鬼滅の刃〜縁壱さんは持ち霊です〜   作:ちゃんエビ

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縁壱さんが憑依して戦う作品ってあったっけ?と思い書いてみました
多分あるのでしょうが私の目が節穴なので

プロフィール紹介

麻倉芽衣 グーたら生活を満喫したいこの物語の脱力系主人公

あの世の者、所謂霊と交信の出来るシャーマンの家系に産まれた故
普通に霊と交信が出来るが面倒くさがりなのであまりやりたがらない
実家の麻倉家が代々続くエリートシャーマンの血筋なのか生まれつき巫力が高く芽衣もエリートシャーマンと呼べる素質はあるのだが前述の性格のせいで発揮されていない。

年齢 15歳

髪型 肩先まで伸びるレイヤーボブ
面倒くさがりだが髪の手入れは意外にマメ

クッキリとした顔立ちに愛嬌のある目、所謂容姿端麗それ故にモテる筈だが面倒くさがりなのでモテない

温泉が大好きなので服装は基本浴衣、無地の淡い紫の浴衣の上に黒い羽織りを羽織っていて背中には地元の温泉旅館ふんばり温泉のロゴが描かれている
芽衣曰く常連なので旅館から貰ったとのこと、決してパクったわけではないと本人は主張している




第1話 初めての合体⁈グーたら娘と変質者

とある昼下がり街道を気怠そうに歩く少女が1人、何やらブツブツと言いながら歩く少女は手荷物から地図を広げると難しい顔をして地図と睨めっこをしていた。

 

「あーもう疲れたよ〜!産屋敷家ってどこなのさ〜!」

 

道端で文句を言う少女の名は麻倉芽衣、大陰陽師麻倉葉王を始祖に持つ由緒正しき霊能一家の彼女は絶賛迷子中であった。

 

「こんな地図でどう探せって言うの?矢印書いてこの辺ってどの辺だよ〜!」

 

芽衣が見ている地図には目的地である産屋敷家の所在地に矢印をつけてこの辺と書かれているのだがその地図は全国図、日本を縮小した地図でのこの辺は広範囲がこの辺でありそんな役にも立たない地図を持たされた芽衣は途方に暮れ、1人寂しく歩いていた。

 

そもそも何故芽衣がこんな目に合ってるのかというとそれは早朝に遡る

 

「芽衣!この馬鹿孫が〜‼︎お主はいつまでグーたらしとるんじゃ!麻倉家たるもの立派なシャーマンになるべく日々精進せにゃいかんのじゃぞ‼︎」

 

「爺ちゃん考えが古いよ?それにシャーマンファイトなんてずっと先じゃん?私の時代じゃ来ないし?ゆっくり過ごそうよ」

 

「何を戯けた事言っとるんじゃ!鬼が跋扈する世でゆっくり過ごせる筈がなかろう?」

 

「鬼?爺ちゃんの足元でいっぱい跋扈してるけど?」

 

「馬鹿タレ!儂が従えてる魑魅魍魎とは違う鬼じゃ」

 

「ふーん、誰かの持ち霊?それとも彷徨ってるはぐれ鬼?」

 

「そうではない、儂らに見えてる鬼とは違う鬼がいるんじゃ!現実に生きている鬼がの」

 

「爺ちゃん、ボケちゃった?伝承や逸話に出てくる鬼って私達が見えてる鬼とかそうゆう存在じゃん?そんな不思議生物なんているわけないよ」

 

「ボケとらんわ!今の芽衣が知らぬのも仕方ない事じゃが麻倉家たるものいずれは知る時が来る」

 

「いやいいよ知らなくていいし、知りたくもない、むしろゆっくりしたい」

 

「この馬鹿孫・・そうじゃ、お主持ち霊はまだじゃったな、お主も今年で15、持ち霊の1人でも見つけて立派なシャーマンになる努力をせんとな」

 

