鬼滅の刃〜縁壱さんは持ち霊です〜   作:ちゃんエビ

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芽衣の持ち霊 

継国縁壱 言わずと知れた原作最強キャラ

???  ヤベエ奴だが意外に寂しがり屋




第2話 当主とゴリラと時々オトン

「おい!早く逃げろ!鬼の子が来たぞ!」

 

「ひっ!化け物!来ないで!」

 

「お前なんか消えちまえ!」

 

「気味悪い子ね」

 

「殺した方が良いんじゃ?いずれ災いをもたらすに違いない」

 

「殺してもまた生き返るかもしれないわよ?ほら、あの子がそうだったでしょ?」

 

「ならば生かさず殺さず閉じ込めておくしかない!捕まえろ‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

「嫌だ!やめてよ!・・・・・はぁ〜〜夢かぁ〜何であんな夢見たんだろ?」

 

芽衣が気を失った夜から一夜空けた翌朝、悪夢にうなされ飛び起きた芽衣は自分の周りをキョロキョロと見渡しながら自分の置かれてる環境を確認する。

 

(ここどこなんだろ?昨日縁壱さんと合体してゴリラみたいな人ひっくり返した事までは憶えてるけど・・あれから私どうなったの?)

 

昨日の出来事を思い出す芽衣はそれからの記憶がなくどうなったのか

気になっていたが、ふと芽衣の横から

 

「芽衣目が覚めたか、うなされてたようだが悪い夢でも見たのか?」

 

縁壱が隣で芽衣に声をかけてくると芽衣は

 

「あ!縁壱さんおはよう!うん・・おかげさまで寝起き最悪だよ」

 

と縁壱に返し再び周りをキョロキョロしだす。

 

「ここは昨日いた男の屋敷だ、芽衣はあれから気を失ってあの者にここまで運ばれたんだ」

 

そんな芽衣に縁壱は芽衣が気を失った後の出来事を説明すると

 

「昨日の・・へっ⁈私に求婚してきたあの人の屋敷⁈私何もされてないよね?」

 

「それなら何も心配はない、芽衣の世話は3人の女性がやっていた」

 

突如求婚するような男性の屋敷に連れ込まれた事で心配になる芽衣だったがその懸念は縁壱の返答で解決されたが一つ疑問が浮かび上がる

 

「女性が3人?御手伝いさんかな?ここ屋敷みたいだし」

 

芽衣の疑問は普通の疑問なんだろうが縁壱が芽衣にとって理解し難い事を言い出した。

 

「いや、あの3人はどうやらあの者の妻らしい」

 

そんな縁壱の発言に芽衣はしばらく放心状態になりやがて

 

「縁壱さんゴメン!何言ってるかわからない」

 

実際には縁壱が言っている事は理解できる、ただ意味が分からない

妻が3人、芽衣にはそのふざけた内容が理解出来ず縁壱にそう答えた

 

「私も驚いてはいる、妻が3人もいようとは・・ちなみに芽衣は4人目らしい」

 

「・・・・よし!今すぐここから出よう!」

 

縁壱も驚いてはいるようだったが縁壱はそこから爆弾を落としてきた

芽衣が4人目、先程の衝撃発言以上の衝撃に芽衣は考える事をやめ即退去へと身を乗り出した。

 

「あっ!起きたようだね」

 

「目が覚めて良かったわ」

 

「ようやく目を覚ましてくれましたよぉぉ〜‼︎」

 

「須磨!アンタは声がデカいのよ!」

 

ーーバチーン‼︎ーー

 

「あーー!雛鶴さん!まきをさんがぶったぁぁ〜‼︎」

 

「はいはい、2人とも静かにしてねこの娘が驚くでしょ?」

 

そんな芽衣の脱出チャンスを邪魔する3人、もとい心配で様子を見に来た3人の女性、素晴らしいビンタをぶちかます女性はまきを、ビンタ係の大声女性は須磨、2人を嗜めるおっとり美人は雛鶴、一連のやり取りで芽衣は自己紹介しなくともこの3人の名前とそれぞれのポジションを把握しこの後どうしようかと悩んでいたが

