逆行妖精譚   作:くまはっち

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ついにあの方たちが……。
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第十一話 思わぬ接触

 その日も変わらずダンジョンに入っていた。独自の方法で。

 12階層ぐらいならもうほとんど苦戦はしなかった。スキルのおかげであることも関係があるけど。かなりの補正が付くらしい。しっかり確かめた事はないけど。でも、単独行動でしか使えないからそれだけは面倒な面のあるスキルだ。

 

「ふぅ~階層主くらいならいけるますね」

 

 ここから一番近い階層主は17階層にいるゴライアスである。前は神様(ヘスティア様)の神威で黒いゴライアスが発生していたが、アレの方がイレギュラーの為今存在するのは、ただのゴライアスだろうけど。一応ゴライアスのレベルは4と言われているがかなりの補正ゆえに行けるのではないかと考えていた。というかそろそろ偉業を成しえないとレベルアップに行き詰まる。ステータスも敏捷はもう限界突破の分もカンストしてしまっている。ほかも限界突破している項目が多いので、偉業を成さないといけない。

 

「いまなら、遠征しているファミリアはいない、それに加えて最後の討伐からかなり経っている。そろそろ復活するはず」

 

 そう考えて無理なら引き返すと決め偵察程度にゴライアス討伐に繰り出す。ポーションなどの回復アイテムがあるのも大きい。

 

 そうしてさらにダンジョンに幾つか存在する縦穴を使って下に降りて行った。下に行くたびにモンスターに囲まれまくったがそれを難なく蹴散らす。ミノタウロスもヘルハウンドもたまにインファントドラゴンに遭遇した。それも魔法で粉々にしてやり過ぎていたが。そうやって進みながらついに第17階層に就いた

 

 迷宮の孤王(モンスターレックス)と呼ばれる最初のモンスター、ゴライアス。『嘆きの大壁』と呼ばれる一面真っ白な空間に存在する。灰黒色のモンスターである。

 

(確かゴライアスは接近戦での殴ってきたり顎から光線のような物を使っていましたっけ)

 

 まぁやってみましょう、と言わんばかりガンガン進んできた。この世界では初階層主戦である。

 

 17階層に足を踏み入れる。

 

 でかい巨人がそこにはいた。

 

 こちらに気づいたらしい巨人は即座に

 

「うおおおおおおお」

 

 という相手を威嚇するように吠えた。

 

「意気がいい。まぁやれるところまでやりましょうか!」

 

 今一度いう、この時点でリューは()()()().つまり格下である。普通なら勝機は無く無様に殺されて終わり、となるはずだがリューの目には闘気が宿っていた。それでも冷静になっている部分もあり、つまりは油断も隙も無い。

 この時点ではモンスターも相手を格下だと思い、侮っていた。当たり前だ。何故なら前に立っているのは吹けば飛んでいくだろうと予想できる小さい子供だ。しかし、それでもどこかで油断ならないと勘が働く。

 

 何故かここで自分の方が倒されると錯覚しそうになった。

 

 そんな両極端な感情を抱きながら対峙する。そしてリューが飛び出した時点で戦闘が開始した。

 

 早い動きで翻弄し、それから力強い木刀での攻撃が続く。これに認識を即座に改めたゴライアスが即座にその巨体でタックルを仕掛ける。リューはそれを横に転身することで交わす。殴れど踏みつけてもそれらを全てかわされる。その間にもリューは目に負えないような速さでその巨体の足を攻撃し体制を崩させる。そして、体制を崩されたゴライアスは床に尻もちをついた。

 

「今は遠き森の空。無窮の夜天に鏤む無限の星々……」

 

「ぐぅぅぅぅぅ」

 

 魔法の詠唱を始めた途端ヤバいと思ったのかうなって起き上がるゴライアス。そして拳を振るう。その攻撃をいなし木刀で肘に思いっきり一撃を繰り出した。そうするとゴライアスの肘は普段とは反対向きに曲がる。リューの素のステータスではここまでのダメージを与える事なんてできない。

 じゃぁなぜできたのか? 