「私の辞書に努力なんて言葉はないよ?」

 

「喧しい!社会勉強も兼ねて儂の友人にお主の事を頼むからな、これはもう決定事項じゃ‼︎」

 

「私の意思は⁈横暴!横暴!」

 

「当主の権限じゃよ」

 

「ズルい!ズルいよ!ズル剥けだよ」

 

「儂の頭の事は言うでないわ!気にしてるんじゃぞ!」

 

「毛生え薬効かなかったんだね」

 

「それ以上言うと儂泣くよ?泣いちゃうよ?」

 

「はぁ〜それで?私はこれからどうすれば良いの?」

 

「うむ、お主にはこれから産屋敷と言う儂の友人宅へと行ってもらう

地図に所在地は記してあるからそれを見て行けば分かる筈じゃて」

 

「え?今から?私が行くの?」

 

「そうじゃ!出発は早い方がええ、今から行けば夜迄には着く筈じゃよ」

 

「面倒くさいよ、明日にしよ?うん!それがいいよ、明日から本気出す」

 

「馬鹿タレ!今頑張れない者が明日頑張れる筈がないじゃろ!今すぐ準備せんか!」

 

「む〜〜、私の本気見せてやんよ!」

 

このようなやり取りがあり芽衣は産屋敷邸へと足を運んでいるのだが

場所が分からない、一度戻って抗議したい所だが啖呵切った手前引き返すのは嫌だ、何よりまた最初から歩き直すのが面倒くさいと芽衣は引き返す事なく歩を進め彷徨い続けて行く。

 

「ま、何とかなるよ」

 

絶賛迷子中の筈だが能天気な事を言う芽衣は役に立たない地図を手荷物の中に仕舞うと近くの木陰で一休みしようと木陰の中に入って行った

 

「あー涼しい〜、もう此処から動きたくないよ〜」

 

涼みながら木の根本に座り込んだ芽衣は衣服をパタパタさせながら服の中に空気を送り込み体を冷やすと、心地良さから次第に居眠りへと移っていった。

 

「ふぁ〜!良きお昼寝日和だったねー」

 

欠伸をしながら体を伸ばす芽衣、彼女が起きたのはあれから数時間が経った夕方であった。

 

「そうだな、日の光はこの世界を優しく包んでくれる」

 

芽衣の独り言に返事をする謎の声、誰もいなかった筈なのに寝てる間に人がいたと気付いた芽衣は恐る恐る声の方へと視線を向けた。

 

「ぎゃーーー‼︎変質者ーー!寝てる間に私にいかがわしい事をしたんだーー‼︎」

 

そう叫ぶと恐怖のあまり全力疾走でその場を走り去る芽衣、慌てるあまり手荷物を置き忘れている事に気付かずその場に置き去りになった手荷物を見つめる声の主はその事を伝える為芽衣の後を追いかけ出した。

 

「ふぅ〜ふぅ〜、久しぶりに全力で走ったよ、もう一生分走ったって言ってもいいよ」

 

全力疾走で街道を駆け抜けた芽衣は偶然見つけた廃墟の中に逃げ込むと

自分の体を調べ始め異変がないか確かめ出す。

 

「着衣が乱れてるよ〜絶対さっきの変質者が何かしたんだ間違いない」

 

着衣が乱れてるのは一心不乱に走っていたせいなのだが、恐怖のあまり

乙女心も羞恥心すら吹っ飛ばしていた芽衣が気付く筈もなく、変質者のせいだと1人騒いでいると

 

「私は何もしてはいない、それに変質者と呼ばれるのは流石に堪える」

 

芽衣の背後から先程の変質者が喋り出し

 

「ぎゃーーー!また来たーー!今度は何されるの?何って言うかナニだよね?」

 

そう叫ぶと芽衣は再び全力疾走で逃げ出した。

 

「もう何なの?私何かした?むしろ何もしてないよ?」

 