 

「ま、なんとかなるよ」

 

と今の現状を受け入れ3人のやり取りを見つめていた。

 

 

 

「いや〜悪かったね、朝からドタバタしちまって」

 

「いえ、お構いなく」

 

「二人が騒ぐから萎縮してるじゃない、大丈夫?」

 

「はい、大丈夫です」

 

「煩くしてゴメンなさーーい‼︎」

 

「気にしてませんから」

 

3人からの声かけに当たり障りのない返事をする芽衣、下手に騒げば面倒になるそんな面倒な事は避けようとしていたがまきをの発言が再び爆弾の導火線に火を付けた。

 

「んで?アンタが天元様の4人目の嫁って聞いたけどどうなんだい?」

 

芽衣はこの時を待っていた、この爆弾を処理するこの瞬間を

 

「私、人間があまり好きではないんです」

 

この瞬間3人は固まった、おおよその返答は予想出来る。肯定か否定か

その返事によって対応する事も変わってくるが想定の範囲内、だが芽衣の発言はそのどちらでもなかった。

 

否定している事には違いはないが天元を否定だとか男性を否定だとかそのような規模ではない。種族として否定、あまりにも斜め上の返答に3人はどうすればいいか分からず顔を見合わせるとコクンと頷き芽衣を抱きしめる。

 

「えっ⁈あっ!ちょっ⁈」

 

そんな3人の行動に驚きの声を上げる芽衣、まきを、雛鶴、須磨の3人は芽衣の反応に構う事なく抱きしめながら頭を撫で始め優しく語りかける。

 

「辛い事があったんだろ?アンタ見てたらわかるよ」

 

「そうね、何があったかなんて聞くつもりはないわ、このままでいさせて」

 

「私は聞きたいですーー‼︎」

 

「須磨うるさい‼︎」

 

「ほらほら2人共、耳元で騒がないこの娘が怯えちゃうでしょ?」

 

そんな3人の行動に芽衣は顔を俯けて少しだけ微笑んでいた。

 

芽衣は人間があまり好きではない、確かにそう言ったがかと言って嫌いというわけでもない。

 

人間には善悪がある、善意があるから善人、悪意があるから悪人そのように割り切ればどんなに楽だろうか、悪人から悪意を向けられるそれはその人はそんなもんなんだと割り切れば良い、だが善人だと思っていた人から悪意を向けられたら?まだ今より幼かった芽衣にとってそれはとても耐え難い事だった。

 

この出来事は今の芽衣を形成する要因になるのだが、以前の芽衣は

努力を惜しまない性格だった、生まれつきシャーマンとしての才能に溢れていた芽衣は麻倉家に恥じぬよう努力を重ね立派なシャーマンとしてその実力を上げていたのだがその努力の成果が災いして芽衣は周囲から悪意を向けらるようになる。

 

芽衣の実家麻倉家には伝説の大陰陽麻倉葉王が残した書物、超占事略決

という書物がある。

 

数々の巫術を記したその書物、中には禁術とも言える巫術も記されており芽衣はその書物を読み解き全ての巫術を会得した事で努力は報われると信じていたが後に起こる悲劇が原因で過ぎた努力は災いの元と達観してしまう。

 

芽衣には友人がいた、小さな頃より親交がありいつでも仲良しの2人だったがある日その友人が行方不明になってしまう、周りの住人は誘拐だ

神隠しだと騒ぎ友人の捜索に大規模な捜索隊を結成し友人の捜索に当たる、結果友人は見つかるのだがその友人は変わり果てた姿で見つかった

 

友人の死体の周りに集まる住人達、山で迷ってる時に熊にでも襲われたんだろうと見解している輪の中に芽衣は潜り込んだ。

 

友人が行方不明になり心配していた芽衣は変わり果てた友人を見ると

死体のそばに友人の霊が佇んでいて自分の死体を眺めていた。

 

