それではどうぞ
さてと、一人でダンジョンに潜る事になりました。
本当はアーディを誘おうか? とも考えましたが元々違う派閥の為誘いにくかった。まぁ行けないと言った手前もあるし、アーディは元々の仕事に戻るだけだから元に戻っただけだが、良く今まで団員を好きにさせていたと思う。アーディがあの性格というのもあるけど、シャクティも良くあんないい子を貸してくれるもんだなぁとは私の主神が言ったことである。
「さてと一人で潜れるなら、できるだけ深く潜りましょう。遠征しているファミリアもいませんし」
そう思っていざ入ろうとすると。
「ん? あの時エルフか?」
「…………」
なぜリヴェリア様がここにいるんでしょう? ロキファミリアは遠征に行く予定では無いはずですが。
そう不思議に思っていると
「何故一人でいる? ……まさかダンジョンに一人でいこうなんて考えていないはずだが」
「武器を少々見に来ました。それでは失礼します」
「っておい! 待て」
失礼だけれどそそくさと去ってしまおう。どうせただの同胞の一人と会っただけだ、すぐに忘れて______
何で付いてくるんでしょうか?!
「待てと言っているだろう? そそくさと逃げようとするな。他派閥だからと言ってダンジョンに単身で乗り込もうとしている者を放っておけるか」
「ダンジョンに行こうとは」
「じゃあその装備はなんだ?」
もう逃げ場はないですね……。今日は諦めるしかなさそうだ。そう思い逃げるのはやめた。
「はぁ~。リオンだったな。主神がまだ幼い者を一人で送り出すのか?」
「あのそこまで心配して頂かなくても大丈夫d」
「何が大丈夫だ! ダンジョンを甘く見すぎている」
こんなに過保護だったかな? 剣姫もこの年齢でダンジョンに入ってたと聞いていたのですが? それに正直年齢は関係ないのでは?
それが顔に出ていたらしく。
「一人で行くなという話だ。どれほど強くとも一人では数多くのモンスターに対処できない、大規模な魔法を使うにしてもそれなりの詠唱がいるだろう?」
とリヴェリア様は答えた。
「平行詠唱ならもうできますが?」
「そういう話では……ん? 今なんと?」
「いえあの魔法の平行詠唱ならもうできます。不思議なら実践してみますが?」
「……」
この年の子が平行詠唱ができる? どういうことだ? そんな高度な技術並大抵の事では習得できないはず。
それをこんな幼い子が? にわかには信じられないが、嘘を言っているようには見えない。少し確かめてみたい気はする。試してみるか?
「あぁ少し実力は見ておきたい」
「えっ? あぁはい、分かりました」
「どうした? 歯切れが悪いが」
「いえ、リヴェリア様はお急がしいと思っていたのでこんなくだらない事を承諾してくれるとは思っていなかったので」
あぁそう言う事か。確かにロキファミリアは大派閥ゆえにやる事も多いが今日は久しぶりの休日だ。たまには散歩をしようと思って出歩いていたらちょうどこの馬鹿物を見つけたので声をかけた。正直私はこの子の主神の事は知らないがこの子の性格からして、悪いものでは無いのと思っている。まぁ単身で乗り込ませようなんて正気の沙汰では無いが。
という事で、ダンジョンの上層の少し広いところに来た。まぁ何をやるかというとただの戦闘である。リューからすれば早く一人でとっととダンジョンの奥に行きたいため手っ取り早く決着のつく一対一の模擬戦をする事にした。まぁリューのレベルだとまだリヴェリアには及ばない。だから今回は力を見せて見逃してもらおうと考えた。
「じゃぁ始めよう」
「はい、よろしくお願いします」
そう言って自らの木刀状の武器を構える。エルフの丈夫な木から作ったものだ。しかし、あまり人に魔法を放ちたくはないし、それがエルフの王族なら尚更傷つけたくはないが、こうでもしなければダンジョンには入れない。幸いなことに私よりリヴェリア様の方が強い。だから傷は付かないはずだ。多分……。
一瞬の内に近づく、まずは武器を奪うために横なぎに武器をふるう。それを杖で受け止めたリヴェリア様に向かって失礼ながら足蹴りを放つ。それも体を後ろへずらすことで交わされる。流石はロキファミリアの冒険者だ。自分よりもレベルが高いからというのもあるが、判断能力がやはり高い。年の功というのもあると思う。と少し失礼なことを思った。恩恵故の若返りっていうのは本当に不思議だ。
そこまで考えているリューの相手をしている傍らでリヴェリアは驚いていた。まずは初速が早い。元の俊敏が優れているのか判断能力が年の割に合わないのか、恐らくどっちもありえるが。駆け引きもなかなか良い。まるで熟練した冒険者と対峙しているみたいだ。人とやるのを慣れているのか油断も隙も無い。エルフにしてはブラフも多少はできると来た。しかし、まだ本命の平行詠唱をやっていない。まだ様子見ということなのか? ならこちらから仕掛けてみるか。
「ふっっっ!」
リヴェリアが自分の杖をリューに力任せに振り下ろす。
「くっっっっっっ!!」
(さすがに素のステータスは未熟だな。いやここまでできれば十分すぎる程強い)
(力任せにやってきた! リヴェリア様は魔法メインだと思っていましたが、中々接近戦もこなす。うかうかしてたら一気にやられるッ!)