全力疾走の最中自問自答をする芽衣、思い当たる節が無いと考えるも変質者は自分を狙ってる、とにかく今は逃げる事だけ考えようとするが

 

「そこの少女私の話を聞いて欲しい、足を止めてくれないか?」

 

芽衣曰く変質者は芽衣にそう呼びかけるが

 

「ぎゃーーー!追って来たーー‼︎これはもうアレだ!狩人の目だ、ひと狩り行こうぜ!的なヤツだ!コンチクショー‼︎」

 

もう既に何が何やら分からなくなってきた芽衣は、思いの丈を叫び倒し

それはもう我武者羅に走っていた。

 

そんな芽衣の逃亡劇と変質者の追走劇は夜まで続き、体力の限界が来た芽衣は走る事も出来なくなりその場に膝をつく

 

「はぁはぁはぁはぁ、もう無理走れない!てか私どんだけ走ったの!何この無駄な体力?いや今回に限っては幸いだけど」

 

普段グーたら生活を送っていた芽衣だが何故か無駄に体力があり芽衣自身も驚いてはいたがグーたら生活を送りたい芽衣には必要ないものだと

思っていたが今の芽衣の状況では無駄な体力が有り難いと考え直していると

 

「ようやく止まってくれたか、少女に伝えたい事が」

 

芽衣の背後には息一つ乱さず何食わぬ顔をして佇む変質者が芽衣に話しかけてきたが、その言葉を遮るように芽衣が叫び出した。

 

「何で追って来るのーー!私汗まみれだよ?泥まみれだよ?汗臭いよ?泥臭いよ?・・はっ⁈もしかしてそうゆう特殊な好みをお持ちで・・いやいや!ない!ないから!しかも息一つ乱してないとか!これから息を乱します、そうゆうわけですかこのヤロー‼︎」

 

もう走れない芽衣と何食わぬ顔をして芽衣を見下ろす変質者、既に何を諦めた芽衣は自暴自棄になり変質者に文句をぶつけると

 

「私は継国縁壱、変質者ではないし既に生者でもない」

 

変質者は自身の名を芽衣に告げると変質者呼ばわりされた事を否定しつつ既にこの世の者でもないと芽衣に告げる。

 

「はい?生者ではない?・・何それ?私一人で勘違いして醜態晒してたの〜⁈黒歴史!圧倒的黒歴史‼︎今すぐ消えてなくなれ〜!」

 

変質者改め縁壱が既にこの世の者ではないと知ると芽衣は今迄の出来事を黒歴史と認定し一人騒ぎ出し、縁壱はどうしたものかと悩みながら芽衣の一人劇場を眺めていた。

 

 

 

 

「さっきは取り乱してごめんなさい変質者と言った事もごめんなさい」

 

芽衣は落ち着きを取り戻すと縁壱に先程の出来事を謝りながら頭を下げる

 

深々と頭を下げる芽衣に目を向ける縁壱だったが前屈みになっている芽衣の胸元がはだけているのを見てしまった縁壱は咄嗟に目を逸らし明後日の方向を見ながら芽衣に話をしだした。

 

「私が君を追いかけのは君が荷物を忘れていった事を伝えたかった事と

もう一つ君には私の事が見えている、いや話も出来ている!私が今の状態になってからこのような事は初めてなんだ」

 

縁壱は芽衣が荷物を置いていった事と自分が死んでから生きた人間と交流するのが初めてだと芽衣に告げると

 

「縁壱さんだっけ?いつ死んだのかは分かんないけど普通の人に霊の姿なんて見えないし話す事も出来ないからね、縁壱さんが驚くのも無理はないよ」

 

縁壱が死んだのは今から400年程前、未練を残し霊となった縁壱は現世を彷徨っていたが霊故に誰からも認識されず孤独な時間を長年過ごしていた、そんな縁壱がふと立ち寄った木陰にいた少女芽衣、彼女の独り言に言葉を被せるように語りかけた縁壱、例え誰からも相手にされなくとも言葉に言葉を被せる、今の縁壱にはそれだけが孤独を紛らす手段だった。