そんな友人の霊に芽衣は「まだ生きたかった?」と尋ねると友人の霊は

芽衣にコクンと頷き芽衣もまた友人の霊にコクンと頷くと死体のそばに駆け寄り両手をかざす。

 

住人は友人である芽衣が泣き崩れるのだろうと思っていたがシャーマンであり霊に囲まれて暮らしている芽衣にとって死は身近なものであり特別悲しい出来事ではなかった、故に涙一つ流さない芽衣を不気味に思いつつも住人は芽衣を見ていたがそこで信じられない光景を目撃する。

 

呪禁存思・余程の欠損がない死体、蘇生されたい意志のある霊が近くにいる条件もあるが死んだ者を蘇生させる巫術、超占事略決に記されたその術を行使する芽衣を固唾を呑み見つめる住人達、そんな中死んだ筈の友人は生き返り芽衣はホッと一息付くとたちまち気を失い倒れ込んでしまう。

慌てて駆け寄る友人は芽衣を大事そうに抱きしめると「ありがとう、ありがとう」と何度も口にして涙を流す。

 

そんな光景に歓喜の声が上がる事はなかった、正確には死んだ友人の両親だけは娘が生き返った事で歓喜の涙を流していたが周りの住人達は反応が違った、芽衣に向けられたその視線はまるで芽衣を化け物扱いするような目付きだった。

 

芽衣は友人とその両親から家に送り届けられ、1週間眠りについた。

生まれつき高い巫力を持っていた芽衣、超占事略決の会得もありその巫力は大幅に向上していたが蘇生による巫力の消費は莫大なものであり芽衣の巫力のほぼ全てを費やすものであった為、芽衣の負担は大きくその反動もまたそれに比例するものだった。

 

それから1週間後目覚めた芽衣に待っていたのは住人達の迫害であった、芽衣にとってはつい先日まで親しく接していた住人達、いきなり化け物扱いや鬼の子扱いされ石を投げられたり中には包丁を持ち出し警戒されたりもした芽衣、麻倉家は当然芽衣を庇い住人達を説得するがそれでも恐怖は消えず最終的には芽衣を監禁して一生人目の付かない場所に隔離しようと行動に出た。

 

流石に芽衣の身が危ないと麻倉家は本拠であった出雲から別邸のある帝都まで移住を余儀なくされ芽衣は今に至る。

 

当時10歳の芽衣にとってこの出来事は心に遺恨を残し、過ぎた努力は災いの元、必要な時必要な分だけ頑張ると自ら植え付けその日以来

芽衣は自由気ままなグーたら生活を送っていた。

 

そんな芽衣が人間を嫌いにならないでいれたのは友人のおかげでもある

友人は迫害される芽衣を最後の最後まで庇い大切な友人として居続けた

その友人の両親もまた芽衣を庇い我が子のように大切にしていたがこの家族もまた迫害されていて麻倉家の移住の際、一緒に移住して今は麻倉家の住み込みとして働き共に生活をしている。

 

そんな過去を持つ芽衣、親しい者以外からの真っ直ぐな善意に触れた芽衣はもう少し人に寄り添ってみるのも悪くないと久しぶりに思っていた

 

「あの〜?いつまで抱きしめてるんです?ちょっと苦しいというか」

 

まきを、雛鶴、須磨の長い抱擁にちょっとウザいと思えてきた芽衣は

苦情を言うが正直にウザいとは言わず苦しいと言い換え離して貰うよう頼んでみるが

 

「アンタ、手を離したら消えてしまいそうだから無理」

 

「ええ、いつまでもいていいからね?」

 

「じゃあ4人目ですねーーー‼︎」

 

「だから!須磨大声で叫ぶんじゃないよ!」

 

芽衣の願いも虚しくそれでも抱きしめ続ける3人、芽衣にかける声は本気で芽衣を心配しなんとかしてあげたいそう思える声だった。

 

但し須磨を除く

 

そんな3人にいつしか心を許した芽衣は

 

「エッヘッヘ」

 

と独特の笑い方をして3人に笑顔を向ける

 

「か、可愛い」

 