 それはリューのスキルの一つが原因である。

 詳細は省くが、あの読めないスキルには前に所持していたスキルを()()()()()()()()使()()()()という事が記されていたのである。つまりスキル5つもち(一つは対人に特化しているが)と言う反則的な強さになるのだ。それにくわえてステータスの大幅補正も加わる為このような強さに至る。速さによって力の補正が付くスキルと精神力消費で力が上がるスキルを保有していた為それをフルに使いこのような力が出せた。それを試してゴライアスの様子を見て逆に少しびっくりしたリューであった

 

(思いっきりやりましたけど、まさかこれほどとは)

 

「ぐォォォォォォォォォォォ」

 

「空を渡り、荒野を駆け何者よりも疾く走れ」

 

 詠唱も終盤に入り、魔力も跳ね上がる。ゴライアスは肘の様子を見て困惑していたがまずいと思い足で踏みつけようとした。しかし、冷静さを欠き、焦った攻撃など交わすのは楽である。サラッとかわしさらに近づき、口をまた思いっきり木刀で叩いた。これにより顎が変形するほどのダメージを負った。その顎から光線を放とうとしたがこれによりできなくなった。

 

「ギィァァァァァァァァ」

 

「星屑の光を宿し敵を討て! ルミノス・ウィンド」

 

 数は少ないがスキルにより威力が増した光弾がゴライアスに襲い掛かる。体表を砕き、足や腕を粉々にした。だが絶命には至らなかった。しぶとい。

 

(なかなかにしぶとい)

 

 正直マインドダウンギリギリなのでここからは素の殴り合いとなる。ボロボロの状態で立ち上がったゴライアスと未だに無傷のリュー。しかしいくら無傷と言ったもこちらははもうほとんど魔法を打てない。

 

「ギィァァァァァ」

 

「行きます!」

 

 そうして一人と一体が交差する。少しリューも疲れて来たのか被ダメージが多くなってきた。しかしそれでも着々とゴライアスの体力を削っていく。しかし決定打にはならない。だから勝負に出ることにした。

 

 リューが思いっきり上に上がり天井から自らの魔法を足に放ち、天井を蹴る。その魔法の威力が乗った一撃をゴライアスに放つそれを防ごうと使えない腕でガードしようとするがそれを貫通して魔石を破壊した。リューの勝ちである。足は犠牲となったが。

 

「ふぅ、一応勝ちましたね。魔法によりマインドダウンギリギリですがどうにかですね……」

 

 そう言ってリューはカバンからポーションを取り出し自分の足にかける。シューという音が聞こえそうな位湯気があがり傷は見かけ上治ったかのように見える。まぁ骨にひびは入っただろうけどすぐに治りそうだ。上に上がるだけの足はある。ついでにマジックポーションも飲んでおく。

 

「少し痛みますが、後でディアンケヒトファミリアに寄って診てもらいましょう」

 

 そう言ってダンジョンから出たリューであった。ちなみに後々ディアンケヒトファミリアの団員からどうしたら其の歳でこんなケガ負うんだ? と不思議がられた。そんな不思議なことではないと思うのですが? 

 

「だから団長はお前がやればあたしはいいと思うぞ?」

 

「ええ!そうね! そういわれちゃうとさらにやる気になっちゃうわね」

 

「おぅおぅやってくれ。正直面倒なことはあたしはごめんだ」

 

「ライラがやりたくないだけでしょ?」

 

「そんなことねぇぜ、あたしは団長なんて玉じゃないからな」

 

 壁越しだが聞き覚えのある声が聞こえた。というか前にきいていた声よりも幼いがそれでももう聞くことも叶わないと思っていた声が聞こえた。

 

「……ッ!」

 

 治療の途中で駆けださなかった自分を褒めたい。今ここで駆けだしたら接触するところだった。いやあっちはこっちの事を知らないから別に何も知らない顔で通り過ぎればいいのだが、絶対に平常な判断ができないと思った。会えることは勿論嬉しい。前は志半ばで、自分の魔法でアリーゼ達を殺した……。

 正確にはアノ災厄のせいだがリューの中では仲間を自らの魔法で殺してしまったという事実の方が堪えた。だからこそ今彼女たちに会えば性懲りもなく泣いてしまう。でもここにいても出たら遭遇する可能性があった。リューは終わるな終わるなと思いながら初めて足の治療を長引くように祈った。まぁ足のけがは数日経てば全快するらしい。それ以外の注意点は全く聞いていなかった。

 

「聞いてますか! リオンさん!」

 