そうしてリューは距離を取る。前に行けば元のステータスの差でやられると分かったからだ。
そして、
「今は遠き星の天……」
「させるか!」
リューが平行詠唱をし始めた。それを阻止するかのようにリヴェリアが高速でリューに迫る。リューからすれば魔導士に接近戦を持ち掛けられた方が楽である。何故なら魔法より接近戦の方が性に合う。接近戦ができないなら自分は魔導士になっている。でも、強力な魔法が発現したのなら、それを使わない手はない。使えるモノは何でも使え、昔の悪友の言葉である。だから平行詠唱をできるように鍛えた。輝夜に何度急所に刀を撃ち込まれたことか。しかも足技も使ってきたから苦労した。
そして縦横無尽に杖と木刀が当たる音が続く。もうこの時点で第二級冒険者では目に負えないほどの速さで打ち合っている。まぁリューは高揚しているのか気づいてないし、リヴェリアもわざわざそれを指摘するようなことはしない。
「星屑の……光を宿し……っ!」
「やっと隙を見せた」
リューがリヴェリアの足技に気を取られ体勢を崩し、詠唱が一瞬途切れた。しかし、リューはそれで止まることはなかった。即座に後ろに転がり体制を整える。転がる寸前にリヴェリアの足技が脇腹に当たったがそれも後ろへ出来るだけ衝撃を逃す。
「ッ……敵を討て! ……ミ……ウィ……ド!」
「くッ!」
光と風の広域攻撃魔法がリヴェリアを襲う。少し声が小さかった為最後の方は聞こえにくかったが、しっかり詠唱できたらしい。しかしこれでやられるはずもなく全てかわし切る。この時点でまだリヴェリアは魔法を一つも放っていない。リューの魔力量がまだ少ないため光弾が少なかった為少しかすったが大体かわされる。
(流石ですね、今の私では魔法で傷つけることも叶わない)
(無理やりつなげて来たな……。しかし、下手したら自爆していたな。にしても末恐ろしい奴だ)
そうリヴェリアは思い、魔法が
この時点ではギルドに報告していないレベル詐欺の事がバレた。流石リヴェリアである。
「うむ、平行詠唱に少し難はあるが、駆け引きも申し分ない……か。その歳で凄いな」
「いえ、まだまだです。リヴェリア様にそういってもらえて光栄です」
そう言って警戒は解かない、こちらが武器を構えているからかもしれないが、不意打ちを最大限警戒している。正直ここまでできれば将来有望だ。
「ふぅ、分かったダンジョンに潜れる程の実力はある」
「じゃぁ」
「だが一人で行くのはやめろ、やはり危ない」
「ムぅ……ゴホン、大丈夫です! そんなに深くは潜りません」
「いや、そういう問題では……」
「それじゃあ、失礼します」
そして三十六計逃げるが勝ちである。持ち前の足の速さを生かして、戦線から離脱。とっととずらかる。勝てない勝負はする必要はない。話も長くなりそうだった。
「早い……もう逃げられた……」
見失ったリヴェリアであった。何故逃げるのか? ちょっと注意(という名のお説教)しようとしただけである。それなのに一目散に逃げられた。
「……はぁ、仕方ない。あっち側は出口方面だからもう入ることは無いかもしれない。……入らないよな? 流石に……」
少し不安になるリヴェリアであった。
一方でリューはと言うと
「引いてくれましたね」
流石に本気で追いかけられたらヤバかったけれど。
現在ダンジョン第一階層。あまりわき目を振らずに走ってきてしまったから、かなり上まで来てしまった。それでもまだ10階層ぐらいには行けるはず。
「よし! ダッシュで行けば今日はたくさんの経験値が得られる」
そう言って奥まで潜るリューだった。ちなみに尊敬するエルフの王族のリヴェリアの言葉は全く聞いていないのであった。
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10階層_そこは霧が立ち込める草原地帯。新たにオークなどが出現する区画。詳しい事は不明だがモンスターパーティも発生する。まぁ6階層のは例外中の例外である。何があるのかわかったもんでは無いのがダンジョンである。
それらを全て一掃している一陣の風がある。
囲まれないように逃げ道は確保しつつ、オークやインプの群れを目に留まらぬ早業で蹴散らし、自らの魔法で一帯のモンスターを文字通り破壊する。そしたらすぐに別の所に移動したまに囲まれた冒険者の助けをしつつ、経験値を貯める。正直木刀で出る音ではないような音が発生している。
「ふぅ、物足りない」
本人は物足りなさが勝っているが、これまでで倒したモンスターは優に50は超えている。格の違いを思い知ったのかモンスターも先ほどより攻めてこない。暇だ。