 

だが今回は違った、縁壱の姿を捉え事が出来る、話す事が出来るそんな少女が縁壱の目の前にいる、その事が堪らなく嬉しい縁壱は荷物の件もあって芽衣の後を追いかけていた。

 

そんな縁壱は何故自分が見えるのか?何故自分と話せるのか?気にはなっていたが折角会えた自分と交流出来る少女芽衣に野暮な事を聞くのは控えようとしていたがその理由は芽衣の口から語られた。

 

「私はシャーマンっていうあの世の者と交流出来る能力があるの、まあ霊能力だね。縁壱さんの姿が見えるのも話す事が出来るのもそのシャーマンの能力のおかげだね」

 

芽衣は自分の能力の事をあっさりと縁壱に告げると縁壱は

 

「この世にはそのような力があるのか、今までの私には知りもしなかった世界だ」

 

芽衣の発言に多少の驚きと納得を含めた表情を浮かべた縁壱は芽衣のいる方へ目を向けるが再び目を逸らす。

 

「縁壱さんどうしたの?」

 

縁壱の行動に疑問を持つ芽衣はその理由を縁壱に聞くも縁壱は口を閉ざし視線を逸らす事に神経を注ぐ、そんな縁壱に対し芽衣は縁壱の目の前に立つ、縁壱は再び目を逸らしそっぽを向く、その繰り返しを何度かやっていると縁壱は諦めたのかその理由をぎこちなく芽衣に話し出した

 

「その・・胸元は早く閉じた方が・・風邪を引く」

 

先程まで全力疾走で駆け抜けた芽衣は衣服が乱れ胸元がはだけているのだがそれどころじゃなかった芽衣はその事をすっかり忘れていた為衣服を整えていなかった、お世辞にも豊満とは言わないがそれなりにはあると自称する芽衣の胸元が縁壱に晒され急激に赤面する芽衣は慌てて衣服を整えると縁壱を睨み付け

 

「縁壱さん見たでしょ?」

 

と尋ねるも縁壱は

 

「見てはいない、見えそうだったから咄嗟に目を逸らした何も心配はいらない」

 

と答えるが、そうゆう問題じゃないと芽衣に怒られる。

 

「まあ過ぎた事はしょうがないし私も気を付ける、ところで縁壱さんはどうして成仏出来ないの?どんな未練があるの?」

 

気を取り直した芽衣は縁壱の未練について尋ねてみるも

 

「私には助けたい人がいた、だが私は助けられなかった」

 

縁壱はそう話すと悲しそうな表情になり俯くと

 

「そっかー、私は何も出来ないけど話を聞く事は出来るよ?縁壱さんが少しでも楽になれるなら私に話して?」

 

芽衣は縁壱の目の前に立つと縁壱の顔を覗き込みながら励まそうとする

そんな芽衣の優しさに縁壱は笑顔で

 

「ありがとう」

 

と答えるとその場を立ち去ろうとする

 

「縁壱さん⁈どうしたの?」

 

芽衣は慌てて縁壱に詰め寄るが縁壱は

 

「私の未練に君を巻き込みたくはない、君は幸せに暮らすんだ」

 

縁壱はそう告げると芽衣の前から再び去ろうとするが

 

「こんな所に女が一人‼︎しかもこの匂い!稀血!稀血!稀血の匂いじゃねえかぁ〜‼︎」

 

突如として芽衣の目の前に人とは思えない異形の生物が現れ芽衣を視界で捉えながら歓喜の声を上げる。

 

「何?この生き物?稀血?匂い?ちょっと‼︎私が今汗臭いからって匂うとか言うな!気にしてるんだから」

 