「ッ! はい聞いてます!」

 

「じゃぁ今こちらが言ったことを正確に言ってみてください」

 

「……明日は絶対安静ですよね」

 

「明日のみではなく絶対安静は最低二週間です。全治はそれ以上の期間を要しますよ?全く、複雑骨折に筋肉損傷に肉離れに筋も少し痛めたというのに……。 しっかり聞いてませんでしたね?」

 

「……」

 

 ダラダラと冷や汗が背筋を伝った。医者を怒らせるほど怖いものはない。背後にゴゴゴゴゴという擬音が聞こえそうだ。これは期間中に怪我したらお説教程度で済まない気がする。嫌な勘が働いた。自分の勘は良く外れるから大丈夫だと思いたい。それからはまた同じ説明をするのも時間の無駄だと言われ申し訳なく思いながら注意点をまとめたメモを貰った。お説教が無くてよかったと変なところで安心したのは秘密である。一応歩けるなら大丈夫だと思うけど。

 

 さて、そろそろ帰らないと心配させる。現在は日の傾きからしてそろそろ夕刻となりそうな時間であった。アーディたちには見つからないように帰らないといけないけど。

 結果的には見つからなかった。ホームには主神が働いているジャガ丸君が鎮座していたが。結構な量である。

 

「おっまた怪我したの? リュー」

 

「ネメシス様ただいま帰りました。ええまぁ。そんなことよりこのジャガ丸君はどうしたのですか?」

 

「子供たちと食べろって押し付けられた」

 

「あぁなるほど」

 

 中身はともかくはたから見れば愛くるしい姿してますからね私の主神。納得してしまうリューであった。

 

「一人しかいないのにな……」

 

「これは一日では無理ですね」

 

 結構な量を貰って来た、主神も他のファミリアに消費を手伝ってもらっていた。リューもそれほど大食いという訳ではないので、困ってしまった。でもロキやフレイアのファミリアのような大所帯では少なすぎる。というか主神はあまりそこのファミリアの主神のことを好きではないから自分たちと同じようなファミリアへおすそ分けと言う形になる。主神が親切な方をバイト先に選んでよかったと安心した。あまり下調べとかしない結構ずぼらな所があるから。

 

「いまちょっと失礼な事を思ってないか? リュー」

 

「いえ何も。ただバイト先の方々が親切そうで良かったと思っただけです」

 

「あっそう」

 

 怪しまれたけどどうにか誤魔化せたようだ。

 

「しょうがない、またアストレアの所に行ってくる」

 

「そんなに頻繁に行って迷惑なのでは?」

 

「いつでもいらっしゃいと言ってたよ?」

 

「そんなに頻繁に来るとは思ってないと思いますが……」

 

「リューも行く? あいつら良い奴だぞ」

 

 その様なことは昔から知ってます、とは言えなかった。

 

「……どのような方達なのですか?」

 

「おっ興味出て来たか?」

 

「えぇまぁ」

 

 無難に聞くことにした。

 

「会ってみるのが早いと思うぞ」

 

「足のケガのせいで絶対安静です」

 

「おい、またなんかしたな、帰ってから事情は聴くよ。それじゃあ行ってくる」

 

「はい、気を付けて」

 

「おぅ」

 

 そう言ってそそくさと出て行った。帰ってくる頃には夜だけど大丈夫だろう。アストレア様が神様一人で返すとも思えません。それにネメシス様も護身術位は扱える。今日はあちらに泊まるかもしれないから帰ってこないかもしれない。

 

「ご飯はジャガ丸君ですね」

 

 もう何日もジャガ丸君である。仕方ない私はお世辞にも料理上手とは言えない。レシピをしっかり見ればできるかもしれないけど。

 そんな事を考えながらお塩を取り出してジャガ丸君に振りかける。慣れてきた味である。でもそろそろ果物を食べたくなる。

 

 一通り食べ終わったので残りは明日の分にしてお風呂に入って寝ることにした。

 

 バ────ン!!! 

