逆行妖精譚   作:くまはっち

1 / 13
とあるエルフ『疾風』と女神によるファミリアミィス。

「出来る限りのことをしよう。この手が届く限り…」

始まります。





序章

 

 

 気がついたら見覚えのある天井が見えた……、と神々の言うところのよく分からないところに来た……というわけではない。辺りは日が沈みかけている為よく見えないが己がよく知っている……過去にいた……場所にいた。

 

 

 ────リュミルアの森の自室に──────

 

(えっと……昨日はミア母さんの酒場で仕事をして寝たはずですが……?)

 

 エルフの少女リュー・リオンは混乱していた。

 

 とりあえず状況を確認しようと寝ている体を起こし、周りを見渡す。

 

(昔使っていた机に本棚、武器まである。それにしても……)

 

 そうこれだけでもイレギュラーな状況なのだがさらにリューを混乱させる出来事が起きた、というより起きていた。

 

(見た目6~7歳程なのですが? 何故……?)

 

 そう以前より手足が小さく身長も小さくなって見た目子供になってしまっていた。そして……

 

「おーいリュー! ご飯の時間ですよー降りていらっしゃいー!」

 

 何年も聞いていなかった母の声が聞こえた。

 

「はい! 今行きます」

 

 とりあえず返事をしないと後々面倒な事になる事は昔からわかっているのでしておいた。

 

(とりあえずはこのまま()()過ごしましょう)

 

 何も解決になっていないが何も力も持ってない少女はこうするしかなかった。

 

 ────────────────────

 

「リュー? どうかしたのですか?」

 

 開口一番母にそう言われた。

 

「……特に何もありませんが……どうしてですか?」

 

「いぇ、何も無いのなら良いのです」

 

 そう言って食事を食べ始めた。

 エルフの料理は素朴で質素なものが多い。森で取れた山菜のサラダや皮で釣った魚の開きなどを主として食べることの方が多い為オラリオで冒険者として食事は物珍しかった。

 

「そう言えばリューは明日は訓練日でしたね」

 

「はい。朝から訓練する予定です」

 

 そして食事中に話すことと言ったら決まってこれである。

 リュミルアの森で森《聖樹》を守る一族の生まれの為生まれてからずっと訓練してきた。閉鎖的なエルフの里では里の住民だけで己の里を守る必要がある。だからそれぞれの里には警備を担当するものがいる。それが護人の役目だ。それでも恩恵を受けた冒険者と戦えばすぐにやられるのだが……それは言わない方がいいのかもしれない。

 

「ご馳走様でした」

 

「はい、お粗末様でした」

 

 そうして母に挨拶をして自室に戻る。そして外套と短刀、保存食を持ち荷物に詰める。もうここに戻ってくることも無い。ここにいても同胞に里の同胞に自分に失望してしまうだけだ。私はエルフの選民主義は苦手なのだから。

 

「さよなら。お元気で」

 

 そう言って里を飛び出した。

 

 ────────────────────

 

「かなりかかりましたね……」

 

 里から飛び出して早数日。目的地に向かって寝る間を惜しんで歩いているが中々きつい。

 

「ステータスが元に戻っているようなので仕方ありませんが6、7歳の体では無理がありましたかね……? ハァー」

 

 そうステータスがレベル4の頃ならこのくらいの旅路はきついとも思わなかっただろうが何せ色々あったのだ。特に何も考えず自分の赴くまま里を飛び出したのが仇になった。里の同胞を撒くために遠回りも余儀なくされた。踏んだり蹴ったりだ。

 

(体の年齢に精神の年齢まで引きづられてしまった)

 

 良くも悪くも決めた事はすぐに行動するリューの事なので仕方ないと言われれば仕方ないのかもしれないが5歳児(中身21歳)の旅路は苦労するだろう。

 それでもオラリオはもう目と鼻の先なのだがらさすがとしか言いようがないが。

 

(もうすぐ検問ですが、検問抜けられますかね?)

 

 前の世界では10歳は超えていたから普通に入れたが何せ今は中身21歳で見た目5歳児だ。

 保護者同伴とかファミリアの団長を呼んできてとか言われたら何もできない。だからリューはとある行動に出た。

 

 

 

「そこのお方少し良いですか?」

 

「ん? ……どうしたの?」

 

 ここはオラリオの隣町。治安はそこそこの普通の町。そこの酒場である。そこでいかにも歳二桁に行かない少女といかにも人間ですという普通の感じを醸し出している女の二人がいた。

 

 そして、リューは耳を寄せてこそこそと呟き始めた。

 

「迷惑は出来るだけ掛けないので貴方のファミリアに入れて貰えませんか?」

 

「は?」

 

 そういかにも人間という感じを醸し出していた()()は神である。肩下まであるくろ髪を一つに纏めて垂らしており、金色の目を持つ、旅人風の格好で可愛い系の神であった。ちなみに背はリューよりやや高い程度なのでかなり神の中では低身長の部類になるかもしれない。知名度はそこそこだけれども……。そこ! なんだぁーと失望しない! 

 茶番は置いておいてその神は正直に言って驚いていた。普段から神威を出来る限り醸し出さないようにして旅を続けていたからだ。主にあの好色じじいのせいだがここでは触れないでおこう。

 さて、神威を出していないため神として認識される事はあまりなく、それこそ人間のように振る舞い旅を続けるこの神ファミリアなんぞ作っていないし作ったところでどうにもならないと考えていた。つい最近までとある処女神の元にいたが何故か自分まで矢の的にされるので逃げた。心の中では『なんでやねん!』とツッコミを入れながらながら旅を続けている。

 だからこの神が最初に少女に思った事は当然のことだが

 

「君って変なやつだな」

 

 この一言である。だってそうだろう? 

