくれるのは、やはり五条だった。
「聞いてよ綴ー! 上層部のクソ爺共がさぁ……!!」
「それ悟兄ちゃんの自業自得って奴じゃん? 普段の行いってやつ」
五条にとって綴は弟分であり夏油の忘れ形見のような存在だ。そんな綴の今の姿を見て、今すぐにでも解放してやりたい衝動に駆られるが、それはできない。
そうすれば、綴はまた高専の敵になるだろう。
きっと次はない。また敵になれば、今度は拘束では済まない。良くて封印、悪くて他の子蜘蛛に食われるか、甘菜家に引き渡されるかだ。
甘菜家は綴が捕まった時に身柄の引渡しを再三要求してきた。上層部も自分達に基本従順な甘菜家の要求を飲もうとしていた。
それを何とか退けてやっと綴と対面した時には綴はもうこんな状態だった。
決して光を通さないようにできた革の目隠しに呪流術対策の為に腕に貼られた札、その上から身体の自由を奪う拘束衣を着せられるという何とも過剰で厳重なそれに、五条が思わず顔をしかめた。
「綴、やっぱりここから……」
「出ない」
キッパリと断った。
「悟兄ちゃんの気持ちは有り難いけど、俺は絶対に傑兄ちゃん以外の人間に従う気はない」
きっと"出たい"と言えば五条は全力で綴をここから出そうと上層部にだって働き掛けてくれるだろう。夏油の死の真相を調べることもできるはすだ。しかし、ここから出たとしても自分に自由がないのは変わらない。
なら、綴が感じた
「綴……」
「ま、殺されることはないし、たまに来て一緒にお喋りしてくれたらそれでいいよ。今はそれ以上は望まないから」
綴の目的はただ
「そう言えば、両面宿儺の指食べた奴がいるって本当?」
「いったいどこからそんな情報仕入れてくんの?」
「看守」
「また看守懐柔したんか!?」
こういうところは幼い頃から変わらない。自分を殺しに来た呪詛師もたちどころに懐柔するほどなのだから、看守等ひとひねりも同然だろう。しかもそれが無自覚なのだからタチが悪い。
呆れたようにため息を吐く五条だが、綴はそのため息を聞いてケラケラと笑う。まるで五条を困らせるのが楽しいと言わんばかりだ。
しかし、誰も見えない綴の瞳は笑ってなんかいなかった。
──はぁ………しんど。