 

「リューお泊まりだー!」

 

 急に帰ってきて大声出さないでください。そしてやっぱりお泊まりだ。恐らく、アリーゼ辺りに勧められたのだと思う。私が怪我してるから神様の警備も十分にできない事もあるかもしれない。主神がどのくらい話しているかによるが。

 

「……神様が、ですか?」

 

「リューもいかない? 絶対安静の期間、私がバイトしている間暇だろ? アストレアの話し相手にして貰えばいいじゃん!」

 

「何を勝手に……それに急にそんなことを言われてももう寝るところだったのですが?」

 

「じゃぁ今から行けばいいな」

 

 こんな無理やりな神様だったかな? もっとプライバシーというものを守る方かと思ったのですが? 

 微妙な顔をしていたら駄々を捏ね始めたので結局行くことになった。もう少し待って欲しかった。大丈夫かな? 私……。

 そんな事を考えながら神様に引きずられながら連行された。

 

 ────────────────―

 

「いらっしゃいゆっくりしていってね」

 

「……」

 

 連行されてさっそくアリーゼ達が歓迎してくれました。神様は凄くなじんでいて驚きました。どれほど入り浸っていたのでしょう? 

 

「ねぇ貴方名前は?」

 

 前よりも当たり前だが幼さの残る顔立ちをしたアリーゼ達だ。こんな状況でなければ嬉しい事に変わりないが、なにぶんこのような状況の為あまり喜べない。だから自分の顔はかなり微妙な表情をしている訳ですが、仕方ない。

 

()()()()()リオンと言います」

 

「リオンね、よろしくね! 私はアリーゼ、アリーゼ・ローヴェルよ!」

 

「よろしくお願いします」

 

 そう言って他の団員とも自己紹介をした。こちら側が一方的に知っている自己紹介とはかなり不思議な感覚がしますねとか思いながら自己紹介をした。懐かしい感じに泣きそうになった。

 

 その頃神様同士では眷属の話に花を咲かせていた。

 

「ネメシスの子は気難しい子なのね」

 

「結構表情豊かなときあるぞ? いつもはあんな無表情だけど……」

 

「でも、いい子ね」

 

「私にはもったいない程いい子だぞ。たまに遠慮ないけど、年相応の物だし逆におとなしすぎる所あるかからなぁ」

 

「あらあら、本当に子供たちは色々な子がいるわね」

 

「神様も色々いるけどな……」

 

 ネメシスは自分の血縁である複数の神の神格を思い浮かべた。うん、碌な奴はいない。

 

(アストレアみたいな神が増えればいいけど、神様っていうのは問題児しかいない)

 

 神様を問題児と言えるネメシスも大物である。すべての神がろくでなしという訳ではないが、ネメシスの血縁関係者たちの癖が強かったのである。その為全然自らに与えられた神殿から家族の為に帰らなかった。一番は与えられた仕事がブラックすぎて帰るのが(精神的にも)面倒だったからという理由だが。

 

「でも今日は穏やかだな」

 

「えっ?」

 

「いつもリオンはどこかで気が張ってるけど今日はそれが無い感じ」

 

「……」

 

「おい、何でそんなに驚いてんだよ、アストレア」

 

「気をわるくしたのなら謝るわ。でも貴方がそんなに子供達の事を考えているのが珍しくて」

 

「下界でも色々あったんだよ。こっちも。と言ってもリオンは全然自分の事は話そうとはしないけど」

 

「あら、それなら私の娘たちも変わらないわよ?」

 

 アストレアの子よりもタチの悪い事をして話を断ち切られるのですが、それはどうなんですかね? 流石にそこまで言おうとはしない。

 アストレアの所も色々あるようで大変だ。

 

 その間リューはアストレアの子供(主にアリーゼ)にからかわれていた。あんな表情もするんだなと少し驚いたネメシスであった。

 

 

 ちなみにいじり倒されたリューは終始不機嫌だったが、柔らかい表情をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ここまで読んでいただきありがとうございます。
今のところ輝夜はまだ合流してません。極東での面倒ごとに巻き込まれてから紆余曲折あってオラリオに来たと言う事の為少し遅かったという解釈です。副団長だから初期から加入している可能性もあります。
今の所アストレアファミリアではリューさんが一番新参者ということらしいので基本的に全員年上なのかな?と思っています。もしかしたら違うかもしれないので二次創作と言う事で平にご了承を。
正直もっと遅くアストレアファミリアができたと思います。でも絡ませたかった欲に勝てませんでした…。
ここまで読んでいただきありがとうございました。また読んでいただくと嬉しいです。
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