「おはようリュー」
「おはようございます」
朝の挨拶を自らの主神とかわし今日も今日とて拠点探しをしに準備する。
朝の鍛錬もしようと起きたはいいものの何故か自分の主神は朝早い。数日数週間程度の付き合いしかないが、この方より早く起きた記憶が無い。本人は旅をしてると眠りが深く短いものになった、というそうだ。まるで傭兵のようだと思ったものだった。
「今日も鍛錬するのか?」
「はい、できればダンジョンで試したかったのですが」
「やめとけやめとけ。シャクティにバレたら怖いぞ。あの手の奴は優しいし信頼できるが怒るとすこぶる怖い奴だ」
本当に昨日あったばかりなのにシャクティの人間性を理解するのも称賛できると思う。前に経験がある分その点に関しては主神よりはよく知っているのでそうですねと返しておいた。
ちなみに主神はシャクティの事をよくお節介と呼んでいるのでシャクティに『リオン、お前のところの主神の私の呼び名をどうにかしろ』と言われたが良くも悪くも気が強い所があって未だにお節介と呼ばれている。その後シャクティは悪気は無いようだからタチが悪いなとぼやいていた。まあさっきはシャクティと呼んでいたからからかっているだけかもしれないが。
そう考えている間に里から持ってきた短刀を腰のあたりに装備して白いシャツに短パンという軽装に着替える。
ガネーシャの方から庭の方で鍛錬してもよいぞ! と言われたので庭の方に出た。
鍛錬といっても一人しかいないため反復練習が主となる。前はアルヴィス・ルミナというエルフの里の聖樹からできた太刀を使っていたが今回はまだ持っていない為短刀の反復鍛錬をする。
「フッ! ハッ! ヤァ!」
フュン、フュン、フュン、と風を切る音が辺りに響く。
リューの太刀筋はエルフの里の者から教えてもらった技術からオラリオに来てからも輝夜から太刀の使い方や技術、そして実践経験から学んだ技術など多くを学んでいる。
それを一つ一つ反復しながらできるだけ早く鋭く刀を研ぐように少しずつ正確に反復していく。
そしてリューの武器は別に体術だけではない。
「今は遠き星の空……」
そう前に使っていたリューの十八番の魔法の平行詠唱である。平行詠唱とは簡単に言えば動きながら魔法の詠唱を行うというもので、できる者は移動砲台と言われる。かなり難しい為できる者は限られるが。
しかし
「あっ」
詠唱が途切れた。今その魔法が発動していたらリューの体は吹っ飛んでいた事だろう。まだ魔法が
何故途切れたのか、それはリューがまだ現在の体の動きと頭で考えている動きが合致せず考えていることに体の方が置いて行かれてしまうからである。まだ6歳程度の体では複数の事を一緒にやるのは難しく、結果的にどちらかが疎かになっている。というのが現状であった。
「ハァー、ハァー、ハァー」
そして一回平行詠唱をするだけでこの疲れようである。まだ体が出来あがっていない為こうなってしまっている。
(まずは持久力をつけるべきですか)
リューは衰えた(体6歳児でそこまでできたら化け物レベル)と落胆した。
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「リオン、ごはんの時間だぞー。町に行こうぜ」
「はい、今行きます」
主神からのお呼び出しで朝の鍛錬は終了する。現在朝の8時程。丁度朝早い食事処は開く時刻である。
鍛錬で汗をかいた服を着替えて緑色の外套と羽織る。ちなみにまだ監視は続くらしくシャクティ同伴である。
今日も三人で行動か、と思っていたが
「お姉ちゃんー、私も行く」
シャクティの妹のアーディが入り口で待ち構えていた。
「アーディ、遊びでは無いんだぞ。自分の仕事に戻れ」
「えー、だっていつも見回りしかさせてくれないんだよ? ならお姉ちゃんと一緒の方が私は楽しいし、監視対象だって一人よりも二人の方が逃げにくくなると思うよ」
そう曇りのない眼で姉であるシャクティを見つめるアーディと頭を抱えてため息を吐くシャクティの姿があった。
「別に逃げる事はしないけどな」
当の監視対象はガネーシャファミリアに追われる方が面倒だと思っているのか逃げるつもり全く無く、それどころか拠点を決めるまではガネーシャファミリアにお世話になると決めている。なんとも図太い神様である。
「しかし、このままだとアーディが邪魔をして外に出られませんね……神様さえ良ければ同伴させてもよろしいでしょうか?」
「私はいいけど。でもシャクティの方がアーディを仕事に戻そうとしてないか?」
呑気に会話しているエルフと神である。
するとことらに気付いたのかアーディが此方に近づいてきた。
「ねえあのさ私も一緒について行っていい?」
「いや待て、アー」
「うん、いいよ」
シャクティの抗議なんのその神様が許したことでやったーと喜ぶアーディと疲れた様子のシャクティの姉妹がいた。
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モグモグモグモグ
あれから結局4人で街へ駆り出す事に(シャクティはあきれていたが)なった。
リューは懐かしいなあと思いながら食事に手を付けた。ちなみにリューと神様は安い定食、シャクティ達姉妹は日替わり定食らしい。お金が無いので致し方ない。ダンジョンに行ければまだマシになるがシャクティに止めれているし監視下の中で上手く誤魔化してダンジョンに潜る方法も無い。今あるお金でどうにかするしか無い、もしヤバそうなら相談しろとシャクティに言われたが、あまり迷惑になるわけにはいかないのでもしもの時はバイトで稼ごうと考えていた。