鬼が発した匂いという言葉に反応した芽衣、汗をかいて汗臭い事を気にしていた芽衣にとって言われたくない事を言われ抗議するが鬼はそんな事など眼中にないようで舌舐めずりしながら芽衣に近づいて来る

 

「早く逃げろ!あれは人を喰い殺す鬼!私達人間の敵だ」

 

縁壱は目の前の生物が人を喰い殺す鬼だと芽衣に告げ逃げるように促す

 

「鬼?鬼ってあれが?いやでも・・爺ちゃんが言ってた鬼ってこの不思議生物?」

 

芽衣が知っている鬼はあの世の存在、目の前にいる生物が鬼と言われてもピンとこなかったが祖父に言われた鬼の事を思い出すと目の前の不思議生物が鬼だと理解して咄嗟に走り出す。

 

「ヒヒッ!それで逃げたつもりか?折角見つけた稀血なんだ!誰にも渡さねぇぞ」

 

逃げる芽衣を見ながら興奮を隠しきれない鬼は逃げる芽衣を追いかけ始めると次第に両者の距離は埋まっていき、芽衣はとうとう鬼に捕まってしまう

 

「ヒヒッ!堪んねぇなこの匂い!甘い匂いがプンプンしやがる!」

 

興奮した鬼は芽衣を見ながら今にも喰らい付こうと鋭い牙を見せ、目をギラつかせる

 

「だから匂うって言うな!プンプンするとか酷くない?私女の子なんだよ?」

 

鬼の言っている匂いとは芽衣の思っている匂いとは違うものだがそれを芽衣が知る筈もなく鬼に対し再び抗議をする

 

「お前なんか勘違いしてないか?お前が汗臭かろうがなんだろうが俺には関係ねぇ!お前の血、その稀血が堪らなく匂うのさ!お前を喰えば俺は十二鬼月になれそうだぁ!」

 

鬼は興奮しながら芽衣にそう言うと芽衣は

 

「私を喰べる?もしかして今までもそうやって人を喰べ続けてきたの?」

 

芽衣の質問に鬼は呆れた表情になりながらも芽衣に答える

 

「はぁ?何言ってんだ?お前ら人間は俺にとってただの餌なんだよ?

餌を喰う事に何の疑問があるんだ?お前は餌の中でも極上の餌だがな」

 

鬼は笑いながらそう答えると芽衣を引きづり起こし芽衣の首筋に噛みつこうとするが芽衣は鬼を睨みながら

 

「笑えない!私今まで自由気ままに生きてきた、これからもそうやって生きていきたい!でもこんな簡単に命が奪われる理不尽な世界じゃ私は笑って生きていけない!自由気ままに生きれないよ!私はグーたら生活を満喫したいの‼︎」

 

「安心しろ!お前は俺に喰い殺されて死ぬ!お前の言う理不尽な世界で生きる事はない」

 

そう言う鬼から目を背けると芽衣は縁壱の方へと向ける

 

「縁壱さんごめんね?私縁壱さんのお話聞けそうにないや」

 

芽衣は申し訳なさそうに縁壱に謝ると縁壱は

 

「また私は誰も助けられない!目の前にいる少女一人も助けられない!

鬼と戦う力があっても今じゃそれを振るえない、誰も助けられない」

 

縁壱は自分を責めるように独り言を繰り返し嘆いていたが

 

「縁壱さん‼︎」

 

大きな声で縁壱を呼ぶ芽衣に振り向く縁壱、芽衣は縁壱を見つめながらこう呟いた

 

「助ける力が欲しいの?誰かを助ける為の力が欲しいの?縁壱さん、私が縁壱さんの力になる!だから・・私を助けて縁壱さん‼︎」

 

芽衣は縁壱にそう叫ぶと縁壱は意を決した表情になり芽衣の元へと走り出し芽衣を抱きしめようとする

 

縁壱が芽衣の体に触れた途端芽衣の体が一瞬輝き、それに驚いた鬼は芽衣を手放してしまう。

 