「笑い方が独特だけど、その笑顔は破壊力抜群ね、笑い方は独特だけど」

 

「私、キュンとしましたよーー‼︎キュンキュンしてますよーー‼︎」

 

「須磨!アンタは恋柱様か!」

 

芽衣の笑顔、その破壊力に当てられた3人はワイワイと盛り上がり時間は過ぎていくのだった。

 

この時、この4人は大事な事を忘れていた

 

まきを、雛鶴、須磨の3人は芽衣が起きたら芽衣を運んだ男性、天元に報告する事を

 

そして芽衣は縁壱を

 

この時縁壱は圧倒的空気、この甘ったるい空間にいた縁壱はこう思っていた

 

とても渋いお茶が飲みたいと

 

 

そんな甘ったるい時間は雛鶴の一言で終わりを迎える

 

「あ!天元様に報告」

 

そんな一言にまきを、須磨も「あっ!」と声を上げて物凄い勢いで天元の元に走り去る3人、取り残された芽衣はそれを見送ると枕元に置かれている自分の着ていた黒い羽織りを纏い服装を正す。

 

縁壱はそんな芽衣を見ながらこう思っていた

 

(背中のふんばり温泉が気になる)

 

芽衣の羽織の背中に描かれたロゴ、ふんばり温泉♨️

 

何故柄の入った羽織ではなく温泉の羽織なんだと芽衣の家は温泉でもやってるのかと考えていた縁壱、そんな縁壱の疑問に気付く事ない芽衣は

縁壱に声をかける

 

「ねえ?縁壱さん、昨日は咄嗟に持ち霊になってと言ったけど縁壱さんはホントに良かったの?」

 

昨日は鬼に襲われ成り行きみたいな形で持ち霊となった縁壱に芽衣はホントに良かったのかと心配になるが縁壱は

 

「昨日も言ったが私の力が芽衣の力になるのなら私は力を貸すつもりだ・・いや私が芽衣の力になりたい」

 

縁壱は芽衣にそう言うと芽衣は

 

「エッヘッヘ、ありがとう縁壱さん」

 

笑いながら縁壱に礼を言う芽衣、縁壱は芽衣を見つめながら

 

(私も芽衣の力が必要だ、芽衣と2人ならば兄上もきっと)

 

心の中でそう呟く縁壱、自分とは違う芽衣の強さ、自分の知らない世界を知っている芽衣の可能性を信じ縁壱は芽衣と2人ならばと自らの未練を思い起こすのだった。

 

 

 

 

「よぉ!目が覚めたみてぇだな!」

 

芽衣が休んでいた部屋に天元と呼ばれる男が入ってくる、その天元に芽衣は頭を下げて昨日の礼を言うのだが、それに一言付け加える

 

「昨日は倒れたところを助けていただきありがとうございました、ですが嫁になるという話は断固拒否します」

 

そんな芽衣に対し天元は

 

「いきなりぶっ倒れたから焦ったぞ、まあ嫁というのは気にすんな半分冗談だ」

 

そんな天元の返事に芽衣は

 

(半分は本気なんだ、まあいいや、なんとかなるよ)

 

と考え、昨日の出来事について聞いてみる。

 

「あの、昨日鬼を斬って殺したように見えましたが貴方は何者なんですか?」

 

そんな芽衣の質問に天元は

 

「お前、鬼殺隊って聞いたことあるか?」

 

天元は芽衣に質問で返すが芽衣は

 

「いえ、知りません初めて聞きました」

 

と答えると一旦間を起き、天元は鬼殺隊について芽衣に説明するのだった

 

「昨日鬼を見ただろう?奴らは人間を餌として喰い荒らし回ってる化け物だ、俺達はその鬼を狩る鬼殺隊って組織に所属してる鬼狩りだ」

 

そんな天元の返答に芽衣は

 

(鬼や化け物か、私も昔そんな扱いされてたな〜!そういえばあの村今頃どうしてるんだろ?)