「もう少し骨のある奴と戦いたいですね」
実質レベル3に届くリューにとってみれば18階層くらいまで行きたい。ただ帰りの時間を考えると厳しい。思いっきりはしゃぎすぎて絶対一日で帰らない気がする。でも行きたい。
そううずうずとしている。はたから見れば幼女なので場違い感が半端ない。
「ムゥどうしましょうか?」
「そこで何をやっている?」
「えッ!」
すぐさまその場から退避し、距離をとる。見覚えのある声というかさっきまで聞いていた声である。
「一人で行くなと言ったはずだが? この馬鹿者!」
「……うっ痛いです」
「当たり前だ」
(最悪だ……まさかここで会うとは……)
拳骨を落とされた。本気で落とさなくともいいではないですか。ミア母さん並みに痛い。
「なぜこんなところにいる?」
「いけるかなと思いまして……」
怖い……なんというか後ろに鬼のような般若が見える。馬鹿正直に答えてしまった。ここで虚偽を言った方がさらに怖い。
「何がいけるかな? だ馬鹿者! 全然話を聞いていないではないか!」
「……ここまで潜るのは今日だけです。もう上がりますからっ! そのっ! さらに拳骨を落とそうとしないでください!」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
どうにか怒りの矛は収めてくれたようだ。それにしても大きなため息でしたね。お疲れなんでしょうか?
本人は全く気付いていない。自分の事でここまで怒られているのだが知らぬは本人ばかりなり。
逆にリヴェリアは何故こいつは困惑気味なのだろう? と疑問に思っていた。まさか自分の事で怒られていることに気づいていないのか? ちょっといや凄く心配するリヴェリアであった。
その後は言うまでもないが、リヴェリアに散々怒られた挙句何故か自分たちのホームに来たリヴェリア様にネメシス様まで怒られた。ネメシス様は「何で私まで!?」と憤慨していた。それもリヴェリア様の鶴の一声的なものですぐ黙ったけど、なんかかわいそうになってきた。それでも小さいのにさらに一回り小さくなった神様を横目に見ながら長くなりそうだと思った。
予想通り小一時間近くお説教は続いた。残念ながら怒られている本人であるリューは半分近く聞いていないが。そんなリューを見てあきれ顔をしたネメシスである。
そして、夜になったのでリヴェリア様は帰っていった。まだ何か言いたそうだったけど、ロキファミリアは、忙しいだろうから帰ってもらった。
何か疲れたなぁ。お風呂へ入って寝ようとすると、
「おい! 待て寝る前にお話しだ! リュ────!!」
これは主神からもお説教コースである。
「お前今度はリヴェリアに見つからないようにダンジョンに潜れ!」
「はい……」
恐らくそれをしたらもっと怒られるだろうが、知ったこっちゃない。全く反省してない主神と眷属である。正直なんの解決にもなっていないが、リューの実力が確かなのはネメシスが1番知っているのでリヴェリアが去った後反省することも無い。本当ならもっと深くまで行くことだってできる。まぁ強い戦力を現段階で育てない手はないわけで。反省することも無くどうやって入ろうかと考えている。それに目的もあるから潜らない手は無い。
「でもまたお前は面倒な奴に目を付けられたなぁ」
「? リヴェリア様は心配してくださっただけかと……だからあそこまで怒ったのでは?」
「…………まぁいいか。今のコイツに
「? はぁ?」
ほら何で怒られていたのか多分気づいていない。ぽかんとしている。いや、一人で行くことに怒ったことは分かっているんだろうけど、何でロキの子が私を巻き込んでまで怒ったのか分かってないんじゃないかなぁ。少し危ない目をするときがあるから私は心配だよ……。それに気づいていた様子があったからなぁリヴェリア。目はつけられてるぞリュー……。
「はぁリヴェリアも絶対にシャクティと同じタイプでいろんな意味で苦労しそうだな」
「は?」
さっきから話の流れが分かっていないリューは頭の中は? だらけである。
まぁ数年後にはこのネメシスの予想が当たることになるが今はまだ知らないのであった。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
リヴェリア様は作者内でアスフィ同様の苦労人枠の為こんな感じになりました。正直あんまり関わらないかもとは思いましたが、二次創作の為許してください。
もう作者しか得しないような作品ですが、楽しんでいただけたら幸いです。
ではまた次回があれば読んでくださると嬉しいです。