「チッ!なんだ今のは?まあいい、稀血の女は絶対逃さねー」

 

鬼はそう叫ぶと芽衣を再び捉えようと目を向けるが芽衣を纏う雰囲気が変わった事を感じ取り芽衣に近付く事を躊躇ってしまう

 

「なんだ?この空気は?脚が震えている?この俺が!鬼であるこの俺があんなガキ一匹に恐怖を覚えているというのか?ふざけるなふざけるな‼︎」

 

たかが人間それも何の力もない子供に恐怖を覚えたと自分に苛立つ鬼は

その怒りの矛先を芽衣に向け喰い殺そうと身構える

 

そんな鬼を目の前に芽衣は縁壱を見つめながらこう呟いた

 

「縁壱さん、私の持ち霊になって」

 

芽衣の言葉に対し縁壱は頷くと芽衣に寄り添うように近づき芽衣に話しかける

 

「私の力で助けられるのなら君の力になろう、名をまだ聞いてなかったな」

 

縁壱は芽衣にそう言うと芽衣は縁壱に

 

「芽衣!私の名前は麻倉芽衣」

 

縁壱に名を教える芽衣は縁壱に触れると縁壱の姿がデフォルトされた魂の姿に変わり芽衣の手の中に収まる

 

芽衣はそんな縁壱を体に吸い込ませるように手を体に触れながらこう叫ぶ

 

「憑依合体!縁壱!」

 

その言葉と同時に縁壱の魂は芽衣に吸い込まれ、芽衣は縁壱と一つになった。

 

芽衣の体に吸い込まれた縁壱の意識が覚醒すると縁壱は違和感を感じ自分の体を見渡す

 

「これは⁈私の体が芽衣に・・いや芽衣の体に私が入っているのか」

 

違和感の正体に気付いた縁壱は静かに深呼吸をする

 

憑依合体とはシャーマンである術者の肉体に霊を憑依させ霊が生前会得していた技能を現世に再現するシャーマンの術であり芽衣に憑依している縁壱は自身の培った技能を再現しようと深呼吸をしていた

 

「どう?縁壱さん?これが私の力、シャーマンの力だよ」

 

「芽衣ありがとう、私と芽衣2人ならきっと助けられる」

 

芽衣と縁壱は精神世界でそう会話すると縁壱は鬼を見据え構えをとる

 

霊体である縁壱は腰に刀を下げた侍のような居て立ちだったが芽衣に憑依してる今はその刀もなく無手で鬼と対峙していた。

 

「なんだあの女、明らかにさっきまでと様子が違う!何なんだ?脳裏に焼き付くようなこの気配、知らない筈なのに昔から知ってるような」

 

鬼は戸惑っていた。芽衣を見たのは今日が初めて、なのに芽衣から感じる雰囲気は昔から知っている、初めて見る筈なのに何故か知っている

この奇妙な感覚に戸惑い鬼は今まで動けないでいたが、芽衣の体を借りる縁壱が動き出すと鬼は危険を察知してその場から飛び退き距離を置こうとするが縁壱の動きが速すぎてあっという間に距離を詰められる

 

鬼は反射的に手を出して縁壱を攻撃するが、単調な攻撃など当たる筈もなく縁壱の渾身の右ストレートが鬼の顔面に炸裂する

 

「ぶへぁ」

 

そんな声を上げながら倒れ込む鬼は自身を見下ろす縁壱こと芽衣を見上げると頭の中に自分ではない誰かが同じ光景を見ている映像が浮かび上がり鬼は本能的に恐怖を感じて体が震え出した

 

「ま、待て!待ってくれ!約束する俺はもう人を襲わない!お前も襲わない!だから頼む見逃してくれ」

 

恐怖のあまり芽衣に懇願する鬼だが、芽衣に宿る縁壱はそれを聞き入れる訳もなく鬼に歩み迫って行く。

 