 

と昔の事を振り返っていたが、

 

「おい!どうした?何処か体調でも悪いのか?」

 

上の空でボーッとしていた芽衣を心配した天元が芽衣に話しかけると

 

「ねえ?天元さん?もし私が鬼とか化け物だったらどうします?」

 

と捻くれた質問を天元にぶつける芽衣、その質問に天元は

 

「なんだそりゃ?派手に意味がわかんねえぞ、お前どう見ても人間じゃねえか」

 

と答えると、芽衣は

 

「ですよね!不思議生物認定されたら流石にヘコみますよ」

 

そう返すが、天元は真面目な顔をしながら芽衣を見据えて

 

「何かあったんだろ?派手にバレバレだ!例えば鬼だとか化け物だとか

言われたんじゃねぇのか?」

 

先程の質問や芽衣の態度に核心を突く発言をする天元、そんな天元に芽衣は冷たい目線を向けながら

 

「だとしたら?」

 

と答えると、天元は呆れた表情を見せ芽衣にこう答える

 

「そんなの言いたい奴には勝手に言わせてろ!仮にお前は鬼だと言われたらお前は鬼なのか?お前はお前だろ!」

 

そう熱く語る天元に芽衣は

 

「・・・これから話す事聞いても同じ事言える?」

 

そう天元に返すと芽衣は自分の過去を天元に話し出すのだった。

 

 

 

 

 

「お前・・・派手にスゲェな!俺の想像の斜め上をいく派手さだ!

にしてもシャーマンか!話には聞いた事あるがここまでスゲェとは思ってなかったぜ!」

 

芽衣の話を聞いた天元は芽衣にそう話すと芽衣は天元の態度に戸惑いを隠せずに

 

「私が怖くないの?普通の人間じゃないんだよ?鬼の子だよ?化け物なんだよ?」

 

そう天元に返すと天元は芽衣の頭を撫でながら

 

「何言ってんだ?それがお前だろ?誰が何と言おうとお前はお前だ!

自分を信じろ!お前が自分を信じねえでどうする」

 

そう優しく語りかける天元、そんな天元の優しさに芽衣は次第に涙を流しやがて号泣、天元にしがみつきなら暫くの間泣いていた。

 

そんな優しい空間の中またしても縁壱空気、先程よりも圧倒的空気

そんな縁壱は芽衣の知られざる過去、そして芽衣のシャーマンとしての実力を知り改めて芽衣に誓うのだった。

 

(芽衣の持ち霊として芽衣を支えよう)

 

 

 

暫く泣き明かした芽衣は天元から離れると

 

「見苦しいところお見せしてすいません」

 

と頭を下げると天元は笑いながら

 

「気にすんな!派手にな!俺の嫁になる気になったか?」

 

と言うと芽衣は笑いながら

 

「いや、なりませんから!」

 

と答える、そんな芽衣の笑顔を見た天元は

 

「とんでもねぇ破壊力だな!こりゃ派手なんて域越えてるぞ」

 

そう言う天元に芽衣は

 

「エッヘッヘ」と笑い出した。

 

「笑い方独特だな」

 

 

そんなやり取りの後、天元は昨日の事について芽衣に聞いてみる事にした。

 

「そういえばお前なんであんな所にいたんだ?」

 

そう質問すると芽衣は天元にとって驚きの回答をするのだった

 

「あっ!そうだ!私、産屋敷って人の所に行く途中だったんだ!天元さん聞いてくださいよ、渡された地図が適当過ぎて全く分からないんですよ?」

 

そんな芽衣の回答に今日一番の驚きをする天元、芽衣がまさか鬼殺隊の当主の屋敷に向かっていたとは知らず天元は動揺するが気を取り直すと真剣な眼差しで芽衣に産屋敷邸に向かう目的を聞くのだった。

 

「その産屋敷って人に何の用事があるんだ?」

 

これまでやり取りで芽衣が悪い事をする人間ではない事は理解している天元、だが産屋敷となると話が変わってくる。

 

産屋敷へ向かう目的が分からない限り芽衣でも産屋敷邸に近付けるわけにはいかない、そう思って聞いてみたのだが芽衣は

 