その為にも拠点を決定させなけばならないが現在のオラリオでは無理な条件である。
「リオン達はごはん食べた後どうするの?」
アーディがそう聞いてきた。一応監視対象を見失った時に際して自分たちの行動を把握しておきたいのだろう。一応アーディもガネーシャファミリアの一員でありしっかりとしている。
「とりあえず今日は拠点探しが主かな? だよな? リオン」
「はい、そうなりますね」
何故か人前ではリューではなくリオンと呼ぶ主神に対して肯定する。
「ちなみにさ、どこに行くのかは目星つけてあるの?」
「昨日行ったところから決めようとは思っていますが、なかなか良さそうなところは……」
「まぁ無いだろうなぁ、拠点にふさわしいところは」
うーんと全員が黙り込んでしまった。
「まあ、仕方ないでしょう。このご時世です。完全に安全と言う場所は少ないでしょう。このままガネーシャファミリアに迷惑を掛けるわけにはいきません」
「私は別にいいと思うけど」
「アーディだっけか? 、それはダメだ。他のファミリアに入り浸ればこっちにもそっちにも悪影響がある可能性がある。特にそっちは規模が大きいしオラリオでの影響力が大きいのだろう?」
迷惑かける気満々だった神様にも世のご時世は十分理解しており、口ではああ言いながら恩を仇で返すのは癪なのかできるだけ早く問題を解決したい、と言う思いが強いのだろう。
ちょっと納得いかなかったアーディも理解したのか悶々と考え込んでいるのか黙り込んでしまった。
「まあ心配してくれてありがとな。気持ちだけでも嬉しいよ」
とそう言って神様はアーディの頭をポンポンと撫でた。その行動に照れたように笑顔になるアーディがいた。
その空気のまま各々他愛のない話をしながら食事を楽しんだ。
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「さぁ始めるぞ!」
「おお──ー」
「……おー?」
「何故アーディがやる気満々なんだ?」
食事が終わって早速拠点探し開始である。
何故か自分のファミリアでは無いアーディがやる気満々で眷属であるがノリが悪い(わかっていない)リューという謎軍団ができた。
基本的にロキやフレイヤそしてガネーシャなどのファミリアによって安全と言われている処から回ることにした。
まずは北ロキファミリアの本拠地『黄昏の館』があるところである。
ロキファミリアの本拠地に近いため犯罪を働く者が少なく安全性なら問題は無いが大派閥の近くになる為後々の事を考えてあまり接触は防ぎたいところである。
まあそれを言っていたらフレイアファミリア(こっちの方が物騒だとは感じる為ロキの方が安全だとは思っている)の所も同様のことが起きて中々決まらないのでいざという時はその事情は無視するという事で拠点を探す。零細ファミリアなので拠点を一つに決めなくても問題無いよーとか主神は仰っていたがそれでも安心感など精神面の安定ができるのでやはり決めるにこした事はない。
まあ几帳面であるリューと適当でいいという主神の組み合わせの為リューが納得すればすぐ決まる話ではある。
そして……
「ここが一番良くね?」
そう主神が言ったところが一番この時点では安全と言える場所である。
「少し心配ですが仕方ありませんね……」
そこは一言で言えば廃屋である。それに対して難色を示す姉妹がいるがリューとその主神がここがいいと言っているので黙っている。ここは北西(西寄り)地区奥にあるもう使われていない一階建て一軒家である。町にも同化しており派手さは無いがリューの前の記憶では被害が比較的少なかった印象があったためリューが難色を示さなかった所である。他の神ならこんな所に拠点を設けないので隠密で他の神にもバレずに行動できるという利点もある。
「ねえお姉ちゃん」
しかし、アーディが何かを言いたそうにしながら切り出した。なんだ? とシャクティが聞き返すと
「私リオン達のファミリアの所に来てもいい?」
「「はあ?」」
と言い出した。これにはシャクティとリューが困惑した。他派閥(しかも大きな)も者がこんな零細ファミリアに何故来るというのか? と言う疑問と我が妹は一体何を言っているんだ? という疑問が浮かんでいる。
「あのさ、リオン達もオラリオに来て久しいし、ホームもこんなボロじゃない? だから落ち着くまでは手伝いに来ようかなぁと思って」
「おっそれは助かるかも」
「でしょでしょ」
もう決まったことかのように話している一人と一柱に置いてきぼりを食らっている二人である。
「まぁそんな解せぬみたいな顔するなリオン。せっかく手伝ってくれるって言ってるんだここまで付き合ってもらったんだから我儘くらい聞かないと失礼だぞ?」
「いや、確かにそうですが」
「シャクティさえ良ければ君の妹を預かってもいいかい?」
シャクティは最後まで唸っていたが最後には三人のお願いで仕方ないなと首を縦に振った。
そうして拠点探しは幕を閉じたのだった。
アーディがあそこまですぐ仲良くなったのはリューさんの事が気に入った事とリューさんの主神がガネーシャファミリアにいる時にノリが何故かあって仲良くなってます。リューさんはすぐにアーディの手を握ってます。
拠点場所としては豊穣の女主人の少し奥の方です。
ここまで読んでいただきありがとうございました。次も見ていただけると幸いです。