「あっ!縁壱さん、鬼が逃げてくよ?どうするの?」

 

「鬼を殺すには日輪刀と呼ばれる特殊な刀で首を斬るか日光を浴びるしか方法がない、だが今の私には日輪刀がない、日が昇るまで戦うしか方法はないのだがこの体は芽衣の体だ、無理はさせたくない」

 

「でもほっとくわけにはいかないんでしょ?面倒だけどやるしかないんだよね?」

 

「・・・少なくとも芽衣の命は守られた、今の私にはそれだけで十分だ」

 

「縁壱さん」

 

恐怖で逃げ出した鬼をどうするのか芽衣は縁壱に尋ねるも縁壱は今は芽衣が助かったそれだけ十分だと自分に言い聞かせ、表情を曇らせながら逃げ出した鬼を見送る。

 

そんな縁壱を心配して芽衣は縁壱に声をかけるが2人の懸念は杞憂に終わる

 

逃げ出した筈の鬼の断末魔が響き渡り、その方向を見つめると首を斬られた鬼が灰になりながら消滅していくのが見える、その奥に刀を持った剣士らしき人物がいる事に気付きその人物を見ていたら剣士らしき人物はこちらに近づき芽衣に声をかける。

 

「おう!たいした怪我も無さそうで安心したぞ、しかしこんな子供が鬼を殴り飛ばすとはな、随分と派手じゃねえか」

 

この剣士らしき人物を見て芽衣はこう思った

 

ゴリラ

 

初見の人物に対し随分と失礼な事を考えていた芽衣、そんな芽衣を見つめるこの人物は芽衣の手を突然握りしめると

 

「お前、よく見たら可愛いな!もう派手にな!お前俺の嫁にならねーか?」

 

突如のプロポーズに芽衣は動揺するが、この状況を冷静に見ていた縁壱はその手を握り返すと赤子の手を捻るかの如く、その人物を組み倒すと

睨み付けながら一言

 

「芽衣はそう簡単に嫁には出さん」

 

何故か父親面をして不機嫌になる縁壱、芽衣に対して何か思うところがあったのだろうか、そんな縁壱を見て芽衣はクスリと笑った

 

「お前、俺を倒すとは派手にやるじゃねーか!」

 

その人物は芽衣にそう言うと、芽衣は突然気を失いその人物に向かって倒れ込む。

 

その人物は芽衣を咄嗟に抱き留め様子を伺うと、寝息を立てて眠っている事が窺える。

 

自分の体に別の魂を憑依させる憑依合体、1つの体に別の魂を受け入れ尚且つその力を引き出す、そのバランスを保つ為には強い精神力が必要で今回の憑依合体で芽衣は莫大な精神力を消費していた。

 

芽衣にとって産まれて初めての憑依合体、慣れない力の行使に疲労はピークに達しており憑依合体が解けた途端、芽衣はその反動で気を失っていた。

 

幸いなのが芽衣と縁壱の相性が良かった事だ、芽衣は縁壱を助けたい

縁壱は芽衣を助けたい、2人の気持ちがシンクロし芽衣は縁壱の能力を十二分に引き出せていた。

 

だが縁壱からしてみれば生前の能力を完全に発揮するには肉体である芽衣の体が不十分、もし芽衣の肉体が縁壱に完全に対応出来る体であったならば縁壱の能力を完全に引き出せる憑依100%状態になれたのだが

体の作りが違う為、今の芽衣にはそれは無理であった。

 

それはさておき、気を失い体を剣士らしき人物に預ける芽衣を抱き抱えたその人物は何か面白そうな事が起きそう、そう思いニヤリと笑うと

その場を後にして自分の屋敷へと芽衣を連れて行くのだった。

 

 




芽衣に求婚する謎の男に連れ去られた芽衣、そこで待ち受ける芽衣の運命は?
次回「当主とゴリラと時々オトン」
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