「私の爺ちゃんが産屋敷って人と友人らしく、私はそこに居候するんです」

 

そんな芽衣の回答に天元はすぐさま鎹鴉を呼び寄せ伝言を伝えると

 

「鴉が喋った⁈不思議生物だ」

 

と芽衣は鴉を不思議生物認定し面白がる、その芽衣に天元は

 

「お館様に伝令を送った、じきに返答が来るから待ってろ」

 

そんな天元の発言に芽衣は首を傾げ

 

「お館様?誰?」

 

と天元に聞くと天元は芽衣に

 

「お前が行きたがってる産屋敷家の当主様だ」

 

そう答える天元、芽衣は天元から言われた内容に一安心した表情になり

 

「あ〜〜もう探さなくて良さそう〜、ゆっくり出来るよ〜」

 

と言いながら一気にだらけ寛ぎ出した。

 

「お前!ユルすぎだろ⁈」

 

唐突に怠け出した芽衣に天元は突っ込みを入れるが

 

「エッヘッヘ、よく言われます」

 

とだらけながら言う芽衣、鴉が戻ってくる暫くの間、芽衣は天元やまきを・雛鶴・須磨と朝食をとりそれはもう寛いでいた。

 

そんな芽衣の元に鴉が戻って来て伝言を伝え出した。

 

カァァァァァ!麻倉芽衣サンニ伝言デス!お館様ガ芽衣サンノ到着ヲ楽シミニ待ッテマス!迎エガ来ルマデオ待チ下サイ!

 

鎹鴉は芽衣にそう伝えると再び飛び立とうと羽を羽ばたかせ始める

そんな鴉を捕まえた芽衣は鴉に向かって

 

「今日はもう遅いので明日行きます!エッヘッヘ」と鴉に伝える

 

「いや!まだ朝‼︎」

 

「アンタ、ユルすぎでしょ⁈」

 

「面白い娘ね」

 

「もうずっとここにいて下さいよーー‼︎」

 

「馬鹿デカいんだよアンタ声が!」

 

 ーーバチーンーー

 

「いやぁぁ!まきをさんがぶったーー!天元様見ましたぁ⁈今ぶたれたの‼︎」

 

「ちょっと見てなかったわ」

 

「ボンクラ‼︎」

 

天元夫妻の騒がしくも楽しそうなやり取りを見ていた芽衣

 

(鬼か・・・こんな日常を理不尽に奪っていく存在、そして鬼殺隊・・・うん!絶対関わりたくない!)

 

そう考えながら芽衣は更に寛ぎ、もう今日はこのまま過ごすそう

そう思っていた

 

そんな芽衣にやがて迎えがやって来る、全身黒づくめの黒子のような格好をした集団、隠と呼ばれる鬼殺隊の事後処理部隊、背中にはそれを表す隠という文字が刻まれていて、その隠の1人が芽衣をおぶろうと背中を向け待機する。

 

その様子を見ていた天元夫妻、背を向ける隠には隠と刻まれているが芽衣の背中にはふんばり温泉、2人の背中を見比べながら4人はこう思っていた。

 

((((ふんばり温泉が凄く気になる))))

 

 

そんな天元夫妻をよそに芽衣は困惑していた、その原因は2つある

 

1つ ゆっくりしたいが為今日はもう産屋敷家へと行く気がなかった事、2つ 見ず知らずの人間におんぶされる事

 

「もう百歩譲って今日出発するのはいいよ、不本意だけど!でもね?

おんぶは無理‼︎自分で歩きます!」

 

そんな芽衣の発言にオロオロしだす隠、そんな隠に芽衣は更に追撃を重ねていく

 

「いきなり知らない人が現れてはいどうぞ!って誰がおぶさるの?