 

 神としての威厳も無く、神ではなく人間として生きている私に気づくなんて思わないでは無いか。それに加えて見た目幼女なのでさらに変なやつ認定が上がっている。まだ世の中の情勢なんて知らなそうな歳の少女が『迷惑掛けないから家族にしてほしい』なんぞいうのか? という疑問が最後に残った。

 そして一応事実も言っておこうとするこの神のちょっとした優しさもあった。

 

「はぁ、何で私が神と分かったのかは聞かないが本当に私のところでいいのか? 隣のオラリオでは有力なファミリアなんぞ吐いて捨てるほどあるぞ? それに私はファミリアなんぞ作ってない。他を当たった方が身のためだ」

 

 吐いて捨てるほどは無いのだがこの神はオラリオの地に足を踏み入れたのはかなり前なのでいた仕方ない。好色じじいが去ったから来た、その一言で片付けられるほどの単純な理由で来たのだから。

 

「それならそれで好都合です」

 

「ほぅ」

 

 少女の印象になんとも馬鹿なやつという不名誉な印象もこの神に追加された。わざわざここに来てファミリア探しとかしなくても良いだろうに。

 逆にリューからすれば関わる人間が少ない、あの時オラリオの内部でそれほど名を轟かせていないというちょっと残念な点でこの神のファミリアに入ろうと考えているのはこの神は知らない。

 

 何せ今からやる事は誰の目にも留まらず、誰にも語られず、誰にも気づかれない様に立ち回る必要があるのだから……

 

 これがリューと彼女の新たな主神となる神の出会いである。

 

 それから数日

 

「はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

 

「どうしました? 神様?」

 

 でかいため息を着いた神とその隣で澄ました顔をしているリューの凹凸コンビである。

 あの後何度も食い下がってくるからついに神の方が折れた。ちょっと脅迫まがいの事をされました。それでオラリオの方に向かっているのだが神の頭を悩ませているのはこの澄ました顔をしたエルフの少女の事である。

 

「どうしました? じゃぁねぇよ! 何でガネーシャが検問してんだよォ〜」

 

 そうこの神前にオラリオにいた頃に衝動的に(まぁ好色じじいが悪いところ多々あるが)とあるファミリアに神に単体で嫌がらせをして反感買って追放されている。その頃は特に検問なんて無かったからまた帰ってくれば良いや〜とタカを括っていた。

 

「今のオラリオは治安最悪です。検問があるのも当然かと」

 

「まじで?」

 

 なんとも頼りがいのない神である。天界にいた頃は神罰として色々それはもう色々人間に対してやってて(主に人間が思い上がったから)頼りにされる事もあったが、下界では形無しらしい。

 正直リューの方がオラリオの事に詳しい。その事に疑問は持てど深く追求しないのはリューにそういう話を振ると黙り込むからである。まぁ話したく無いこともあると考えて特に何も追求はしない。時間の無駄である。

 

「仕方ないことです。二大派閥であるゼ……ゴホン、ヘラファミリアともう一つのファミリアらが黒龍退治に失敗して以降、ずっと治安が悪い……と聞いてます」

 

「あぁーそうなの? というかエルフの里は閉鎖的なのによくその年で知ってるよなそんなこと」

 

「えぇまぁ」

 

 そうこんな感じで黙り込むのでこういう時は放置するというのが1番良い。下手に聞き出す方がこいつ相手だと難しい事はもう知っていた。

 

「あーしょうがないなぁ。ガネーシャからは色々聞かれるだろうが適当に返して入れてもらう事にするよ、それからは頼むぞ?」

 

「えぇ任せてください」

 

 そして二人の番が来た。

 

「ほぅ前回追放したはずだが?」

 

「いや〜色々ありまして帰って来ちゃいました」

 

「うーむまた、時期が悪い時に帰ってきたものだ!」

 

「あのじじいが居ないだけマシだろう?」

 

「あはは(乾)」

 

 その後も入れてくれ! だめだ! 入れてくれ! だめだ! と会話が進まない。そして切れた神が

 

「あーもう! 追放した本人がいねぇんだから良いだろうが! 別に他の奴らにちょっかいしねぇよー!」

 

「むぅぅ……分かった。ただし監視はつけさせてもらうぞ? いいな?!」

 

「上等だぜ」

 

 どうにも熱くなると口が悪くなる主神の様だと再確認したリューであったが無事に? オラリオ内部まで入ることができそうだ。

 

「その子は君のファミリアの子か?」

 

「ん? あーそうだよ」

 

「正直君はファミリアを作らないと思っていたぞ!」

 

「私も作ろうとなんて思ってなかったよ」

 

 ゲンナリげっそりした神とアッハッハっと笑っているガネーシャの姿があった。

 

 ちなみに監視にはシャクティがきた事は余談である。(リューは少し微妙な顔をしていた)

 

 




ほぼ初小説なのですが楽しんでいただけたのなら幸いです。
 ここでは本編で載せられなかった裏事情を書こうかな? と思っていますが作者は浮気性の為急にいなくなります。その時は申し訳ありません。
 さて作者の推しはリューさんの為推しの無双が本編以外でも観たかったという邪な気持ちで手を出したのがこの作品です。この後は逆行リューさんが頑張って未来を変えようと奮闘することになるはずです。多分……! 
 現在のリューさんの主神の名前は一回は何かの拍子に聞いた事があると思います。女神様です。
 あのリューさんがアストレアファミリアに加入するとは思えなかったので他のファミリアに加入してます。勿論アストレアファミリアの方々出すつもりですが。
 リューさんは本編軸では丁度戦闘遊戯の後に飛ばされてます。理由は作者が原作持ってないからです。
 以上! 作者からでした。ここまで読んでいただきありがとうございました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。