怪しさ全開だよ?もう万世極楽教と同じ位怪しいからね」

 

芽衣は隠にそう注意すると

 

「まあそう言ってやるな、お前の言いたいことはわかるけどなコイツらもこれが仕事なんだよ」

 

そう芽衣に諭す天元だったが芽衣は不服なのか膨れっ面になりながら

 

「見ず知らずの人間に体触られるの嫌なんですけど?・・はっ!それが狙いか!おぶさることで私の胸が背中に!勤務中に淫夢中ですかこのヤロー!」

 

そう叫ぶ芽衣に天元は苦笑いになり、隠に芽衣は客人であり鬼殺隊員ではないから芽衣の意に沿ってやってくれと話し込むと隠も慌てて頷き

芽衣はおんぶを免れる。そんな芽衣に天元は

 

「さっき言ってた万世極楽教って何なんだ?胡散臭い名前だな」

 

と芽衣に話しかけると芽衣は

 

「ああ、辛い事や苦しい事はしなくていい、する必要がないって説いてたから少し興味持って話を聞いたことあったの」

 

芽衣がそう話していると天元は苦い顔付きになり芽衣を見据える

 

(コイツがこんなインチキ臭い宗教に縋り付きたくなる気持ちもわからなくもねえが)

 

「その口ぶりだとその宗教に入ったってわけじゃなさそうだな」

 

天元は頭の中で芽衣の過去を考えながら、芽衣の話し方で入信はしていないと判断してそう返すと芽衣はウンザリした顔で

 

「もうね、そこの教祖がホント胡散臭い教祖でね?死ぬのは誰もが怖いから俺が導いて楽にしてやるとか言い出したんだよ、私の生死の価値観と合わないから即お断りしてきたよ」

 

芽衣は天元にそう返すと天元はホッとした顔で

 

「まあお前はお前だからな、それでいいんじゃねぇか?」

 

と芽衣に返すが芽衣は更に

 

「いやそこからが問題なんだよ、帰り道でその教祖待ち伏せしていてさ

いや何処から現れたの⁈って位見事な待ち伏せっぷりで」

 

そう話す芽衣に天元は

 

「おいおい!大丈夫だったのか?」

 

そう心配する天元に芽衣は更に続きを話し出した

 

「いや正直ヤバかったよ、あの教祖こう言ってきたんだよ?「なら今すぐ俺が君を楽にしてあげる」って何処かしら息も乱れてて不気味だったよ、確実に変質者だね」

 

そう話す芽衣に天元が

 

「いや、お前マジで大丈夫なのか?何かされたんじゃ?」

 

焦り気味に心配する天元、そんな天元に芽衣は笑いながら

 

「それなら大丈夫だって、似非教祖だけど目には目を歯には歯をって事で脅しておいたから、あれ以来一回も見てないよ」

 

そう話す芽衣、とある方法で教祖を脅した芽衣、そんな芽衣には秘密があった。麻倉家ですら知らない芽衣の秘密、これはまだ先の未来シャーマンキングの誕生に繋がる秘密であった。

 

そんな芽衣は天元達に挨拶をすると隠達と共に産屋敷邸へと向かうのだった。

 

芽衣を見送る天元夫妻、手を振り見送るまきを・雛鶴・須磨をよそに天元は芽衣の事を考えていた

 

(鬼の子か・・アイツの力は良くも悪くもこの世界に影響を及ぼす

気を付けろよ、お前の力を狙ってくる奴らが現れるかも知れねぇ)

 

そう芽衣の事を心配する天元、その天元の予想は見事的中する

天元達鬼殺隊にとって因縁の相手に芽衣は狙われていた。

 

そんな事を知らない芽衣は呑気に産屋敷邸を目指す。

 

そして因縁の相手も知らなかった、狙っている芽衣には畏怖すべき存在がいた事を・・・始まりの呼吸・日の呼吸の使い手継国縁壱・・そして

・・・S.O.F

 

 

 

場所は移り産屋敷邸〜

 

「私は君に逢うのが楽しみで仕方がないよ、鬼無辻無惨を生み出したかつての大陰陽師麻倉葉王の再来、麻倉芽衣」




語られた鬼と麻倉家の関係、その時芽衣は何を思う
次回「風呂と刀とお兄ちゃん」

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